キャブスの次はクリッパーズです。この両チームは選手構成もプレー内容も異なりますが、似たような数値を残しています。
両チームに共通するのは効率性の高いセット(フォーメーション)を行う強いチームだけど、戦術がないという点です。アイソレーションばかりします。
特にクリッパーズのスターターはウォーリアーズに次いでリーグで2番目に強く、51勝は十分な勝ち数とはいえませんでした。
◯レーティング差異上位(スターター30試合以上)
カリー 17.2
デュラント 16.0
ドレモンド・グリーン 15.9
パチュリア 15.8
★クリス・ポール 14.9
クレイ・トンプソン 14.7
★バーアムーテ 11.1
★グリフィン 10.6
★デアンドレ・ジョーダン 9.7
★JJレディック 9.7
上位10人をウォーリアーズとクリッパーズが独占しており、11位でロケッツのカペラが出てきます。クワイ・レナード8.6、レブロン7.7、ハーデン6.3くらいですので、如何にクリッパーズのスターターが優秀かがわかります。
スターター5人が揃っていると15.8となります。なお、73勝した1516シーズンのウォーリアーズのスターターは13.2です。
ちなみに20の勝ち越しですが、シーズン開幕直後に12勝、最後に7勝を稼いだので安定して勝つ事も出来ませんでした。
・ベンチが弱いから勝てない
・勝ち方が明確ではない
戦術がない事が両者の原因です。
サラリーキャップの観点からみても、このチームは限界を迎えていました。クリス・ポールが去った事は前を向いて一歩を踏み出すためには、チームにとっても必要な事だったと前向きに受け取りましょう。
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最大の補強
オフに2つの重要な動きがありました。
◯ジェリー・ウエストのフロント入
◯リバースのHC専任(社長交代)
GM時代はビックトレードをまとめる辣腕ぶりもありましたが、ウォーリアーズでは未だ衰えぬその眼力で評価は低いけど活躍出来る選手を見出していたウエストは、サブキャストに課題を抱えるクリッパーズには重要です。
またクリッパーズの失敗はリバースの失敗でもありました。NBAでも強力なリーダーが1人で引っ張る時代から2人のリーダーが多角的な視点で話し合って運営する方式を選ぶようになってきました。フロントと現場のリーダーを分けた事で偏りすぎていたリバース流の改善が見込めます。
例えとして相応しいか微妙ですが、クリッパーズの現状を招いた2つの契約があります。1つは息子への高額契約で、現時点で年12Mドルです。もう1つはデアンドレ・ジョーダンのマブス移籍を引き止めた2015年のほぼマックスオファーの4年87Mドルです。前者は問題外ですが、後者もクリッパーズのクビを締めました。
ジョーダンを残した事、それに高い契約が必要だった事は愚かな契約だったとは思いません。しかしファミリー的要素に引っ張られ過ぎていなかったか、中期的なチーム構想を練った上でのオファーだったかは疑問です。
少なくともそこで論議がなされ、サラリーキャップを含めてもジョーダンの必要性が判断され、更に契約に相応しい活躍は何なのかをリバースと確約出来ていれば違ったのではないかと思います。
この3年くらいチームは強豪の地位は常にキープしていましたが、プレー内容に変化はなく安定した好成績をあげるブロンズコレクターみたいになっていました。ブロンズにも辿り着いてないけど。
変化を促し、それに見合った選手を連れてくる。リバース体制が続くにしても、そんな組織構成を取れるようになった事が、オフの最大の補強だったと考えます。
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ジャマール・クロフォードの移籍
ジャマール・クロフォードは良くも悪くもオフェンスを成り立たせているプレーヤーでした。
◯クリッパーズのアイソレーション割合
10.6%(2位)
◯クロフォードのアイソレーション割合
25.3%(1位)
得点期待値は0.92と低くはないものの、絶対的な武器とは言い難いレベルです。インサイドが強力なチームなのにアイソレーションばかりのオフェンスは論理性を欠きます。
その意味ではチームの問題児でしたが、困った時に得点する選手でもあります。クロフォードがいなくなればチームプレーせざるを得ません。
ただし、ルー・ウイリアムスが加入したのでリバースが現行のオフェンスを続けたければ十分に可能です。ロケッツでシューターの役割も担ったルー・ウイリアムスはアイソレーションの割合は少ないものの、得点期待値は1.07とリーグ有数の高さです。
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引いて足せるか?
クリス・ポールのゲームメイク能力も戦術不足のチームを成り立たせてしまっていました。何とかしてしまう事で、変化しないチームになっていたといえます。そんな偉大なPGがいなくなった事で、逆に戦術面が充実する事を祈るのみです。
リバースHCは「ポールはボールを求める選手だった。彼がいなくなり、もっとボールを回すことになるだろう。それは私が言い続けてきた事だった。」みたいな発言をしています。怒りを覚える発言ではありますが、ボールムーブは新しいチームには重要です。
クリス・ポールを引いた事で、チームオフェンスが足されるのか?
それが最大の注目です。
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ガードコンビとガリナリ
新戦力としてPGミロシュ・テオドシッチ、SGベバリー、SFガリナリのスターターが予想されます。ボールを回すチームになりそうな雰囲気です。リバース息子がスターターになったら諦めてください。
テオドシッチは知りませんがユーロ動画を探すとパスのハイライトばかり出てきます。ベバリーは可能な限りオフェンスに参加したくないのでパッシングします。しかもこの2人は元チームメイト。ガードコンビにはボールを回す下地はありそうです。
ガリナリはシュートファーストなのでアウトサイドムーブが中心になります。ベバリーはガリナリの邪魔はしません。3人ともヨーロッパ系のバスケを経験していますので、チームオフェンス慣れしています。
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テオドシッチ
テオドシッチのハイライトの多くはトップからインサイドへの鮮やかなパスです。グリフィンとジョーダンがいて、ディフェンス3秒ルールのあるNBAなので通用しそうです。
とはいえ、前任が偉大なので簡単ではありません。
◯ジョーダンとグリフィンへのCP3のアシスト 4.3
新人王ブログトンが4.2ですので、2人だけを相手に稼ぐ数値としては驚異的です。
課題になりそうなのは得点力、ドライブ能力です。ルビオはデビュー時からパスは通用していましたが、評価されるようになったのは得点力がある時です。さらにルビオの場合はコートを縦横無尽にドリブルして、あらゆるポジションにアシストします。
テオドシッチがコート内を動き回れるかは疑問です。NBAのフィジカルなディフェンスに封じられてしまう可能性もあります。ガリナリが大きいこともあり、どのチームもテオドシッチにエースディフェンダーを当ててくるので、突破出来ないとオフェンスが停滞します。
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ガリナリの有用性
ナゲッツのプレビューでビックラインナップに触れましたが、サイズのあるガリナリがSFに加わった事はクリッパーズのインサイドを更に強くします。
それでいてオフェンスはアウトサイドのシュート中心なのでインサイド陣との相性も良いです。
◯ガリナリのシュート
FG44.5% 2P49.5% 3P38.0%
◯プレー選択
フロントコートタッチ数 38.1
3Pアテンプト 5.1
ペイント内 3.4 60%
ミドルレンジ 3.4 38%
身長はグリフィンと同じながら、アウトサイドプレーヤーでミドルシュートは非効率を地で行く選手です。コーナーからの3Pに限定すると42.6%と更に高確率です。
ペイント内のシュートを苦手にしているわけでもありません。
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クリッパーズが待ち望んだSFの人材です。また未知数な部分もありますが、スモールラインナップでのPF役になれるのは、これまでのクリッパーズにはないオプションです。
高さも速さも強さもあるグリフィンとジョーダンを最大限に活かすならば、インサイドを1人にした方が効果的です。
新加入のサム・デッカーにも同じ事が言えます。ガリナリよりもオールラウンドなタイプで、ジョーダンとのコンビで力を発揮しそうです。
シュート能力の高いルー・ウイリアムスがベンチに控えている事もあり、最大の強みであるグリフィン&ジョーダンをこれまで以上に活かせそうです。
つまり集まったのはこれまでにいないユーティリティ性のあるプレーヤー達です。毎年のようにSFの人材を求めてきましたが、ポジションではなく役割で集められたところにフロントの変化が見受けられます。
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余計な事を言うと、彼らの上位互換にカーメロがいます。シュート能力も高ければ、ポストアップも出来る割とユーティリティな選手です。こういう戦略を広げられる存在の重要性を感じ取れない部分がチームの問題でした。
また選手の特徴から「出来る」ようにはなりましたが、「やる」かは不明です。カギを握るのはジョーダンです。
インサイド1枚になれば、これまでより広いスペースと時間が与えられ、オフェンスの中心になります。それだけのサラリーも貰っています。より中心的な役割を担うチャンスと責任を与えるべきです。
◯ペイント内得点 39.9(26位)
ジョーダン(11位)とグリフィン(18位)で20.1点ありながら酷い有様です。同時にそれは2人が陣取っているからでもあります。2人ももっと得点する必要があります。
なお、リーグトップはAD&カズンズ24.7、2位はアンテトクンポ&パーカー23.6です。グリフィンは外から打ってる場合ではありません。
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避けられないベンチ問題
フロントコートはウィズリー・ジョンソンやブランドン・バスのベテランもいて、ユーティリティ性を活かせれば万全のラインナップです。
しかしバックコートは未知数のテオドシッチしかPGがいません。ディフェンダーのベバリー、スコアラーのルー・ウイリアムスは計算できますが、ゲームメイク力はありません。
それはリバース息子の役割になります。これまではクロフォードに代表されるようにゲームメイク不要な選手が多く、またガードのドライブは推奨されていました。
しかし、新たなチームではパスが回って初めて真価を発揮する選手が増えました。個人で打開するのはグリフィンくらいです。これまでも頭の痛かったドライブ中心のプレーですが、仕掛ける事に価値がありました。今後はボールムーブを止めてしまうと致命的な欠陥になるかもしれません。
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ディフェンス
◯ペイント内失点 42.7(11位)
◯ブロックショット 4.2(21位)
意外と強くないインサイドのディフェンス。ここを守らないでどうするのか。グリフィンにはもっとリムプロテクターになって欲しいです。
◯速攻での失点 14.3(23位)
◯被3P 35%(8位)
CP3とベバリーはディフェンス1stチームでした。どちらがよいディフェンダーかは別にしてハッスルするベバリーは、魂で追いかけます。
ここでも問題はベンチのガードコンビになりそうです。オフェンス力で上回る戦術ではないだけに、ベバリー以外も奮闘しなければなりません。
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コントロールし切れるのか。
クリッパーズが勝ってきたのは、強力なスターター陣により攻守に優勢で試合を進め、最後はクリス・ポールによるゲームコントロール能力で勝ち切る戦い方でした。
本来はもう少し形があるオフェンスになるのですが、よく言えば選択肢が多く、悪く言えば決定打に欠けるオフェンスをコントロールしていました。
クラッチタイムの成績
◯チームの得失点差 0.7
◯グリフィンのFG28.9%
◯チームのEFG45.8%(23位)
ディフェンスは信用できるものの、オフェンスでクローザーがいない事は明らかです。終盤にグリフィンがステップアップする必要があります。
一方でタイムアウト開けのオフェンス成功率でリバースHCは高い数値を誇るそうです。
これはその瞬間の力量判断が出来ているという事になります。果たしてクリス・ポールの能力だったのか、HCの能力だったのか。
この数値が著しく落ちるようだと、かなり厳しい戦いを強いられます。
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まとめ
目標 プレイオフ進出 45勝
◆ストロングポイント◆
リーグトップレベルのスターター
グリフィン&ジョーダンの最強インサイド
◆ポジティブポイント◆
フロント構造の変化
ユーティリティプレーヤーの増加
選手層の強化
◆ネガティヴポイント◆
PGの実績不足
クローザーの不在
HCの戦術不足
スターターは若干弱体化したとはいえ、ベンチは厚くなり、変わらずリーグ有数のタレント力を誇ります。
しかしパスを重視すると発言しておきながら、未知数のテオドシッチのみのPGは不安要素です。FAにはベテランPGもいるので堅実なタイプを獲得しておくべきでした。それをしなかったのは息子への盲信と捉えるしかありません。
グリフィンとの契約を無駄にしないためにも、リバース体制を続けるかどうかの瀬戸際のシーズンになると思います。そしてグリフィンとガリナリを除けば2年後に再編可能な契約にもなっています。
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戦力的には充実していますが、プレイオフに出れなかったウルブズ、ナゲッツ、ペリカンズの3チームが戦力アップしたため8枠争いは熾烈です。勝ちパターンがハッキリしているジャズやグリズリーズに比べたらかなり怪しいクリッパーズ。そんな評価です。
4Qの出場時間はクロフォード9.9分、リバース8.7分と何故か弱いベンチ陣を使いたがります。この采配は頻繁に物議を醸し出しています。強みとなったフロントコートを減らしてガードを増やしていると、いつ迄も解決しないでしょう。
チームの中心は本格的にグリフィンになります。これまで困った時の選択肢に入っていませんでした。運動能力だけでなくスキルも高いので、もう一段上のスターになれるか試されます。
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高評価している新生クリッパーズ。自分がコーチしてみたいチームNo. 1かもしれません。それは全く違うコンセプトで臨んだら、どんな風になるのか興味があるからです。
プレイオフではジャズに負けましたが、インサイドの強さを前面に出せるかの勝負でもありました。同時にゲームを通して緩急がつけられるか、でもあります。
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クリッパーズがレイカーズを追い抜いてしばらく経つけど、来年のFA次第ではまた逆転されてしまう。強さこそがファンへの最大のアピールだったから、簡単に抜かれるわけにはいかないよ。
そういえば傘下にGリーグチームをもって若手を積極的に活用していくって話だったけど、若手が入り込む隙間はないね。サム・デッカーを若手にいれるのかな。
息子邪魔すぎ…
足枷にしかなってないじゃん。
そもそも息子自体にNBAレベルの実力があるとも到底思えない