イーストの注目チームのひとつホーネッツ。何故、注目しているのか。
ハワードが入ったから? ケンバがいるから? ジョーダンがオーナーだから?
答えはマリク・モンクが加入したからです。とても楽しみだったのですが、捻挫したのがドラフトワークアウト中なのにキャンプでも完治してない様なのは、かなりマズイです。
そんなわけで1番の注目ポイントを失いました。
ちなみに注目チームとして挙げても、注目=勝てる、ではありません。追いかけるだけの面白そうなネタがあるのかどうかです。
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もう1度、周囲を確認
ホーネッツの話をする前に、もう1度イーストを見直します。
◯元々ホーネッツより強いプレーオフチーム
キャブス
セルティックス
ウィザーズ
ラプターズ
バックス
◯明らかに弱くなったプレーオフチーム
ペイサーズ
ホークス
ブルズ
◯プレーオフ争ってたチーム
ヒート
ピストンズ
ホーネッツ
つまり何もしなくてもプレーオフまで順位を上げられる程に周りは弱くなりました。
そんな中でハワードを獲得したのだから注目したくもなるものです。
そんなハワードのために放出したのは、ベリネリとマイルズ・プラムリー。落ち目のハワードとはいえ暴利のトレード。しかもハワードのサラリーは23.5ミリオン。放出した2人は約19ミリオンなのだから財布にも響きません。
◯ハワード
13.5点 12.7リバウンド
◯ベリネリ+プラムリー
12.9点 5.6リバウンド
まぁどう考えてもプラスにしかならないトレードでした。1巡目指名権とられた、とかならわかりますがホークスの陣営は謎過ぎます。
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ケンバの大活躍
◯ケンバ・ウォーカー
23.2点
FG44.4% 3P39.9%
5.5アシスト 2.1ターンオーバー
1.1スティール
ケンバは活躍しオールスターにも選ばれました。カイリー・アーヴィングに比肩する数字で同等の評価を与えて良い、もしくは1人でチームを引っ張った分、ケンバの方が上かもしれません。
アシストだけはもう少し頑張りましょう。
そんなケンバの視点から考えて行きます。
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シュート力不足のチーム
ではケンバのアシストが少ないのは何故でしょうか。チームのFG%をみてみます。
◯FG 44.2%(26位)
◯3P 35.1%(18位)
チームは低いFG%と程々の3Pですが、40%決めたケンバを除くと33.3%になりリーグ最低クラスになります。
ケンバは61本のパスを出し、16本(3P6.2本)のシュートに繋げ、5.5アシスト(3P2.1)になりました。
ケンバのパスからは2P49.6%、3P33.6%となります。この数字は悪い数字なのですが、チームの平均的なFG%に近いので、シュート力不足でもあります。
つまりチームメイトのシュート力が低くてアシストが少ない事になります。
同じくらいのアシスト数のアーヴィングはパスの本数は10本くらい少ないですが、2P57.1% 3P38.7%と周囲のシュート力を得られます。
単純比較すればケンバはキャブスなら+1本のアシスト数にはなっていました。
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1人事例を挙げるとマービン・ウイリアムスが出てきます。この選手はスターターですが前年から大きくFG%を落としました。
◯ケンバのパスからのFG
2P 51.6%
3P 38.6%
◯ケンバ以外のパスからのFG
2P 44.8%
3P 29.6%
分解してみるとケンバからのパスについては確率よく決めています。アシストは少ないものの単なるスコアラーではなく、オフェンスの中心として機能している面がわかります。
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オフェンスシステム
そんなケンバ仕様のオフェンスはどんなプレー選択なのでしょうか。
◯アイソレーション 4.1%(30位)
◯ピック&ロール ハンドラー 22.9%(2位)
◯ハンドオフ 5.5%(8位)
アイソレーションは使わずチームで崩しに行きます。ケンバ個人ではリーグで最もピック&ロールが多く、実に54.9%を占めます。
さすがに偏り過ぎですが50%を超える選手の中では最も高い得点期待値0.98を誇ります。ケンバがやりやすいプレーを多く選択しているということです。
◯ピック&ロール ロールマン 7.2%(11位)
◯ポストアップ 4.7%(27位)
◯プットバック 3.7%(29位)
その分、他のプレーが減るわけですが、ピック&ロールからのロールマンへのパスプレーはそれなりに決めていますが、インサイドでのパターンが少ないチームです。
◯カット 8.2%(6位)
◯オフェンス平均移動速度 4.7(3位)
◯ファストブレイク 9.4(28位)
◯ペース 97.9(19位)
非常によく走るのですが、ペースも遅ければ速攻で得点するわけでもありません。ハーフコートゲームで走りカットプレーをしています。
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「ハーフコートゲーム」+「ピック&ロール」となると崩すポイントが明確なので、周囲はスペーシングをするため、止まっている時間が長くなるのが普通です。
それでも移動速度が速いチームはトランジションで勝負しているケースになります。走って早めに仕掛けるパターンです。
ホーネッツは動く意識が高いのは良い傾向ですが、FG%の低さを考えると動き過ぎかもしれません。
チームオフェンスはしているし、全体が献身的に動いている。でもシュートは入らない。レブロンに怒られそうです。
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何故か高いレーティング
◯レーティング
オフェンス 106.4(16位)
ディフェンス 106.1(14位)
差異 0.3(12位)
トータルがマイナスで勝ち越すチームはありますが、プラスで負け越しているのはホーネッツだけです。
◯5点差以内の勝敗 8勝14敗
それだけ接戦に負けているということです。
1516シーズンは5点差以内の勝敗は14勝9敗です。これがプレーオフを逃した要因です。
またその試合内容にも特徴があります。
◯勝利時の平均得点 106.4
◯敗北時の平均得点 110.9
5点差以内の試合に限った話ではありますが、負けた試合の方が平均得点が高いなんて、普通はあり得ません。
シュート成功率が低いのでハイスコアゲームに弱いです。ケンバの負担が増えて失速するとも言えます。
一方で特別ディフェンスが強いわけでもないのにロースコアだと接戦でも勝てるのはミスが少ない点が挙げられます。
◯ターンオーバー 11.5(1位)
2年連続でリーグで最もターンオーバーが少ないチームでした。見方を変えればリスクを冒す様なパスが少ないとも言えますが。
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オフェンスもディフェンスも平均的ながらトータルで優位になれるホーネッツ。1516シーズンから大きく数字を落としたのはディフェンス面でした。
それが勝率に響いたわけですが、ジェレミー・リンがいなくなったくらいで、そんなにメンバーは変わっていません。オフェンスが悪くなるなら理解出来ますが、そこまで影響するものなのかと。
そのため攻守のバランスの問題と考えられます。極論いえばオフェンスで動き過ぎてつかれちゃうのかもしれません。
ディフェンスが弱まったこともあり、ハイスコアゲームではケンバの負担が大き過ぎる事が懸念されます。
◯ケンバの出場時間別勝敗
36分以上 7勝26敗
32〜35分 23勝11敗
31分以下 7勝6敗
長い時間出てるという事は不利な状況なので負けが多いのは当然です。注目は平均的な出場時間ならば勝率が良い事。それもかなり良い事。
◯ケンバのオン/オフコートレーティング
オフェンス 109.0/100.7
ディフェンス 105.4/107.7
そりゃあケンバを出したくなります。オフェンスだけでなくディフェンスまで悪くなります。これがバランスの問題。
ケンバがいれば良いチーム。
ケンバがいなけりゃ酷いチーム。
それがホーネッツです。1つレベルをあげるとレブロンのキャブスになります。
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課題のまとめ
ここまでのまとめと導かれる課題です。全て枕詞に「ケンバ仕様過ぎて」を付けてください。
・オフェンスパターンが乏しい
・パターン外のFG%が悪い
・攻守のバランスを欠いて崩壊したディフェンス
・ケンバへの負担が大き過ぎるが、代役不足
こんな感じです。この夏はリーグでみれば大して動いてませんが、イーストの中ならばかなり補強に成功しました。なんせ他に動いたのはキャブスとセルティックスだけですから。
課題を適切に解決出来たと思います。
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ドワイト・ハワードの獲得
ハワードは落ち目ではありますが、ジョーダンやゴベールに比べれば遥かにオフェンス面で優れた選手です。
フィニッシャーとしてはもちろんですが、自身のローポストアタックからオフェンスを始める事が出来ます。
これまでになかったオフェンスパターンが生まれます。
また、2ndチャンスも期待できます。
◯オフェンスリバウンド
ホーネッツ 8.8(27位)
ハワード 4.0(2位)
チームで崩しているのだから取りやすいハズなのに、とれませんでした。ハワードはオフェンスリバウンドが特に強いタイプです。パワーとスピードがあるので押し出されにくく、リングから離れたポイントに速く到達出来ます。
オフェンスの起点としてパターンを増やし、2ndチャンスも増やしてくれるため、オフェンス面の改善が期待出来ます。
動き過ぎ感のあるホーネッツにおいて動かない事もプラスに働くかもしれません。
スターターだったゼラーがベンチになり、クオリティが落ちない事も期待出来ます。
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懸念事項もあります。
ハワードが強みを発揮するのはインサイドでスペースを与えられる時です。ホーネッツはアウトサイドが皆無のギルクイストとケンバのパスしか決められないマービン・ウイリアムスがいます。
ハワードにスペースが与えられない可能性があります。
またリムプロテクターとしてディフェンスの向上も期待されますが、近年のハワードはブロックが減っていて存在感が薄くなりました。
一方でホーネッツの問題もあります。
◯ホーネッツのファール数 16.6(1位)
2位に1つ以上の差をつけて、圧倒的にファールが少ないチームです。少ないから悪いなんて事はありませんが、大して守れてないのに激しさも足りないわけです。
ハワードはキャリアで3.2と多く、少なくともインサイドでの激しさは増すはずです。
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逆にハワードがケンバが飛び込むスペースを潰す可能性もあります。
オフェンスパターンを増やすには2つの選択肢があります。
・チームになかったパターンのプレーヤー
・現行のパターンの可能性を広げるプレーヤー
今回のハワード獲得は前者です。そして後者で成功したのがハワードを放出したロケッツでした。
ケンバのピック&ロールを多用するチームなので、ストレッチ系のインサイドという選択肢もあったはずです。
ハワードを選択したのだからハワードにリスクを冒したアシストをして、そしてターンオーバーが増えることは許容すべきです。
ちなみにハワードが3Pの練習をしている情報がありましたが、絶対にやめて欲しいです。
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ケンバの代役MCW
マイケル・カーター・ウイリアムスを獲得し、ケンバがベンチの時間に期待できるPGを手に入れました。
シュートに難がありますが、アシストが出来てスティールの多い選手です。ターンオーバーも多いですが。
ピック&ロールから始まり、ドライブから展開するパターンはケンバの代役として、2年前のリンのような活躍も期待出来ます。走れるチームなので、スティールからの速攻を新たな武器にする可能性もあります。
ミニマムの1年契約なのでお試し期間な訳です。上手くいけば契約延長も可能なはずです。まぁ早速ケガで出遅れましたが。
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マリク・モンク
スーパーシューターとして得点を量産するタイプのモンクはドラフト5位から10位くらいの予想でしたが、幸運にも11位のホーネッツまで残りました。
本人にとってもプレーオフの可能性があり、シューターを必要としていて、エーススコアラーにもなり得るチームに加入した事は幸運だと思います。
かなりシュートに偏ったタイプですが、今のNBAではシュート能力が最も重要視されます。シュートファーストのプレーはホーネッツにない武器になります。
良いオフェンスをする事でFG%を上げる事は大切ですが、NBAですから厳しい状況でも決め切るシューターは必要です。
ましてやハワードが加入したのでディフェンスを広げる役割として有効に機能しそうです。
目指すはクレイ・トンプソンですが、問題はサイズがないのでPG起用かもしれません。またケンバとのコンビはディフェンス面での不安が残ります。
MCW、ハワードとのトリオの方が相性は良いかもしれません。
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そんなわけで弱点が多かったチームは適切に補う選択をしました。このチームも中途半端な選手に高額サラリーを支払っていて身動きがとれないので、動ける中で目一杯の努力をしたといえるでしょう。
これでダメなら再契約を控えたケンバを高値で放出して再建モードという手段に打って出るのでしょうか。
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目標 45勝
あわよくば上位シードでプレーオフ
◆ストロングポイント◆
◯ケンバを中心としたチームプレー
◯献身的に動けてミスの少ない集団
◆ポジティブポイント◆
◯ハワードによるオフェンスパターンの増加
◯ケンバを休ませるMCW
◯シュータースコアラーのモンクをドラフト
◆ネガティヴポイント◆
◯攻守に戦術バランスが悪い
◯ソフトなディフェンス
◯ケンバ仕様になり過ぎ
そんなわけで割と期待できますが、戦術面ではハワードが、個人能力ではMCWとモンクには未知数の部分も大きいです。
また弱点の補強に成功したけど、最近はこの手の補強は流行っていない気もしています。もう少し正確に言えば戦術調整のための補強が多いです。弱点を直そうとすると強みも失いやすいため、強みを増やすような補強をします。
その戦術調整の面でホーネッツのメンバーはケンバと新加入を除いてハワードに合わない気もします。ケンバが合えば十分かもしれませんが。
キーになるのはカミンスキー。ストレッチ系のF/Cですが、ライアン・アンダーソンくらいアウトサイドを決めて信頼を得られるならば、ケンバのドライブ、ハワードのポストアップどちらも有効に機能します。
弱点を埋まるのか、それとも戦術不合理が発生するのか。どちらに傾くかで勝率は揺らぎます。
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ハワードはイースト相手だとウエスト相手よりも2ndチャンスが0.9点多く、相手は1.3点少なくなります。センターが強いウエストよりもイーストの方が負担が少ないはずです。ボールがくれば無双するかもしれません。
イーストで戦うには強力な武器を手に入れたホーネッツ。逆に言えば早さへの対応は課題です。オフェンスよりもディフェンスで走る形に変えたいところです。
ケンバのアシストが増え、モンクがトップスコアラーになれば、かなり面白い存在になりそうです。それが最もバランスのとれた構成だと思います。
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今回はケンバ視点から触れていく形で書いてみました。ちょっと展開が難しかったです。チーム成績は微妙だけど、大きな役割を果たしている選手は高く評価すべきだと思います。
チームが勝てれば文句なくケンバはオールスターに選ばれるはず。イーストでもPGだけは争いが激しいですが、アーヴィングとラウリーに並ぶ存在だと思います。(ウォールだけ1つ上)
がんばろう ケンバ!
もっとがんばろう モンク!!