17-18シーズンプレビュー ジャズ編

ロケッツはオフェンスに振り切った戦術を採用し、圧倒的な存在感を示しリーグで三番目に勝ち目立ちました。
その一方でディフェンスに振り切ったのがジャズです。しっかりと51勝をあげ、リーグで5番目に勝ちました。それは長い時間をかけて熟成してきた戦術が実を結んだ喜ばしいものでした。


そんな喜びも束の間。エースのヘイワードを引き止める事は出来ず、何の見返りもなくセルティックスへと去っていきました。
チームはゴベールを中心にディフェンスに力点を置く事を表明していますが、これ以上どうやったらディフェンスに傾倒出来るのかは疑問です。

失点 96.8(1位)
ディフェンスレーティング 102.7(3位)
ペース 93.6(30位)

厳しく守った上で、極めて遅いペースで試合を進めるのがジャズです。これだけ分かりやすければ、ヘイワードがいなくなってもやる事は変わらないでしょう。



ディフェンス

被FG% 44.3%(2位)
被3P% 35.8%(17位)

前回のグリズリーズ同様にシュートを外させる事に長けていますが、3Pに対しては平均的な確率で決められています。

被FGアテンプト 82.0(3位)
被3Pアテンプト 22.9(2位)
被FTアテンプト 20.7(6位)

しかし、グリズリーズは外からのシュートは打たせていたのに対して、ジャズはどこまでも追いかける形でそもそも3Pを打たせません。
一方でファールで止める事を良しとせず、フリースローも打たせません。ファール数がリーグトップのグリズリーズとは大きな違いがあります。

失点 96.8(1位)
ペイント内失点 41.0(8位)
速攻での失点 10.5(2位)

失点が少なく、また速攻もやられない割には、ペイント内はやられています。外まで守るので切り込まれる事は織り込み済みのはずです。そこには当然ゴベールが待っています。



◯ゴベールの被FG
6.6/15.4 43.1%

◯ゴベールのブロック
2.6(1位)

ゴベールの近辺からシュートを打たれた本数15.4はリーグで4番目に多いです。あれだけの高さを誇る選手の近辺から打せているわけですから、意図的に追い込んでいる面が伺えます。

そしてブロックがリーグ1位。強力なリムプロテクターとして機能していました。新しいシーズンでもその流れは変わらないでしょう。
イングルスなんかはゴベールの存在を利用して極端なディレクションをかけたマークをし、上手く手を出してスティールします。ディレクションはウィークサイド側を抜かせてしまいヘルプディフェンスと挟む形のトラップにもなっています。

またヒルはスイッチが発生した時などは、相手のビッグマンをブロックしてインサイドに入れないようなプレーをします。これは相手にスペースを与えることになりますが、ゴベールがいる分だけ得をする算段です。
細かい部分でゴベールの高さを活かしにいきます。



ではゴベール不在時はどうなのでしょうか。プレーオフでは開始直後にケガで不在となったものの、何の問題もなくクリッパーズと戦いました。

◯ゴベールのディフェンスレーティング
オンコート 100.6
オフコート 107.5

そんなわけでゴベールは超重要です。フェイバーズもいるのでプレーオフではカバー出来ていましたが、長いシーズンなのでよりディフェンス力を強化するにはゴベールが健康でいることと、オフコートレーティングを上げることがポイントになりそうです。



チームの特徴としては圧倒的なディフェンスですが、それだけで51勝は出来ません。何よりディフェンスの良いシーズンは続いてました。

◯失点と勝利数
1314 102.2点 25勝
1415 94.9点 38勝
1516 95.9点 40勝
1617 96.8点 51勝

ミルサップを失いゴベールが加入した13年から着実なステップアップをしていますが、チームの形としては3年前から出来ていました。

◯得点推移
1314 95.0点 25勝
1415 95.1点 38勝
1516 97.7点 40勝
1617 100.7点 51勝

この3年で勝星を伸ばしてきたのはオフェンス面の成長でした。エースであるヘイワードを失う事は3年の月日を戻されるかもしれません。



オフェンス
得点 100.7(28位)
得失点差 3.9(6位)
レーティング 107.4(12位)
レーティング差 4.7(5位)

リーグでも最低レベルの得点にみえますが、実際にはペースが遅いだけで平均以上の得点力があります。
レーティング差ではセルティックスやキャブスの上を行きます。それくらい強いチームでした。

速攻 8.1(29位)
2ndチャンス 11.0(27位)

速攻も使わなければ、ゴベールがいてもセカンドチャンスも低いです。ちなみにオフェンスリバウンド 9.4は19位なのでリバウンドはとるけど得点出来ないインサイドです。



◯FG%
FG 46.6%(9位)
3P 37.2%(9位)

高いシュート精度があるようですが、主力選手でチームのFG%を上回るのは次の4人です。

ゴベール 66.1%
フェイバーズ 48.7%
☆ヒル 47.7% 3P40.3%
☆ヘイワード 47.1% 3P39.8%

アテンプト上位2人のヘイワードとヒルの2人が高いFG%を支えていました。3Pはイングルスなんかもいますが、少ないオフェンス機会を高い確率で決めてくれる選手は重要でした。

アテンプトトップ2人を欠くことになるので、大いに不安があります。



◯パス
パス本数 319.1(4位)
アシスト 20.1(28位)
アシスト/パス 6.3%(30位)

オフェンスでは時間を使って、多くのパスを回すのがジャズスタイルです。
しかし、その割にアシストはリーグ最低レベルです。パスがアシストになる確率も最低レベルです。

そんな非効率なパス回しにおいてもヒルとヘイワードの存在は重要でした。

◯パス本数()はチーム内順位
ヒル 55.6(1位)
ヘイワード 40.0(3位)

◯アシスト本数()はチーム内順位
ヒル 4.1(1位)
ヘイワード 3.4(2位)

ジョージ・ヒルはプレーメイクを人に任せてしまうようなPGで高いFG%とディフェンス力を持ちながらも、チームを牽引する姿勢に欠けていました。
しかし、ジャズではそれが長所になりました。ボールハンドラーが次々と変わりながら、攻撃してくるポイントが定められないオフェンスは相手からすると驚異というよりも嫌らしいものだったでしょう。

パスを多く振り回しながら、アシスト能力もあり、FG%も高い。それはヘイワードがボールを持つ時間を増やす事にも役立ったわけです。



夏の移籍

チームで得点力の上位2人であり、トップパサーでもあるヘイワードとヒルを同時に失った事はオフェンスが組み立て直される事を意味します。
またディフェンス面でも高い貢献度がありました。ヒルはディフェンダーとして、ヘイワードは万能型としての役割を担いました。
ゴベール程の影響力はありませんが、ゴベールを活かすためのディフェンスシステムも再徹底が必要になります。

またインサイトからはディアウを解雇しました。これは2人が退団した中で、立て直しの意味がありました。次の1年を戦うには必要な戦力ですが、次の3年には不要なわけです。

代わりにセルティックスからジェレブコを獲得しました。ディフェンスでハッスルするのでゴベールのベンチ要員ですが、それだけでなく既にセルティックスのスモールラインナップを経験している事が、ジャズ版でも活かされると思います。



ヒルの代役には幸運にもリッキー・ルビオを獲得出来ました。それなりのトレード要員が必要な選手を安価で獲得したのは朗報です。

◯ルビオ
パス本数 66.9(2位)
アシスト 9.1(5位)

ルビオも多くのパスを回す事でアシストに繋げる選手です。その点ではジャズのスタイルに合うはずです。出来ればヘイワードと共にプレーする姿を見てみたかったです。
キャリアでFG%が40%を超えたのが1度だけしかなく、シュート能力不足がウルブズを放出された要因ですが、オールスター明けから確率が上がってくるなど、やっとフィットしてきた感があります。

またリバウンド4.1、スティール1.7はヘイワードを失った分も補うことが期待されます。

ヒルと違いルビオの方がハッキリとプレーメイクをします。そこをどのようにアジャストするのか、HCの腕の見せ所です。



ルーキー

ジャズは2015年の12位トレイ・ライルズと24位指名権を放出してまで13位ドノバン・ミッチェルを獲得しました。

この時点でヘイワードは退団していないのですが、ジャズのイメージからかけ離れたこの選手は新エースを求めた動きにしか思えませんでした。
ミッチェルは大学での活躍にはあまり注目されず、ドラフトコンバインで高い身体能力を示して評価を急上昇させました。まさかそんな選手をジャズが取りに行くとは。

他のチームならば身体能力は高いけど荒くて将来性を買った、で終わりそうですが、ジャズならば適切な役割を与えられ、荒さを出さずにプレーする可能性があります。



その理由をチームのプレータイプから考えます。どんなプレーから得点したかの割合です。

◯ジャズのプレータイプ
カット 9.0%(4位)
ハンドオフ 5.7%(6位)
ピック&ロール ハンドラー 20.5%(6位)

つまり身体能力を活かして単独突破なんてプレーは許されず、まずはボールを回し、チームメイトとの連携で自分のマークを剥がして行く事を求められます。
個人能力ではなくチームで崩し、その能力はフィニッシュに活かされます。

ジャズはミッチェルはそれが出来るIQを持つ選手と評価しているはずですし、サマーリーグでは38点8スティールなんてトンデモない試合もありました。

サイズが小さくPGではありますが、ルビオとバックコートを組み、SGとしてチームのリーディングスコアラーになるかもしれません。新人王候補の1人です。

 



三年計画が始まりそう。

ヘイワードを失った事でオフェンス面で一気にスケールダウンするでしょう。3年前に逆戻りです。それは勝率5割ラインです。一方で上手く3年後に活躍出来そうなラインナップにも出来ました。

ルビオ+ミッチェルの新加入にフッド、ネト、エグザムのいるガード陣はスターではありませんが、ジャズらしいバスケをしてくれそうです。
一方でヘイワードの万能性が課題になりそうです。ベンチにスターターの代役を用意するロスターではなく、タイプの違う選手を使って変化をつけてくるのが特徴です。ここもスナイダーHCの持ち味です。

その分、様々な役割を担えるヘイワードは貴重な存在でした。ディフェンスの良いセフォローシャは獲得しましたが、ウイングからのオフェンス多様性に欠けるチームになりそうです。

個別のプレー選択は変わらないでしょうが、チームとしてバランスをとる部分には苦労しそうです。



フェイバーズは復活するのか。

いつの間にかジャズの最高サラリーはゴベールになっていましたが、元々はヘイワードとフェイバーズのチームとして組み立てられていました。
1617シーズンはケガもあり24分、9.5点、6リバウンドでしたが、それまでの2シーズンは16点FG50%、8リバウンドを稼いでいました。

期待されるのはストックトン&マローンのような関係をルビオ&フェイバーズで築く事です。ゴベールには出来ないプレーですが、フェイバーズならば可能です。

新たなシーズンでは得点力不足からスターターに戻ると予想されます。勝率5割のためにはフェイバーズの復活は必要です。
ちなみに契約最終年なので活躍っぷりとチーム成績によってはトレードもあり得ます。



まとめ

目標 42勝 5割は上回ろう。

◆ストロングポイント◆
◯ゴベールを中心にしたディフェンス
◯個の力に依存しないチームオフェンス
◯チームに変化をつけるベンチワーク

◆ポジティブポイント◆
◯ルビオとミッチェルの獲得による将来性

◆ネガティヴポイント◆
◯オフェンスの中心2人の退団
◯多様性あるウイングの不在

オフの評価 △20

まぁヘイワード失ったのでオフの評価がマイナスなのは仕方がない。でも、中心2人を失った割には戦えそうな補強も出来ました。
プレーオフみればジョー・ジョンソンに触れたいところですが、シーズンはあまり働かない、というか働く場面が訪れるかどうかです。接戦に持ち込めれば活躍の機会は与えられて、いくつかの勝利をもたらしてくれるでしょう。まぁ基本的にはプレーオフ用の選手です。



ヘイワードは他のチームならばエース級に育たなかったと思います。それはヘイワードを何でもこなす万能型とみるか、武器の少ない選手とみるかの違いです。シュート力だけをフューチャーされてマイク・ミラーのようになっていたかもしれません。

そこまで育てた選手を失った影響は大きいでしょうし、タイミングが合わないと育て難いとも言えます。代役をFAで取るにもデリック・ウイリアムスくらいしか思いつきません。これはドラフト待ちになるでしょう。



勝つ事を諦めてはいないけど、勝負をかけるシーズンと意気込んでもいないフロントの方針が感じられます。5割勝てれば十分。そこに将来性を感じられる事が大切です。

この中堅チームスパイラルにハマるとなかなか抜け出せない。
ある程度は勝てる。でもトップクラスには勝つチャンスがない。
ドラフトでスーパースターは獲得できない。でもスカウト力はあるから下位指名の優れた選手は見つけてくる。

成功するかは不明だけどドノバン・ミッチェルをトレードで獲得したのは英断だったと思います。何所かでスーパースターを捕まえないといけません。ミッチェルへの期待値は高いです。

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