20171107 サンズ vs ネッツ

リーグで最もペースの早いチームと2番目のチームの試合です。今シーズン2回目の対戦で前はサンズが勝ちました。
◯ペース
ネッツ 109.3
サンズ 105.9
早い両チームといってもそこには大きな差があります。そしてこの数字はサンズには大きな意味があります。まずは前半のサンズから振り返ります。
なお、ナッシュvsキッドという名勝負を映像として挟み込まれていましたが、当時は7秒オフェンスとしてNBAに革命を起こしたダントーニサンズ。そのペースは今シーズンならば最下位だそうです。ダントーニがもたらしたものは偉大でした。



ブレッドソーのいないサンズ
開幕から大敗を喫し、ブレッドソーの乱が発生し、早々にHCがクビになったサンズ。最下位を独走すると思いきや、なんとそこから4勝3敗。
ブレッドソーがいた頃の試合を観た際、とにかく自分が突っ込む事しか頭にない。パスは自分が止められ時の苦しまぎれなので、味方はキャッチするのも一苦労。それは若くて全員を伸ばしたいチームには不向きだよ、と評しました。
そんなブレッドソー時代とは違いドライブよりも動いてパスを繋ぐことが意識されているサンズ。細かいポジションチェンジを繰り返しています。ハーフコートオフェンスをしっかりとするように。
◯ブレッドソー 3試合出場
オフェンス 85.1
ディフェンス 118.3
ペース 111.2
◯ブレッドソー後の7試合
オフェンス 105.8
ディフェンス 105.8
ペース 104.4
大敗自体をブレッドソーの責任に押し付ける事は出来ませんが、さすがにペースの落ち方は言い訳出来ません。ただし、レイカーズ戦がお互いに早すぎて大きく平均を上げています。
もう1つ感じたのは、しっかりとボールを繋ぎチャンスを伺うようになったサンズ。
◯ブレッドソーの3試合
パス本数 294
アシスト 15.3
◯ブレッドソー後の7試合
パス本数 283
アシスト 20.0
しかし、意外にもそんな事はなかった。ペースが落ちた事を考慮しても、実はそんなに変わらない。レイカーズ戦が酷かっただけかもしれません。
そんなわけで色々とデータに否定された感想でした。ブレッドソーの事は気にせずに感想を書くことに変更です。



誰を目立たせるのか
サンズといえばデバン・ブッカー。
シューター系ですが、キャッチ&シュートの割合は23%程度です。似たタイプはCJマカラム。
◯プルアップFG%
ブッカー 38.5%
マカラム 48.7%
トンプソン 40.9%
しかし、あまりプルアップが入らないブッカー。入らないというかマカラムが入り過ぎなだけですが、エースとして打たせるには不満です。
ちなみにクレイ・トンプソンはシュートの58%くらいがキャッチ&シュートです。オフボールの達人。
つまり本当はブッカーで推したいならば、スクリーンを多用しフリーにするシステムを使うべきなのですが、時間が経つにつれてスクリーンは減っていきました。そこまでは整備され切っていませんでした。
なお、前回の対戦ではブッカーにやられていたネッツなので密着マークをしています。そのためブッカーはハンドラーとして得点は出来てもシューターとしては輝けませんでした。



それでも1Qで11点を奪ったブッカー。そこまでは良いのですが、周囲の得点が伸びません。チームで19点。
ボールを回すし、シュートチャンスになりかけるものの決定打に欠けるサンズ。更にフリーで打てても外すなど散々な出来。
気になったのはドラガン・ベンダー。7フッターでシュートの上手い19歳は前回と違いスクリーンからポップしてフリーになるとちゃんとパスが来ました。ことごとく外しました。これが機能するだけで、サンズのオフェンスはかなり脅威なのですが、全くダメ。ポルジンギスは遠い。
もう1人はアレックス・レン。ウクライナからきた7フッターのインサイド専門センター。まぁよく走る。基本的に走っているだけでスキルもないし、破壊的な身体能力もありません。しかし、誰よりもゴール下に顔を出しているので前半だけで5つのオフェンスリバウンド。もう少しショートレンジから決められないと厳しいけれど、サンズのスタイルの中では貴重な能力だと思います。
それくらいしか見所のなかった前半のサンズ。FG35%で41点。ブッカーしかいない状態だけど、そのブッカーは密着マークされていました。



気まぐれなネッツ
対象的に素晴らしいチームオフェンスを披露するネッツ。何故、これで負け越しているのか疑問に感じたくらいです。
しかし、少しずつ明らかになってきたその理由。まず単純にシュートが入らない事からスタートします。
特に目立つのはエーシー。この試合0/8しかも7本が3P。エーシーはそもそも積極的には打ちません。美しいボールムーブからフリーで打って外します。ディフェンスからするとローテーションがキツくなっても、最後はエーシーを空けておけばオーケーになっています。
さらに2Qはペイント内が1/10と酷いことに。いくら良いプレーをしてもインサイドを潰されると厳しくなります。
そんなシュートが続くと少しずつ疎かになるチームオフェンス。最大15点まで開いた事もあり、気の緩みもあって個人プレーが出てきます。ラッセルの軽いプレーをみてベンチに下げさせるなどHCは怒るけど伝わらなかったりして追いつかれました。



この試合で欠場のトレバー・ブッカーはこれらの問題の中で重要な役割を果たしていました。エーシーのポジションを担当し、ハンドラーへのスクリーン、ミドルラインの攻略、インサイドでの得点、コーナーへのパス。どれもブッカーの仕事で代役不足だったので、その影響は非常に大きかったです。
感覚的には3割くらいのプレーを個人プレーしていたラッセル。前半で4ターンオーバーでした。
ラッセル代役として活躍しているディンウィディーはゲームトータルで7アシスト0ターンオーバーは素晴らしいのですが、シュートは1/8と酷かったです。この選手が伸びるとツーガードも増えるでしょう。
そんなネッツなので、良い事は間違いないのですが、気まぐれチームオフェンスになってしまいます。



わちゃわちゃする両者
3Qになると退屈度が加速します。お互いにミスを繋いでくれるので展開が早くなります。シュートが決まらないだけとも言います。
ちなみにこの試合は両チーム合わせて59のファールをしましたが、行ったり来たりするのにレフリーもついていけてない感じが。レフリーも新時代になる必要があるかも。
後半のサンズはTJウォーレンが16点を奪います。積極的にリングにアタックする意思は良かったでが、基本的にシュートは下手なので中心にはし難い。
ネッツはゼラー。モズコフよりも接触を嫌がらないので、インサイドのフィニッシュには向いています。確率は高くないです。トレバー・ブッカーがいないのでモズコフよりも適任でした。ここら辺は難しいチームバランス。



ディアンジェロ・ラッセルのお時間
5点差でスタートした4Q。接戦ですね。という雰囲気を嘲笑うかのように働き出したラッセル。
「ディンウィディーの方が良いんじゃない?」と思い始めた残り9分で登場し、13点2アシスト。FG4/4のパーフェクトでした。あぁフリースローだけは外したか。
ネッツをみるのは3試合目ですが、全試合でこのラッセルタイムがありました。負けたのはゴードンにやられたマジック戦だけ。
素晴らしいのは個人技のようで周囲の連携を使って攻めているところ。それまでのパスが活きています。



サンズはブッカーで攻めたいはずなのに、ボールが渡りません。代わりにマイク・ジェームスが決めましたが、スクリーンを使ってパスが渡る場面で出せなかったジェームス。
ブレッドソーよりもオフェンスを理解していてピックプレーなんかも上手いですが、どうもアシスト能力が低い模様。
結局サンズは何が変わったのかさっぱりわからない試合でした。アレックス・レンが良くなったくらいで、たまたまシュートが決まるかどうかの勝負に見えてしまいました。
やはりブッカーを活かす、という題目不足です。ただ、ブッカーのようなシューターがベンチにいないのでシステムとして組みにくいのかもしれません。
同時にシューターを活かすためのパサーもいません。そんなわけでブレッドソーの対価はドラフト指名権&パスファーストのガードかシューターがお勧め。ホーネッツからモンクを獲得して第2のスプラッシュブラザーズ目指すとか胸熱ですがムリでしょうね。



ネッツは相変わらず素晴らしいけど、タレント不足な感じが出ていました。SFとPFをこなす万能系が足りません。キャロルは攻守に仕事はするけど、もう1人ここにエースが欲しい。再来年のドラフト待ちなのか!?
それとゲームの中でチームオフェンスの継続性が足りないのは、シーズンに入ってパターンの徹底が不足し始めた気もします。チームとしてラッセルとクラブにコーナーで打たせるパターンが非常に面白いのですが、そんな場面が減ったのはハンドラーの判断に任せる空気が出てきたから。負け始めの雰囲気です。
開幕から3試合は47%を超えていたFG%が最近は40%で安定してしまっています。これはシュート力ではなくてオフェンスパターンの問題と思われるくらいの落ち方なので、もう一度徹底した方が良さそうです。

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