ニリキナ、ムディエイ、トレイ・バーク。活躍度と期待度が反比例している3人
ニックスはHC交代により大きな変革がもたらされます。ホーナセックとフィッツデイルは対照的なHCであり、それ故にビーズリーやオクインといった戦術的に不要になりそうな選手との再契約を見送っています。
ホーナセックニックスの特徴は3Pアテンプト23.3本(29位)という少なさであり、その一方でミドルレンジは22.5本(1位)と非常に多い、典型的なミドルレンジチームです。しかし、その点についてさほど批判的にならないのは、チームとしてしっかりと連携しているからでした。
320本(6位)のパスを繋ぎ、23.2本(13位)のアシスト、17.1回(3位)のエルボータッチはスペーシングの意識が低いチームとしては、かなり頑張った数字といえます。高さとシュート力のあるポルジンギスを上手くいかしたといえますし、カーメロの流れともいえます。
一方でハードワーカーの踏ん張りで、13.4点(7位)のセカンドチャンス、46.7点(9位)のペイント内得点があった事は、実質的にこの戦術を支えていました。ミドルが落ちても押し込む形は、カンターが一人で踏ん張ることも多く、戦術的だったのかどうかは怪しいですが、前年はノア、その前はロビン・ロペスが同じ仕事をしています。ホーナセックのお好みである事は間違いありません。
ノアはウルブスに行くのかな?
新HCのフィッツデイルはキャリア8年で66本しか3Pを打ったことがなかったガソル弟に268本の3Pを打たせました。センターも含めて大きくスペーシングし、ドライブ&3Pを基本にしたチームで、ミドルは17.5本、パスは303本とホーナセックよりも少なめになります。
ただし、これらはNBA全体で観ると少ないとはいえず、ガソルとコンリーの2人で多くのパス交換をし、ミドルのジャンプシュートも遠慮なく放ちます。またオフェンスリバウンドを捨てるわけではなく、トニー・アレンやジャマイカル・グリーンがアウトサイドから飛びこんで積極的に拾っていきました。
なお、ガソルはフィッツデイルがいなくなってから、さらにアテンプトを増やし、チームはセカンドチャンスが減るなど、同じようでいて微妙なバランスの違いが目立ちました。
PGのパスから全体にボールを供給し、ミドルレンジの合わせでシュートを打つ、そしてインサイドにハードワークするビックマンというのがホーナセック
PGとセンターの2人連携で崩し、シュートまで繋げる。ディフェンスが収縮したら、そこからワイドに展開し、今度は空いたスペースにウイングから飛びこませるのがフィッツデイル
PGの役割とインサイドの使い方に大きな差がある両HCです。
フィッツデイルは典型的なスペーシングオフェンスを好み、多くの選手に「ゴール下か3Pか」という選択肢を求めます。ただし、エース達にはもう少し自由が与えられ得意なプレーを出すことを推奨しています。ただ、ちょっと推し量れない部分があって、ザック・ランドルフがいたことでフィッツデイル流とは少し違うスタッツを記録していたと思います。
同じようにポストアタックの強さが光るカンターをランドルフ的に起用する可能性もあります。
The ultimate underdog and a true spark plug. Give it up for our very own…Happy Birthday @StarksTheDunk! 🎊🎈#NewYorkForever pic.twitter.com/bMD526mWin
— NEW YORK KNICKS (@nyknicks) August 10, 2018
予想されるのはポルジンギスの使い方の変化です。よりアウトサイドで構えさせ、そしてガードとのパス交換を増やすことになるでしょう。ただ、シーズンのどのタイミングで戻ってくるのかわからないので、それはいつかそのうち戻ってきたら考えましょう。
問題はPGをどう活用していくのかです。コンリーほどのゲームコントロール能力があるPGはNBAを見回しても殆どいないため、同じレベルで考える事は出来ません。
元ヒートのACであるフィッツデイルとスポルストラには共通点が多く、おそらくヒートに近い形をとるはずです。それは次々にハンドラーを交代させて、オフェンスパターンに変化をつけていくこと。ヒートもまたセンター以外は3Pとドライブをする選手で構成しています。
ドラギッチという素晴らしいPGがいるけど、ハンドラーを随時変更していくのはシーズンでは有効な戦い方でした。試合の中で数回しか出てこないパターンに準備をしてくるチームは少数派のはずです。
そんなわけでニリキナ、ムディエイ、トレイ・バーグという3人は代わる代わるハンドラー役を務めることが予想されます。3人の昨シーズンのスタッツを確認しましょう。
ニリキナ | ムディエイ | バーク | |
MIN | 21.9 | 19.4 | 21.8 |
PTS | 5.9 | 8.6 | 12.8 |
FG% | 36.4 | 38.8 | 50.3 |
3P% | 31.8 | 31.8 | 36.2 |
FT% | 72.1 | 76 | 64.9 |
AST | 3.2 | 3.2 | 4.7 |
TOV | 1.7 | 1.8 | 1.2 |
【ムディエイ】
イメージに反してニリキナとムディエイには殆ど差がなく、得点能力でムディエイが上回ります。ニックスにきてからのムディエイは周囲との連携が全く合わず、パスの出し所に困っていました。スペーシングと動きの連動で勝負していたナゲッツとはシステムがあまりにも違いすぎたといえます。
ムディエイに関しては様々な問題がありますが、能力的な側面では
3Pが打て(ニックスに移籍したら決まらなくなった)
ドライブのスピードがあり(タイミングは外せないから抜ききれない)
アシスト能力があります(ターンオーバーも多い)
問題はドライブからのフィニッシュが下手なこと。かといってストップジャンプシュートも決まらない。期待されながらもマレーにポジションを奪われた理由は、シュート能力とセレクションに大きな差があったからです。
フィッツデイルはセンターをアウトサイドに出してきてパス交換を促し、ウイングは大きく開かせることが多いため、インサイドでのイージーシュートが増えて確率が上がる可能性はあります。おそらくそれが出来て初めてムディエイは自分のプレーを使い始めることが出来るはず。生命線になる分岐点。
ムディエイにはプレーしにくかったホーナセック流のインサイドが堅いシステムよりも、よりオープンスペースをスピードで動き回れるフィッツデイル流は合っているはずです。しかし、安定感のなさこそがムディエイなので成功する可能性は50/50くらいかな。
ハイライトだけ観たら良い選手という典型的なパターン
【トレイ・バーグ】
素晴らしい成績を残したトレイ・バーグは、フィッツデイルでもプレーしやすいはずです。
スピードとシュート力を武器にするのに適したシステムであり、ドライブでは自らリングへアタックするだけでなく、コートを横断するような崩しのプレーも効果的に使える気がします。しかし、言うまでもなく課題なのはミドルレンジの確率。昨シーズンみせたプレーをシーズン通して継続できるかどうかです。
スペーシングされていなかったとはいえ、ホーナセックがミドルを打つことを推奨するようなHCだった事は有利に働きました。インサイドまで侵入しやすくなってミスが増えるのであれば、ミドルを打った方が特徴を活かしやすかった可能性もあります。
トレイ・バーグのシュートセレクトはコンリーと割と似ています。もっともスピードではなく、緩急とテクニックで抜いて行くコンリーなので、プレーそのものは大きな違いがあります。
コンリーのようなゲームコントロールに優れているわけではないので、ある意味「エースのワガママ」という部分を貫き通せるだけの得点面での結果が必要です。
【ニリキナ】
ニリキナはシーズン前半はジャレット・ジャックの真似事をして、パス回しに徹したことがチームを良い方向に導き、ディフェンス面で貢献したことが印象的でした。しかし、ポルジンギスのケガとトレイ・バーグの台頭により、そのプレーが正しかったのか、もっと積極的に行くべきだったのではないかという疑惑が浮上してしまいました。
ニックスは「ニリキナを育てる」ことをHC就任の条件にするなど、その才能を重要視しています。3人の中で最も結果を残していないけど、地位は安泰です。
改善すべき点は多くあります。多くというかほぼ全てです。その中でも注目したいのはアシストの部分で、ニリキナはインサイドへの合わせが上手いタイプです。これはよく言えばの話で、実際にはフロアを広く見渡してアシストする能力が低いのでした。つまり視野が限定されている。
シュートやドライブは少しずつ改善されていくとして、フィッツデイル流ではパスをワイドに振れないのであればチームを機能させることが難しくなります。ニックスはスピードのあるビックマンが不足しているので、スペーシングで合わせがなくなるとニリキナは困ってしまうかもしれないのです。
まぁ正直アメリカに来てホーナセックでプレーして、そこからフィッツデイルに交代するって頭の中の整理が大変だと思います。ダンクやレイアップがシュートの20%しかなく、ほぼジャンプシュートになっていたニリキナは、まだその能力が未知数の部分が大きいです。大化けする可能性も、少しずつ改善する可能性もどちらもありますが、悪くはならないでしょう。
3人に共通していえることが運動能力のあるタイプなので、フロアを広く使ってインサイドでのイージーシュートを増やせることは大きなメリットがあります。ある意味、既にミドルで結果を出しているトレイ・バーグが最もそのメリットを享受出来ないかもしれません。
PGがトップの位置から両ウイングにパスを供給することから始まるホーナセックに比べると、ピックに来るセンターとのパス交換などショートパスとドリブルで自分が切り崩すことを求められるフィッツデイルは、ハンドラーの能力を求めることになります。
それを複数のハンドラーで変化をつけていくので、2人が同時起用されることもあるでしょう。ハーダウェイと4人で2つのポジションかも。トニー・アレンではなくマリオ・チャルマーズを選んだようにハンドラーとしてのスキルを求めがちなHCでもあります。
グリズリーズでは前任が全く若手を育てなかったこともあり、多くの有望ではない若手を集めてテストしていったフィッツデイルなので、育成しながらじっくりチーム作り出来る環境はやりやすいかもしれません。3人のPGも短期的な結果ではなく、長期的な成長を求められるでしょう。
The Hoya Destroya. The Ultimate Warrior. One time for the legend 3️⃣3️⃣, Happy Birthday @CoachEwing33! #NewYorkForever pic.twitter.com/Fo8zPgs3Sj
— NEW YORK KNICKS (@nyknicks) August 5, 2018
ニックスのシーズンプレビューって、この内容で70%終わりな気がしてきた。
ニックス編待ってました!
ありがとうございます!
PGはバーグがスタメンでしょうが、コート上の選手とバランスみて使っていきそうですよね!
ニックスファンからすると、ニリキナはルーキーながらレブロンに刃向かっていく気の強さが気に入ってます(笑)昨年は大豊作過ぎて全然目立って無いですが、ディフェンスはNBAでも通用することはわかったと思います。%が低いのは10代ルーキーという事でこれからに期待。スタイル違うけどコービーも低かったと言い聞かせてます(笑)
今年のルーキーのノックス、ロビンソン、アロンゾも期待大なので、KPが戻るまでになれてもらって今年こそ念願のPOを夢みてます。
ともあれ、フィッツデールがどんな采配で若手を育てていくかにかかってる気がします。
フィッツデイルもフロントも長い目で見ると思うので、スターターとかベンチとかあまり関係ないでしょうね。
ある意味捨てても良いけど、選手の意識と戦術を変えなければいけないシーズンになります。
あまりフィッツデイル向きの選手が揃っていないこともあり、ひとつひとつ整理すると思うので、PG達もコロコロ評価が変わるかもしれません。
コービーの時代はあれで良かったけど、より高いオフェンス効率を求められるので、ニリキナは時間をかけて育てましょう。
カンターが3Pの練習している動画が出回ってたのでそこも気になります。
まあ練習だけならマギーやハワードでもバカスカ3P決めてる動画もあるので眉唾ですけど、、、
お前はそこじゃないだろ!と言いたくなります。
ただカンターが他の選手と違うのは、そもそもシュートが上手い。フリースローの確率が85%近いので、良いシューターになれると思います。
3Pからリバウンドに参加出来ないということだけ。
来年NYKかBKNでアービングとバトラーが合流するなんて噂があるんで今季はシーズン中のトレードがメインディッシュです。
どうせオールスターくらいまでポルジンギス休むだろうし。
ネッツには来て欲しくないので、ニックスに差し上げます。
そしてフィッツデイルには合いそうなコンビでもあります。
ニリキナもディフェンスしていれば良くなるし。
ネッツだとシステム的にバトラーが納得しないだろうな・・・
コンリー書いて!昨シーズンは怪我でデータ少ないと思うけど。
シーズン始まってからのお楽しみ