20171110 マーベリックス vs キャブス

復活しそうなキャブス
前回はウィザーズ戦でしたが、レブロン無双作戦を発動し勝利しました。その際に感じたのはレブロンをセンターとして使う新しいシステムの可能性でした。どうやらルーHCも同じような事を感じたらしく、ホークス戦ではそんな雰囲気がたっぷりとしました。
迎えたバックス戦では超高確率合戦を制して勝ちました。
バックス FG56.6% 3P43.3%
キャブス FG50.0% 3P50.0%
なお、例のバックス戦術によりフリースローだけで21点も多く取れたことが勝因です。勝因というかバックスの敗因。



そんなわけで復活の兆しをみせているのが、キャブスのオフェンスです。
◯オフェンスレーティング 109.0(3位)
なお、上の2チームはウォーリアーズとロケッツなので各チームが定位置につき始めました。しかし、昨季までとは少し構成が違います。
◯EFG 54.7% → 57.1%
◯2P 52.8% → 59.3%
◯3P 38.4% → 35.4%
つまり3Pの効率で勝っていた昨季から2Pの効率で勝つ今季にスタイルチェンジです。
本当はこんな数字を元に「キャブスが勝てる理由」という記事を書こうかな、とも考えていますが、単にレブロンが頑張っているだけなんて話もありますし、何より勝ってないよね、という事でスタイルが本当に固まってきているのか確認です。
個人的にレブロンの突破力を活かすため全員が大きくスペーシングして、レブロンから全てが始まるオフェンスを「レブロンシステム」と呼んでいますが、大きくスペーシングする事は同じでレブロンをセンターに置くのを「ネオレブロンシステム」と呼ぼうとしています。
違うのはフィニッシュが主な役割になったため、レブロンを経由しないでシュートまで行く事が可能になりました。



イメージの話
個人的にはキャブスが良いのは、この5人のユニットです。
シャンパート
グリーン
クラウダー
レブロン
ラブ
しかし、このユニットには問題があって交代要員がいません。シャンパートだけはいないわけではありませんが。
レブロンの代役がいないだけならともかく、他もいないというのはスタミナやバランスの問題だけでなく、パターンが固定化されてしまいます。
ちなみにこのユニットはSF周りの選手で構成するオールラウンダーのポジションレスが可能な流行形です。アーヴィングの乱、そしてレブロンの代役が欲しいというチーム事情が生み出したのは流行形という運の良さ。ガード陣の欠場も関係しているし。
選手層厚いから良い組み合わせ探して行ったら代役がいないユニットになったわけです。
そんなわけで注目は2点。
このユニットが本当に機能しているのか?
ベンチメンバーでどんな構成にするのか?
ローズが戻って即解体なんて可能性も十分にあります。



勝てないマブス
対するは普通に勝ててないマブス。
今季は弱いと思われていたチームの躍進が目立ちますが、その仕組みはやはり戦術にあるわけです。弱いかもしれないけど、その分だけ戦術も特殊な方向に動かします。
マブスはPGが組み立てる正統派で、各ポジションにバランスよく選手を揃えています。それはある意味時代遅れですが。
例外がそのPGです。期待のデニス・スミスjrにバレア、ファレル、カリー弟。
個人的にはこのパターンも流行る気がするので、何か新しい要素を生み出せるかに注目しています。



◯オフェンスレーティング 99.9(26位)
◯3P 37.0(9位)
◯ペイント内得点 34.5(30位)
マブスはオフェンス力ありませんが、3Pは武器になります。弱いのはインサイド。ペイント内で得点出来ません。アダムス並の年俸を要求したというセンターもいますが何を言っているのやら。
◯10フィート以内のアテンプト
25.3(30位) 65.0%(11位)
圧倒的に攻めることが出来ていないインサイド。しかし、確率は悪くありません。
アウトサイドが決まるマブスなので、勝負はどれだけインサイドに飛び込めるかになります。そしてキャブスのインサイドは弱いです。カペラにズタズタにされたばかり。



ディフェンスの戦い
オフェンスには開きがある両者。でも守れない事は同じです。
◯ディフェンスレーティング
キャブス 113.0(30位)
マブス 109.1(28位)
マブスがインサイドを攻め込めればチャンスがありそうです。特にスミスの速さはシュルーダーに切り裂かれたホークス戦を思い出しそう。
狙うはハイスコアゲームです。それはマブスの特徴ではありませんが、相手の弱点を狙うわけです。
普通にやれば普通にキャブスが圧勝します。だから対策するであろうマブス。



ダブルPGシステム
ノビツキーのミドルジャンパーで試合が始まります。スターターに置くためにセンターになっているノビツキー。相手がラブなので上から打ちやすそう。
ガードはスミスjrとヨギ・ファレル。この2人が初めから躍動します。一応スミスjrがPGだけど、どちらも運んで組み立てるので起点が各オフェンスで変更されていきます。個人的にダブルPGが流行ると思っているのはここで、PGがゲームメイクするとは限らなくなった中で、それでもPGスタートでオフェンスするチームは2人にする事で多様性を持たせる方法を採用しそうだからです。言うまでもなくロケッツ次第。
前提にあるのは得点力が高いPGである事。スミスjrのドライブに、2人の3Pが決まる事でマブスが先手をとります。



ネオレブロンシステム
キャブスはシャンパートとJRスミスのスターター。やるのは以前からあるレブロンスタートから始まるオフェンス。但し、この2人も積極的に攻めます。早いタイミングで打っていくけど、なかなかシュートが決まりません。
マブスがリードを奪うとタイムアウトで使い始めるのはレブロンのローポスト。ネオレブロンシステム。するとシュートが入り始めるキャブス。別にレブロン触ってないし。
仮にシュートが決まったのは偶然だとして、システム的な違いは大きく2つ。
1つは例えばウェイド、JRスミス、レブロンのトライアングルになった時、ウェイドはポストのレブロンを狙いますがディフェンスも警戒しています。そこで警戒の薄いJRスミスに簡単にパスが通り3P。
これがレブロンPGだとサイドへの簡単なパスでJRスミスのマークが外れる事はありません。
2つ目は時折ポストアップするジェフ・グリーン。レブロンスタートの時にこれをやるとドライブスペースがなくなるので邪魔でした。しかし、グリーンがポストに立てばレブロンが外に出れば済んでしまうだけです。
つまり相手のディフェンスに合わせた対応が出来ます。
レブロンの特殊性から超効率的だったレブロンシステムだけど、ネオシステムだとそこに多様性がもたらされています。
キャブスが6点リードで1Qが終わります



止めたマシューズ
そこに立ちはだかったのは伏兵マシューズ。まさかのレブロンのポストアタックを止めまくります。ロケッツはアリーザ&カペラで止めていたけど、マシューズはレブロンにターンを許さず1人で止めます。
マシューズに詳しくない事もありますが、ポストディフェンスをするシーンを観る機会も限られるので知らなかったよ。この試合だけでオールディフェンスチームに投票したくなる活躍。
レブロンがかなり嫌がった事もあり、ポストアップが減りました。勢いを削がれて行くキャブス。再びシュートが決まらなくなります。



足りないのはアスリート能力
ベンチメンバーで得点が止まっていたマブスにスミスjrとファレルが戻ってくると流れが変わります。
この2人がいると何が違うかと言うとスピード。おそらく他の選手達とやっている事はそんなに変わらないけど、両サイドからスピード感のあるプレーが出るのでディフェンスが振り回されます。ベテランのバレアの時間は停滞しまくるので単純なスピードの問題。
それは2人が速いから止められなくなるわけではなくで、ヘルプも含めてディフェンスが広い範囲を動かされるので周囲も得点し易くなる構図です。
そしてこぼれ球もマブスに出始めます。これも運じゃなくて、単に2人がカバーする範囲が広いから。
ディフェンスでもウイングからラブがドライブでフリーのレイアップに行ったシーンでは逆サイドからスミスjrがヘルプで飛んできてブロックします。広くスペーシングされているキャブスオフェンスなのでヘルプは簡単ではないけど、スピードで間に合ってしまう。



2人がいないとダメなマブスは単純に運動能力不足です。それはタレント不足といえばそれまでだけど、控えにも運動能力高い選手を連れてくれば、もっと何とでもなる気がします。
「自分がHCの限りノビツキーは外さない」
そう言い切ったカーライルの漢気は買うけど、明らかに足を引っ張るノビツキー。
でも、だったらもう少し周りの選手考えれば良いのに。もうバレアでは厳しいよ。



後半のスタートでも決めていくノビツキー。起こっているのはスミスjrとファレルが動かす事で生まれるシュートシーン。周りが助ける事で活かされるノビツキーの特殊能力。
同じく少しだけ有利な状況でボールを貰えるハリソン・バーンズ。
キャブスはレブロンがマシューズを嫌がります。もうアウトサイドでも嫌がる。でも代わりにラブが躍動します。ポストアップからの得点を繰り返せば3Pも打ちます。単なるシューターにされていた近年とは少し違います。
ミスマッチになった瞬間にクラウダーもポストアップしていたし、やっぱり前よりも多様性を手に入れた感じのキャブス。



しかし、まぁ両チームとも守れない。
マブスは個人が守れない。いや、いくら何でもラブにそんなにやられるか?
マシューズ以外は各所で個人が負けてしまいます。1番強いレブロン抑えられるのに。
しっかり守ってシュートが落ちたのにリバウンド争いで後ろからラブにプットバックダンクされるとか厳しいです。
キャブスはチームで守れない。やけに多いミドルレンジでのキャッチ&シュート。スクリーンも使われていないのに、よくわからないスイッチとローテーション。
キャブスのディフェンスが何をしているのかよく理解出来なかったので宿題です。多分、アウトサイドを許したくないのだけど、それをする意味があったのかがわかりまさん。
そんな両者がぶつかれば、より堅実なシュートを選択している方が有利になります。あらゆる得点を取りまくるラブの活躍でキャブスがリードを広げます。3Qだけで15点7リバウンド2アシスト。



ちょっとキャブスが勝てない理由
3Q終わり頃、足が止まるキャブス。動けなくなったわけではなくて、ラブが好調でポストでボールを持ったら誰も動かなくなりました。いやいや、ついさっきまではもう少し動いていたのに。
10点くらいリードを奪うとこのパターンを頻繁にやっている気がしてきました。レブロンまかせに近いやつ。



コーバー
4Qになると急に活かされ始めるコーバー。よくわからん。コーバーは自分をよく知っているから、とにかくスクリーンを利用してシュートチャンスを作ります。チャンスさえ作ればディフェンスを広げられるから十分。
スペーシングするにはうってつけの選手ですが、JRスミスより出番が与えられないのはよくわかりません。コーバー使うならばPGにカルデロン使ってスクリーンを待つ時間を設けるべきな気もします。
4Qだけで13点をとったコーバー。他のQは無得点。レブロンのポストアップにカットプレー合わせもみせました。



超スモールラインナップ
追い込まれたマブスだけど、走れないノビツキーが1人だけ遅れてフロントコートに入ってくるのに合わせてスミスjrがドライブする振りしてノビツキーのロング3Pを作り出します。
さらにマシューズが3Pで続いて一気にビハインドをなくします。
コーバーが3Pを返した後、マブスが奇策にでます。超スモールラインナップ
スミスjr
ファレル
バレア
マシューズ
バーンズ
調べてみると3人のガード同時起用は合計で今季7.2分だけあり18点を奪い7.0点のリードをもたらしているみたいです。
このメンバーで急加速して走るマブス。スピードを活かしたレイアップの後、再びマシューズの3Pで1点差まで詰め寄ります。



キャブスが決めればスミスjrが返す展開が続きますが、マブスの誤算はバーンズが外した事。そもそもプレーメイカーとしてはイマイチなバーンズがフィニッシュしてくれないと厳しくなるマブス。
チームは苦しいけど最後にフィニッシュしてくれたコーバーと、早い展開でチャンスを生み出すけど外したバーンズで差がつきました。
マブスは最後までファールゲームで食い下がりましたが、イージーシュートが外れてしまい万策つきました。



ダブルPGシステム
◯スミスjr
21点 7アシスト
◯ヨギ・ファレル
7点 3アシスト
スミスjrの可能性を大いに感じれた試合でした。そしてフィニッシュ力があるので2人のPGの方がお互いが活きる感じです。カリー弟が戻ってきた時も楽しみです。
アシストは少なかったし、シュートを落としたファレルだけど、簡単なプレーをシュートにまで結びつける巧さもありました。
既に戦術シモンズになっているシクサーズを除けば、最も良質な経験を積める環境にいるスミスjr。勝負所で自分で行けるのも良ければ、周囲を使う事も求められます。突貫小僧ではありませんでした。勝っていれば更に注目度を上げられたでしょう。



一方で前述の通り、身体能力不足のマブス。まぁ別にそれ自体が悪いわけではありません。しかし、こんなスミスjrもいるのだからベンチメンバーくらいはエネルギーある若手を置いて育てるくらいの気持ちも必要なのでは。出てくる選手達はみんなプレーエリアが限られた仕事人みたいな感じです。
気がついたらスミスjrとファレルしかいなくなってたなんて事にならないように。



マシューズとレブロン
◯ウィシュリー・マシューズ
41分 12点 6アシスト 2スティール
◯レブロン・ジェームズ
42分 19点 FG6/14
4アシスト 6ターンオーバー
マブスが勝っていればMOMだったマシューズ。シーズン平均34.5分出場ですが、この試合ではレブロンに合わせて長時間出続けました。レフリーの偏ったコールでファールトラブルにならなければ、レブロンの得点は更に落ちたはずです。
レブロンの殆どのターンオーバーがマシューズに引き出されたもので、更にシュートもまともに打たせませんでした。
ロケッツのアリーザはレブロンを止めましたが、それは良くて3回に1回くらい止めてしまうフットワークとハンドチェックのディフェンスでしたが、マシューズはレブロンの全てを止めてしまいました。
イーストのチームは優勝するためにマシューズを狙いましょう。



レブロンがこんなに抑えられたのを観たのはいつかと考えましたが、記憶にあったのはポール・ジョージ。
とにかく勝負を避けまくっていたレブロンという記憶です。しかし、その試合でレブロンは活躍しました。何があったかというと、スクリーンで何度も繰り返しスイッチさせるシーンです。
ネオレブロンシステムと名付けたレブロンを活かしながら、周囲も積極的に仕掛けられるシステムはこれまでになかった多様性をもたらしましたが、「レブロンを個人で守れる選手」がいると大きく話が変わってきます。
実はリーグにそんな選手は何人かいます。マシューズは知りませんでしたが。
しかし、大多数の選手は手も足も出ないので、誰でも良いからスイッチさせれば機能していたのが、旧システムです。ポール・ジョージは守れたけど、ペイサーズとしては守れませんでした。この試合ではマシューズが守れたのでマブスとしても守れました。



キャブスの課題
レブロンがマシューズを嫌がった事で空いたスペースを利用しまくったラブ
◯ケビン・ラブ
29点 FG11/19
15リバウンド 3アシスト
グリーンやクラウダーもポストを利用するので多様性があります。プレビュー通り、この3人がポイントでした。コーバーの絡ませ方は課題ですが、武器として相性は良いはずです。連携を考えれば解決しそう。
ディフェンスとPGというか起点としてのシャンパートも良かったです。JRスミスはオフェンスは良いけどPGのディフェンスするのは厳しいかな、というだけです。



要はノーPGシステムでボールを回し、それぞれが柔軟にスペースを利用する流れが出来てきています。ただし、おそらく偶然に見つかったシステムなので、どんな方向に進化させようとしているのかはわかりませんでした。
このシステムならばレブロンを長時間出場させる必要もないのですが、毎試合のように40分以上出場させている事が偶然である事を示しています。ただ、昨季よりも負担はかなり少ないです。
◯ドゥェイン・ウェイド
3点 3アシスト 5ターンオーバー
全く必要なかったのがウェイド。
要はこのシステムに合いません。ボールを持ちすぎるし、スペースが空いているのにミドルレンジを選択します。
おそらくウェイドは「セカンドユニットは自分が引っ張る」という意識があります。だから積極的に仕掛けるし、アシストもしてくれます。しかし、残念ながら全く抜けません。それはピック&ロールをあまりしてくれないシステム事情もあります。
ウェイドにこのプレーをさせている事も、システムが偶然の産物な気がしてくる要因です。PGカルデロンと一緒にだしてウイングに徹すればまた違うでしょう。
SF周りのオールラウンダーで戦う前提でチーム構成していたらジェファーソン放出はなかったはず。



かなり面白い試合でした。予想通りキャブスは良い感じだけど、まだまだ穴だらけのシステムといった感じ。2Pの得点率が上がったのはレブロン頼みではなくなり、他の選手が自分から仕掛ける事が可能になったからです。おそらくパス数も増えているはず。
ディフェンスはよく分からなかったです。選手達に守る意識は高いけど約束事不足なのだろうと予想します。見方を変えればセンターがいないオフェンスは構築できても、センターがいないディフェンスは偶発的には出来ないという事。それは昨季から同じなので、下手すると一向に改善しないかもしれません。
アーヴィングの不在は何も関係ないですよ。



マブスも非常に良かったですが、こちらはPG2人の成長は促されるとしても、それ以上何を改善するというのか?
本当に限界だと思うから、オールスターまでに見切りをつけて編成し直すしかなさそう。昨季はデロン・ウイリアムスとボーガットをカットしてキャブスを助けたマブス。今季も何かしらやらかしそうです。



ネッツ vs ジャズ
◯デリック・フェイバーズ
24点 FG9/16 12リバウンド
やっぱりゴベールよりフェイバーズな気がするのですが。
来夏FAのフェイバーズに高額オファーをしたくなったネッツとなりそう。スクリナーにど真ん中ぶち抜かせるならばフェイバーズだよなぁ。

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