ブレイク・グリフィンの独り立ち

ドラフト1位で入団し、翌年のデビューからロサンゼルスで光り輝いてきた男。怒濤のようなシーズンを終えた今、もう一度振り返ってみよう。

 

ブレイク・グリフィンは好きではない。そもそもあまり観たことがなかったからだ。BSで放送していたプレーオフのクリッパーズにグリフィンは出ていない。もちろんハイライトは何度も観たことがあるし、車を飛び越えたダンクだって観たさ。だからといって心が躍るわけではない。

しっかりと試合を観ることになった昨シーズンのクリッパーズは、そりゃあ酷かった。戦術グリフィンは誰もが足を止め、グリフィン任せだが当の本人は味方にスペースを消され、ドライブで切り裂けず、苦し紛れのシュートを潰され、最終的にはスタミナ切れ。ベンチから出てくるハレルやリードは役割を果たすのに、大きすぎる責務と連動しないチームはグリフィンの評価を落としていく一方だった。

だからグリフィンへの評価は低い。グリフィンを評価する材料が何一つなかった昨シーズン。

そしてジェリー・ウエストの一押しでピストンズに移籍する事になった。対価はトバイアス・ハリス、エイブリー・ブラッドリー、ドラフト1巡目指名権。もしも契約最終年だったブラッドリーを計算に含まなければ、グリフィンの実績に見合ったトレードではなかったけれど、クリッパーズの評価はそれくらいでもあった。

だから尚更グリフィンの評価は低いままだった。ピストンズ加入後もボールを止めるだけで、チームは全く機能しない。プレーオフ争いから脱落する頃には興味がなくなっていた。

 

しかし、ピストンズはグリフィンのプレータイム中は息を吹き返している。レーティングは+3.4もあり、ドラモンドの方が問題だったくらいだ。そんなピストンズ事情には触れない今回は、改めてグリフィンのスタッツを振り返ると、独り立ちに苦しんだだけの気がしてきた。

この書き方イヤになるから、以下変更。

◉急降下したFG%

 

ちょっと今回は逐一書くのがめんどくさいのでスタッツリンク貼ります。見比べながら読んで下さい。

https://stats.nba.com/player/201933/

 

グリフィンはルーキーイヤーから4年連続でFG50%オーバー。エースクラスのスコアラーとして優秀。それが5年目の15-16シーズンは欠場が目立ち初め49%になっており、そしてこのときからあれやこれや問題を起こしたり、ケガしたり。スーパースター街道まっしぐらのはずが、ちょっとずつ怪しくなっていきます。

迎えた16-17シーズンはFG49%で、やっぱりケガをしています。そしてこのシーズンでクリス・ポールが去ったのでした。迎えた昨シーズンの成績はFG43.8%一気に5%も下がっています。この問題から触れていきましょう。

「クリス・ポールってFG5%も上げちゃうのかよ!」

といいたいけれど、ルーキーシーズンはクリス・ポール抜きで50%オーバーなんだよね。

 

〇3Pアテンプト 1.9→5.6

最大の問題は3Pのアテンプトを増やしたことにあります。アウトサイドから打つことが増えたので確率が落ちました。EFGだと51.3%→49.3%なので微減くらいです。ただしキャリアベストは55.0%なので大きく落とした事に違いはありません。

 

〇ミドルレンジ 42.5%→30.4%

ミドルレンジのアテンプトが半分ほどになり、確率も大きく落ちました。この減ったミドルのアテンプトが3Pに回った感じですが、同時に確率が落ちたのはミドルのキャッチ&シュートが2.6本→0.7本と減ったことに由来します。

グリフィンがポジションを取る位置が、ミドルレンジから3Pラインの外に移動したことがこれらの現象を生み出しているわけです。3P34.5%とそれなりに決めているので、総じて得点率が悪くなったわけではありませんが、チーム単位で観るとその分ガードが3Pを打ちにくくなっているので、やはりグリフィンはミドルレンジやローポストでボールを貰うのが最も効果的と感じました。

 

独り立ちし、FG%が大きく下がったグリフィンですが、実際にはクリス・ポールのパスからもFG43.5%だったりして、そこまで大きな差はありませんでした。それよりも大きかったのは

「プレーエリアを変えたこと」

にあって、チームとしてグリフィンがボールを貰うポジションを3Pラインの外にしたことが響いてしまいました。

クリス・ポールがいないだけで、同じようなシステム構成の中でグリフィンがボールを持つ回数を増やすだけだったならば、ここまで激落ちすることはなかったでしょう。

 

プルアップミドルの確率も43.9%→25.9%と大きく下げています。

ボールを受けて「確率の良いミドルシュートとフェイクからのドライブ」はグリフィンの大きな武器でしたが、ボールを受ける位置がリングから離れたことで、そんなドライブからのゴール下が6.8回→5.6回と落ちました。シュートの確率は64%で同じなので単純にイージーシュートを減らしたのでした。

グリフィンの良さは豪快なダンクにあるようなイージーシュートをぶち込むフィニッシュ力であり、多少強引でもダンクに持って行けるスピードとパワーです。難しいシュートを増やしてしまったのは、使い方が間違っている気がするのでした。

 

〇グリフィンのプレーエリア変更の影響

・周囲の3Pの減少

・確率の良いミドルシュートの減少

・イージーシュートの減少

グリフィン個人の脅威を考えた時にプレーエリアの変更は全てが悪い方向に出ています。戦術グリフィンは全員の足を止めた上に、グリフィンのFGを5%も落としたのでした。

 

一方でスペーシングが重要な現代戦術的にミドルレンジを辞めたことは合理的でもあります。特にデアンドレ・ジョーダンやドラモンドがいるチームではビックマンの邪魔です。他にフィニッシュ力を持つ選手がいるチームだから、器用さを活かしたプレーメイク側の仕事を増やされました。

グリフィンの課題は3Pの確率アップですが、それが改善してもドライブからゴール下は増えないでしょうから、このまま行くと良くてFG45%前後が定常化しそうです。その中でチームとして強くなりましょう。

 

グリフィンのFG%低下はクリス・ポールの不在ではなく、チームのシステム変更による部分が大きいのでした。「ゴール下か3Pか」でミドルを減らし3Pを増やしたグリフィンですが、ゴール下も減らしたのでした。

◉プレーメイク力

クリッパーズがシステム変更した理由は、クリス・ポールがいなくなったのでグリフィンにプレーメイクさせたかったからです。結果的には、それはいまいちでルー・ウイリアムスがメインになって勝ち始めたけどね。さぁ失ったFG%の代わりに何を得たのか。

 

〇アシスト 4.9→5.8

プレーメイクの役割が大きく増えた割にはアシストは伸びませんでした。ピストンズに行くと増えたのでセンスがないわけではありません。

実は元々アシストが多かった理由は、クリス・ポールの存在よりもJJレディックがいたことが大きく、ポストアタックが驚異的なグリフィンのアシスト先で最も多いのがレディックでした。ピストンズでも同じく3Pが高確率のブルロックへのアシストが増えています。

 

グリフィンはパスの上手いPFですが、あくまでも

インサイドにディフェンスを引きつけてパスアウトするのが怖いタイプ

です。ドライブが得意なわけではないので、アウトサイドでプレーメイクさせたのは間違いだった気がします。ハイライトのアシストも引きつけてのパスアウトか、ポストに立ってカットプレーに合わせています。トップでボールを持つと迷いを感じてしまいます。

インサイドでのプレーメイカーとしてはヨキッチやカズンズ同様に機能しそうです。グリフィンはクリス・フィンチのチームに行くべき。

 

いずれにしてもクリス・ポールというプレーメイカーがいながら、5本近いアシストをしていたグリフィンのアシスト能力は高いものがありました。独り立ちでプレーエリアを変えたことはマイナスに左右しており、それでも変わらぬアシスト数を記録できています。ちょっとグリフィンに多くを任せすぎたし、戦術グリフィンと批判していた部分でもあります。

ケーシーHCは「ポイントフォワード」と言っているようですが、ちょっと違うだろ。インサイドのプレーメイカー。

◉グリフィンに何をさせるべきか

グリフィンはスモールラインナップのセンターでプレーするのが最も効果的な気がしています。そのパワーは機動力型のPFでは止められず、そのスピードに多くのセンターはついていけません。インサイドの個人アタックで優位に立ち、ヘルプが来ればアシストをする。

極めて有効なオプションに感じますが、デアンドレ・ジョーダンがいるからそれは難しかったし、ピストンズではドラモンドがおり、しかも控えにパチュリアを獲得したので、ケーシーにそのつもりはなさそうです。

あるいはジャズ型でゴベアー+フェイバーズを交互に使い、時に片方をコーナーに置く方法もあります。ドラモンドがストレッチ5を目指しているとか夢みたいな話もあります。問題は「ポイントフォワード」と「ストレッチ5」の両方は要らないこと。

 

ラプターズは終盤こそスモールラインナップでしたが、ビックマンを2人起用するのが基本ラインのチームです。イバカやシアカムの役割をグリフィンに当てはめると、やっぱり3Pラインの外で待たせることになります。ドラモンドはバランチューナスのようにポストプレーが上手くはないですが、そもそもバランチューナスも上手くても使ってもらえなかったので、関係ないかな。

アウトサイドのプレーメイクからオフェンスを構築するのが基本だったので、やっぱりグリフィンも同じ様に組み立てを求められるはず。レジー・ジャクソンとの役割分担がよくわかんない。

 

ピストンズはレジー・ジャクソンとイシュ・スミスのPGがハッキリしているので、グリフィンに出てきて貰う必要はなく、しかもブルロック、ケナード、ギャロウェイとシュート力のある選手がいるので、やっぱりポストアップが有効に機能するという結論に戻ってしまいます。

シューターとのスクリーンからポストアップし、カットプレーと3PをアシストしながらもFG50%オーバーの力を見せつける。

 

そんなオールドタイプのPFに戻ることこそグリフィンの生きる道な気がしています。

 

「アウトサイドに広がって3Pの確率を上げながら、ドライブ力とパスセンスを磨き、ポイントフォワードになる」

って新しい要素を詰め込みすぎ。それよりもペリメーターを守れるディフェンスを磨く方が優先なんじゃないの。あと順調に減っているリバウンド数も考えもの。センターと競合しているとはいえ、チームとしてはリバウンド数は多くないよ。

 

見直してみると良い選手のグリフィン

クリス・ポールからの独り立ちは、その連携がなくなったことよりも、新しい仕事を求められすぎてチームシステムもプレーエリアも変更させられたことが大きく響いていそうです。

PFタイプをセンターにコンバートするような、ポジションアップが現在の主流にもかかわらず、逆のコンバートを求められているグリフィン。凡庸ではない能力はどんな形で発揮されていくのでしょうか。

3Pの確率、トップでのプレーメイク力は大きな課題だけど、ポストでのアシスト力、突破力に陰りはありません。そこをどのように融合させて最適解を求めるのか。クリッパーズが諦めた融合をピストンンズが完成させるのかどうか。

 

ブレイク・グリフィンの独り立ち” への16件のフィードバック

  1. グリフィンのデビュー時はシャック級のインサイドプレイヤーになると思ってましたが、結局、アントワンウォーカーになっちゃった感じがして残念でした。
    自分も管理人さんと同じように、ポイントフォワードよりもフィニッシャーに徹した方がいいと思ってます。

    1. デビュー当時と違って今ならグリフィンのサイズでセンターやるのに違和感もなく、かつあのスピードが活かせると思うんですよね。
      アンソニー・デイビスになれないかなぁ。

  2. グリフィンがボールダムダムする度に違うだろ、と頭の中で突っ込んでしまう、、、

    NBAハマった理由のうちの一人なんでどうにかまた輝いてほしいです。

    1. ダムダムして突破するタイプじゃないだけに尚更。
      輝けそうで輝けていないですね。

      アーロン・ゴードンに近づいている。

  3. レジジャクがいなかったからハンドラー的な役割を求められてたと思ってたのが、ケイシーからは本格的にそっちを求められてるようでちょっと困惑です。ドラフト含めガードはいっぱい獲ったのに!

    印象ベースですけどドラモンドとの共存がうまくいってない感があるのも不安です。ドラモンドがいない時間帯はこの記事にあるようにセンターとしてやってる感じでしたけど。若干話がそれますが、エレンソンが成長してなくてルアーは出遅れそうなのでビッグマン2人分をどう回すのかがとってもたのしみです……

    そしてディフェンスへの切り替えをもっと早くしてほしいです。

    1. それですよね。ガード増やしてフィニッシャーさせるのかと思いきや、ポイントフォワードって何だよ!?
      ドラモンドがストレッチ5に徹するなら、理解は出来ますが、それドラモンド不要じゃないか・・・。

      グリフィンに限らずクリッパーズ勢は切り替えが遅い。クリス・ポールの呪いみたいな。

      1. ストレッチ5となると、トリバーと再契約できてれば無理なくでききたはずなのにと思わずにはいられません……しかしストレッチしているのはジョスミのサラリーという……

        1. トリバーが残っていれば何も問題はなかったけど、サラリー的にも難しければ、HC的にも難しかったですね。
          ピストンズのフロントがお金をかけるところを間違えただけでなく、諦めも早いという評価しがたい例示かな。

  4. 若い頃のグリフィンはインサイドでゴリゴリ得点してたんですけどね・・・

    関係のない質問ですが、イリーガルディフェンスルール廃止・3秒ルール追加、ハンドチェックについてのルール変更、の以前と以後ではどちらの方が得点するのが難しいと言えるのでしょうか?

    1. ハンドチェックは明らかにオフェンス優位になりますね。それはもうコービーが怒るくらい。

      イリーガルから3秒への変化はディフェンスの選択肢を増やした良い面があるのですが、ディフェンス3秒をコールされることが結構あるのでフリースロー分で取り替えされていないか疑問です。どこかに「イリーガルディフェンス」のコール回数と、「ディフェンス3秒」のコール回数の差異が載っていないですかね?

  5. ポイントフォワードのような役割については、ドックも早い段階から指摘していたので、ピストンズで開花するとは私も思えません。ボールハンドリングが下手なので、ペリメーター付近で持ってもあっという間にダブルチームで囲まれて苦し紛れに出したパスをカットされてしまう場面も多かったように思います。持ち前のパワーでインサイドは強いのですが、ケツでゴール下まで時間かけて押してってファールを引き出そうとしながらシュートを打つことが多く、リズムが悪くなりがちでした。しかもドレイには完封というイメージ。
    また、第4Qには沈黙することが多く、厳しい時に決めてくれるのははやっぱりCP3かジャマクロで、この勝負弱さも課題だと思います。ファンだからこそグリフィンには思うところが多いのです。長文失礼しました。

    1. グリフィンは多彩ですが、通常ポイントフォワードにする理由って「視野が広い」「判断が早い」だと思うのですが、そこは当てはまらないと思います。
      そして逆にポストでゴリゴリもまた違いますね。ミスマッチならともかくスピードが死んだら意味がないし、ポストからこそパスを出して欲しい。
      まぁグリフィンの責任だけではなく、ジョーダンが邪魔だったのもあります。1on1ならそう簡単に止められないし。

      1番の問題はスタミナ切れ。あれだけパワーを使うなら致し方ないのですが、ポイントフォワードにしたら尚更疲れそう。
      ちなみにラプターズは目立たせる選手をQごとに変えてきます。ところが4Qになると、やっぱりお疲れ気味でした。
      4Qまではポストからパスを回すような省エネ出来る使い方が正しいと思います。

  6. 考察が深い記事でいつも勉強になります。
    今シーズンのグリフィンはプレーの幅を広げようとした感がありますね。
    しかしそれによってグリフィンの良さが消えてたような…
    時代に逆行してるかもしれませんが、ミドルでのキャッチ&シュートと、フェイクからの力強いドライブに集中させた方が相手としては嫌だと思うのですが…

    1. ミドルでのキャッチ&シュートと、フェイクからの力強いドライブ
      これをやればグリフィンは強いですし、あとは合わせのフィニッシュを増やしてFG52%くらいにはしたいです。

      あとはパスアウトから3P40%を引き出せればチームとしては高確率になるのですが。

  7. じゃあピストンズはどうしろって言うんですか(半ギレ)
    ドラモンドが好きなので彼がいるうちにまたカンファレンスファイナルくらいまで行ってほしいんですけど、どんどん迷走していてつらい。

    1. なんでピストンズファンに半ギレされるのかよくわからないけど、普通に元々のグリフィンらしく使えば良いかと。
      ちゃんとPGがいて、シュート能力のあるウイングも複数いるので。
      ドラモンドと併用する時間を短くするジャズ式が向いているかな。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA