50-40クラブ in ウィザーズ

FG50%、3P40%、そしてFT90%はシューターの誇り。そんな選手を揃えたらチームは強いのか。

「オフェンスの効率性とはFG%の高さだ」派閥からすると、FG50%-3P40%をクリアした選手は著しく素晴らしい選手になるだろう。それはシューターからすれば自身の価値を高く知らしめる大きな基準になるはずだ。

※50試合以上出場、3P平均2本以上で検索

 

16-17シーズンの達成者は2人だけ

オット・ポーターjr

ゲーリー・ハリス

 

15-16シーズンも2人(カリー・レナード)と各シーズン1人か2人程度だった。3Pアテンプトが多くなってきた部分も含めて、かなり難しい記録だといえる。

そんな達成するのが難しい50-40だが17-18シーズンは5人の選手が達成した。

オット・ポーターjr

イート・ワン・ムーア

ケビン・デュラント

カール・アンソニー・タウンズ

マイク・スコット

 

センターであるタウンズが3P40%をクリアし、デュラントは複数回の受賞となり、ロールプレイヤーのムーアとスコットが名前を連ね、そしてオット・ポーターは2年連続の受賞となった。5人も達成するのは珍しいが、3P2本以上を緩和してくと更に3人増えてくる。

 

トーマス・サトランスキー(1.4本)

ホセ・カルデロン(1.7本)

ヨナス・バランチューナス(1.0本)

これでセンターは2人となり、単なるシュートの上手いビックマンではなく、優秀なシュート能力を誇るビックマンが増えてきたし、バランチューナスや前年のガソルのように本質と違うからこそフリーで打ちやすく結果を残すセンターもいる。

 

ガードでもアテンプト自体が少なかったカルデロンはともかく、サトランスキーまで達成しているのは興味深い。これでウィザーズはエリートシューターの証のような50-40を3人が達成していることになり、「オフェンスの効率性とはFG%の高さだ」派閥はもっとウィザーズに注目するべきであったはず。

なお、かつてブレイザーズのメイヤーズ・レナードはFT90%も含めて契約更新前年で達成し、大型契約を手にしている。

icon
icon

◉ウォールが悪いのか、ウォールが偉いのか

 

サトランスキー、オット・ポーター、マイク・スコットの3人は全員がEFG58%を超える超高確率トリオである。同時にコートにいるときのウィザーズのオフェンスレーティングは111.4もあり、ディフェンスも102.5と優秀だ。

にもかかわらず、ウィザーズがオフェンスで威力を発揮出来なかったのは他の選手が悪いのか?

 

ビール FG46.0% 3P37.5%

モリス FG48.0% 3P36.7%

ゴータット FG51.8%

スコアリングリーダーのビールもハンドラーとしては良い数字を残している。モリスとゴータットのインサイドコンビも(インサイドとしては物足りないが)チームのFG46.7%を上回っている。つまりウィザーズは全体としてFG%の良い選手が揃っている非常に優秀なシューティングチームなのだ。

 

ウォール FG42.0% 3P37.1%

3Pの確率を上げてきたウォールだが、FGはスターターの中で唯一悪い数字といえる。ビールに次ぐアテンプト数にもかかわらず、チームの顔が結果を残せていないのだ。

なんだ、ウォールが悪いのか。

他に悪いローテーションプレイヤーはウーブレイくらい。交代要員のベンチ陣は軒並み酷いけど。

 

そこでそれぞれのオフェンスレーティングを観てみると

〇オフェンスレーティング

ウォール 109.1

ビール 107.6

ポーター 109.6

モリス 107.0

ゴータット 106.9

サトランスキー 107.4

スコット 106.4

 

やはりウォールが必要、ウォールありきのチームである。

ウエストブルック同様に全てのオフェンスを司るウォールで成り立つチームなので、ウォールのいない時間に非常に苦しんでしまう。ウォールのオンコート時はチームのEFGが53.7%とポーターに次いで高い数字になる。ウォール自身の成功率が高くなくても、チームの数字を引っ張り上げることが出来るウォールがいなければ成り立たないチームなのだ。

ウォールのパスから2P51.7%、3P39.4%が決まり、チームで最も高いFG%を生み出すパサーでもある。結局はウォールが偉いのだ。

◉サトランスキーは優秀な「何」か?

 

これだけのメンバーを抱えながら

FG 46.7%(11位)

3P 37.5%(4位)

アシスト 25.2(4位)

レーティング 106.9(14位)

なんていう摩訶不思議なオフェンススタッツを残したウィザーズ。主な理由はシーズンの半分を欠場したウォールのケガとベンチの弱さなわけだが、サトランスキー、ウーブレイ、スコットはベンチなのだから、もう少しなんとか出来た気もする。

そんな中、サトランスキーはウォール不在時にスターターPGとしてプレーし、チームの勝率を5割でキープさせた。それは素晴らしいわけだが、50-40の選手であれば「ウォールのパスから得点させる役割」も担わせたいところ。つまり、もっとシューター的な役割を増やすべきだった。ところがシーズン通してウォールのパスからは、僅か14本しかシュートアテンプトがなかった。

 

ウォールとサトランスキーが同時にコートに立ったのは、19試合124分のみ。ある意味非常に勿体なかった。PGとしてバランスの良いゲームメイクが出来、それでいて高いシュート能力を誇るのだから、コンボガードとしてもっと活用したいところ。チームメイトのシュートを生み出すウォールと高確率で決めるサトランスキー。その特徴はシステムをいじってでも活かす意味がある。

新シーズンはガードポジションをウォール、ビール、サトランスキーの3人でタイムシェアするのが良さそうだ。「2ポジション3プレイヤー」の形はケガ人発生時にチーム力をキープしやすく、プレーオフまで繋がる効果的な布陣である。PGでもありシューターでもあるサトランスキーをベンチに抱える優位性を存分に活かしていきたいし、ウォールと全くタイプの違うPGだからこそ変化のついたゲームメイクがみれそうだ。

サトランスキー、ビール、オット・ポーターのユニットを重視しておき、ウォールの時間は他のシューターとハワードを活用することで、チームのEFGを大きく上げる事が出来るはずだ。もちろんウォール自身のFG%の向上も必須。

 

しかし、このチームはリバース息子を加入させてしまった。3Pは向上したけどFG42.4%、3P37.8%の選手とサトランスキーのどちらがウォールに合うと思う?

そしてもう1人の50-40のマイク・スコットはクリッパーズが獲得しましたとさ。

 

リーグに8人しかいない50-40クラブの3人が所属していたウィザーズ。1人は移籍し、1人はプレータイムを失いそう。アスレチックなセンターは獲得したけれど、やっぱり何だか釈然としないウィザーズフロントの動きでした。

icon
icon
◉オット・ポーターjrは成長できるのか

リーグで最も知られていない優秀な選手なのかもしれないポーター。堅実性だけならばデュラントクラスであり、2年連続で50-40を達成している。3Pの割合も多いにもかかわらず、しっかりと決める能力に加えて、フィジカル面も備えており、ウイングプレイヤーとして求められる資質を全て備えている。

ネッツは昨年のオフに超大型契約を提示したが、ウィザーズは直ぐにマッチして残留させた。いわゆるネッツ砲の被害者となったウィザーズはまともな補強が出来なくなってしまった。

 

欠点のないポーターだが、高いサラリーに見合うだけの活躍はしていない。本来はより自分自身でプレーをクリエイトし、確率が多少下がってもシュートアテンプトを増やし、得点を量産する必要がある。昨シーズンの最高は29点が2試合、最低は2点が2試合ある。これでマックス契約は割に合わない。

 

一方でウィザーズのシステム的な問題も絡んでくる。ウォールの突破力を中心にしているため、インサイドを広く保ち、ウイングでスペーシングしている機会が多くなる。しかも、片翼にはビールがいるためポーターのためのセットを組まれることが殆どない。これだけの確率を誇りながら、ポーターのためのセットがないのは非効率的だ。

ウォールがシーズンの半分を欠場していたにもかかわらず、平均14.7点に留まってしまったポーター。おそらくネッツに行っていればウイングシューター兼スコアラーとして、もっと大きな役割を与えられただろう。ウィザーズの中でも、いつまでもサードオプションでいるわけにはいかない。

 

求められるのはチームの中での存在感を増すこと。自分用のプレーメイクを増やさせることである。それらはHCの仕事でありながら、自己主張でもある。2013年のドラフト3位はオラディポに続くブレークを果たす必要がある。

高い効率性を2年連続で示したポーターは、効率よりも量を求めるべき新シーズンに挑む。

 

50-40クラブ in ウィザーズ” への26件のフィードバック

  1. オットポーターは消えてる時間が長いんですよね。ハンドラーしないからというのもありますが、試合丸ごと消えてるときがある。

    一人でオフェンス作れないからかなと思うし、ウォールがそういうタイプなので遠慮しているのか、ほんと20億越えを感じさせません。今期は存在感抜群のセンターが来ましたので、良い意味で役割の明確化とそれによる活性が期待出来ないものかと期待します。

    1. ウォールの突破力を活かすのがベースになるのか、
      ビール、ポーター、ウーブレイ、モリス、ハワード全てにやらせるためのコントロールPGになるのか。

      結構システム的に悩みます。少なくともハワードはポーターに良いパスを出してはくれないから、しっかりとセットしないと数字を落としそう。

  2. いつも気になってたんですけど管理人さんがデータを閲覧する際はどのサイトを使用しているんですか?
    自分でもきになる時調べられるといいので、ぜひ教えてください

    1. それは私も気になっていました。
      サイトの紹介と数字からどんな見方ができるのか記事にしていただけたら嬉しいです。

      1. 横から失礼しますが、NBAは公式サイト(NBA.com)に詳細スタッツが無料で公開されてます。あとはBasketball referenceが軽くて見やすいです。

        1. です。基本的に公式サイト(日本語版じゃなくてhttps://stats.nba.com/)から数字をひろう。

          選手単位、チーム単位などそれぞれで観れる数字が違うので、ポチポチいろいろ調べて探し方を学んでいくしかない。
          基本は試合を観ていた印象から、それがデータと合っているのかどうかからスタートします。

          なお、ウィザーズは印象と数字が大きく違うチーム。

          1. 返信ありがとうございます。
            公式なのにソート機能はあまり充実していないんですね。そこは探し方を学んでいくしかないのでしょうね。

            匿名さんもありがとうございます。Basketball referenceの方も見させていただきます。

            今年は観戦の幅を広げるんだ!

  3. いつも面白い記事ありがとうございます。
    ウォールとサトランスキーがオンコード時、サトランスキーがシュートを打つこと自体はやはり少なかたったですね。やはりシステムの問題ですかね。いい選手が居るだけにシステムで損してるように感じます

    1. 難しいのはブルックスHC就任当初は「ウォールを活かせていない」チームだったので、それが出来るようになった今のシステムが正しい方向性だったことですね。
      ところが全体のFG%が上がったから、もっと違う戦い方がある気がしてきた。

      HCもウォールも変化することに納得しないと上手く行かないでしょう。

  4. やり方次第ではファイナルも夢じゃないと思うんですけどね・・・。
    衰えが目立つゴータットをリバースと交換出来たと考えれば悪く無いと思いますが、確かにサトランスキーとの兼ね合いはあります。
    サトランスキーはキャッチアンドスリーを昨季50%以上の確率で決めました、管理人さんの言う通りウォールと同じ時間帯でもっとプレーさせたいですね。

    1. 立派に豪華メンバーですからね。成熟度をどうやって上げていくのか。
      ブルックスがKDとラス君任せみたいなことをやり始めるのが、頭の痛い部分です。

      ウォールもビールもそういうタイプじゃなくて、もっと効率的なシュートを決めるチームオフェンスが徹底の方が好きそう。

  5. 攻守において、オールラウンダーなトップ選手(レブロン、KD、レナード)とコンビを成して、チームを作る場合、プレースタイル的に一番合いそうなもう1人のオールスター選手はどのようなタイプがいいか?

    ウォリアーズはカリーなどもいるので置いておいて、レイカーズやラプターズにおいて、今のレナードorレブロンのポジションに代わりにレブロンor KDorレナードが入るとしたら誰が一番フィットするかなどを解説していただいたら嬉しいです。(すごく自分勝手な質問ですいません。面倒でしたら、放置してもらっても構いません)

    1. じゃあ放置で。笑
      ラプターズはそれに似たテーマで書こうと思っています。レナードがいるということがどんな変化をもたらしそうか。

  6. ハワードがいることで外してもまた得点のチャンスを作れるのはメリットですね。
    でもゴータットがスクリーンで空けていたスペースをハワードが居座ってしまうことでウォールがやりづらくなるんじゃないかって心配です。
    でも最近のハワードのプレイはよく知らないのでいい方向に変わってたらいいんですけど…
    ホーネッツファンの知り合い曰くハワードは昨シーズンから減量してよく動くようになったとか

    1. ハワードはちゃんと走るようになりました。その点は向上しているのでリバウンドへの参加数は以前よりも良いはずです。
      しかし、ポジショニングは相変わらずだし、スクリーンの後に何をするべきか、あまり理解していません。

      ウォールのハーフコートはやりにくくなるでしょう。だからポーターをより活かしたい感じです。

  7. スコットブルックスは個人で打開できる選手を好むHCだと思うので、サトランスキーよりリバースのプレイタイムを優先しそうですよね(リバースもプライド高そうだし)。ただ、サトの効率性とDFでの貢献度を考えると勿体なさすぎます。トレードの駒とかにされそう汗
    ポーターの得点upは皆が考え方を変えないと厳しそうです。

    1. ウォールが不在で困った時にビールの突破で何とかしようとするのは苦しかったです。もう少しボールムーブでなんとかしたいので、HC交代しても良かったですけどね。
      リバースはねぇ。オフボールで突っ立って、ボール持ったら個人勝負しかないので、下手すると周囲はもっと消えてしまいます。
      他にもう少し良いトレード相手いなかったのかなぁ。

      ポーターは他のチームに行った方が活躍しそうなのが残念です。1年前はオフボールでのコンビプレーもよかったウィザーズなのに、忘れられちゃいましたね。

      1. ウォール、ビールの負担があまりに大きいのでリバースが軽減してくれるかなと期待してたんですけど、ワンマンすぎるとダメですね汗、トロイにもプレイタイムあげてほしいですし、バックコート布陣のプレイタイムをどうするのか楽しみです。

        契約延長前のCSFはポーターにITがマッチアップしてて、点取ってたんですけどなんせ消えてら時間が多い。ウーブレが成長したらトレードになるのかなと思ってましたけど、なんせサラリーがやばい(ネッツ砲め、、、)ので引き取り手があるかは微妙なとこですよね。

        1. 本当はポーターをしっかりと育てて、3人のオールスターにするのが最良ですが、フロントにもHCにもウォールにもその余裕がないのかなーと思っています。

  8. 采配次第でカンファレンスファイナルくらいには辿り着けそうな一方で舵取りミスるとPO進出すら逃しそうなギャンブルチーム感出てきました

    1. それはそうですが、昨シーズンの時点であまりに強くてギャンブルで勝ち進みそうだったのが、ちゃんと守ろうとしてプレーオフにすら進めず。
      だから諦めて一か八かの勝負という感じです。

  9. 昨シーズンよりは選手層が厚くなり期待出来ると思うんですけどね。
    ただ3番か4番の控えがもう一人欲しいところですね。
    ポーター、ウーブレイ、モリスはプレイに波があり不安があります。
    若手のロビンソンとブライアントに期待したい。

    1. インサイドで起点になれるパサータイプが欲しいです。もう得点タイプは要らないから、繋ぎ役とディフェンス役が必要かな。

  10. リバースって普段活躍しない癖に時々頑張るので全くの無能ってわけでもなく
    かといって確実に給料に見合った活躍はできてないのと、息子ってことでLACが勝てないスケープゴートにされてる印象ですけど
    ウィザーズは彼を獲得した意味ってあるんですか?

    1. ゴータットを放出したくて
      ・サラリーバランスが合う
      ・契約が残り1年
      という条件でトレードに応じてくれる相手が殆どいなかったのだと思います。

      ドラフト指名権を放出しないでトレードできたことに意味があった感じかな。

匿名 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA