フレッド・ホイバーグは超有能。それが証明されるのは何年後になるのか。
ブルズのHCホイバーグは現役引退後に母校のアイオワ州立大学のHCに就任し、チームをNCAAトーナメントに導く成功を収めました。トッププレイヤーが揃うわけではないチームを引き上げた実績を買われ、15-16シーズンからブルズのHCに就任しています。
管理人が初めてホイバーグをみたのは、16-17シーズンのプレーオフ1回戦。その戦略性に感嘆すると共に若く優秀なHCがいることを知ったのでした。なお、その時の相手はブラッド・スティーブンス。
同時にその内容がバトラー・ウェイドという中心選手には理解されていない雰囲気を強く感じ取ることも出来ました。僅か2~3試合しか観ていないのに、あまりにも強い印象を残したホイバーグ流のブルズは、そのオフに再建モードを明確にすると殊更輝きを増してきたのでした。
ブルズが目指すのは「優勝するためのチーム作り」であり、そのために選んだのがフレッド・ホイバーグという有能なHC。選手よりもHCを選んだブルズでした。
◉個性かシステムか?
昨シーズンのファイナルは非常に特徴的なチーム同士の顔合わせでした。レブロンという強力な個性を中心に構成されたキャブスと、システムで構成された中にスターが存在するウォーリアーズ。どちらが正しいかは別にして、優勝するには2つの方向性があります。
・優勝に値するスーパースターを獲得
・リーグの先端を行くチームシステム
前者は特に重要で、リーグの中にスター選手は数いれど、優勝するだけのスターとなると限られてきます。それは「誰々は勝てる」ということではなく、戦術的な中心に置けるかどうかと言うこと。戦術〇〇でも成立する選手は非常に特殊。
再建チームでわかりやすいのはシクサーズ。何年もドラフト上位指名を繰り返し、何人も失敗しては上位指名権を確保し、最終的にシモンズとエンビートを手に入れました。でも、普通のチームはそんなに待てないし、スーパースター候補が1人加わったらドラフト1位指名権を得ることが難しい程度には勝ち始めるよね。
さて、今回はブルズとホイバーグの話。それは「スーパースター候補」の獲得よりも「優れたチームシステム」を選択したチームの話でもあります。まずはバトラーとの決別から触れましょう。
◉バトラーではダメな理由
ローズ離脱後にブルズのエースとなったバトラー。そのバトラー中心のチーム作りを目指し、ウェイドやロンドも加えた16-17シーズンのブルズは、空中分解しながらもプレーオフまで進み、アウェーで連勝スタートしたもののロンドのケガもあってセルティックスに逆転負けしました。
この「空中分解」は現在のウルブスに繋がるバトラー問題の一端でもありますが、むしろ「シボドーとバトラー」のセットで考えた方がわかりやすくなります。個人での戦いを前提に考えるシボドーとバトラーは、重要な局面でエースが自分で行くことを望みます。なんなら重要な局面じゃなくても、エース勝負が基本です。
「エースを中心に組み立てる」というスタイルがシボドー流であり、バトラーが慣れ親しんだチームスタイル
ところがホイバーグは全く違うタイプのHCです。
全員アタックのバランス攻撃が特徴で、なおかつスクリーンとパッシングの連続でフリーを作り、シュートチャンスを生み出していきます。その時のディフェンスのアクションによってフリーになる選手が変わってくるのは、「エースとして自分が勝負したい」バトラーとは相容れないものでした。
細かく言えば「空いたら3P」というのも、バトラーからすると軟派なオフェンスなのかもしれません。ウルブスは3P打たないし。
つまりは、昨年のバトラーのトレードはブルズというチームが
ホイバーグかバトラーか?
という選択を迫られた中でホイバーグを選択したのでした。最終的にはミロティッチも似たようなものだと思うよ。ロンドとは割と相性が良かったのに、放出したのはちょっと良く分からない動きでしたが。
いずれにしても、このフロントの決断はこれまでのところ上手く行っています。僅か1年で再建の道筋が出来上がりました。優勝させるだけのスーパースターを獲得できるかはわからない。だけど、優勝するためのシステムを作り上げることはホイバーグが出来るはず、それが現在のブルズです。
だから考えたいのはホイバーグの創るガイドラインなのです。
◉読めない完成形
とはいっても、再建段階のチームなのでホイバーグの考える完成形はまだまだ読めません。昨シーズンはチーム方針として多くの選手にチャンスを与え、サバイバルテストを実施してきました。「選手の見極めには20試合程度は必要」というのはパクソン副社長のお言葉で、勝敗を度外視して多くの選手にプレータイム配分をしていたのです。
その一方で、一時期の連勝でみえたようにオフェンスは全員が同じように負担を分け合うチームシステムを構築してきました。当時はミロティッチが絶好調だったとはいえ、ベンチスタートでプレータイムも長いわけではなく、アテンプトも特別多いわけではありませんでした。一方でスターターの方が長くなるわけでもなく、常に多くの選手が起用されてきたのです。
シーズン後半は明確に負けに行くため、起用する選手の質を下げただけで、全員が同じようにアタックしていく形に変化はありませんでした。
ホイバーグの形としては、8~9人の選手が20分~30分のプレータイムで同じように役割をこなしていくことを求めていると捉えています。
・個人のプレーメイクではなく、オフボールムーブとパッシング
・エースに頼るのではなく、チーム全員が同じ負荷の役割をこなす
まだ読めない部分があるブルズですが、ここまでに形成されているのはこの2点です。個人の強さを求めていたシボドー時代からチームとしての強さを求めるホイバーグの時代へ。ブルズの変革のポイントはHCにこそあるのです。
管理人はネッツのアトキンソンを賞賛していますが、それはロケッツやウォーリアーズに代表される時代の最先端の要素を全て詰め込んでいるような形だからです。ホイバーグもまたそんな要素を持ち込みますが、もう少しオリジナルの要素を強く持ちます。
求めているのは「選手を問わずに高度にシステムを使いこなすこと」であり、「ウォーリアーズからスター選手を抜いたらどうなるか」に近い部分もあります。例えばホリデー、ダン、グラントの3人のガードがカリー&トンプソンくらい高確率で3Pを決めていれば、ブルズのシステムは大絶賛されているはずです。それくらいの価値があるオフェンスシステムを展開していますが、ガード陣の3Pはそんなに決まりません。
その一方でホイバーグも選手に合わせてもいきます。バトラーに関しては1人だけ長いプレータイムを与え、3Pアテンプトも少ない形を許容し、周囲の選手に理解を求めました。高い理想をあげながらも、現実とのすりあわせもしていくHCです。とはいえ、それを「勝利」までもっていくことは、未だ出来ていません。
ホイバーグがブルズのHCになった当初は、まだ再建期とは言えず、非常に中途半端な時間を過ごしてしまったのも事実です。その間に得た経験値を活かすことが出来るかどうかは大きな課題です。
予定外に2回にわけることにしますが、ちょっとついでに触れたいことが。
個人勝負のシボドーとチーム力のホイバーグ。どちらが優秀とか、どちらが正しいとかはどっちでも良いのですが、その後のブルズのメンバー達の行く末は無視できないものがあります。
ノア(ニックス)
デン(レイカーズ)
バトラー(ブルズ)
それぞれがチームの中で浮いた存在になっていました。唯一、ギブソン(サンダー)だけは他のチームでも活躍しましたが、それも非常に短い時間の話です。ローズの問題はまたちょっと別なので。
選手としての多様性に欠けていたのか、性格に難があるのか
悩んでしまうところですが、複数人が違うHCの下で対立構造を生み出してしまったのは、偶然と言うには苦しく、植え付けられたメンタリティを疑いたくなります。それは間違ったメンタリティという意味ではなく、時代の中で浮いてしまったのでした。それぞれ違う理由であったでしょうが、根っこにあるのはリーグ全体がチームとしての連動性を求めていく中で、どうしても個人主義に映ってしまうことかもしれません。
ブルズはホイバーグを選んだ時点で、ローズの時代とは全く違うスタイルを標榜したということです。大きな時代の変革をいち早く判断したことは評価に値するものの、結果に関しては真逆なのが現状。それをどうやって変えていこうとしているのか?
このオフにも行われた変革から考えていきます。続く。
話題に欠けるこの時期にブログ更新ありがとうございます!
個人的には17-18シーズンもタンクしてTOP3指名権取れれば、どう使うにしろ再来年にはCFにいても良いチームかなと思えるほど可能性感じていました。
ロールプレイヤー達のステッパアップに期待したいですね。
ただ、ジョーダンベルをGSWに売ったのは未だに許せません
まぁベルに関してはブルズは不要でしょうが、その指名権でチャレンジすべき人材はいた気がします。現金とのトレードはどうなのか?
ブルズはちょっと態度がデカいというか、FAでスーパースターを獲得できる前提で動いている気がします。
なお、ブログはオフの方がデータが揃っているし、書き溜め出来るし、選手が突然方向性変更することもないので非常に書きやすいです。
出たいウィギンスと、ウルブルズ完成のために、ノアとウィギンスをトレードしてほしいですね。
なんなら1巡指名権とトレイバークかムディエイつけて。
サラリーは釣り合いそうだし、ニックスの1巡なら、価値は高そうですし。
ウィギンスとポルジンギスも合いそうですし。
ニックスにはメリットがありますが、一方で来年のFAでアーヴィングを獲得するためにキャップスペース空けておきたい希望があるらしいです。ウィギンズにマックスを支払うことを躊躇うかもしれません。そしてウルブスの方からするとミニマムで獲得できそうなノアに大金を費やすことと、タウンズの再契約が決まらないと前に進みにくいかと。
でも、1巡目指名権は魅力ありますね。2人のコンビも面白そうです。
ウェンデルカーターの指名もかなりチームを前進させそうです。
バトラーはどこへ行くのか。。。
カーターにはかなり期待!
年末年始あたりの快進撃が、ラヴィーンが戻ってきてしぼんでしまったのは何が原因なのでしょうか。タンクし始めた時期と被っただけなのか。
勝ってたときは、特にクリスダンのプレイメイクからスコアリング、ディフェンスまでもが良かった印象があります。
ダンの脳震盪が痛かったです。そしてタンクするための戦略を用い始めてしまいました。
まぁ連勝時期はディフェンスが良いことに特に理由がなかった気がしています。シュートが決まるからカウンターを食らう機会が少なかったくらいかと。
ジャパリパーカーがブルズに来るわけですが、ホイバークのオフェンスには合っているのでしょうか?また、ホイバークのDFにはちょっと疑問符です…あ、これはすでに後半の内容に書いてもらえるってことか
パーカーは後半ですね。そしてディフェンスが良く分からないことも・・・。
パーカーはホイバーグに合っているのかは微妙かなぁ。トップコンディションじゃないだけに未知って感じです。
日本社会もシェア流行り、シェアは時代のキーワードなのでしょう。
GSWが成功したのは、類いまれな能力を持ったカリーがいい意味でおぼっちゃま育ちで博愛、周りの活躍を素直に喜べる優しさがあるからなような気がしてきました。ダン、ラヴィーン、パーカーはホイバーグ流とリーダー欲、エース欲、うまくバランスをとることができるがちょっと心配です。
たしかにカリーの生い立ちを考慮すると、個人のアピールに走りすぎないバックボーンがあるのかも。それはクレイ・トンプソンも同じなので二世コンビの意味は大きいですね。まぁコービーみたいなのもいますが。
這い上がりたい選手がガツガツするのは理解できるし、バトラーなんて初めの数年のスタッツ考えれば尚更です。ブルズのフロントはそこを変化させるのは難しいと決断したのでしょう。
ホイバーグの考えるシステムが魅力的なのは分かりますが、HCとしての他の能力がどうなのか気になります。
バトラーロンドと揉めたこともありモチベーターであったり統率力の素質はあるのかとか、プレイオフのアジャスト合戦で上手く対応策を練ることが出来るのか。
あと2年連続でビッグマンをドラフトしたことも気になります。
マルケネンもカーターも万能型ではありますけど、勝負どころでビッグマンを2人並べざるを得ないラインナップが通用するか少し疑問です。
まあ成長次第なんですけど。
戦術面以外のチームマネジメントが怪しいですよね。それもスター選手がいると押し負けている風潮です。システム重視なら、もっと自分を強く出さないといけません。ポポビッチなんかは良い例なのかも。
この先、スターが生まれたならばバトラー、ウェイドと過ごした経験を活かせるのかはホイバーグの大きな課題です。
このブログのおかげで来シーズンのnba視聴がとても楽しみでワクワクします。いつもありがとうございます。次の更新も期待していますm(_ _)m
ありがとうございます。試合中の注目点を増やしてもらうのもブログの狙いです。昨シーズンからしっかりと観はじめたのですが、書いたことがウソになるくらい日々変化していくリーグなのも面白いところです。
これからの得点における1stオプションは誰になると思いますか?僕の中ではマルカネンがオールスター、スパースターのレベルまで到達できると踏んでいるので彼によりボールを多く集めた方がいいと思うのですが…。
マルカネンは中心になりますが、「誰が打つ」というのを重視しないので10〜20点が8人いるようなチームを目指すと思います。
ただダンとラヴィーンがちゃんとボールを動かせるかは不安要素。そう考えるとマルカネンは20点が限界かなー。
こんなこと言うと嫌われそうですが笑、別の視点から一言。
試合が競った時、クラッチタイムでのフィニッシャーがきちんとしているチームが過去ずっとプレーオフで勝ち続けてきました。
スーパースターとも言いますが。
これはチームのシステムとは全く違った要素で、
例えばフィル・ジャクソンなどは重大な局面ではトライアングルを捨てて、ジョーダンやコービーのアイソレーションを使用していました。
現在リーグでそれができる事を証明しているのはレブロン、カイリー、カリーの3人だけのように思います。次点でオルドリッジ、CP3。
ハーデンはそう言った場面でずっと力を発揮できていません。リラードは一時期できてた時がありました。
そう言った視点からだとラヴィーンの持つポテンシャルは是非欲しい。
ここ数年のプレーオフは特にそうですが、カンファレンスファイナルあたりからディフェンスへの笛がシーズンとは変わり、90年代を思わせるようなディフェンスプレッシャーのゲームになります。
そういった中では個人でタフショットを打てるラヴィーンは必要になると考えます。