17-18シーズンプレビュー ブレイザーズ編

プレビュー再開はブレイザーズ。メディア予想ではプレイオフにすら出れないとされる事もあるなど、何だかとっても怪しいですが、注目したいのはイーストのヒート、ウエストのブレイザーズなのです。


サボっている間に公式サイトに抜かれたので、そちらのプレビューもあります。
http://www.nba.co.jp/nba/2017-18-team-analysis-blazers/s3yei2juhpgy1tue75s3j8wkh


補強したっけ?

ポール・ジョージ 指名権×3
カーメロ・アンソニー ハークレス他

ビックネームに果敢にアタックしていくブレイザーズだけど、結局何かしたっけ?
年俸が高過ぎるアレン・クラブをネッツに渡したり、プレーしてないのにチームメイトに苦言を呈したエジーリを解雇したくらいしかニュースがなかった気がします。

グリズリーズですら割と動いたのに、動かなかったのはシーズン後半の好調に明確な理由があったからです。優勝のためにビックネームは狙うけど、そうでなければ現状を変えたくない一面もあります。



ヌルキッチ

ナゲッツではヨキッチが大ブレークし、チームは急激にオフェンス力をあげました。それまでレギュラーセンターだったヌルキッチは使えない選手とみなされても仕方ありません。
そんな選手と素晴らしいハッスルプレーヤーでありアメリカ代表歴もあるプラムリーをトレードするという信じられない事をしました。既にキャップスペースのないブレイザーズがRFAとなるプラムリーをキープ出来ないと判断してのトレードでしかないと考えられていました。

◯ブレイザーズ成績
オールスター前 23勝33敗
オールスター後 18勝 8敗

◯ヌルキッチ成績
ナゲッツ所属
8.0点 5.8リバウンド 1.3アシスト 0.6スティール 0.8ブロック
ブレイザーズ所属
15.2点 10.4リバウンド 3.2アシスト 1.3スティール 1.9ブロック

アシスト以外はプラムリーを上回り、驚くほどにチームにフィットしました。特にディフェンス面での貢献は非常に大きかったです。

オールスター前と後の比較
◯平均得点 107.3→109.3
◯平均失点 110.1→105.0

ヨキッチがナゲッツのオフェンスを激変させたのならヌルキッチはブレイザーズのディフェンスを激変させました。



ヌルキッチはプラムリーよりも遥かに優れている選手、というわけではないので、ガードコンビ中心のブレイザーズに完璧にフィットしたとしか言いようがないです。

そんなヌルキッチの良さが全て出たような試合ハイライトです。
28点20リバウンド8アシスト6ブロック
https://youtu.be/XlZxGKYMv14

ヨーロッパ系のアウトサイドもあるスキルフルなセンターではなく、高いというよりデカいタイプです。プラムリーの方が走れますが、ペイント内のフットワークの良さはヌルキッチが上です。

プラムリーとヌルキッチ出場時のチーム成績
(比較しやすくするため48分換算)

プラムリー → ヌルキッチ
◯失点 109.6→104.4
◯被FGアテンプト 85.6本 → 89.0本
◯被FG 46.9% → 44.9%
◯被3Pアテンプト 25.6本 → 24.3本
◯被3P 39.5% → 33.4%

失点は大きく減りましたが、その中身をみると面白い事に3Pに対するディフェンスが大きく向上した事によるものでした。

FGアテンプトは増えているので、アウトサイドへプレッシャーをかけ、積極的にインサイドを”攻めさせた”構図が浮かび上がります。
サイズの面でプラムリーは小さいこともあり、ゴール下の信頼感はヌルキッチが上のため、インサイドは任せてアウトサイドまでプレッシャーをかけに行った事が伺えます。周囲はヘルプディフェンスを減らして良くなりました。

被3P%が26位と課題だったチームがペイント専門のセンターを補強して解決した構図は興味深いものがあります。バスケは個人ではなくチームのバランスでありつつ、個人能力がチームを大きく変えるわけです。



そんなリムプロテクターとして機能したヌルキッチですが、

「3Pのディフェンスを強化したからインサイドヘルプの回数が増えてブロック数も増えた」
のか、

「ヌルキッチのヘルプが信頼できるから3Pにプレッシャーかける事が出来た」
のかはコーチに聞かないとわかりません。プラムリーよりサイズがあるので、後者の側面は大きいですが、だからと言ってそこまでチームディフェンスが変化するのも考え難いです。

新たなシーズンで再現性があるかは要注目です。被3P33%はリーグトップクラスなので継続出来れば成績も安定するでしょう。



ガードコンビ

リラードとCJマカラムのリーグ屈指のガードコンビをシーズン序盤に見た時はマカラムの方が効率的で良いプレーをしているように感じました。MIPの次のシーズンにさらなる成長を見せてくれました。

◯得点 20.8 → 23.0
◯FG 44.8% → 48.0%
◯3P 41.7% → 42.1%

アウトサイドシュート中心ながら48%の高確率をシーズン通してキープする安定感もありました。4つのピリオドで平均的に得点していきます。対してリラードは相変わらず勝負所で活躍します。

◯得点 27.0(6位)
◯クラッチタイム 4.3(4位)

ただ、クラッチタイムのFG%は悪く、シーズンでみると不安定な面があります。特に3Pの確率は不安定でした。

◯リラードの3PFG
オールスター前 34.6%
オールスター後 41.3%

オフェンス面は単にリラードの調子で成績が上下した可能性もあります。ヌルキッチ加入後にフリーの3Pは増えたのは確かですが、確率を上げたのはタイトな状況でのシュートでした。

プレーオフでもウォーリアーズを苦しめたタフショットの数々は言い換えればシーズン成績の不安定さにも繋がります。
このガードコンビの得点力は驚異的ですが、もう少し安定した成績を上げるにはマカラムにより多くのシュート機会を与えた方が効率的です。
リラードは年々成長しており、終盤の強さに定評がありますが、もう一歩踏み込んでゲームトータルで支配する能力が求められます。



リラードのアシスト
◯アシスト数
リラード 5.9
マカラム 3.6

リラードはトップ6に入るPGでクリス・ポールとジョン・ウォールに並び立つ選手だと考えていますが、アシスト数が少ないのが彼らを上回るとは言われない理由でしょう。

カリー同様にアシストが少なくても成り立つようになりましたが、ブレイザーズ自体がアシストを量産し難いチーム構成をしています。シューター不在の構成です。

◯チームアシスト数 21.1(23位)
リラード&マカラムが外から打ちまくるので、他の選手はシュート以外の能力の方が大切という事でもあります。



ガードの突破力を活かすチームが大半を占めるようになりましたが、そのためのスペース作りは様々です。2人ともチェンジオブペースを駆使し、ディフェンスとの駆け引きで勝負するタイプです。

プラムリーは外に出てきてインサイドを空けてくれましたが、よりポストタイプのヌルキッチでも問題なかったのは、アウトサイドにスペースが欲しいタイプだったからでしょう。中に飛び込んでのレイアップ系よりもタイミングを外したミドルレンジシュートを好みそうです。



何れにしてもこのコンビが中核を握る以上、安定して勝ち続けるのは難しい反面、どんな相手でも倒せる日もあります。
タフショットを決める事でディフェンスを崩壊させるスタイルなので、決まらないとチーム自体が機能しなくなります。
10試合のうち3試合はどんな相手にも負けて、3試合はどんな相手にも勝つような戦い方です。シーズンは厳しいですが、プレイオフ向きでもあります。

一方でガードが重要なため、1年前に控えでしかないアレン・クラブにも大金を使いました。高い3PFGを残したクラブを放出したのでリラード&マカラムの負担が増しそうなのは不安材料です。



全員オフェンス

ヌルキッチは第3のスコアラーになりましたが、基本は全員で得点するチームの伝統があります。平均9点以上が8人います。
ただオールラウンドでアンセルフィッシュなプレーヤーを揃えていた頃とは違い、強力なガードコンビで戦うのであまり効率的ではない可能性があります。

よく走りエネルギッシュな選手が多いのは好印象ですが、各選手を繋げる機能を欠いていた印象です。



しかし、それぞれの選手に高めのサラリーを払った結果、どうにも身動きが取れなくなっているのがオフシーズンの定例でした。
その流れは変わらず、冒頭のトレードが上手くいかなかったのもサラリーが高すぎたからだと思います。FAで獲得出来るわけもなく、結果的にはドラフトに頼るしかありませんでした。

おそらくシーズン中にもトレードを狙うはずです。チーム力アップだけでなくサラリー整理によりヌルキッチの契約更新キャップを空ける必要もあります。



ルーキー

3つの指名権を持っていたブレイザーズは2つをキングスの10位とトレードしザック・コリンズを、もうひとつはケイレブ・スワニゲンを指名しました。ドラフト前にリラード&マカラムの全盛期に向けて貢献できる選手を指名すると予想していましたが、コリンズはサマーリーグを見る限りプレイタイムを得る事は出来なそうです。正直、もう1年は大学に残るべきでした。

現時点でも豊作ドラフトと言われるだけに、他にも候補はいたはず。将来性を買ったわけですが、それは意外な選択でした。
一方でスワニゲンは期待したくなるパフォーマンスを披露しました。身長は小さいもののPFとしてエネルギッシュに動き回り、オフェンスリバウンドに積極的に絡みます。

パス能力もあり柔らかいプレーも持ち味の1つです。ディフェンス能力がつけばドレモンド・グリーンのような活躍も期待できます。
パデュー大では44.2%の3P%を残すなどシュート力もあり、ピック役にもなれます。ヌルキッチと被らない事もあり、NBAのプレッシャーに慣れればスターターになるかもしれません。

新人王はないでしょうが、チームにフィットしそうなタイプです。というかフィットしてくれないとチーム力は上がりません。



試合運び

シーズン後半になり、ヌルキッチ加入後のディフェンス力向上とオフェンス面でのリラードの存在感アップが勝率を上げましたが、その両面がもたらしたのは試合運びの変化でした。

第1クォーターの得失点差
オールスター前 △1.2
オールスター後 3.6

1Qだけで4.8点の改善があったことになります。オールスター前は1Qリードしたのは56試合中24試合でしたが、オールスター後は26試合中17試合でリードを奪いました。

ブレイザーズのスタイルを
・ガードコンビがタフショットも厭わず決める
・その他のメンバーは全員がオールラウンドなプレーをする
この2つに定義すると、リードしている状況の方が相手に心理的なプレッシャーを与えられそうです。



序盤にリードを奪った方が優位に進められる、というのはどのチームにも当てはまる当たり前の事柄ですが、ブレイザーズはちょっとリラードの終盤力に頼りすぎていたかもしれません。

負けが込んでいたことで序盤からエネルギーを使う方針に切り替えただけかもしれませんが、何れにしても結果として明確に残せたわけですから、新たなシーズンでも1Qへの集中力は高めてくるでしょう。



まとめ

目標 45勝でプレイオフ。
来季に向けたキャップスペース構築しながらも、ペリカンズ、グリズリーズ、ジャズ、ナゲッツ、クリッパーズは上回りたい。

◆ストロングポイント◆
◯リラード&マカラムのガードコンビ
◯ヌルキッチを中核にしたアウトサイドディフェンス
◯オールラウンダーのサポートキャストによる全員オフェンス

◆ポジティブポイント◆
◯コアの3人が固まってのシーズン開幕
◯フィットしそうなタイプのフォワード(スワニゲン)の獲得

◆ネガティヴポイント◆
戦力補強出来ず

オールスター後のチーム状況から期待はしていますが、戦力の上積みはありません。公式サイトにあるように、何人かが活躍し価値を上げる事でトレードを成立させたいでしょう。

とはいえブレイザーズは全員が27歳以下と非常に若いチームです。コアの3人が経験を積み、ケミストリーを高める間にサポートキャストを適正化するのが今のチーム段階でしょう。
なのでプレイオフ出れれば充分です。



ブレイザーズが書きにくかったのは、チームの特徴になりそうなデータを見つけようとしても、それらは結局はリラード&マカラムに辿り着くからです。
コンビがシーズンを通して活躍するかどうかだけです。成長過程と考えれば、リラードが長期欠場とかすると他の選手の役割が増えて来季以降の糧になるかもしれません。

そんな事すら考えてしまうくらい目標設定が難しいシーズンになるかもしれません。良いチームなのだけど、トップクラスに入れる気はしないので、コーチ陣がモチベーションをどう高めていくか次第でしょう。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA