ジャマール・クロフォード繋がりで短いオマケ話の予定がかけてしまったローズ編
デリック・ローズは復活する
ジャマール・クロフォードが発言したとか。前回触れたとおり、模範解答のひとつにしか聞こえないけど、ファンが多いのでニュースになりやすいのは理解出来るものです。
でも、ちょっとした違和感もあるのです。「復活」とは何からの復活なのか。
2度にわたる大ケガをしたローズは、かつての姿が印象的すぎて、そこに戻ることを求められている風潮ですが、それはいろいろな意味で無理です。もしもMVPクラスに戻ることを「復活」というならば、甘すぎる考え。
だけどプレーオフのロケッツ戦のような活躍ならば、十分に期待して良い。でもそれは「復活」なのか?
このローズの活躍には2つの特徴が挙げられます。
・スピードのあるドライブ
・ゴール下の強さ
ロケッツはスピードに弱いチームであり、守っているのかどうかすら怪しいハーデンや、それだけは苦手なPJタッカーとローズの存在は厄介でしたし、ジャズには徹底して突かれてしまったのです。ただし、ゴール下にはカペラが待ち構えるのですが、ローズの強靱なフィジカルは身体を当ててシュートスペースを作ることに成功しています。
大ケガによって失われたクイックネスですが、全盛期ほどではなくてもNBAの平均よりはかなり速く、そしてフィジカルの強さはケガと関係なく鍛えることが出来ています。
相変わらずシュート能力は怪しいのでロケッツ戦は出来すぎですが、上記の2つでローズの活躍は十分に期待できるものであり、それはむしろ
キャブスが消した能力
でもあったのです。鬱病みたいな状態になったのは度重なるケガなのか、キャブスのチームとしての大問題なのかは不明ですが、シボドーとの関係性抜きにして「ウルブスで活躍した」というよりも「キャブスでは活躍しなかった」の方が正しい表現なのでした。
ちなみにこの話はアイザイア・トーマスについて調べているときに、同じ傾向がローズにもあったことも関係しています。
トーマスの早いリズムに全くついて行けなかったキャブスの面々は、オフェンスリバウンド率が下がり、大量のカウンターを食らいました。トーマスがコートにいるとディフェンスレーティングが悪化するのですが、それは主に速攻での失点が増加したことです。
各選手のオンコート時のチームの数字を比べてみます。
〇ペース
トーマス 103.1
ローズ 104.0
チーム平均 100.1
〇オフェンスリバウンド率
トーマス 17.5%
ローズ 19.2%
チーム平均 20.1%
〇ターンオーバー率
トーマス 14.0%
ローズ 16.0%
チーム平均 13.7%
〇48分あたりの速攻での失点
トーマス 14.9
ローズ 13.7
チーム平均 11.3
ふと観るとローズの時もペースが上がっており、オフェンスリバウンドが減ったりターンオーバーが増えたりしていました。でも、それは2人のプレーを考えたら当然のことです。だからシーズン前は
「トーマスとローズの獲得は、早い展開にも対応するチームの方向性を示している」
と考えたのですが、そんなつもりは毛頭なかったようなキャブスです。ティロン・ルーを信用した管理人が悪いのか、GMが悪いのか。
つまり「ローズのために何が必要か」を考えてくれなかったのがキャブスなので、そこで低迷したのは本人が悪いとはいえないのです。そもそも獲得したのが間違い。
◉ニックス時代の活躍
そして「復活」と呼べない最大の理由がニックス時代にあります。つまり「ケガからの復活」というには、既にニックス時代に結果を残していたじゃないかと。
〇16-17シーズンのローズ
プレータイム 32.5
得点 18.0
FG 47.1%
3P 21.7%
アシスト 4.4
ターンオーバー 2.3
忘れてはいけないのは、当時のニックスはカーメロとポルジンギスを中心としており、ローズは3人目の男であって、ファーストチョイスではなかったこと。それでも18点を奪い、そしてターンオーバーはキャリア最小でした。3Pの確率が悪いためシステムは選ぶし、逆にシステムの関係でアシストは少ないわけですが、「スターターや6thマンとしては十分な活躍」をしています。
そしてこの時のFG47%は1年目、2年目以来の高確率であり、
3Pを打たない設計のチームであれば活躍できる
ことを示しています。ホーナセック様々だし、シボドーもまた同じく。「HCからの信頼が」というけど、気持ちじゃなくてシステムの問題なのだよ。
ニックスではアテンプトの3割近くがミドルでしたが、44%と高確率で決めており、力強さと合わせてしっかりと得点力のあるところを示しています。ロケッツとのプレーオフでは奇跡みたいに3Pが決まったこともありますが、同じようにゴール下とミドルで加点しているのです。
そして速攻で強力にボールをプッシュしていくことが可能です。ただ暴走気味にシュートまで行くので、しっかりと走ってきてくれるチームメイトも欲しい。カーメロ・・・。ニックスで上手く行かなかった部分はここで、無謀な特攻もあって、割と良い数字を残している割にはミスが多い印象があり、支持を得るほどではなかったのでした。アイザイア・トーマス同様にハードワークで助けて欲しいタイプのエース。
ローズはアシスト面で優れた選手ではない事は、初めから分かっている特徴であり、それをカバーするようにギブソンやノアがいたわけで、このプレースタイルを受け入れてくれるのであれば、「復活」ではなく「当然」の活躍が出来るのです。
注 ↓こういうのは求めちゃダメよ↓
◉ローズもまた時代に置いて行かれる
「ローズの復活に期待が持てる!やったぜ!」
というファンが喜ぶような今回ですが、それはそれ。これはこれ。
シボドーの下で復活したようでいて、システム的に都合が良かったローズのオフェンス力。しかし、じゃあ何故ジャズにはフラれたのかというと、EFGが低くアシスト力も高くないから。時に3P乱れ打ちでディフェンスを広げようとするジャズだと使いにくかったわけです。ジャズ的にはイングルスの方が有能なわけだ。
PGはEFGが悪い選手はちょこちょこいて、だけど切り崩してパスで高確率のシュートを生み出してくれるからチームとしては悪くなかったりします。ジャズだってルビオもドノバン・ミッチェルもEFGは高くないけど、パスを受けるゴベアー、イングルス、フェイバーズが高いからチームとしては成立しています。
ローズの役割がサードオプション以降のロールプレイヤーと考えると、それは重くのしかかります。どうしてもチームを選んでしまう。つまりエースクラスが高いEFGの選手であって欲しいわけです。
ウルブスにはエースにバトラー・・・ではなく、タウンズがいます。EFG59.6%で20点オーバーのセンターはローズを救ってくれる存在です。しかもリバウンドも取ってくれれば、3Pでスペーシングもしてくれる。
ローズの課題は如何にタウンズとの関係性を構築できるのか。でも、そもそもそれが下手なのもシボドー。
だから1つの問題点として、ローズが予定通りの活躍をしても
ローズのEFG%は低い
ローズが低くてもチームは高くならないといけない
この関係性をシステム的に組めるかどうかです。そうしないと例の「ウルブスは変」問題が加速することになります。
FG47%でドライブ決めてミドルも決めて、その活躍が話題になって
「ローズの復活だ!でもウルブスは勝てない。情けないぞウィギンズ」
という風潮が出始めたら要注意です。それはローズが活躍しているようで、時代に置いて行かれていることを示してしまいます。世の中に当時のブルズ贔屓が多くて困っちゃうのはここかな。
もう時代が違うんだ。それじゃあ論理的には勝てないんだ。
ローズがMVPをとった10-11シーズンのブルズのオフェンス成績は
EFG 50.1%(14位)
レーティング 105.5(12位)
ディフェンス力が売りのチームだったとはいえ、オフェンスも中位以上であったから勝てたといえます。ところがこの数字を昨シーズンに当てはめると
EFG 28位
レーティング 17位
こんな感じになります。レーティングが思ったより下がらないのはオフェンスリバウンドなどの関係だと思われます。これらの数字はスパーズに近く、つまりローズで勝ちたければスパーズレベルに守れる必要が出てきます。
ウルブスはタウンズがいるので、ここまでオフェンスは落ちませんが、逆にディフェンスも上がらないし。実は本質的にローズはディフェンスの良いチームにいかないと、その価値を示すのが難しいのでした。
ブレイザーズとかサンダーとか、そのスパーズとかでベンチから出てくるのが最良かもしれません。とりあえずウルブスではタウンズと、そしてタウンズよりも高いEFG63.2%のアンソニー・トリバーとの関係性が重要になりそうです。
意外と書けてしまったローズ編。しかし、その結果は
アンソニー・トリバーは超優秀
ということなのでした。トリバー贔屓が過ぎる管理人。でもあいつ
EFG63%だけど、ディフェンスが売りなんだぜ!
ウルブスが勝率を上げた時は、ローズじゃなくてトリバーのスタッツに注目しよう!きっと2人で効果的になっているよ。
【追伸】
この記事は管理人的には超興味深いものでした。ローズの件はこれまでの書き方だと、ウルブスのプレビュー時に
「ローズの復活と言うけど、ニックス時代に結果を残しているから、同じくらいの貢献は期待してよいよ」
という1文で終わる内容です。今回書いたいろいろな内容を全部ひっくるめて1文です。
それをショートスタイルにしたことで「まぁローズについて短く書いてみるか」という程度で書いたら、意外とちゃんと1つの記事になりました。これがショートスタイルの良さであり、読者の方(というかローズファン)からすると、「ローズについて書いた記事」になるわけで、それは「ウルブスについて書いた記事」とは違う印象を持って頂けるかと。
なので、これはこれでブログのスタイルを変更した良い部分なのでした。ほんの1週間前ならばローズについてなんて絶対に書かなかったよ。
ハーデンについて書いてください!
これで
ダントーニが恋したハーデンのオフェンス能力
https://basket-count.com/article/detail/7742
ウルブズの記事多くて嬉しいです
情けないぞウィギンス、トレードで出せ!!
っていう声がすぐにでも聞こえてきそうでウィギンスファンとしては不安です(笑)
個人的にはウルブズ躍進のカギはウィギンスをプレイメイカーとしてどれだけ働かすことができるかだと思っていて、そのウィギンスの控えとして考えるならローズはベターなチョイスだと思ってます
逆にローズ、ジミー、ウィギンスなんて並びを見た日には高校かなって言うぐらい収縮した相手チームのディフェンスが見れるんじゃないかなと
シボドーだからたぶんエースのような輝きを見せるローズさんが見れるんじゃないですかね
NBAのトレンド変化関係なく身体を怪我前に戻すのはどれだけ大変なんですか。遺伝子レベルで自己再生に優れている事が必要でしょうか。
ローズの場合は両足やっているので、元に戻すのは奇跡なのではないでしょうか。
元の状態が異常な身体能力でしたし、それ故に膝に負担のかかるプレースタイルでした。
仮に元の状態に近づいても同じプレーをするのは危険でしょうね。
いつも楽しく拝見させて頂いています。いつかジェイソン・キッドについての記事を書いて頂けないでしょうか。
試合をみれないので何とも言えないんです。
どこか1試合引き抜いてやるかもしれません。
過去シリーズは疲れてしまったし・・・
エースフォワードを抑え、3Pを高確率で決め、そしてグリフィンをビビらせるダンクを決めたかと思えばベテランらしく若手の指南役になりベンチからチームを盛り上げるトリバーは現人神か何かですか?
そしてもしジノビリが引退したらローズにとってはチャンスですね。
トリバーも苦労してここまできたので、動じない強さがありそうです。
スパーズはドラフトでガード獲得しまくっているので・・・
ローズファンなので時代と噛み合わないプレイスタイルがなんとも悲しいです。
1回目の怪我以降から3Pの改善に取り組んでましたけど、一向に上達しないのでいっそ捨てるべきだと思うのですが、けっこう外から打ちたがりなんですよね。
管理人さんが仰るようにスパーズがいいかもですね。
ちょうど抜けたパーカーと同じ役割を担えますし。
それにしてもキャブズフロントの無能さが日に日に目立ちますね。
時代問題は致しかたないことです。
ローズがケガしなければ、時代はもう少し遅かったかもしれません。
PGとしてベンチから速攻をくりだすのがベストかな。
プレータイム考えたら3Pは1本で十分ですね。
ローズ特集ありがとうございます!NYK時代も含めての比較で、ローズの現状とプレイ内容について自分がなんとなく抱いていた印象と近く、腑に落ちました。
キャブスが集めて使いこなせなかった大物PGが二人出たので、ついでにデロンウィリアムスについてはいかがですか?今プレーしていないので、比較できないですかね。
彼にもNBAに戻ってきてもらいたいのですが。
デロン・ウイリアムスはプレー内容と言うよりも役割的に問題がある雰囲気でした。
今のNBAの戦力図ではスターターPGは難しく、主力にはなり得ないのが本人にはイヤなのでは。
ベンチメンバーくらいの実力はありそうですが、それももう1年半も昔の話。
アリーザとタッカーを対比で書いて!
気が向けば
過去シリーズは疲れてしまったというのは?
試合を観る元気がないです。シーズンオフで良かった。
コメントでの要望もあり過去シリーズはデトロイト、サクラメントかなと思ってました。順番ではキッドですね。ファンも多いと思います。元気無いということで何とお声掛したら良いかわかりませんが。
試合観るの飽きています。2000年だったかのキングスvsサンズを1試合みたのですが、何も更新していないです。
チーム側も昔のローズの活躍を期待していてギャップがあったのもありますけど
ローズ自身も今の活躍以上のサラリーを要求していて拍車を掛けていたのも事実。
やっと評価するのに妥当な土俵に立った段階だと思うので、
このままできる範囲で頑張ってほしいです
ニックスには大きな契約を要求していた気がしますが、
キャブスにはミニマムで移籍したから、かなり役割をもらって満足していると思ったら大間違いでした。
あの時のローズなら5Mくらいの契約は結べたはずなのに・・・。ミニマムよりは価値のある選手ですね。
各チームのディフェンスの比較してください!
面白そう!
超難しそう!
一言シリーズくらいが限界かな。
ORに関する14秒ルールによる、環境の変化などを考察した記事が読んでみたいです
まあ施行されてからの方が良いかもしれないですが
面白いから直ぐに書きます。
仕事がはやーい
文章書く気力は落ちてないようで何よりです。
そういえばORの積極性は相手の速攻を止められると思うんですがどうでしょう。そのままハンドラーへのパスにプレッシャーをかけたりハンドラーをディナイしたり。戻ることを意識して受けると相手の速さも出てしまうし。ORからトランジションディフェンスが始まっていると言えるのではないかと。
そういう側面はあるので、オフェンスリバウンドに積極的なチームで速攻を食らわないケースもあります。
それはリバウンドを取られたときにダッシュで戻る体力のあるチームでもあるのでした。
強力なリバウンダー1人に任せるのが基本ラインかな。
ありがとうございます。