ジョシュ・ウォーレン

ジョシュ・ジャクソンとTJウォーレンとサンズのお話

 

◉ジョシュ・ジャクソン

 

ジョシュ・ジャクソンという名前は非常にめんどくさい。だからジョシュ君。普通の年ならもっと将来性を評価されて良かったルーキーは、オールスター明けに平均18.7点を記録した。

「普通の年なら」といえばテイタムが筆頭に挙げられるわけだが、テイタムの良さは完成度の高さにあり、特にシュート力が素晴らしく、素晴らしすぎて「来年伸びるかなぁ?」という疑問がわいてくる。それに比べるとジョシュ君はあまりにもシュート力がなさすぎる。伸び代だけなら誰よりも大きい。

 

ミドル 37.7%

3P 26.4%

こんな確率で15点以上を簡単に取るのだから、ある意味末恐ろしいし、サマーリーグですら決められなかったシュート力が嘆かわしい。

 

さて「普通の年なら」というけれど、その理由の1つにルーキーイヤーは大抵確率が悪く、2年目でシュート力は改善しがちと言う点が挙げられる。昨シーズン目立ったのはダリオ・サリッチ。3P31%台だったのに8.2%も向上させて、立派なシューターになってしまった。ジェイレン・ブラウンは5.4%改善させたし、この2人までいかなくても2%くらいは普通に上がるのだ。

でも、ブラウンはともかくサリッチはシュートが上手い匂いはプンプンしていたよね。

 

そうジョシュ君の場合は

「上手くなる気がしない」

のだった。なーんか安定して決まる気が全くしない。2%向上させて28%で2年目が終わるかもしれない。

ジョシュ君もまた上半身が動かないタイプで、シュートかパスか読めない。だから突破力があり、最後に押し込むシュートが打て、そしてパスも結構上手い。とても期待値は高いけど、どうにも「安定したシュートフォーム」がないように見えるのです。ハイライトだとわかり難いけど、毎回ちょっとずつシュートフォームが違う気がしてくるのでした。

ジョシュ君は観ていて面白い選手で、なんならブッカーよりも伸びるかもしれない。しかし「かもしれない」感が強すぎるのがシュート力向上に自信が持てないから。得点力あるので5年後とはいわないけど、完成度が高くなるのは5年かかりそう。

さぁどうなるジョシュ・ジャクソン。

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◉TJウォーレン

 

そんなジョシュ君の先輩として14年14位指名のTJウォーレンがいます。

平均19.6点

FG49.8%

という素晴らしい成績を誇るウイングは、その成績に見合った評価を得ることが出来ていません。テイタムよりもずっと良いスタッツなのだけど、ウォーレンは

3P22.2%

という現代っ子とは思えない驚異的なシュート力のなさを発揮しています。しかも4年目にしてキャリア最低の確率。だからもうそもそも打たない。伸びることを諦めたような感じですらあります。

1063本のアテンプト中90本しか3Pを打たないウイングって、時代錯誤感が凄いのだけど、それでも19点取れてしまう得点力も凄いのです。

 

おそらくウォーレンは20年前ならスターになっていたよ。

ウォーレンの良いところは40点も獲っているのに、個人での仕掛けが非常に少なく、かといってシュートが決まりまくったわけでもないこと。動きの量と合わせのプレーの連発でマークマンを置き去りにしまくっています。イートワン・ムーアみたいだけど、はるかに目立っているのが違い。

でも3PがないからEFGも50.7%と効率的な選手とはいえないわけです。

 

3Pがないだけで価値を大きく落とす典型的な選手

それがTJウォーレン

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◉ジャズ出身のココスコフ

 

新HCに就任したココスコフは、才能はあるけどシュート力のない2人の有望株を率いることになりました。なんせ2人とも才能があるだけに、使い所は沢山だけど、ボールムーブを促して辿り着いた先がこの2人になると、どうにもこうにもどうしよう状態に。

上手く組み合わせていく必要がありすぎて、非常に難しいオフェンス構築が求められそうです。

 

その一方で割と期待しているのがディフェンス面です。

タイラー・ユリスを放出して特に補強せず、シャキール・ハリソンがPGとして起用されそうで、そしてデアンドレ・エイトンをリムプロテクターとして構えさせるチームは急激にディフェンスのチームになる可能性があります。

 

TJウォーレンは、その高い身体能力を生かしてデュラントやレブロンを抑えてきました。ケンバやCJマカラムといったハンドラー系から、オット・ポーターやトバイアス・ハリスといったシュートベースのウイングまで、マッチアップデーターで高い守備力をみせています。

DIFF△2.2はリーグの中でトップクラスではないけど、そもそもサンズが守れないチームなので、その中では結果を残しています。

 

そしてジョシュ・ジャクソンもまたディフェンス面で印象深いプレーもしています。ハードにプレッシャーをかけて、ブロック力もあるガード

オフェンス面での不安はあるけど、アリーザにミカル・ブリッジスもいてサンズのウイングディフェンダー陣は注目すべき存在です。オフェンス面でシュート能力に不安があるからこそ、ココスコフは先にディフェンスを整えてくる気がするのです。

それはサイズと運動能力を備えてスイッチを厭わず、よりボールを奪いタイプの守り方を可能にし、最後はエイトンとチャンドラーが待ち構える構図です。ジャズの基本はブロックできる位置に誘導していく形ですが、同じような形によりプレッシャーをかけることが可能になりそうなサンズ

 

ジョシュ・ジャクソンとTJウォーレン

高い運動能力と得点能力がありながら、シュート能力が成長する気配の薄い中心選手

サンズと言えばオフェンスばかりやっているチームでしたが、シュートが上手くない2人の存在は逆にディフェンスに針を大きく振るひとつのきっかけになりそうなのでした。

 

えっ!?ブッカーのディフェンス?

 

・・・おまけでシャキール・ハリソンも貼っておこう。

 

◉ライアン・アンダーソンの獲得

この記事はトレード成立前に書き終わっていたのですが、マクドノーGM恒例の謎トレードが成立したのでした。唯一、謎を溶けるのが、ジョシュ・ジャクソンとTJウォーレンのシュート力が不安定であり、そこに同じく不安定なクリスを避ける狙いがあったというのが、好解釈出来る唯一の理由です。

最終的にアリーザを手放す可能性もあるサンズなので、かなりロケッツ贔屓なGMなのでした。

 

 

 

ジョシュ・ウォーレン” への25件のフィードバック

  1. プレシーズン終わったら
    今年も気になったチームの考察、展望などの記事を書いていただいたらありがたいです!

  2. 以前書かれていたときも気になったのですが、サンズがいずれ(今シーズン中に)アリーザを手放す可能性がある、というのはどういうことでしょうか?

    1. アリーザ は1年の高額契約で、プレーオフ争いに参加しないであろうサンズは2月までにバイアウトする可能性があります。
      チームを形作るのに必要な選手だけど、将来まで必要なわけではなく、アリーザ本人もプレーオフチームに加入できるメリットがあります。

    1. 何気無く、ジョーダンのスタッツを調べていたら、ワシントン時代はともかく、予想以上にFG%が高く、得点効率が良いことが窺えて。これが可能だった要因を聞きたいんですがあの頃のNBAはお詳しいですか。

      1. 詳しくないです。すみません。

        FGが高い理由は気になりますが、ジョーダンの初期はディフェンスしていない時代だった気がします。

        1. ディフェンスしない時代があったんですか…。%は高いです。5割超え。少しずつ下がっていった感じです。詳しくないのに伺ってもあれですが印象はどうですか。『今で言うとデローザン。』そんな意見も散見されます。

  3. ジョシュ君はU17世界選手権の日本戦の時から見てる選手で今後も伸びて欲しい選手の一人です
    でもシュートは厳しそうなのは同意です

  4. ウイング過多でPFが薄いサンズのスタメンはどうなるんですかね
    個人的にはPGブッカーをもう少しみたい感じもあります

    1. 気にする必要はないです。それだけセンターは強いわけですし。
      ただガード陣含めたリバウンド力はキーになるかも。

      ココスコフは試合終盤ではPGやらせたくないだけで、中盤ではPGっぽいことをやらせるのかも。

  5. 80年代後半まではわりと牧歌的なオフェンス偏重な時代だったかと。マジックのショータイムレイカーズが代表例。
    潮目が変わったのが90年から2連覇を成し遂げたデトロイト・ピストンズのバッドボーイズでした。フィジカルを押し出したハードなディフェンスで相手を封じ込め、このスタイルの連覇によって各チームもディフェンス重視に傾いていきます。
    92年頃からはパット・ライリー率いるニックスがネクストバッドボーイズを襲名するかの如くダーティハードディフェンスでリーグを席巻していきました。
    この時代は他にもペイサーズ、ジャズ、スパーズあたりもディフェンス主体だったような。この頃のニックスとヒートに移籍したパット・ライリーの両チームの試合はまるでプロレスでした。
    感覚的には98年頃までディフェンスメイン時代、そこからは針の揺り戻しでまたオフェンスに戻っていったような。2004年のピストンズだけ例外ですが。

    1. パット・ライリーがレイカーズを率いていたというのも、ちょっと面白い話ですよね。ショータイムを否定するかのようなフィジカルとなるのは、多分そこには明確な理由があったのでしょう。
      細かいルールや戦略的な流れなど、当時を詳しく知らないとわからない要素なのだと思います。

      だからあまり手を出したくなかったりして。

      1. そうなんです。ライリーのチーム作りの変わりようが当時のニックスファンでも驚きました。てっきりマークジャクソンとユーイング中心にマジック&ジャバーを再現するかと思いきや
        スタークス、オークリー、メイソン、アンソニーなど愛すべきギャングスタキャラが勢揃い。一気にガチムチハードワークチームになってしまいました。1試合で相手を90点以下に抑えて勝つとその日はメシウマでした(笑)まああれが好きなんですが、仰るように明確な理由があったんでしょうね。何だったんだろう…ストップ・ザ・ジョーダンを連呼してたのでスラッシャージョーダン対策だったのかな。

        1. 当時のことはわかりませんが、実はハードディフェンスから速攻が好きなのかもしれません。
          確かにオフェンス力が不足気味のチームだと有効な手段でした。
          ピストンズとブルズに負けたことで自身の哲学を見直したのでしょうね。

    2. ニッキチさんは90年代詳しいことに期待して、ジョーダンのFG%は少しずつ下がりますが高確率と言えますよね。これを支えたのはどんなことですか。もっと下がっても仕方ないのに。

      2004年デトロイトは私の得られるデータでは得点、効率が最下位級で優勝したわけですが、トップクラスの守備とはいえ理解に苦しみます。幸運はデトロイトにあったかもしれませんけど。

  6. ジョーダンの前半期はペネトレイト主体のスラッシャー型でしたが、後半期はポストからのジャンパーを軸にしたスタイルに変わっていったのでFG%が低くなってしまうのはまあ仕方ないです。それが高止まりしていたのは、これも感覚と記憶頼みですが、当時SGポジションにディフェンスの良いプレイヤーが今ほど多くなかった気がします。SGポジはセンターと並んで当時の花形ポジションでしたが、スコアリング能力は求められるものの、ディフェンス力はあったらいいなくらい。抜かれても最後はセンターで止めるぜ的な。
    あの頃でディフェンス得意なSGはステイシー・オーグモンとブライアン・スティスくらいのような。エディ・ジョーンズもかな。
    当時はウイングスパンや3&Dといった概念も大分希薄で、シーズンブロック王取る目安が大体平均3.8~4.0くらいだったかと。それくらいディフェンスに関してはインサイド偏重時代でした。

    1. ニッキチさんありがとうございます。

      ドライブやポストアップをペリーメーターで抑え込む人材やコンセプトが現代より薄かったという感じでしょうか。同時に当時のジョーダンの優秀さも伝わります。ポストシーズンでは何人か苦しめたディフェンダーもいたらしいですが。

      AIが好きでMJ神話みたいなのがあって悔しくかつ不思議で外を打つけど高確率の背景が知りたかったのです。デュラントやノビツキーのように上空で甚大な優位性でもなかったはずだよなぁなんて。

      デローザンなんかどうです? フローター、ランニングショットを多用するジョーダンなんて思ったりします。

        1. とってもいいと思いますけど辛辣な言葉が飛び交わないか心配ですね。集まって実況中継もつい見てしまうけど残念な気持ちにもなったり。

          記事が無くなって意見交換に管理人さんが参加するような形…わからないけど。 数千字の記事をあげるのはやはり大変?

          1. いや、このブログとは別にってことです。
            ほぼ掲示板と変わらないけど、楽天TVで複数の試合が放送されますし、リーグパスで追いかけるようなファンの方が意見できるようなものが良いなぁと思っています。

            幸いにしてバスケ関連の専門誌も増えてきたので、アンテナサイト兼用で考えています。でもそんなページを作るスキルがない・・・。

      1. そうそう、デローザンの今を観てると前半期ジョーダンから後半期に移行する過程がフラッシュバックされます。アシストは増えてるし、20%代だったスリーも30%台に乗せてきましたし。
        シュートバリエーションはデローザンの方が仰るように上ですが、最大の違いは勝負時のメンタリティでしょうか。
        当時のニックスの目の上のたんこぶはジョーダン率いるブルズだったんですが、まあカンファレンスファイナルのここぞというタイミングでジョーダンがギアを上げるんです。FG21/37、55得点とか。
        あの頃はジョーダンが憎くて仕方なかった!
        ですが、20年経つとあの頃のジョーダンが冷静に凄かったなあと感服させられます。ユーイングの思いは次世代に。ポルジンギス、ノックス、ニリキナ、お願いしまーす!

        1. ニッキチさんありがとうございます。

          デローザンの背景や今回の移籍は難しいところですね。数試合しか当時のMJを見てませんが、4Qにやたらボールが集積するイメージです。

          同じチームが複数回優勝してるこの30年でニューヨークファンは機会が来たら嬉しいですよね。

          仲介してくれた管理人さんありがとうございます。

  7. バスケの本は増えましたね。1つ大きなのが廃刊? されましたがGSW特集やったりシューズまとめたり日本ではニッチなスターに着目したり。

    管理人さんは何処かのブレーンになったり考えます? より優秀なスタッフがどのくらいいるのか。何かいい方向に変えられたりするんじゃないですか。

    代表戦見られないんですが、ボールは一個だけだから優秀な個人が集合しても天井が低いとかわかりますよ。2004年のレイカースなんか反面教師でしょう。(個人的にはAIとウェバーとか。)日本代表の海外組と比江島選手とのコネクションやオーダー問題など。

    それとも管理人さんと同等以上のブレーンがいてちゃんと対処した上で依然として課題が残っているんですか。

    1. ラマスは優秀ですよ。あれ以上の仕事はなかなか出来ません。ただ頻繁に合宿していますが、Bリーグでの成長だけではラマスのやりたい事に追いつかないのだと思います。

      Bリーグのチームで働けるなら面白そうだとは思っていますが、そんなチャンスは少なそうです。

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