20171026 ホーネッツ vs ナゲッツ

1勝2敗同士の「あれっ?なんかおかしいぞ」対決です。まずはそれぞれのおかしい所を確認します。
ホーネッツはハワードを獲得しました。近年は成績低下と言われていますが、プレータイムを減らされた事にも要因があり、ホーネッツでの復活が期待されました。
◯ドワイト・ハワード
FG63% 17.3リバウンド
2.3ブロック
モンスタークラスに活躍しています。「補強は大成功!他の選手が頑張れよ!」ならば話は早いのですが、
◯ターンオーバー 昨季11.5
チーム 17.3
ハワード 3.7
◯フリースロー 昨季81.5%
チーム 71.6%
ハワード 21.1%
どちらもリーグトップだった数字が悲惨な事に。なお、ハワードも悪いけど他の選手も悪いです。バックス戦ではハワードへのパスを何度もカットされました。派手さはないけどミスが少なく地道に得点していたチームスタイルは崩壊しています。
「ハワードはハワードとしてのモンスターっぷりを発揮しているのに、チームは悪くなった」
これがホーネッツのおかしい所。



昨季はヨキッチシステムでリーグトップクラスのオフェンス力を誇り、各メディアで高順位を予想されるなど今季の躍進が期待されるナゲッツ。何でも屋さんのミルサップ獲得でオフェンス力はそのままに課題だったディフェンス力上げて勝ちに行きました。
◯レーティング
オフェンス 101.0 昨季110.0
ディフェンス 101.0 昨季110.5
結果は単なるディフェンスのチームに変貌しただけです。特にミルサップの存在は顕著に。
◯ミルサップ出場時
オフェンス 94.2
ディフェンス 96.4
◯ミルサップ不在時
オフェンス 113.3
ディフェンス 109.3
3試合なので偶然かもしれません。偶然かどうかを確かめましょう。
なんせヨキッチもミルサップもちゃんと数字は残しています。
◯ヨキッチ
12点 10リバウンド 6.7アシスト
どこのポジションがわからないスタッツ。アシストは凄いけど、ターンオーバー4.7あります。キングス戦では30分シュート3本で0点なんて信じられないスタッツ残して勝ちました。
◯ミルサップ
18点 FG51.2% 7.7リバウンド
ターンオーバー 3.3
そんなわけでナゲッツも新加入は活躍しているし、ヨキッチシステムも機能してそうだけど、チームとしてはバランス崩壊して苦戦している模様。
「ミルサップで完璧補強したら、何故かディフェンスのチームになっちゃった」というおかしいぞ!



本来の構図はオフェンスのナゲッツvsディフェンスのホーネッツなのですが、どちらも迷走中です。お互いにターンオーバー減らそうぜ!とチームで話し合っているはず。
注目点はモンスターハワードvs万能ヨキッチ。旧来型センターvs現代型センターの対決です。ハワードも当初は動けるマッチョの新感覚センターだったはずですが時代遅れになったなぁ。
ヨキッチもプラムリーもコート全体を動き回り、ハワードがゴール下に留まることは許しません。ここはウエストだからね!それはリバウンド数が大きく減る事が予想されます。
一方でヨキッチは自由にプレー出来るから、ターンオーバー減らせるはず。代わりにディフェンスで痛めつけられてガス欠になるかもしれない。
そんな見所です。



エースは誰?
開始直後からヨキッチはコーナーからドライブしキックアウトしたり、PG役したりハワードを振り回します。ゴール下からハワードを動かすのでオフェンスリバウンドがとれるナゲッツ。
でもハワードもオフェンスリバウンドから得点をあげるなど、ゴール下の存在感を発揮します。簡単にヨキッチを吹き飛ばすぜ!
2人とも重要な役割だけど、チームのエースは誰かというとホーネッツはケンバです。ケンバが絡むと得点の気配が出るけど、絡まないと力技という感じ。要はホーネッツはケンバ以外に相手の裏をかくプレーを出来る選手がいないんだよね。



ナゲッツは機会均等オフェンスですが、フィニッシューとして優秀なゲーリー・ハリスがエースです。ところが全く目立たない。ウィザーズ戦ではFG1本のみに抑えられました。
互角のスタートでしたがヨキッチが下がると得点できなくなり、ケンバがプレーへの関与を強めたホーネッツがリードを奪います。
ミルサップを下げてヨキッチとプラムリー同時起用になると今度はナゲッツが一気に縮めます。面白かったのはこの時間明らかにペースが早くなった事。今季のナゲッツの問題の1つがペースが遅くなった事です。気持ちよくシュートしていない。
ミルサップが問題なのだろうと感じさせるに十分な内容でした。
ハリスが活躍できないのも、ここに原因がありそうです。



両チームが「なんかおかしい」理由がみえてくる1Qでした。ホーネッツはケンバしか相手の裏をかける選手がいない。だからケンバ押しの時間は良いけど、他の選手にボールをいっぱい回すと上手くいかない。
ナゲッツはミルサップが絡むととにかく遅い。小気味よくパスを回すのが持ち味なのに遅いからペースが乱れます。外から打たずに中に入ってしまうし。
2Qになってもその傾向は変わらず。バックス戦ではプレーへの関与が少なかったケンバだけど、この試合では積極的に絡むのでホーネッツは確率が上がります。
さらにカリパリが来ているからかモンクもシュートが決まり順調に得点を重ねます。ホーネッツのベンチ陣は上手くはないけど、それなりに裏をかくことは出来ます。前半はモンクとカミンスキーで26点とりました。
ホーネッツが大量24点リードで後半へ。



ハワードからみる両者の問題点
大量リードはホーネッツに余裕を生みミスを減らしました。ミルサップはイライラを募らせて、ナゲッツは追いつく気配0でした。
◯ハワード
15点 19リバウンド
FG57.1% フリースロー7/11
その要因はハワードがパワーでヨキッチを粉砕した事。無駄なファールをしていたけど、ポジション取りで吹っ飛ばすので削られるヨキッチ。
リバウンドが減ると予想したけど、27分で19は非常に多かったです。ナゲッツがFG38%と落としまくった事が最大の要因ですが、ナゲッツのオフェンスとの絡みもありました。



ヨキッチは自由に動き回りハワードを外まで連れ出します。そして周囲はオフボールでカットプレーをしてディフェンスを動かし、ギャップにパスを通すのがパターンです。
◯ヨキッチ
18点 FG72.7%
11リバウンド 0アシスト
ヨキッチは活躍しましたが、アシストはありませんでした。これはホーネッツがヨキッチへのヘルプは行かず、オフボールムーブをひたすら追い回したからです。1回だけ裏に通されました(ファールで止める)がマークはルーキーのモンク。甘かったという事です。
そうなるとヨキッチ対ハワードの構図になり、確率よく決めたヨキッチですがそこそこリングに近いのでリバウンドにも行けます。
ヨキッチはハワードを連れ出しましたが、チームとしては振り回す事が出来ませんでした。



◯ターンオーバー
ホーネッツ 14
ハワード 7
最大27点まで開き楽勝ムードが漂うと3Q終盤にナゲッツが一気に点差を縮めます。負けて元々で走ったのですが、原因を与えたのがハワードの安易なターンオーバー。
擁護するとそれまでターンオーバーは多いものの、異様に厳しくなったトラベリングとヨキッチを攻め立てポジションとったけどボールがこない3秒が殆どでした。これはまぁ仕方ない。
しかし、楽勝ムードになった時はドリブルミスから速攻に繋がりました。「お前がそれやってどうする?」というプレーで取られたわけです。さらにカミンスキーも続きました。
この2つのターンオーバーからナゲッツは走り始めました。
ターンオーバーをしない事で失点も減らして来たホーネッツなので、この安易なプレーはチームスタイルを崩すわけです。やられても取り返すスタイルじゃないので、ハワードのメンタルは不安要素です。



ミルサップがダメなのは何故か?
ヨキッチシステムは凄く効率的で3つくらいのパスで簡単にシュートに辿り着きます。シンプルだからこそ止められない。しかし、合いそうだったミルサップが何故ダメなのか?
ヨキッチがボールを持つと周囲はカットプレーをします。特にバックカットでリングにダイブします。
・リングにダイブ
・ディフェンスが収縮
・スペース作りアウトサイドのフリー
・ディフェンスローテーション
・ギャップにヨキッチがドライブ
こんな流れがメインです。簡単そうですが、実際にはボールが動き、仕掛けが早いからディフェンスは動かされています。個人の突破力ではないので、タイミング命です。
ミルサップは賢いプレーヤーではありますが、特にバックカットが遅く、始めの一歩が合いません。
またシュート力もあるのですが、完全に崩れた形でないと3Pを打たないため、アウトサイドに出て来たパスを受けるとドライブを選択しがちです。部分的に間違っていなくても、ゲーム全体としては非効率な選択が多くなります。
ミルサップがボールを持つとフェイクをいれてからのプレーが多くなり、そのワンテンポの差がナゲッツに合わない感じでした。
これが慣れで変わるかというと、ホークスの時もそんなプレーだった気がするので難しいかもしれません。



◯ゲーリー・ハウス
18点 3P4/9
それなりに頑張ったハリスですが、後半に13点をとり、その間ミルサップは2本しか打っていません。
ボールがヨキッチに預けられ、動かされたディフェンスの配置をみてフリーになります。距離関係なく小気味よく打っていきます。
元々、ナゲッツはヨキッチとハリスの時間に大量得点していました。高い戦術眼は必要ですがやってる事はシンプル。この小気味良いリズムが失われた事がナゲッツの悩みです。



理想形だったホーネッツ
ナゲッツが反撃した4Qをケンバが締めてリードを守ったホーネッツが勝ちました。
◯ケンバ・ウォーカー
19点 5アシスト
数字的には大した事ありませんが、バックス戦よりもプレーに関与する機会が明らかに増えました。別に裏をかけない事が悪いわけではないので、ケンバにマークを向けてからプレーする事がホーネッツのキーポイントです。これにインサイドでハワードが身体を張っていると更に効果的です。
◯マリク・モンク
17点 FG50%
やっと決めたモンク。ベンチからの得点もキーポイントです。昨季は期待できなかったので。ホーネッツはナゲッツと違い重いオフェンスなので、モンクが小気味良く決めると相手は非常にやり難くなります。小気味良く外すと意味ないの選手です。
ケンバとのコンビは攻撃的で良かったけどホーネッツらしさは消えるので6thマンでしょうね。



ケンバを中心に置きつつ、スタッツ的にはケンバに頼らないオフェンス。ターンオーバーが減り、フリースローもハワードが決めた事でチームで80%を超えました。
固いディフェンスとミスの少ないオフェンス。そこにベンチからのシューターによる得点。大活躍だったけどカミンスキーがあのプレーしていて良いのかは疑問ですが。
ホーネッツが描いていた形が理想的に現れた試合だったと思います。ハワードのターンオーバーとフリースローは絶対になくならない課題ですが、理想形が見えた事で気持ちよくプレー出来るはずです。



先が見えないナゲッツ
ナゲッツのミルサップ問題は非常に難しいです。本人は良いプレーしているし、連携が悪いというわけでもない。単にリズムが合わない。前任がガリナリでシンプルに打つタイプだったので、より堅実になったミルサップで上手くいかないというのは計算し難い。
しかもディフェンス面では効果があったのに、この試合ではそこも消えてしまいました。思い切ってミルサップを外すのも手です。ビッグマンは他にもいるし。
まぁこんな日もあるさ!と忘れるのが1番ですが、それが続くと解決に頭を抱えます。ジァミーア・ネルソンを放出してまでジェファーソン獲得した意味はなんだったのか?



大差になって試合としては面白くなかったけど、改善したホーネッツと問題が続くナゲッツを観れたのは興味深かったです。

20171026 ホーネッツ vs ナゲッツ” への1件のフィードバック

  1. いつも楽しく拝見させて頂いています。
    私もバスケのデータや分析好きなので、こんなブログをやってみたかった。
    でも、whynotさんほど上手く、深くはとても書けないでしょう。
    かなりの分析力と、バスケを知ってないと書けない内容。
    whynotさんは、本人がプレーするときも、さぞバスケIQ高過ぎの、玄人が見ていて楽しいバスケをされることでしょう。
    今回の記事も、面白かったです。
    数字では活躍しているミルサップの問題点、ナゲッツの首脳陣自体は分析できてるのでしょうか・・?
    何となくフィットしてない感は感じれるかもしれないですが、なかなか、的確に問題を見極めるのは難しそう・・。
    whynotさんをビデオコーディネーターとして雇えば、解決できるかもですねw(゜0゜)w
    これからも楽しく欠かさず見させていただきますm(_ _)m

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