20171105 クリッパーズ vs グリズリーズ

好調な両チームの試合です。しかし、内容は全く違います。
クリッパーズはレイカーズやサンズを倒して星を稼ぎ、ピストンズやウォーリアーズに負けました。
グリズリーズはウォーリアーズやロケッツを下し、マブスに負けました。コンリー不在でマジックにも負けています。



クリッパーズは結局は戦術グリフィンで簡単に通じる相手には勝てるけど、ってやつです。ただし、グリフィンにも波があるけど割と堅実に弱い相手に勝てるのは凄い事です。
グリズリーズはディフェンスを武器にチームオフェンスで強い相手にも勝てますが、システムが機能しないと自ら失速する事もあります。
・タレントを起点に組み立てるクリッパーズ
・システムの中でタレントが違いを生むグリズリーズ
前回観た時にクリッパーズはフロアバランスが改善され、ガード陣が効果的な働きをするようになっていました。代わりにグリフィンに負荷が集中しバテました。
グリズリーズは楽勝ムードから個人の積極性が失われたものの、なんとか勝ち逃げました。
つまり両チームともに、エースだけではなく全員が働く時間を長くしたいわけです。そんな視点から観戦します。



クリッパーズのグリフィン
感覚7割〜8割がグリフィンスタート。
ただし肉弾戦は少なめで早めにパスを振ります。失速したピストンズ戦の反省がありそう。
しかしパスを受けるのはベバリー。ディフェンスの人。何故、ベバリーが多いかというとオフボールムーブするから。他が動かない。
クリッパーズはこんな場面でガリナリを絡めたスクリーンを増やすと面白そうなのですが、グリフィンの仕掛けにルールがないからタイミング取り難そう。
たまにリバース&ジョーダンのピック&ロールスタートで仕掛けようとしたらオフェンスファールとられましたとさ。



グリズリーズのコンリー
グリズリーズはボールを動かす所からスタート。コンリーはむしろ絡まない。オフボールでディフェンスを剥がせる所を探すグリズリーズ。
フィニッシュはコンリー&ガソルだらけ。あれっ?そんなんだっけ?
コンリーって正統派PGっぽいけど、今は実際にはスコアラーやっています。ポジションやイメージで語ると現実と違うチームオフェンス。



コンリーとガソルのオフボールスクリーンでガソル対ベバリー、コンリー対ジョーダンの場面が出来た時、ボールを持っていたエニス。2人へのパスを狙うと当然ヘルプを狙ったディフェンスを見て、躊躇なく3Pを打ちました。クリッパーズがやったら「何してんだ?」と書きますが、グリズリーズがやると「その積極性が大切」と書いてしまいます。
この辺が両チームのイメージの差です。
◯ジェームス・エニス
2013年の2巡目。あまり芽が出なかったけど、昨季よりグリズリーズでチャンスを掴みリバウンドなどで貢献。3Dを期待されていると思う。



近づく両者
面白いのはセカンドユニットになると両者が近づきます。理由はやっぱりお互いのタレント力にあります。
グリズリーズはエバンス、チャルマーズ、パーソンズが中心。やる事はそんなに変わらないけど、ハンドラーになるエバンスやチャルマーズが自分で仕掛けるシーンが増えます。
それは何かというと、まずそもそも普通はそういう仕掛けをするものだから、そしてオフボールでディフェンスを引き離し、タイミングよくボールが渡るって簡単ではないから。
つまりコンリーがやっている事はやっぱりコンリーだから出来ること。そしてガソルがいないとスイッチさせる優位性もあまり出てこない。グリズリーズもやっぱりタレント力は使っています。
クリッパーズはもう少し簡単。1人で突破するのは無理だから、仕掛けてパス回して、を繰り返します。興味深いのはセンターのリードが割と活躍すること。ジョーダンよりも活躍します。
◯リード
ドラフト外から這い上がってきた選手で昨季はヒートで平均15分の出場ながら5.3点、4.7リバウンド。特にオフェンスリバウンド強いタイプ。
多分、仕掛けとフィニッシュが別になるし、それなりにボールが動いてマークマンがヘルプに行くから、最後にパスが回ってきたりリバウンドが取りやすかったり。この辺の設計がスターターよりも格段に効率的。
両チームからみえるのは、やっぱり難しいものだな。という普通の感想です。



そんなエバンスの6点3アシストの活躍でグリズリーズがリードします。
◯タイリーク・エバンス
2009年のドラフト4位で新人王
しかしルーキー時代がピークのスコアラー
毎年15点以上の得点を誇りますが、昨季はついに10点くらいに。3Pが成長しなかったのが大きいです。
クリッパーズはグリフィンの動きがグリズリーズに読まれ過ぎていて止められます。そこで働き出したのはまたもベバリー。
もうディフェンスの人とは言えないベバリー。優勝したいチームはベバリーPGありですよ。ウェイドやミルズよりも攻守で働きます。自分がムリをして得点出来るとは思っていないので、周囲をみながら空いたら打つし、寄ってきたらパスを出すベバリー。
ルー・ウイリアムスとのコンビになるとそれまで消えていたジョーダンにも得点が生まれ、グリフィンも復活します。
60ー54とグリズリーズ4点リードで終わります。意外と得点を取り合った前半でした。



失速したのはガソル
よくわからないけど、ガソルがスタミナ切れたようなプレーを繰り返します。クリッパーズがボールを奪った時、3人の味方が戻っているのに自分が動けないからファールで止めたり、完全にスイッチの場面でスイッチしないでグリフィンにダンクを許したり。
それでも入りすぎの3Pでグリズリーズはリードを保ちます。正直、3Qスターターの時間でグリズリーズはかなり怪しかったです。ガソルが動かなくて、ボールは回らなくて、バランスアタックは鳴りを潜めました。
簡単なスクリーンプレーでの3Pが入ったから助かっただけです。
クリッパーズはジョーダンのプットバックなどで何度か勢いに乗れそうなのですが、伝統のラッシュをかけられない弱みは変わらず。
クリス・ポールがいなくなって走れるようになるかと思いきや、先頭走るのもグリフィンだからなぁ。やっぱりベバリーで優勝は難しいか。
ダラダラ過ぎていく3Qですが、グリズリーズをセカンドユニットが救います。復活するチームプレーとインサイドへのアタック。
ガソルがいなくなり全体が走るようになりました。ハリーバックするのでディフェンスがかなり楽になります。
そこから生まれたスティールでリードを保ちます。ちなみに前の試合で試合終盤に自分がミスを重ねて負けたチャルマーズ。その時に速攻の判断ミスもあったのですが、トラウマになったか速攻の場面だけは躊躇しレイアップに行かず、最後は中途半端なミドルを打って外しました。
クリッパーズもこの時間に少し面白そうだったのですが、それは後述します。



不思議な試合
リードトラッカーをみると1回だけ12点差までいき、1回だけ同点になりましたが、全Qでグリズリーズが2、3点上回り、常に4〜10点差を推移しました。
クリッパーズには豪快なダンクが出てくるし、グリズリーズは3Pが連続で決まるのに結局は変わらない点差。両チームともに良くも悪くも安定していました。
4Q後半はいつものように足が止まるクリッパーズ。結局シュートを打つのがベバリーというのはかなり間違っています。そしてここはディフェンスのチームらしく、収縮が速くリバウンドとルーズボールへの反応でグリズリーズが大きく上回りました。
しかし、実際にはリバウンドもルーズボールもクリッパーズが上回っていました。
◯リバウンド
クリッパーズ 43
グリズリーズ 39
◯ルーズボール
クリッパーズ 8
グリズリーズ 1
ちなみにクリッパーズのルーズボールは5つがルー・ウイリアムスとベバリーです。文化の違い。



◯ベンチポイント
グリズリーズ 55 ー 22 クリッパーズ
チームオフェンスをするためベンチでも質が落ちないグリズリーズが、個人技依存でスターター以外に術がないクリッパーズを上回ったようなスタッツですが、実際にみた印象は違って後半のグリズリーズはそんなにチームオフェンス感はなかったです。
違ったのはベンチに主力を振り分けて、常に誰かしらは個人で打開してしまうゲームを通したバランスでした。
要は個人で打開してくるプレーヤーとパターンが頻繁に入れ替わるので、対応し難かったクリッパーズという構図です。
◯3P
クリッパーズ 4/26
グリズリーズ 13/31
スタッツ的には3Pで打ち勝っただけです。美しいボールムーブから決めたわけでもなく、個人の打開で生まれたシュートです。
活躍したのはエバンス、パーソンズ、デロン・ライト、パルマーズとランドルフ達を放出して獲得したちょっとだけ若返らせたベテラン達です。グリズリーズが主力放出して弱体化したというのは、そもそもデマです。
単純にネームバリューが弱いだけで、ちゃんと補強しています。そして1.5軍の人数でクリッパーズを押し切ったような試合でした。
互いにオフェンス効率が高かったわりには、そんな印象もなく盛り上がりに欠けましたとさ。



クリッパーズに思う事
前回に引き続き感想は同じです。
・戦術グリフィンだけど昨季よりバランスは良くなった。
・オフボールで仕事しないし、個人頼みで脚が止まる。
・セカンドユニットの方がエネルギーがある。
・ガリナリを活かす連携は出来ていない。
この試合で最も感じたのは「ジョーダンってそんなに必要か?」という事。クリス・ポールやグリフィンからのアリウープは確かに有効でしたが、いない方がグリフィンがインサイドを自由に攻められます。
ちなみに3Q終盤に少しだけそんな時間がありました。ジョーダン→ウィスリー・ジョンソン。外からのドライブが2つ決まり、トランジションも上がりました。グリフィンは外しましたが、ゴール下へのカットプレーも出てきました。
速攻で先頭を走るのもグリフィン、起点もグリフィン、インサイドもグリフィンなクリッパーズ。
ジョーダンを使わなければインサイドが空き、グリフィンも活きれば、周囲のカットプレーも増えます。そうしてオフボールムーブが増えるとガリナリは強力な武器です。
何よりディフェンス。どうしてもジョーダンの所でフリーが生まれます。各チームのビッグマンはここを守れるようにトレーニングを積んできてますが、クリッパーズはジョーダンに引き渡さないために努力しています。
SF増やして速さに対抗するディフェンスと、速攻の先頭を走らせれば大きく変わると思うのですが。
◯デアンドレ・ジョーダン
34.5分 12点 10リバウンド
◯ウィリー・リード
6分 4点 3リバウンド
実は大して変わらないスタッツ。ジョーダンのプレータイムを大幅に減らして走れる選手を使うべきかと思います。



全く動けないと感じたガソルが後半15点とったり、クリッパーズの方がルーズボール拾っていたり、かなり印象とスタッツに違いがあった試合でした。
管理人も修行不足です。
今回は地味だけど気になった選手の経歴を少し入れてみました。

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