クリス・ポールについて考えてみる

クリス・ポールは現役最高のPGでしょうか。


答えはNOです。
かつてキッドやナッシュの時代に、若手のホープとして、将来その座は揺るぎないものになると考えられていましたが、下の世代の押し上げに抗えませんでした。世代の押し上げは単に個人で上回る選手が現れたという事ではなく、バスケの戦術、プレースタイルが変化したため必要な要素も変化したという事です。変化に対応仕切れなかったともいえます。



PGの役割はゲームを作り、アシストでチームメイトに得点させ、チームを勝たせる事
そんなPG像は昔の話です。理由は色々ありますが、センターの時代はインサイドにボールを入れるところからオフェンスが始まるので、そんなシチュエーションを作るゲームメイクが仕事でしたが、今はガードからオフェンスが始まります。
そのためウエストブルックタイプやカリータイプのPGも成立する様になりました。最も勝利に貢献している選手は誰か?という指標で測ると、クリス・ポールはNO.1ではありません。



管理人はクリス・ポールをNO.1と考えていないどころか、3本の指にも入らないと思っていますが、
「アメリカ代表を自由に選んで良い」
と言われたらポールを選びます。
デュラントやレブロンがウイングにいるチームで最も効果的にプレー出来るのはポールです。間違ってもウエストブルックやハーデンは選びません。
しかし、「サラリーキャップを含めてNBAチームを作ろう」と言われたら、ポールに高額サラリー払っては良いチームは作れません。逆にウエストブルックやハーデンなら作れます。(ウォーリアーズはサラリーディスカウントし過ぎ、キャブスはタックス払い過ぎだし)
より多彩で決定的な働きの出来るPGがいて、かつ戦術的にもそんな選手を活用していくのが現代NBAです。国際ルールと違うのも重要です。
1番長くボールを保持する選手なので、もはやゲームメイクに留まらず、あらゆるタスクをこなす選手が増えました。
クリス・ポールは現役最高のPGかもしれませんが、PGの中で最高の選手ではない。そんな表現が最適かもしれません。



クリス・ポールのスタッツを確認する。
シーズンスタッツをみて再確認してみます。
出場試合 43勝18敗
得失点差 +9.5
レーティング +14.9
素晴らしい数字でレーティングの14.9はリーグ5位で上位にはウォーリアーズの4人しかおらず、また上位7人でウォーリアーズ以外はポールしかいません。
レブロンは+7.7なので倍近くポールが優っています。
ちなみに得失点差9.5も5位なのですがレブロンは6.5で9位と迫られます。今季のポールはケガで休場も多かったですが、出場時間も31.5分と短く、もっと出ていれば勝率も上がったのでしょう。



勝ち試合と負け試合ではFG%が7%違います。
勝利 49.6% ターンオーバー 2.1
敗北 42.9% ターンオーバー 3.2
アシストやリバウンドも少し下がりますが、それよりもターンオーバーが増えるのはポールらしくないともいえます。クリッパーズの明暗を握りすぎてました。



アシスト/ターンオーバー率 3.83
ポールの上を行くのはイグダラしかいません。PGで続くのはルビオ3.5とTJマッコネル3.36。どちらもアシスト数が多く個人的にお気入りの選手だけど、リーグの中でPGとしての評価は低いです。
「アシスト/ターンオーバー率はPGの優秀性を測る重要な指標」というのは定説でしたが、現代ではこの数字が良いからといって高い評価に繋がるわけではありません。
ポール、ルビオ、マッコネルと3人ともオールドタイプなPGという点も共通しています。このタイプには重要な指標ではある。
同時にイグダラがトップにいるのは、ゲームメイクの役割は必ずしもPGがやる訳ではない、という現代戦術も垣間見えます。
アシスト/ターンオーバー率が高いのは誇れる数字である事は間違いありませんが、現代ではより積極的にシュートに絡む事が求められ、絡むからターンオーバーが増える点は否めません。



直接シュートに関わるプレー率
そんなミスの少ないポールのアシストからクリッパーズはシュートを決めて行くわけです。
ポールのパスからのシュート
合計 21.4本 50%
2P 14.5本 54.2%
3P 6.8本 40.9%
ポール自身は12.9本打つので34.3本に関わっており、平均1.09本/分となります。
クリッパーズは平均83.2本打つのでチームの41%に直接関わっています。
3Pの確率が高いですが、これは約半分をレディックが打っていることが大きい。2Pは6.8本をグリフィンが打ち、アリウープばかりのジョーダンは驚異の8割を決めましたが、本数は少ないです。
ポールは良い成績なのですが周囲の強力なフィニッシャーに支えられている面も大きかったです。



他のPGと比べてみる。
これを他のPGと比較してみると
ハーデン
パス 26.1本 シュート 18.9本
計45本 1.24本/分
ウエストブルック
パス 23.9本 シュート 24本
計47.9本 1.38本/分
意外なのはこの2人からのパスの方が2PFG%が高く、ハーデンは6割を超えます。
その反面3Pは決まりませんが、特にサンダーはウエストブルックの問題じゃないよね。
ポールのアシストと言えば、グリフィンやジョーダンへのアリウープでズドン、というイメージがあるけど、実はハーデンやウエストブルックの方が効果的にインサイドに得点をさせていた。
ジョン・ウォールはポールに近い。
合計 25.3本 49.8%
2P 15.4本 55.9%
3P 9.8本 40.2%
FG18.4本
合計43.7本 1.2本/分



直接シュートチャンスを生み出すのは、圧倒的にウエストブルックとハーデンという事がわかります。
ウエストブルック 1.38回/分
ハーデン 1.24回/分
ウォール 1.20回/分
ポール 1.09回/分
これはフリースローを抜いた数字なので、上の2人は更に多くなります。これだけのチャンスを生み出すのが、NO.1と評価する理由にもなります。
ただし、1人の選手に依存したチームとなるので、高いからといってチームが勝てる訳ではありません。そういう点では、このワンマンっぷりでチームも勝っているロケッツは驚異的です。
ポールの場合は出場している31分と短い時間の中では、もっと絡んで欲しいところです。クリッパーズも自分で攻められるのはグリフィンしかいないので、ウォールより低いのはどうなのかと思います。



長くなるので、続きは次回としますが、クリス・ポールの凄さははじめに挙げたレーティングの高さにあります。自分が絡まなくてもチームを勝利に近づける、というやつです。
ただし、この数字は気をつける点もあります。実はクリッパーズのスターターは総じて高く、1番悪いレディックでさえリーグ16位の+9.7です。
上位16人中6人がウォーリアーズ、5人がクリッパーズなので、クリッパーズはリーグで2番目に強いチームであり、軽く60勝くらいは出来る数字です。(他はスパーズ3人、ラプターズ2人だけど全員ベンチメンバー)
チームを勝利に導く、という点では圧倒的な戦力を持ちながら勝率はイマイチなので、本当にゲームメイクに優れているのか疑問符がつきます。



とはいえ、その理由はほぼHCの責任です。なんせクリッパーズはスターターが圧倒的なのに、ベンチは出場機会が少ないポール・ピアースの+2.4を除き、全員マイナスです。
にも関わらず、クロフォードとリバース息子は25分〜30分も試合に出ています。戦術整備が悪いだけでなく、ローテーションにも問題があるのがクリッパーズでした。



クリス・ポール自身にも改善できなかったのが、ベンチメンバーに活躍させる事です。しかも、ランス・スティーブンソンやジェフ・グリーンのような他チームで活躍した期待株もダメなら、スペイツのようなベテランさえもクリッパーズではイマイチです。
繰り返しますが、責任の大部分はクリッパーズというチームにあります。しかし、それでもNO.1PGと評価するのであれば、あまりにも活躍させる選手を選びすぎであり、フィニッシャー以外は機能させられていませんでした。
様々な不運にも見舞われた要因はあるにせよ、強力なメンバーでありながら勝てなかったのがクリッパーズというチームでした。そのリーダーがクリス・ポールでした。
そんなわけで、クリッパーズを離れる決断をしたのは自然な流れだったと思います。レブロンみたいにGM兼任ならHCをクビにしたかもしれませんが、常識のある選手でクリッパーズへの愛着もあったからトレードになったのだと思います。
次回へ続きます。

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