ニック・ナースへのHC交代はロスターの柔軟性を生み出し、そしてエース・レナードはアヌノビーの役割を増加させる。ではアヌノビーはどう変わるのか。
〇前回のまとめ
ニック・ナースはラインナップの多様性を好む
オフボールムーブとスペーシングとパッシング
キャッチ&シュートと直線的なドライブ増
レナードが主役ならば同じ役割をアヌノビーにも求めるはず
結局の所は最後の部分が重要です。レナードと比較されていたアヌノビーは、まさにそのレナードを生かすためのチームにいるわけなので、マネ出来る部分がかなり多くなります。それは高い身体能力と意外と高かったシュート力をブラッシュアップさせていくことが期待されるのでした。
ちなみに管理人は単純な「同じチームになったから成長できる」という構図には反対派です。優勝を狙えるチームでしっかりとしたシステムとバスケットに対する理解を深めることで成長するのが第1であり、スーパースターが一緒だから成長できるとは限りません。他にもプレータイムが減るなら自分が主役のチームにいた方が成長できた場合など、各種ケースが存在します。
今回のアヌノビーのケースは、
「チームとしての生かし方が同じ」
「レナードがボールを持つ時間は短い」
という特徴も関係してきます。両ウイングで同じようなプレー求められそうというのが、マネをしやすく成長を促してくれるというわけです。まぁどちらにしてもアヌノビーが成長してプレータイムを確保しなければいけないことは変わらない。
◉アヌノビーの課題
アヌノビーがマネするのが上手ければ劇的に成長するし、下手ならコーナーで待つことになるでしょう。まずは1年目の成績の確認です。
20.0分 5.9点
FG47.1% 3P37.1%
シュートの成功率としては申し分ないものの、アテンプトがかなり少なく、得点力には不満があります。プレータイムが短いとはいえ8点~10点くらいは取りたかったところ。その理由はプレーメイカーからのパス待ちが基本だった点にあります。
コーナー3P 107本 44%
それ以外の3P 88本 28%
3Pは基本的にコーナー待ちであり、キャッチ&シュートが93%を占めます。あとはワンドリでかわして打つくらい。ほぼほぼプレーメイカーからのアシスト待ちだったのがアヌノビー。プレーオフのキャブス戦では大活躍だったので、もっと出来そうなのですが、今のところアヌノビーは「待つ男」です。
新たなシステムではおそらくコーナーで待つのは他の選手がドライブした後の2次的な動きで、まずはボールに向かっていくミートの動きが必要になるはず。ハンドラーの崩しから始まらないので、
スペーシングよりもオフボールムーブが重要
です。むしろグリーンやCJマイルズをコーナーで待たせるくらい。エクストラパスでアヌノビーのアシストは増えるかもしれません。
アヌノビーの3Pはそこそこ安定しているので、同じように待つだけなら確率は向上していくでしょうが、ミートから打つような「キャッチ&シュートのパターンを増やす」ことは課題になり、確率は落ちるかもしれません。それはこれまでになかった新たなパターンの導入による変化です。
ダンカン引退後のレナードはプルアップの3Pを増やし、ちょっと確率が落ちました。アヌノビーにはそんなプルアップを増やすことは求められないと思います。まずはコーナー以外でキャッチ&シュートをしっかり決める事です。レナードのマネとかではなく、普通のウイング仕事なので超えなければいけない課題。
37%の確率は向上しなくても、中身としてアテンプトが増え、コーナー以外も37%であれば立派な成長です。シーズンが終わったときは単なる確率ではなく、中身を分解してみましょう。
〇2Pの分類
ノーチャージエリア内 131本 67%
ペイントエリア内 9本 11%
ミドル 11本 18%
2Pをみていくと驚くほどに現代的でほぼゴール下まで詰めて打っており、しかも確率が非常に高い。ドライブしきってしまえば高確率で決めてくれます。というかイージーシュートが多い。さすがにこのスタッツは偏りすぎで、「ドライブしきらないとシュートに繋ぐパターンがない」ということです。
前回の通り、レナードもまたステップワークのパターンが豊富なわけではありませんが、しっかりとミドルを打つスキルがあります。アヌノビーの課題は「ショートレンジのシュートパターン」になりそうです。
レナードはミドルレンジの選択が多い選手ですが、ショートレンジ(ペイント内)で50%を超える高確率で決めています。しかし、多彩な技術と言うよりは、強くストップしてのジャンプシュートが殆どです。フェイダウェイを巧みに使いこなし高確率でシュートを決める力強さをマネしたい。
ちょっとアヌノビーがマネするにはハードルの高い課題になりそうです。
〇他の得点パターン
オフェンスリバウンド 0.6本
セカンドチャンス 0.7点
ファストブレイク 0.9点
アヌノビーが良かったところにオフェンスリバウンドの強さがありました。ビッグマン2人と同時起用されながら、コーナーから飛びこんで押し込む能力の高さはウイングとしてはトップクラスです。これらは時間換算するとレナードと大差ありません。唯一違うのは速攻での得点数。それは同時にディフェンス面の課題でもあります。
予想としてはビッグマンの人数が減るので、アヌノビーにはリバウンド面での貢献が求められます。これまで以上のオフェンスリバウンドと、殆ど取っていなかったディフェンスリバウンドへの参加意識を高めないと行けません。
そんなわけで次はディフェンス面の問題へ。
◉プレッシャーのレナードとコースを切るアヌノビー
レナードのディフェンス力については最早説明不要ですが、その特徴は腕の長さを生かしたスティール力にあります。
〇カワイ・レナード
身長6-7 体重230
ウイングスパン 7-3
〇OGアヌノビー
身長6-8 体重235
ウイングスパン 7-2
アヌノビーもまたウイングスパンが長いタイプで、ドラフト前は7-6で紹介されていたりとよくわかりません。いずれにしても似たような体格の2人です。しかし、アヌノビーは0.7スティール、0.2ブロックとそのディフェンス力を十分に活かしているとは言いがたいものがあります。
これにはチーム事情も関係してきます。
1つにはラプターズはテイクチャージが0.84(2位)と多く、コースを塞いでいくのを得意とするシステムを組みます。一方でスティール7.6(18位)はディフェンスの良いチームとしては少ない数字です。ハードワークするチームですが、ハイプレッシャーで困らせるのは得意ではなく、コースを塞ぐ。故に強力なペネトレイトをしてくる選手に対し、弱みをみせていました。
アヌノビーの役割はエースを止める事ですが、あまり目立ちません。その理由にラプターズは常にツーガードで守るためハンドラーのディフェンスは役割外だったことも挙げられます。レナードが常にスパーズの切り札として様々な選手とマッチアップしていたことに比べると、アヌノビーはディフェンス面でも「ボールに絡むディフェンス」が非常に少なかったのです。
シーズン中はレブロン、アンテトクンポ、デュラントなどを止めていますが、ボールを貰う機会の多いウイングが相手の時くらいしか、その良さが発揮されたとは言い難かったかもしれません。
ガード1枚に減らすユニットが増えることが予想される新シーズンは、当然レナードのディフェンス力を当てにするはずです。そしてやはり同じ役割がアヌノビーにも回ってくるはず。場合によってはオフェンス面の負担を考慮し、アヌノビーの方がより多くの場面でディフェンダーとして活躍することが求められるでしょう。
アヌノビーのディフェンスは長いウイングスパンを利用すると言うよりは、高い運動能力で最後までしっかりとマークし続け、シュートチェックに繋げていきます。ハーデンを止めたこの試合でも、少し距離を取っている代わりにステップバックされても、長い腕でチェックに出ていることが分かります。
フットワークを含め、2年目での向上が期待されますが、守り方そのものはラプターズっぽいやりかたに留まってしまいそうでした。
それに比べるとレナードの守り方は、その長い腕を利用して積極的にボールを奪いに行くハンドチェックが目立ちます。フットワークで守り切れる部分も含めて、もう少し距離を詰め、常にボールに手が届くことでプレッシャーをかけることに成功しているのです。
アヌノビーにとって、ウイングスパンの利用の仕方を目の前で学べるのは非常に良い機会になるはずです。
よりハンドラー達とのマッチアップが増えるであろう事
同じような体格ながらタイプの違う守り方をするレナードを常に間近で観察できる事
これらはアヌノビーの成長を促す重要なファクターになるでしょう。それは必ずしも新シーズンで上手く行くとは限らないリスキーな面もありますが、長い目で見れば自分のディフェンススキルを構築するのに大きな手助けになるはずです。
アヌノビーがレナードから学べること
「ボールを奪うに行くディフェンス」
この点に関しては間違いなく好影響があるはずです。
そしてレナードがディフェンスの後にリバウンドへの切り替えの早さを魅せていることも大切です。5本以上のディフェンスリバウンドを奪うレナードに比べ、アヌノビーは2本に満たない数字でした。オフェンスではインサイドでの強さも発揮しているので、この切り替えの早さを身につければリバウンド数もアップするはずです。
◉レナードとアヌノビーの出会い
さて、同じ事を繰り返す形になりますがまとめましょう。
〇元々、アヌノビーに求められていたこと
・3Pの確率アップ
・プレーメイクへの参加
・ディフェンスのレベルアップ
例のトレードが実現しなかったとしてもアヌノビーには個人として伸ばすべき部分が多くありました。ただそこにあったのは、プレーメイクへの参加を除き、現状の目線からのレベルアップでした。それがトレードにより、システム的な変化、ロスターの変化が加わって、アヌノビーへ求められる要素も変化しました。
〇システム変更で求められる成長
・オフボールムーブからキャッチ&シュートの3Pスキル
・ディフェンスのギャップを狙い直線的なリングへのアタック
・リバウンド力
・ハンドラー相手のディフェンス力
役割としてはなんら変化ないのですが、コーナー以外での3Pを積極的に打ちにいき、レナードの代役事にはドライブも積極的にしなければいけません。ビッグを減らしたユニットになるのでリバウンド力も求められます。その逆でガードが減ることから、ハンドラー相手のディフェンスも必要になります。
つまりシステム変更が行われたため、同じ役割であってもプレーそのものは大きく変化していきます。それがエースの代役なのだから、より多用でハードルの高いものになっていることは間違いありません。
そこにレナードとの出会いにより成長が加速されることが期待されます。
〇期待したい(マネしたい)レナード効果
・キャッチ後のシュートorドライブ選択判断の速さ
・ドライブからショートレンジのシュートパターン
・ウイングスパンを生かしたハンドチェックディフェンス
・ディフェンスリバウンドへの切り替えの速さ
アヌノビーはどこまでレナードから吸収し、自分のスキルに変えて試合で発揮出来るのか。1年目は限定された役割の中で高いパフォーマンスを発揮しましたが、2年目は高いパフォーマンスを多くの場面で発揮することが求められるのでした。
ラプターズの終盤のユニットでほぼ確定と言えそうなのは3人です。
ラウリー、レナード、イバカ(センターとして)
残りの2人の構成に柔軟性が高まったのが今のロスターと言うことになります。
・グリーン、CJマイルズをいれてシューターを増やす
・ヴァンフリートでラウリーをスコアラーにする
・シアカムで機動力インサイドを強くする
・バランチューナスでポストアタック
とれる選択肢が複数用意されているのが良い部分ですが、アヌノビーからすると全員がライバルと言うことになります。全ての役割をこなせるオールラウンダーだけど、各方面で後れを取っているとも言えるアヌノビー。
新シーズンはスターターではなく、レナードの代役としてベンチから出てくるかもしれませんが、終盤は併用されることで、より攻守に充実したユニットが組めるはずです。
高いディフェンス力と高確率のシュート、そこにドライブとリバウンド力が加われば、アヌノビーもまたアンタッチャブルな存在に駆け上がることが出来ます。それはラプターズが優勝するためには必要な成長です。
まだレナードの移籍が決まっていなかったとき、「デローザンとエース同士を交換する」というのを選択肢の1つとして上げましたが、前提条件が「アヌノビーはトレードに含まない」でした。その理由がこんな形なのでした。
— whynot! (@whynot_jp) July 19, 2018
OGアヌノビーはカワイ・レナードから何を学び取るのか
ラプターズの将来を大きく左右する「成長ポイント」になるでしょう。
ブログやTwitter更新を控えられてますね。お元気ですか。
この方とおっしゃってることが似てますね(正確にはこの人は訳してるから少し違うかhttps://ameblo.jp/blue-del11/entry-12395637191.html批判したいわけじゃないです、スミマセンm(_ _;)m
この方とおっしゃってることが似てますね。決して批判してるわけじゃないですm(_ _;)m