何年経っても衰えないスパーズ。ロビンソンがケガしてタンクしてダンカンをドラフトしてから勝ち続けているわけで、恐ろしい事この上ないです。
先にお断りしておくと管理人はスパーズのシステムがよくわかりません。解らない理由は好きじゃないからあまり観ない事とその割には負けた試合を観る事が多めのため、何故勝っているのか理解出来ないから、そして何よりスパーズ自身が変わっていくからだと思います。
キングス以来のノープランでのプレビュースタートです。
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夏の動き
PGトニー・パーカーに陰りがみえ、さらにケガした事でPGを補強すると思われたスパーズ。補強候補はクリス・ポールやカイル・ラウリー。そして後にカイリー・アーヴィング。前2人なら間違いなくチームは強くなったでしょう。
そして違う意味でアーヴィングのいるスパーズも観たかったです。
戦術としてあの能力を絡める術があるのか?
PGのシュートが多くなっても成り立つのか?
そしてアーヴィングも変わるのか?
結果的にはミルズと再契約し、パーカーの復帰待ちにしました。困ったらジノビリPG作戦を発動するのでしょう。
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退団したのは、ベンチのドゥエイン・デッドモンとジョナサン・シモンズ。共に貴重なベンチメンバーですが、いなくなったところでまぁ、ね。
獲得したのはルディ・ゲイ。大ケガを負った事からリスキーだけど、戻れば得点力だけでなくディフェンス面でも貢献します。ゲイの加入は非常に大きな反面、リスキーな選手くらいしかオファー出来なかったチーム事情も伺えます。
シモンズかゲイか。サラリーもやや安いシモンズな気がしますが、ゲイとの2年契約をしました。
ジノビリ、パーカー、ゲイ、ガソル、ダニー・グリーン。謎の若手が活躍するチームではありますが、主力にはベテランばかり揃っています。ラマーカス・オルドリッジのトレードも具体的なウワサ話すら出てこなかった事もあり、チームの革新は行われませんでした。
現体制はおそらくラスト2年です。プレシーズンでポポビッチがベンチから外れている事も区切りを迎える準備とも捉えられます。
レナードを除けばその先の中核は誰もいません。ウォーリアーズに次ぐ実力のあるスパーズですが、年齢的な要素を考えれば優勝への道は険しいものがあります。
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基本データをみていく
◯レーティング
オフェンス 108.8(7位)
ディフェンス 100.9(1位)
素晴らしい数字ですが、67勝した前年と比べるとディフェンス96.6から4も上がっています。
それでも1位なので、ダンカンが引退してディフェンス力が下がったという以上に、リーグ全体のオフェンス向上の波に飲み込まれました。
オフェンスはスパーズ自身は変わらないもののオフェンスは3位から7位へ。108以上は4チームから10チームへ増えました。
スパーズは変わらない。でも周りが変わってきています。相対的に弱くなっている中で、ベテラン陣がそれに抗えるかが課題です。
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スパーズの変化
そんなスパーズでも変化したものはあります。ポポビッチは変化を厭わない姿勢があります。
◯3P
37.6%(2位)→39.1%(1位)
アテンプト 18.5(26位)→ 23.5(25位)
順位こそ変わりませんが、5本もアテンプトを増やし、確率も上げました。確率についてはガソルが54%決めるなど選手の問題が大きいですが、アテンプトを増やせるだけのシステム構築をしたわけです。
◯9秒以内のシュート数
FG 20.8 → 25.7
3P 4.6 → 7.6
◯9秒から17秒以内のシュート数
FG 36.9 → 39.1
3P 7.6 → 10.0
スパーズでさえも早い展開でシュートを打つ事を行うようになりました。FG全体では82.8→83.7とあまり変わりませんが、早い展開で3Pも積極的に打ちます。
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◯オープンでの3Pアテンプト
15.9 → 19.9
本数は増やしましたが、しっかりとオープンな状況を作って打っている事に変わりはありません。
少し疑問です。スパーズは早くシュートに持ち込むようになり、フリーを作っています。
しかし、そもそも早い展開をする理由自体がディフェンスのギャップをついてフリーを作る事にあります。
以前からフリーを作れていたスパーズには早い展開を行う必要がありません。
イージーシュートを増やしているというよりも3Pを増やしているスパーズなので、展開を早めたのではなく、「より3Pを意識してポジションをとり、フリーであれば早くても打つようになった」と捉えた方が近しい気がします。
スモールラインナップが増えた事により、相手に合わせる形でビッグマンを減らすユニットも使う事から、意図的に早くなったのではなく、リーグ全体の流れの中で結果的に早くなったと予想しています。
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スパーズのこの流れは続く事が予想されます。そこにはPGが絡みます。昨季も衰えが出てきたパーカーに対し、ミルズの出場時間が伸びました。今季は逆転する事が予想されます。
試合の印象としてミルズは非常に良いシュート能力を持っておりパーカーよりも有能です。一方でパーカーほどのゲームコントロール能力は持ちません。
◯ミルズ と パーカー
出場時間 21.9 ー 25.2
ポイント 9.5 ー 10.1
3PFG 41.4% ー 33.3%
アシスト 3.5 ー 4.5
個人の数字でみるとシュート力以外はそんなに変わりません。プレイヤーインパクトも0.7しか違いがなく、個人の活躍度は同じくらいと言えます。
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ところがそれぞれが出場中のチームレーティングは少し違います。
◯ミルズ と パーカー出場中のチーム成績
レーティング
オフェンス 111.9 ー 108.0
ディフェンス 99.9 ー 102.6
アシスト率 64.6% ー 56.8%
ターンオーバー率 13.5% ー 13.5%
EFG% 53.4% ー 52.2%
攻守にミルズ出場中の方が良く、アシストからの得点が増えています。僅かですがEFG%も上回ります。
これはおそらくパーカーがドリブルでゲームメイクしていくのに対し、ミルズはパスを回す事が要因です。そしてミルズ自身もシューターの役割をこなすので、チームとしてはよりボールが回ります。
2人の特徴に違いはあれど能力差はないのですが、ミルズの時の方がチームとしては上手く回っている事がみてとれます。
セカンドユニット対決の時間が長い分だけミルズの方が得をしている面はありますが、実際に試合をみた時もミルズが出てくると特にオフェンス面で効率性を上げてくる印象がありました。
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しかし、パーカー不在でミルズが長く出ているとそれはそれで違和感を感じるようになり、次第に効率性が失われていく印象です。
これは管理人がみた試合で起こった偶然かもしれません。ミルズの活躍度は変わらずチームの効率性が落ちるというのを、試合の印象で結びつけるのは難しいです。
しかし、データ的には明確な違いもありました。
◯ミルズ と パーカー
ペース 99.0 ー 93.9
2人を分ける特徴がペースの違いです。スパーズの平均より高いミルズと低いパーカー。
そしてどちらがスパーズの本質に近いかというとパーカーです。
チームの効率性を求めるのはスパーズの特徴なので、どちらのPGも変わりませんが、割と一本調子のミルズに対し、パーカーの方がドリブルしながらペースコントロールをして変化をつけていきます。
おそらくポポビッチは2人の特性を考えながら試合展開での使い分けを図っていました。
・スコアの面で相手よりも上回りたい場合はミルズ
・自分達のプレーを徹底しリズムを作り、ゲームをコントロールしたい場合はパーカー
そして今季はミルズの時間が増える事が予想されるため、トータルでペースが上がり、早い展開で構築されたフリーの状況で3Pを打つ機会が増えるでしょう。
データ的にはミルズの時間でチーム成績は上がりますが、ゲームトータルでのコントロール力に欠けて勝率を落とす可能性があります。
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レナードとディフェンス
クワイ・レナードは攻守の主役になりました。オフェンスの中心であるだけでなく、ジョーダンやコービーのように相手のエースも抑える役割を担います。攻守両面でエースである事は他のトッププレーヤー達と違います。
レナードにマークされた選手はオフェンスは消極的にして、レナードを消すという新たな戦略も出始めましたが、スパーズ自体もレナードのマークを変える傾向があります。
ダニー・グリーンを働かせる目的もありますが、オフェンスでも主役のレナードの負担を減らす事、そして試合終盤でレナードにマッチアップを変える事で変化をもたらせています。
同じ試合の中で終盤になってマークマンが変わる事はディフェンス側が不利になるケースが多いですが、レナードのディフェンス力が高過ぎる事と、グリーンと距離感の違いもあり有効と判断されています。
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今季はそこにルディ・ゲイが加わります。役割的には攻守にレナードに近いプレーをする選手なのでマークの変更だけでなく、オフェンス面での中心変更も可能です。あくまでも健康であるのならば、ですが。
◯スパーズのディフェンス
被FG 44.3%(4位)
被3P 34.4%(5位)
被FGアテンプト 83.4(9位)
被3Pアテンプト 23.7(3位)
被FTアテンプト 20.8(7位)
ナンバーワンディフェンスのチームなので、全てが高水準です。3P全盛の中であまり打たないスパーズですが、打たせない事にも成功しています。リーグ1の高確率で決めるスパーズなので、同じアテンプト数ならば勝つわけです。
またフリースローを与えずに守っているのも特徴です。同じ事が出来るのはジャスくらいでした。
◯ブロック 5.9(2位)
意外にもブロックが多いのも特徴ですが、個人ではオルドリッジが25位、ガソルが33位と大した事ありません。全員がブロックするので個人能力に依存した結果ではないわけです。
リムプロテクター達はヘルプディフェンスで役割は果たしますが、追いかけて来るマークマンがブロックするシーンをよく見ます。
ディレクションしてドライブさせて、ジャンプシュートを選択させてブロックというシーンは多いです。ロケッツを沈めたのもジノビリのブロックでした。
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どこまで追い回せるのか
◯平均移動速度
オフェンス 4.67(5位)
ディフェンス 3.89(4位)
人とボールが動くオフェンスだけでなく、ディフェンスでも非常によく追いかけているスパーズ。
ディフェンスでよく走るチームは、ミスから速攻を出されるような弱いチームが多いので、能動的に走っているスパーズはかなり特殊です。
3Pエリアまで追いかけ、ディレクションからドライブさせ、チェイスしてブロックに跳ぶ。基本的な事と言えばそれまでですが、追いかければそれだけ裏を取られる可能性が高いわけです。
◯相手のカットプレー
割合 8.2%(27位)
FG 60.3%(4位)
実際にスパーズもリーグで4番目に多くカットプレーをされます。しかし、そのシュートは4番目に防いでいます。ヘルプの徹底がされているという事です。
シュート確率を抑えているとはいえ60.3%も決められるわけですから、普通のチームはこの選択をしません。基本的な事を徹底させているように思えて、実は変わった選択をさせています。他にそんな事をするのはウォーリアーズくらいです。
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スパーズは広い範囲を徹底してチェイスしながら、ヘルプディフェンスのカバーで相手を止めています。ポジショニングとローテーションも重要となるので、運動量と冷静な判断を同時に求める簡単ではないタスクです。
ポポビッチはケガへの慎重な配慮や、プレータイムに厳しい面がありますが、それはスパーズのバスケを実現するためには必要不可欠な要素だからです。
謎の若手が出現するスパーズではありますが、その下地に合った選手を選ぶ故の結果でもあります。レナードの特徴的な部分とスパーズの特徴が合うわけです。
そしてコンディションを徹底管理する事で、ベテラン勢を重用しています。
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不安要素
・ベテランを中心にしたロスター構成
・リーグ全体が早い展開へ傾倒
・ミルズがメインでペースアップ
・パーカー不在ではコントロール不足
・攻守に求められる運動量
言うまでもなく不安要素はベテランが最後まで頑張れるかです。日程緩和はされましたが、元々休養日を設けていたスパーズなので、それよりもシーズンが長くなる方がマイナス要素に思えます。
そんな事を言いながらも、これまで乗り切ってきたわけですから、大崩れすることはありませんが、昨季ほどの成績を残せるとは思えないわけです。
特に気になるのはリーグ全体が早くなった事です。スパーズ自身もよく走るチームであるため、展開が早くても完成度の低いチーム相手ならば何の問題もありませんでした。走りあいに負けるわけではないし、ペースコントロールも出来るからです。
問題は展開が早くて完成度の高いチームが増える可能性です。ウォーリアーズ相手にも勝機があるスパーズなので問題ないとも言えるし、流石に勝率は落とすのではないでしょうか。
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まとめ
目標 60勝
まぁこだわりはしないけどね。
◆ストロングポイント◆
◯激しくチェイスし、しっかりヘルプするディフェンス
◯人とボールが動き確実性の高いオフェンス
◯ゲームマネジメント
◯クワイ・レナード
◆ポジティブポイント◆
◯ルディ・ゲイの補強によるローテーション力強化
◆ネガティヴポイント◆
◯リーグのオフェンス化に押され気味
◯ベテラン勢の走力維持
◯将来性は感じないロスター
強さは維持すると思います。でも維持なので、相対的に弱くなりそうです。パーカーが戻ってくるまでは若手ガードを鍛えてスパーズ論を徹底する事でチームに変化をもたらせるか試すでしょう。
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選手の移籍も少なかった中で、ノープランスタートだと話が偏ってしまいました。スパーズは殆どの数値が上位にあり、故に何が特徴かを示しにくい面もあります。
レナードはゲイの獲得で負担が減り、オフェンススタッツを上げられればMVPもありそうです。