U19 マリ戦

U19の日本対マリをみました。マリの未熟さに助けられた感は否めませんが、勝てたことも含めて日本らしさって何か、みたいな部分も見え隠れしてたので、少しだけ触れたいと思います。なお、スペイン戦もみましたが映像が途切れるためプレーがよくわからなかったです。
何故勝てたのか、とかそういう部分は論じません。




スキルはないけど高いマリと高さにスキルを殺される日本

マリは単純にスキルレベルが低かったです。ディフェンスは良かった。
日本はある程度のスキルはあるのですが、世界大会ではスキルを活かせません。高さが違えば視野も変わり、予測されるプレーも変わり、判断するタイミングも変わります。

“小さくて上手い”選手は多くいますが、“大きい選手の中で小さくて上手い”というのは違う事だと思います。特に判断を早くする必要があり、その判断を実行するために必要なスキルが磨かれているか、というのは重要なのだと思います。
例えばドライブして、ゴール下で相手のブロックをかわすためにダブルクラッチするのと、ブロックが来る前にフローターを打つのは全く異なるスキルです。

今回の代表チームは八村、榎本、シェーファーといったアメリカでプレーする選手は慣れているのでもちろんですが、杉本や西田なども早い判断でプレーしてしまうのが持ち味のため世界大会でも通用するスキルを持っているのだと思います。
例えば後半に目立ったのはPFの増田ですが、彼より優れた選手は国内にいると思いますし、ゴール下ではマリの選手に圧倒されていました。代わりに増田はPFだけど、シューターみたいに動いてキャッチ&シュートするのが上手い選手です。

そのためオフボールでマークを引き剥がして、ボールをもらったら直ぐに打ちます。ある意味国内でも国際大会でも同じスキルを使います。
そんな訳でこれまでよりも世界大会でも活躍出来そうなスキルの選手が多くいるのがチームの特徴なのかと思います。そしてそんな選手が国内のトップレベルにいたという事かな。



八村という特殊性とチームの特徴

八村は高さや身体能力の面で日本の中では特殊な選手です。でもプレーはノーマルです。このノーマルさがミスマッチな感じがしました。
単純に八村がいないとリバウンドとれないし、速攻のフィニッシュ力ないし、1on1の起点もありません。いた方が強いのは間違いありません。
でも、このチームの特徴を推測すると、前述の杉本、西田、そして三上と早いタイミングで距離を無視して打っていくシューター陣にありそうです。少しずつタイプが違うものの、前述の早い判断でシュートを打っていくタイプのシューターという点では共通しています。まぁ西田以外決まってませんけど。

ガードにボールを預け、4人がスクリーンを掛け合ってスペースを構築して動き、ボールをもらったら直ぐに判断するオフェンスになっています。実質はもらう前に判断しています。増田のシュートもこれです。

実はここでちょっと八村はジャマです。高校時代は無双していた事もあり、ボールをもらって状況を見極めてプレーを選択するタイプです。なので八村がもったタイミングで1度プレーが途切れます。

これ自体が悪いというよりも、杉本や西田と判断のタイミングが合わない感じです。三上は元チームメイトなのでなんとかなるでしょうが。



八村がいなくなって追いついた事

ファールトラブルで八村がベンチに下がると日本が逆転しました。シェーファーは八村のようにアウトサイドはプレーエリアではないのでリバウンドを頑張ります。1対1の状況でマリの選手相手ならリバウンドを取ってくれます。
そして他の4人がアウトサイドのスペースを有効活用出来ていました。シューター2人と増田にガードという組み合わせは攻め手を絞らせない形になりました。

八村が居なくて追いついたのは偶然ですが、居ない方がボールが廻って流動的なオフェンスになったのは偶然ではないでしょう。



目指すべきもの

問題はこの大会がどうこうではなく、日本として目指すべき方向性をどこに置くかです。日本協会はこういう部分が曖昧な組織です。

NBA選手を輩出するために、八村タイプが活きる方向性を追求するのか。全員を同じような育成メソッドに当てはめられます。
それとも日本WAYを目指し、杉本や西田タイプを追求するのか。ちなみにこのパターンだとシェーファータイプや増田タイプを分けて育成しなければいけません。ハマればNBA選手が生まれる可能性はあります。

正解はどちらも平行して育成する事にあるのですが、住み分けて行く必要はあります。今のゾーン禁止ルールでは前者を追い求めている形です。
前者がアメリカ的、後者がヨーロッパ的でもあるかと思います。日本のシステムはアメリカ的な学校単位での育成メソッドなので今回のメンバーが集まったのはラッキーだったと思います。



この試合に勝った事でトーナメントはアメリカではなくなりそうです。それはそれで残念です。
次のカナダは17歳の将来のドラフト1位候補でもあるRJバレットがいます。楽しみです。
大差になりそうなので、八村はベンチの時間が増え、よりチームで如何するのかを試す時間が増えるかもしれません。日本WAYをみれる時間が増えるかもしれませんし、マリとは違い高さもスキルもあるカナダに日本のスキルは封殺されるかもしれません。

それもまた良い経験になるのだと思います。



追記

カナダとスペインを後半の途中からみましたが、JJバレットはやはり17歳で早い判断で決める能力は不足していました。それはカナダ全体に言える事でしたが。
スペインは判断が早くプレーに迷いがない、というか何するかは決まっているよ、って感じです。カナダは1つひとつ考えている。
スペインはこの試合に合わせてきたのかな?

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