ウィザーズ、ダントーニシステムと続きオフェンス力で勝つチームを見てきたところで、素晴らしいオフェンス力を持ちながら勝てないナゲッツのプレビューになります。
ナゲッツは2試合くらい見たはずですが、プレー内容はほぼ記憶にありません。何でないのかが疑問です。ホームの盛り上がりに欠けるのが課題らしいので、ファンもそう感じているのかもしれません。
ドラフト時にも触れましたが、良い選手を連れてくるスカウト力があります。そんな選手を集めすぎて、プレイオフで勝てるほどではないけど、ドラフト上位指名権を獲得するほど負けもしない伝統のチームが出来上がりました。良い選手ばかりだけどオールスタークラスはいませんでした。
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ヨキッチ登場
そんなチームに現れたのが2014年ドラフト41位で連れてきたニコラ・ヨキッチ。トリプルダブルするセンターです。単にパスが上手いだけでなくて、ゲームメイクする能力に優れています。
◯ヨキッチのオフェンスレーティング
オンコート 114.9
オフコート 104.7
ナゲッツの凄いところはスター不在の代わりに良い選手ばかりなところで、誰がいなくもレーティング109あります。例外がヨキッチとゲーリー・ハリスの2人です。ナゲッツの未来を背負う2人なのです。
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ミルサップ獲得
更にオールスターであるミルサップを獲得しました。ミルサップはナゲッツにとって完璧な補強という論調が多いです。
パスが出せてドライブも上手くアウトサイドシュートもあるミルサップとヨキッチのコンビはボールが動き回るクリエイティブなオフェンスになると予想されています。
そして何よりディフェンスが良い。ローテーションの判断が良く、スピードのミスマッチを対応してしまうミルサップはディフェンスの核にもなれるそうです。
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ナゲッツというチーム
そんな2人が中心になるナゲッツは「レーティング110あれば勝てる」という管理人の意見を否定してくれるチームです。
オフェンスレーティング 110.0(5位)
ディフェンスレーティング 110.5(29位)
ディフェンスレーティングを下からいうと、レイカーズ、ナゲッツ、サンズ、キングス、ウルブズ、ニックス、マジック、ネッツ、そして9番目に出てくるキャブスでやっと勝ち越チームです。
オフェンスと違いディフェンスレーティング110は簡単には到達できない水準です。ナゲッツの何が悪く改善できるのかが今回のテーマです。
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何もかもが悪い
オフェンス力で勝つチームはその分欠点を抱えてたりします。強いチームでも悪いスタッツはあるものです。ウォーリアーズだって相手にセカンドチャンスや速攻を許します。
しかしナゲッツの場合はリバウンドを除く殆どのスタッツが絶妙に悪いです。
◯被FG 47.7%(29位)
◯被3P 37.5%(28位)
◯ターンオーバーからの失点 18.0(26位)
◯被速攻 14.3(24位)
◯被ペイント 47.4(27位)
◯被セカンドチャンス 12.3(8位)
◯被オフェンスリバウンド 9.4(7位)
◯スティール 6.9(28位)
◯ブロック 3.9(27位)
ネガティヴに考えれば手の付けどころがありません。ポジティブに考えれば得点はとれるのだから何か1つでも改善すれば勝ち越せるはずです。
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ディフェンダー不在
マークマンの平均FG%に対し、どれだけ確率を抑えたかを示すDIFFという指標があります。ナゲッツの主力で平均よりも抑えた選手は
◯DIFFがマイナスの選手
ガリナリ(クリッパーズへ移籍)
ウィルソン・チャンドラー
メイソン・プラムリー
ジャマール・マレー
この4人ですが、チャンドラーはインサイドは抑えますが3Pに関していえば5.3%も平均よりも決められています。
実質的にエースディフェンダーを務められるのが2年目のマレーしかいません。3&Dタイプの選手が不足しているといえます。
ミルサップはヘルプディフェンスやスイッチで能力を発揮するでしょうが、プラムリーやチャンドラーはインサイドディフェンスが出来ていた事から、それがミルサップに変わったとしてもどれだけ積み上げがあるか不明です。
なお、この指標は指標に過ぎず、実際のディフェンス力とは異なる事が多いです。なんせシュートを打たせない好ディフェンスは評価の対象外なので。
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現代は特定のボールハンドラーが切り崩す戦法が一般的なので、そんな選手を個人で守るディフェンダーを置くのも普通です。ロバーソンみたいに振り切った選手は不要ですが、FAにもいたのでベンチに置くくらいのディフェンダーを獲得すべきだったでしょう。
そんな選手よりも優先して獲得したのはミルサップのような選手達でした。
新加入
ドラフト13位指名権がありましたが、ドノバン・ミッチェルを指名しジャズにトレード。24位タイラー・ランドンとトレイ・ライルズを獲得しました。名前似てるな。ちなみに2巡目はセルビア人指名です。いろいろとナゲッツらしいです。
まずドノバン・ミッチェルは新人王候補ですが、今のナゲッツではプレイタイムあげるポジションではないので理解出来ます。またこういう運動能力マックスタイプを嫌う傾向にあります。
代わりに獲得したのがランドン。登録PF。もっと要りません。多分SFになるとは思いますがNBAに対応できるほど身体が出来ていないのでミルサップ後への布石と思われます。身体もそうですがシュート力系は慣れるのに時間が必要です。
ライルズもPF。ほぼ同じタイプでシュータービッグマンです。ヨキッチの特徴を考慮すれば理解は出来ますが、何がしたいのでしょうか。
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ビックラインナップ
ナゲッツは10人が20分以上のプレータイムでその全員が平均9点以上とりました。最も出場時間の長かったガリナリが移籍し、その分がミルサップに回されると思います。
C
ヨキッチ
プラムリー
PF
ミルサップ
チャンドラー
ファリード
ライルズ
エルナンゴメス
アーサー
ランドン
揃えたのは走れそうなビッグマン達です。
このメンバーからフロントコート3人を選ぶ形になりそうです。元々ガリナリも大きいので今までと変わりませんが、ビックラインナップで戦うメンバーを集めました。
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オフェンス
オフェンスは動画があったので参考にして下さい。
ナゲッツオフェンス
部分的にはダンカンシステムに似ています。ヨキッチを軸とし、カットプレーを繰り返します。
◯カットプレーの得点期待値 1.33(2位)
◯ポストアップの得点期待値 0.96(2位)
ディフェンスはリングとボール(ヨキッチ)とマークマンが一直線に並ぶと守りきれないタイミングが出てきます。そこにキッチリとパスを通せるヨキッチが重要になるわけです。このパスの発射台としてミルサップを加えた事でヨキッチが休んでいる時間も安心です。
またカバーが寄るとすかさずアウトサイドにパスをする判断力もあります。そのためにシュータービッグマンを加えたのでしょう。
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しかし、ヨキッチがインサイドを釣り出してくれるなら、ビッグマンを並べなくても良いはずです。むしろ他のリムプロテクターを使われてしまうと厄介なのですが、スモールラインナップが流行し過ぎて、その可能性は低くなりました。
ビッグマンが3人いる上に、さらにオフボールカットプレーが増えるとスイッチが発生し、必ずどこかにミスマッチが作られます。高さの利こそが最大の武器になります。
◯ペイント内得点 49.8(2位)
◯オフェンスリバウンド 11.8(5位)
◯セカンドチャンス 15.1(2位)
これこそがナゲッツ最大の強みになります。現代バスケに適応したビッグマンを集めたオールドゲームです。
得点の取り方をみてるとハイライトになりそうなプレーは少なく、かといって高度に基本技術を使いこなすわけでもなく、まぁ止められないよね、という感じの高さを活かしてます。
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カギを握る3P
どうやらインサイドは盤石のようです。ヨキッチさえケガしなければ代役もいっぱいいます。カギを握るのは3Pです。ここにはポジティブな面もネガティヴな面もあります。
◯3P 36.8%(11位)
ネガティヴな面
ガリナリ&チャンドラー
チームで1番打ったガリナリ38.9%は移籍しました。2番目のチャンドラーはシュート数を増やしそうです。しかし、33.7%しか決まりませんでした。
短期的にみればかなり不安の残る成績です。
ポジティブな面
ハリス 42.0%
マレー 33.4%
バートン 37.0%
ネルソン 38.8%
ムディエイ 31.5%
アテンプト数順です。問題はマレーとムディエイですが、彼らは2年目と3年目なのでおそらく改善します。特にマレーはフリースロー88%とシュートは上手いです。
ハリスは20.4%→35.4%→42.0%と年々向上しています。ルーキーがみんな若くなったので4年目でやっと大卒ルーキーと同じ年齢だったりします。シュートは慣れが安定を生むので普通に過ごしてても4年目までに確率は上がります。
少なくとも3年後を見据えれば確率は上がるはずです。
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どんな試合設計をするのか。
◯ヨキッチとミルサップのパス能力を中核にした独自の強みを持つオフェンス
◯スモールラインナップの流行を逆手にとった多様なビッグマンラインナップ
◯若手成長株と中堅、ベテランをミックスしたガード陣
これらの強みを活かしたオフェンスはファンタスティックではないですが、計算が成り立っている設計です。
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しかし、チーム設計に目を移すと少し微妙です。
ヨキッチは多彩な能力を持っていますが、パスの相手はほぼガード陣です。ヨキッチが作るギャップを利用したり、スイッチでミスマッチを生じさせるためガードの方が活きるからです。
ミルサップはPFとしてはドライブやパスが出来ますが、高さの面では不安があります。つまり高さのアドバンテージを活かせるか微妙です。
走れるビッグマンを複数揃えていますが、運動能力があって縁の下の力持ちタイプはファリードくらいです。
早い展開を望み、10人ローテで数の優位を活かしますが、それなら別にヨキッチじゃなくてパス能力高いガードでも同じです。
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どれもこれも大した問題ではありません。
しかし連なってくると微妙です。要はテクニカルでIQ高めのメンバーを揃え、高さとヨキッチの特異な能力を武器に戦うならば、ワンプレーの精度を高めた攻守にバランスのとれる戦術で臨むべきだと思います。
走り過ぎるな!って事です。
それは今のオフェンスが変わるわけではなくて、確率の高い選択をしていく事で、ターンオーバーを減らし、速攻での失点を減らし、ペイント内失点を減らし、FG%を下げる事に繋げるわけです。
ペースを落として、得点を3点減らす代わりに失点を5点減らせればプレイオフに行けそうです。
目標は得点109 失点107 キャブス水準です。
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アーロン・ゴードンみたいな能力系を加えればオープンコートを走らせ、ヨキッチに預けてバックドアカットし、速攻をチェイスダウンブロックで救い、といったプレーで2、3点のプラスを生み出しそうです。
ゴードンはマジックでビヨンボとかとプレーしてるからバス出せる相棒が欲しいでしょう。
今回触れなかったメンバーにも活躍している選手もいるので、組み合わせも試行錯誤した方が良いでしょう。
まとめ
目標 プレイオフ
ライバルはブレイザーズ、ジャズ、クリッパーズのトレード相手達。
◆ストロングポイント◆
◯パスとランニングを効果的に使うオフェンス力
◯10人ローテの分厚い戦力
◯ヨキッチ、ハリス、マレーらの若手有望株
◯多彩なビッグマン
◆ポジティブポイント◆
◯ミルサップの獲得による継続したオフェンス
◯成長するであろう若手が多く、プレータイムもある。
◆ネガティヴポイント◆
◯ディフェンダー不在
◯SFの人材
◯選手のタイプと戦術の乖離
オフの評価 +10
ミルサップは見事だけど、他は何かした?あぁウワサ流したか。それは減点。
ESPN予想は47.2勝でした。それだけ勝てれば大成功レベルでしょう。ヨキッチが出てきたといっても1シーズンのみ話ですから、熟練度が増して順調にいけば上積みは期待できます。
でも意外とミルサップはどう転ぶのか。
実際、ホーフォードとのコンビはそんなに魅力的ではなかったです。強かった時のホークスはコントロールして外のシュートとディフェンスで勝っていたので、ナゲッツとは環境が違います。悪くなる事はないでしょうが、サラリーに見合った成果を出せるとは思えません。
◯ミルサップのカンファレンス別成績
イースト 18.7点 46.5%
ウエスト 17.1点 40.5%
得点はともかくFG%は厳しいです。特に悪かったのはレイカーズ?ジャズ、ウルブズ、グリズリーズ、ペリカンズ、クリッパーズとインサイドの強いウエストチームに苦戦しています。
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チームだけをみればポジティブだけど、フロントの動きを含めるとネガティヴなのがナゲッツです。オフェンス110は凄いし、若いメンバーも素晴らしい。でもラブやアーヴィングを欲しがる理由はわからない。むしろシュート力とディフェンスの良いポール・ジョージ獲得してればファインプレーだったと思います。ペイサーズと2チーム交渉なら合意したのではないかな。
不要になったヌルキッチはブレイザーズに行き大活躍でチームをプレイオフに滑り込ませました。エースが消えたジャズにはドノバン・ミッチェルを渡しました。ガリナリはクリッパーズです。この辺とグリズリーズやペリカンズがプレイオフ争いのライバルです。
なんか負けると悔しい感じになりそうなので、うまくいかなければシーズン中のトレードを考えましょう。ポリシーには反するけどカーメロは似合うと思います。
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記憶の薄かったナゲッツですが評価が高い理由はよくわかりました。15ー16シーズンのオフェンスレーティングは102.7で、ヨキッチの出番が少なかったシーズン序盤も同じ水準です。突如としてオフェンスチームに様変わりしたのです。
ヨキッチの存在が急激にチームを変えました。タウンズ、エンビートと並びセンターの価値が復権するかもしれません。
しかしチームはまだヨキッチの最大活用法を見出せてない、というかヨキッチ仕様にする準備が出来ていない感じです。気持ちが得点に傾き過ぎて戦術バランスを欠いています。メンバー変わらないのに失点も激増しました。
まぁ2年目なので試したい気持ちもわかりますが、特異な才能なので戦術と選手の組合せは重要です。個人的にはウエストブルックとのコンビがみたいです。ムリだろうな。
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キャブス絡みのオフのウワサに事欠かなかったナゲッツですが、書いている間にアーヴィングのセルティックスも決まりました。そんなわけで次回はキャブスかセルティックスにするべきでしょう。どちらが良いのかな?