20171106 ロケッツ vs ジャズ

ハーデンってどう思います?
「PGはチームを動かす存在だから、アシストが多くてもミスはしてはいけない。パスファーストでフリーになったら確実なシュートを決めるのが良いPGだ」
という日本に根付くPG像を重視するタイプからすると、ハーデンってどう思われるのでしょうか?
26.8点、FG42.7%、3P36.8%
シュート自体は上手いけど、割と外しているよね。PGってもっと確実性を重要視するべきじゃないかな?成功率考えたら、もっとボールを回すべき。
9.4アシスト、4.9ターンオーバー
いくらアシストが多くてもターンオーバーが酷すぎる。PGとしては失格。
アシスト/ターンオーバー率こそPGとしては最も重要な指標。



そんな感じでアシスト/ターンオーバー率が優秀なクリス・ポールがNo1PGだ!
というのであれば、NO2は誰?という疑問が出て来ますが、昨季はリッキー・ルビオです。アシストマシーンとしてパスを届けながら、ミスもしない優秀なガードです。
そんなルビオが移籍したのはチームプレーマックスのジャズ。なるほど、ゴベールやフェイバーズがいてシューターがいるチームだからルビオは活きそうです。
しかし、シーズンが始まってみると驚きの数字を出してきました。
◯ルビオの昨季と今季
得点 11.1 → 17.0
FG 40.2% → 41.7%
3P 30.6% → 34.0%
得点にシフトしているルビオ。3Pは確率が改善しただけでなくアテンプトが2倍になり、チーム設計に組み込まれたシュートになっています。
アシスト 9.1 → 6.1
ターンオーバー 2.6 → 4.3
驚くほどに減ったアシストと増えたターンオーバー。アシスト/ターンオーバー率はハーデンを下回ります。
遂には1日のブレイザーズ戦では30点1アシストというルビオとしては考えられないスタッツを残しました。
ルビオは進化しました。それはクリス・ポール寄りからハーデン寄りへの進化です。



ゴベールvsカペラ
ゴベール 14点 65% 10.4リバウンド
カペラ 13.2点 69% 10.9リバウンド
ブロックはゴベールが1.4多いけどターンオーバーも1.3多い。
高さではゴベールで、故に存在感もゴベールが上なのですが、それはゴール下を点で見た時の話で、バスケはフルコートだと考えたらカペラはもっと多くの場面に顔を出し、走力とアジリティで勝負するようなセンターです。
だからここの勝負はチームが機能しているかを明確に示すポイントです。
コートをワイドに早く使うならロケッツ。
ハーフコートでじっくりとした展開ならジャズ。



この試合の注目点はそんな従来の構図に加えて、新しい変化をルビオがどうもたらすのかです。本当は早い展開こそルビオが生きる道。早くても遅くてもルビオが輝いてしまえば、ジャズが有利になります。何もなければロケッツが有利。
なお、昨季はロースコアでロケッツ、ハイスコアでジャズとスタイルと逆の結果になっています。



数プレーでよくわかる試合
カペラのゴール下がゴベールのプレッシャーで外れるところから試合が始まります。多分、ロケッツディフェンスはジャズオフェンスが嫌いです。
ロケッツは基本的にオフェンスで打ち勝つスタイルなので、ディフェンスは確率を落とさせれば十分。個人のディフェンス力もあるのでヘルプを過信しません。
ジャズは個人の突破を信用し過ぎないオフェンスなので、フリーを作るために何度でもドライブとパスを繰り返す形。マークのいるペイント内よりもフリーのアウトサイドを選びます。
ロケッツがちゃんと守って追い込んだ所で「そこはもう打たせても良いかな」みたいなシーンになってもパスを振ってより条件の良いシュートを打たせます。
追い込んだから最後まで止めに行くディフェンスなら、そこからパスをされても追いかけられるけど「打てるのに打たないのかよ」みたいな判断されると嫌な感じ。
だからエクストラパスをされるとあっさり決めて行くジャズ。慣れたオフェンスを快適に出来ます。



しかし、上手くいかない部分も。それはゴベール関連。
ゴベールとハーデンみたいなミスマッチが頻繁に出来ますが、ローポストアタックなんかないので、そこにボールが渡りません。では、同時に出来るカペラとのスピードのミスマッチで勝負するのですが、カペラはそんな簡単に負けません。
そしてトランジションでは度々ゴベールを置き去りにします。そこにパスを通したいロケッツなのだけど、イングルスやフェイバーズの守り方が上手くて簡単には通せない。
しかし、フェイバーズがカペラを捕まえたため遅れてきたゴベールはアンダーソンをマークするのだけど、ピックアップ遅すぎて簡単に3P打たれます。
ロケッツオフェンスは基本この繰り返し。トランジションしてそこかしこでミスマッチ作られて、それを超高確率で決めまくったロケッツ。ロケッツというかハーデン。
ハーデンの22点、4アシストで39点を奪ったロケッツ。大量リードです。



甘いジャズのベンチと修行モード?のロケッツ
セカンドユニットになるとドノバン・ミッチェルやバーグはロケッツディフェンスの狙いにハマります。つまり打てる所で打ってしまう。ミッチェルは3Pを連続で決めて得点したので点差にはならなかったものの、バーグはドライブからのショットを外してしまい、ロケッツの流れを止められませんでした。
ただし、ロケッツもゴードンの判断が悪かった事と、またも修行モードにしているのか、ハーデンとアリーザ以外の確率が悪いので得点が伸びません。
スターターの時間は普通(というかハーデン無双)なのですが、ベンチが増えるとコーナー方面への落としが増えます。目立つのはバーアムーテのドライブなので課題として求められています。まぁドライブしたらオフェンスファールとられて、積極的に打ったらシュートは外れました。
なんでこんな修行をするのかは、皮肉にも直後に調子が良過ぎたハーデンをジャズが密着してきて分かります。ハーデンに密着された場合は、それでもハーデンを使うケースと実質4対4で攻めるケースを使い分けられます。
この4対4はゴードンとアリーザが両方いないとペネトレイトの迫力不足。ディフェンスがトップ側に寄るのでエンドライン側に広大なスペースがあるけど、そこを使えないとなんの意味もありません。多分そんな事も含めての修行モード。
ダントーニはバーアムーテを買っているみたいなので、おそらくシーズンを通して試されそう。



ハーデンの差だけ
67ー49で終わった前半。ロケッツが圧倒しているようでハーデンとゴードンの3P9/10なのでこれが4割だったら3点差です。大した点差ではありません。
スターターに戻ると的確にエクストラパスを出していくジャズ。そこはフリーになるので確率が高い。上手いのはイングルス。誰がどう動くのか分かりきっているプレーは、凄いことは何1つしていないようで、マネ出来ない。
多分、このままやれば追いつくとスナイダーHCは考えています。だからハーデンへのマークを強くするくらいしか対策をしません。
そしてハーデンが良いからこそ、ウイングからのドライブを足そうとするダントーニの発想もよくわかります。後半にそれを加えられたら点差は縮まりません。バーアムーテはロッカーに戻ってしまったけど。



カペラvsゴベール再び
3Q開始直後は予定通り点差を詰めたジャズ。別に特別な事は何もなくて普通の攻防です。シュートが入る時間もあれば、入らない時間もあるだけ。
イングルスがスクリーンからコーナーでボールを持つとスイッチでローポストにゴベールvsハーデンになります。完璧にポジションをとるゴベールだけど、イングルスはパスはしないで自分のドライブを優先して決めました。そこのゴベールを信頼してないし、絶対ヘルプがくるでしょ。
ジャズは基本的にドライブからの合わせ、それも出来ればウィークサイドドライブからセンターラインを飛び込むゴベールにアシストします。お膳立てして、最後は上のパスでゴベールへ。
対してハーデンはカペラが空いたと感じたら、またはリングを向いた状態でキャッチ出来ると感じたら受け手の事なんて何も考えないような無慈悲なパスを出します。それをキャッチしてしまうカペラ。そもそも反応しない事もあったけど。
この辺がゴベールとカペラの差です。アジリティとキャッチ能力を信用されているカペラに対してフィニッシュ専門のゴベール。1人でセカンドチャンスを生み出すゴベールはスゴイけど、そこまでのプレーはカペラが上です。
あとはダンクするだけの場面で少しターンに戸惑ってからダンクに行ったゴベールを後ろからブロックしたり、キャッチミスしたけどゴベールの背中越しにボールを拾い直してゴール下を決める場面はこの試合のポイントでカペラが上回った感じ。
インサイドでも上回ったので止まらないロケッツ。
なお、カペラよりもネネの方がシュートも上手く、パスの起点にもなれて、よく走り非常に気がきくのですが、アジリティとそれによるディフェンス力の差でカペラの方が遥かに信頼されています。
ネネがスティールしてワンマン速攻行ったシーンはケガしないか心配してしまった。



さすがに決まり過ぎ
攻守にゴベールを困らせる事に成功した事はジャズの勢いを削ぎました。ゴベールは前半の終わりにテクニカルをコールされましたが、個人でイラついていた感じが出ていました。
ジャズに流れが生まれないので、ロケッツも止まりませんでした。
◯ロケッツ3P
チーム 23/39
ハーデン 7/8
ゴードン 6/11
◯ハーデン
FG 19/25
56点、13アシスト
さすがに決まり過ぎたハーデンにお手上げだったジャズ。前半の早い時点でハーデン対策には取り組んでいたので、スナイダーHCはやるべき事は把握していたけど、どうしようもなかった形です。
最後は3Pを狙おうとするけど、ジャズに読まれ過ぎて60点には届かずお休みになりました。



ジャズを振り返る。
110点をとれたジャズなので、点差を気にするほどの内容ではありません。問題だったのはディフェンスだけで、それも半分はハーデンが当たり過ぎていただけ。
もう半分は何かというとゴベール。カペラがガードへのディフェンスもある程度こなせるのに対して厳しいゴベールと控えのウドー。
昨季はスモールラインナップで優位性を生み出していたジャズなので、ロケッツに合わせる事も出来たはずですが、あまりやりませんでした。
ディフェンスのチームなのに、スピードのミスマッチだけで振り切られてしまうのは厳しいです。
一方で期待値が高いベンチメンバー。特にミッチェルはアリーザを振り切ってのレイアップは素晴らしかったし、アウトサイドも決まりました。ムリなシュートも打たないので、ジャズという良いチームで成長する雰囲気が漂っています。
ルビオが得点を増やした感じはよくわかったけど、アシスト出来なくなったのは何故だろうか?
ルビオ自身は向上しているのに、ルビオである必要性が感じ難くなっているのはネガティヴだと感じた試合でした。



大差がついた試合
ハーデン無双状態でしたが、4Qを除けば何回ピック&ロールしたかな?
やっぱり少し修行中というか修行の成果を出そうとしていた雰囲気。点差が離れ過ぎたのとハーデンが良過ぎたから、少しボヤけてしまいました。
選んだ試合が大差になるケースが多い気がします。後半の感想が短い。



ウィザーズvsラプターズ
ウォール欠場でもちゃんと出来るウィザーズは予想された通り。ボールを長く持ちFG%が低いウォールがいない事で、起点が早く移り変わるので守り難そうになっていました。
ウォールの存在がパターンを固定化させている感じなので、むしろウォールに学ばせたい試合。
勝敗自体はラプターズがよくわからなかっただけ。コールにイラつき過ぎたラウリーがやらかしたのか、若いレフリーが冷静ではなかったのか?
何れにしても簡単にアシスト数を減らしてしまっているので、真剣度が高まるにつれ、新スタイルを忘れ始めているよ。それではプレーオフは勝てない。

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