時代は3Pを求めている。しかし、誰が打つのかはチームによって違うのです。
「ウォーリアーズは主役達が3Pを決めるのに対し、自分達はロールプレイヤーが決めないといけない。それは苦しい」
なんて発言をまさかのカイル・コーバーがしたとか。じゃあもうお前の存在価値ないじゃんとなるわけです。(キャブスのロッカールームの話は信用できないので、本当に言ったのか知らないよ)
でもこれはちょっと面白い内容になっていまして、コーバーの発言の真意は別の部分にあると思っています。それは「打たせるべき選手は誰なのか」を明確に定めているチームと、そうではなく「ボールが回ってきてフリーなら打つ」形のチームがあるということ。
コーバー贔屓で考えると、ある時期のキャブスは明確にコーバーに打たせるためのセットを組んでいたけど、シーズンの終わりに向けてはレブロン頼みにしたので、コーバーは回ってきたら打つことになってしまいました。
現代は3Pを多用するので、「3Pのスキルは必須」という風潮がありますが、実際にはトップにいるウォーリアーズの考え方は異なっていて、彼らはカリー・トンプソン・デュラント・ヤングの4人が打つ事を想定したチームです。グリーンは多く打つのが間違いで、イグダラは必要なら打つ程度。
その代わりにウォーリアーズは打たない選手がプレーメイクに参加するケースを増やします。それがまさにグリーンとイグダラの役割であり、3Pを打たないけどカットプレーと正確なショートレンジを武器とするリビングストンの役割。他にもスクリナーとゴール下のルーニーなど。
中心選手に3Pを打たせるためにオフェンスを構築しているのがウォーリアーズ型
一方でロケッツは中心のクリス・ポールとハーデンがプレーメイクから行い、そこに3Pを打てるウイングを集めて勝負しています。こちらは一般的にイメージをもたれているとおりの内容。ただし、センターには3Pの要素を全く求めないのも特徴です。
ディフェンスの動きに合わせて、誰もが打つのがロケッツ型
ちなみにこの手のことを書くと「ウォーリアーズ型が強い」と言いがちですが、それは違ってカリー・トンプソン・デュラントを揃えることは、あまりにも難しく、巨大戦力で勝っているのだから、どちらが優れていると言うことはないのです。選手次第。
ただし、やはりその特徴に違いは存在します。
ひとつにはロケッツ型の方が、エースを中心に組み立てており、ロールプレイヤーに求めるのが「キャッチ&シュートでの3P」なので難易度が下がります。つまりプレーとしての安定度が高く、それでいて選手を集めやすい特徴があります。
逆に言えばちゃんとやらないと打たせる選手を誘導されます。ロケッツは時折、PJタッカーが決めまくりますが、あれはまさにその形で「タッカーに打たせる」ディフェンスを組んでくるチームがありました。新シーズンはマイケル・カーター・ウイリアムスが危ない!
3Pが下手な選手が混じっていると狙われてしまうのがデメリット。ドレイモンド・グリーンは使えなくなる。
ただ加えて言うと、セルティックスがベインズに3Pを打たせた様に、後付けで伸ばせる範囲のシュート力だし、誰もが打てるならマッチアップの関係性で打ちやすい選手に打たせることも出来るのです。
つまり、それだけシステムを組みやすく、試合中の指示で相手の弱点を攻めることが出来る。誰もが3Pを打てることはHCからするとメリットが大きいのでした。ちなみにロケッツの場合は、ここからちょっと外れるけどね。
一方でウォーリアーズ型だと、シューター達は常に警戒されています。その中で決めるのだからより高いシュートスキルを求められるのです。別にウォーリアーズに限らなくても、コーバーやエリントン、ダニエルズにレディックとシュートを打つために存在している選手がいて、シュートを打たせるためにプレーコールされています。
こちらのタイプの良い部分は、
オフボールでのプレーメイク力に優れる
重要な局面で打たせるべき選手を選べる
この2つになり、そのままウォーリアーズ的な強さにも当てはまりますし、前述のシューター達が動き回ってディフェンスが追いかけ回すシーンも思い出されます。「単なる3Pの確率を超えた存在感」があるわけですが、このタイプの選手を集めるのは簡単ではありません。それを複数集めているウォーリアーズが特殊なだけ。
加えて動き回る選手達がコートにいる場合は、他の選手がフロアバランスをとる必要があります。スクリナーだったりパサーだったり、役割分担が必要なので組み合わせがより難しくなるのです。ウォーリアーズはそれが機能しているわけですが、イグダラの後継にしたいマッカウは表面的には良いプレーをしているけど、チームとして機能しているかは微妙だったり。
チームを構成するのが難しくなるし、ミスも増えて良いことばかりではないのがこちらのタイプ
それぞれにメリット・デメリットがあるので、チームの中心選手次第で選ぶべき方向性は変化してきます。
◉EFG60%オーバーのシューター達
アンソニー・トリバー 62.9%
カイル・コーバー 62.8%
ステフ・カリー 61.8%
ジョー・ハリス 61.2%
ジョー・イングルス 60.9%
レジ-・ブルロック 60.2%
6人しかいませんでした。トリバーはシューターなのかと言われそうですが、シュートアテンプトが2P1.4本、3P4.6本の典型的なシューターです。
リーグで最も優秀なシューターがトリバー
まぁ別にEFG60%超えているから優秀かどうかは別ですが、彼らに如何に打たせるのかを考えてオフェンスを構築する重要性があるのです。で、カリーはもちろん、ジョー・ハリス、イングルスは打たせる形が明確に存在していて、コーバー、トリバー、ブルロックは「あるにはあるけど、メインではない」という微妙な位置づけだったりします。
またオフェンスレーティング1位のウォーリアーズはEFG56.9%ですが、これを超える選手は63人いますが、エース級で超えているのはウォーリアーズの3人と
タウンズ、レブロン、ゲーリー・ハリス、おまけでアーヴィング
の4人だけです。それだけエースクラスに高確率のシュートばかりを打たせる選択をしていくのは難しいと言うこと。続きでホーフォードやヨキッチが登場するのですが、ウォーリアーズ、ナゲッツ、セルティックスの3チームだけが
「複数のエースが高確率で決める事で高いオフェンス力を達成している」
ことになります。
繰り返すと「ウォーリアーズ凄い」となりがちだけど、システム的な話にすると個人能力に依存している部分が大きいわけです。あのメンバーを集めることを目指すのは不可能に近いので、エース達に高確率を求めるよりも、チーム全体で押し上げる方向性が今の流れです。
ある意味、個人で押し上げてしまっているレブロンとタウンズの有能さ、そしてチームでエースに高確率も作れているナゲッツとセルティックスの有能さもあるのでした。
最近、ウルブスの記事が多いといわれましたが、この内容を調べていると
タウンズとトリバーがいるウルブスってヤバい!
となるわけです。ギブソンも高確率だけど、それを忘れさせてくれるガード陣とシステムという厄介さ。
今回の話はちょっとよくわからない話なのだけど、視点としては2つありました。
・3Pが重要になったけど、それを効果的に使うには選手の組み合わせとシステムが大切
・「エースに打たせる」 ことが正しいとは限らない時代
前者は管理人お気に入りのネッツの話に繋がり、後者はEFG56.9%を超える「その他の57人」の重要性です。そこにいるのは主にビッグマン達なので、センターの重要性はまだまだ衰えないよ。だけど重要な要素は世間一般のイメージとは違うかもしれない。
要するにショートスタイルにしたから、今回はあくまでも前段の話として、そのうち書く内容に繋げたいのでした。ただ、まぁウォーリアーズ型とロケッツ型の差異は多くのチームで開いてくるので、各チームのシステムの違いを見比べるのは面白いと思います。
3P時代になったから、誰もが3Pのスキルを持つ重要性を把握しているし、その逆にカリーに3Pを打たせるために働ける選手だってより重要になってきたのでした。両者は相容れないことが多いので、欲しがるチームと欲しがらないチームはハッキリするよ。
続きはしばらく後の記事で出てきます。
こんにちは ロケッツファンです
記事とあまり関係ないのですが、ロケッツにコーリーブリュアーは合うでしょうか? 個人ディフェンスが得意でスリーもそこそこです
フリーエージェントなので取るべきだと思うのですが
ブリュワーはもともと16-17シーズンはロケッツ在籍で、しかし、拾われていない現状はどちらかに何らかの理由があるのでしょう。
ハンドリングが下手でPFは守れないタイプなので、そこまで重要性がないのかも。あるいはブリュワーはダントーニが肌に合わない。
KATの効率の良さは素晴らしいですね、FTも上手いですし、TS%は驚異の64.6%!
しかし、バトラーもウィギンズもいるのに漂う閉塞感…
GSWはカズンズを入れましたけど、弱体化する気がしてます
理由は層の薄さ、勤続疲労、ベテランの衰えです
管理人さんはどう思いますか?
カズンズは強力なのでユニットとしては強くなる。
だけどシーズントータルでは弱くなる。
そんなイメージです。
トリバー最高!
ただウルブズはどちらの型でもなさそうという別の不安が漂いますが……なぜウルブズを選んだんだトリバー……
ウルブスがロケッツが狙っている選手を2人もかっさらったのもよくわからない・・・。
いつも楽しく拝見してます!
感情を込めすぎない管理人さんのブログ、面白いです。
ありがとう
最近ではセンターもスリーが撃てるべきって風潮がありますけど
違和感があって、それよりもスリーを高確率で決められる選手にお膳立てするためにどうやって動けるかが重要なんじゃないかって思っています。
実際今回センターの重要性について少し触れていたので気になりました。
去年の「センターをチーム戦略が判る」の記事はとても面白かったので
よかったらまた特集していただけると幸いです。
その続きは少し後の記事で書いています。
カズンズは3Pも打ててゲームメイクもできるセンターというイメージですが、どんな役割になるんでしょうかね。
ウエストの後釜がメインかな。
あとはグリーンの代役
チームの作戦が悪いってパターンもありますが、逆に作戦は十分なのに選手自身が実力不足で与えられた仕事ができていないシューター(特にスターターレベル)っていますか?
イグダラ!
ヌルキッチ!
面白そうなテーマです。
グリーンは3P下手じゃないですよ。スタッツだけで判断せずに試合をご覧になって下さいね。
どうみても下手だろ。ドフリーで打っているのにあの確率はまずい。
ウォーリアーズにいなければ批判されまくるアテンプトばかり。
ちゃんとNBA全体の試合観てないだろ。