高級シューター アレン・クラブ

シューターは重要な存在だけど、どれだけのサラリーを払う価値があるのか?

 

3P40%を超えるシューター達はオフェンス力が高まる現在のNBAでは非常に重要な存在です。しかし、局面を打開してくれるわけではないので高いサラリーの価値があるかは微妙でもあります。

ヒートでチーム最高の平均7.5本も3Pを放ち、それも多くがクイックリリースの難しいシュートであったにも関わらず39.2%の高確率を残したウェイン・エリントンは1年6.2Mで再契約しました。EFG57%という結果を残してもサラリーとしてはそれくらいということ。

エリントンだけで1つ記事がかけそうなくらい難しいシュート決めまくり。

 

クレイ・トンプソンやCJマカラムといった単なるシューターの枠に留まらない域まで達さない限りは10Mを超える契約は簡単ではありません。そんな中で高いサラリーをもらっているシューターが

アレン・クラブ(ブルックリン・ネッツ)

トンプソンよりも高い19Mを稼ぐネッツのシューターは一体どれくらい優れているのか。

 

ちなみにクラブよりもライアン・アンダーソンの方が高いし、チャンドラー・パーソンズはもっと高いよ。

◉ネッツ砲

 

2013年にドラフト31位と低い順位で指名されたアレン・クラブは3年目にマカラムの控えとして頭角を現し、3P39%で平均10点を記録します。そこで迎えたオフにネッツから超高額契約を提示されました。

そう、信じられないような時代でした。平均10点のベンチメンバーに提示されたのは、トンプソンよりも高い契約。それでもブレイザーズは折角手に育てた貴重な選手を何の見返りもなく失うわけにはいかず、高額契約にマッチしたのでした。有名なネッツ砲の被害者です。

 

しかし、翌シーズンのアレン・クラブは3P44.4%でEFGも60%を超えてきます。この大活躍によって意外にもネッツは諦めきれずにトレードを成立させました。もっともブレイザーズの方もサラリー総額が上がりすぎて放出したかった事情もあります。

この時のネッツは例の錬金術によって、手元にいた選手達を大放出して若き有望株と隠れた有望株を揃えてきています。オット・ポーターjrにもネッツ砲を発射していますが、ポーターもまたFG50%、3P40%を超える超効率的なオフェンスプレイヤーです。

 

かくしてアレン・クラブは若き再建段階のネッツというチームで最高級取りのシューターエースとして迎え入れられたのでした。

 

〇17-18シーズン

3P 37.8%

EFG 52.9%

 

そうしてネッツに来たはずだったのに、何とも言えない成績を残したアレン・クラブ。

平均7.1本も打った3Pの確率は悪くはないけどシューターエースとしては物足りなく、EFGに至っては役割を果たせたとは言い難いものでした。ベンチのジョー・ハリスがEFG61.2%という超高確率だったのだから尚更です。

 

昨シーズン序盤のネッツには面白いプレーコールがあって、コーナーを開けた状態にしてラッセルとアレン・クラブが45°にポジショニングします。トップの位置に上がってくるのがトレバー・ブッカーでドライブすると空けていたコーナーを埋めるようにラッセルやアレン・クラブが動いて、コーナー3Pを打つプレーでした。動画は見つからなかった。

これは作り方こそ違うけれど、カリーやトンプソンのためにコーナーを空けておくウォーリアーズのスタイルに近く、特定のシューターのために3Pのスペースを空けておく形でした。

 

「スペーシング」という表現をよく使いますが、それはインサイド渋滞を防ぐためのものであり、コーナーに選手を置く形を指します。

しかし、ウォーリアーズやネッツの場合は逆にコーナーを空けておくことで、シューターに打たせやすい環境を作っています。そのためのドレイモンド・グリーンでありトレバー・ブッカーなわけです。

 

シーズン途中のネッツからは、このパターンが消えましたブッカー放出もありながら、ラッセルとアレン・クラブが思ったよりも確率が悪かったのがその理由と推測しています。わざわざ打たせるのに確率が悪いとなると、インサイド渋滞の基になってしまいます。

そう、アレン・クラブはちょっと期待外れ。

ブレイザーズ時代と比べても、ちょっと期待外れ。サラリー考えたら、かなり期待外れ。

 

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◉3P主義

 

アレン・クラブのアテンプトはネッツというチームを現しています。

〇シュートアテンプト

2P 295本

3P 532本

(うちキャッチ&シュート435本)

 

全827本のアテンプトの殆どが3Pになっており、その3Pもキャッチ&シュートばかりです。残りもスクリーンを使ったりシュートフェイクからワンドリブルでの3P48本と、ほぼ全てがチームとして構成して打たせた3Pといえます。

例えばロケッツであればウイング達はキャッチ&シュートが多いですが、逆にここまでアテンプトは増えません。シューターエースに打たせるための形をしっかりと作り上げ、徹底した3P攻勢を敷くのは他にウォーリアーズのトンプソンくらいですが、トンプソンはキャッチ&シュートの3Pは多いけれど、それ以上に2Pアテンプトが多いです。

 

かなり特殊な形で自分の特徴を活かされているのがアレン・クラブなのです。求められるのは難しくても40%を超える3Pの確率であり、EFG60%超えでもあります。

ディアンジェロ・ラッセルとディンウィディーを中核に据えるネッツですが、得点面では中心にしておらず、あくまでもプレーメイカーでしかありません。アレン・クラブがどれだけ高確率で得点を積み上げることが出来るかは、チームの浮沈を握ります。

 

◉ウォーリアーズ的な要素

 

管理人は昨シーズン初めてみたディアンジェロ・ラッセルの衝撃に魅了され、そこからネッツというチームの面白さにハマっていきましたが、そのネッツが面白い理由を「全てが最新鋭」としています。それをわかりやすくいえば

【ウォーリアーズ的な良さ+ロケッツ的な良さ】の両方が含まれていることです。

今回はアレン・クラブを題材にしてウォーリアーズ的な良さに触れてみました。

3&Dが重要といいながらも、3Pの部分が「シューターエースを活用する」形に出来ているチームは珍しいのです。多くのチームがスポットシューターの活用に留まっている中で明確に得点をとらせにいけるネッツの面白さ。

 

そしてネッツはウォーリアーズ同様にゴール下のタフショットよりも、フリーの3Pを好むチームであり、キックアウトパスが頻繁に出てきます。それを確実に沈めることが出来るのかどうか。

高いサラリーに見合う活躍が期待されるアレン・クラブでした。

 

高級シューター アレン・クラブ” への7件のフィードバック

    1. 細かく分散して書きたいシューターですね。
      逆にシューターについて書いたときにNO1扱いしていました。ショートスタイルにして1人をピックアップするようにしたので難しくなるケースです。

  1. 随所にチャンドターパーソンズネタ仕込むのは卑怯ですw

    他に10M/年を超えるシューターはバトゥム、フォーニエ、THJ、スネルなどいますけどチーム事情考えても割高じゃないかって思います。
    契約タイミングの影響もありますけど特に前者2人は特に高すぎる。
    逆にダリウス・ミラーとか確率だけでいえばずるいくらい割安すぎません?
    特別それ以外は脅威じゃない選手ですけど、エースのサラリーが高くなりがちな今だからこそ安価なロールプレイヤーって貴重ですね。

    1. パーソンズは悪いと記事にするほど悪くなかったりするので。ケガが多すぎるだけ。

      バトゥームは高すぎますが役割も多かったし、そのシーズンはチームが調子よかったしで再契約のタイミングが良すぎました。
      スネルは適正かと。求められている役割はしっかりこなしています。

      結局の所、プレーメイク出来ない選手には価値が高くならないし、シュート力はあまり関係ないって事です。
      シュート以外がしっかり出来て初めてシューターとしての価値も評価されるって感じかな。

  2. スーパーチームばかりの今のNBAの風潮ににいつの日かネッツ砲が風穴を開けてくれると信じています

  3. このブログに限らず、チャンパとライアンの高額サラリーはネタにされがちだと思うのですが、そもそもなぜそのようなサラリーのオファーをすることになったのでしょうか?
    今回の記事の趣旨とは違いますが、気になっています。

    1. もちろん前提にはサラリー高騰の市場情勢がありますが

      チャンドラー・パーソンズは「それだけの価値がある」とグリズリーズが判断した事が主な要因
      ライアン・アンダーソンは「それくらいださないと選手が集まらない」とロケッツが判断した事が主な要因

      という気がします。似ているようで少し違うのは、ロケッツは本当はライアン以外を獲得したかったけど、他にいなかった雰囲気があるからです。今では優勝を狙えるチームの地位を築き、安くて良質なロールプレイヤーを集めることが出来ますが、僅か2年前は割と悲惨な状況だった気がします。

      ちなみに管理人は当時のNBAはたまに観る程度で、情報なんて集めていなかったので詳細は知りません。

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