ウォーリアーズの今季を振り返る

ウォーリアーズのシーズンを振り返ります。言うまでもなく優勝のみを目標としたチームでした。全てが優勝するためのステップでありファイナルでも圧倒的な強さをみせたため、その過程も肯定する事となります。
つまり基本的に褒めます。
チームの再整備
デュラントを獲得したため、サラリーキャップを考慮し再整備が必要となりました。バーンズ(残すためにマックス契約が必要)は要りませんが、ボーガットとエジーリ、スペイツのインサイド陣、バルボーサが出て行きました。
獲得したウエストはスペイツの働きが期待出来ましたが、パチュリアとマギーという他チームが見向きもしないインサイドとルーキーくらいの補強は怪しさ満点でした。



不調?のチーム
スパーズに大敗して始まったシーズンは73勝した昨季と比較されイマイチだとも言われました。デュラントが入った事でチームのバランスが崩れトンプソンが不調になった、などが取り上げられました。しかしスターターが2人も変われば時間が必要なのは当然でしょう。
シーズンを通してみれば問題があったのは別の部分でした。
試合が連戦または中1日の成績
昨季 56勝7敗 勝率888
今季 51勝13敗 勝率797
薄くなったベンチの層は連戦では重くのしかかりました。シーズン当初はリビングストンとイグダラしか計算できるベンチメンバーがいなかった事は昨季とは大きく異なります。
しかし、プレイオフをみてもわかるように最後には強力なメンバーと言われるまでに成熟しました。お笑い要員からハイライト要員に変わったマギー、FG49%をマークしたクラーク(2年前は34%!)、そしてシーズン終盤には新たな可能性のマコーが台頭しました。
長い時間プレーするスターターと違い10分から15分のプレータイムで、毎試合違う組み合わせで戦うため、個人のレベルアップも戦術の徹底も簡単ではなかったはずです。この辺りがHCの手腕になるのでしょう。
しかし、ファイナルでカリーのいない時間に得点力が落ちると公式サイトのコラムがありましたが、バルボーサの穴埋めだけは出来ませんでした。控えのPGが純正ではないリビングストンのみであり、ボールをプッシュする事が出来ていませんでした。 昨季まではこの2人で速攻を繰り出していました。
シーズン中にカルデロンの獲得がありましたが、デュラントのケガで契約から2時間で解雇し、カルデロンは面談だけで二千万ゲットしたニュースがありましたが、ファイナルの大勝がなければカルデロンと契約すべきだった、と言われたかもしれません。マット・バーンズよりマコーが使えた事は嬉しい誤算でした。



パチュリアとデュラント
ボーガットは独力で得点出来る選手ではありませんが、スクリーンやパッシングなどを駆使して味方と合わせる巧みさがありました。カリーとトンプソンの不調はボーガットの移籍によりフリーになる機会が減った事が大きかったと思います。特にカリーは3Pの確率を落としました。
3P確率 45%→ 41% (キャリア最低)
プルアップ3P 43% → 36.5%
3ドリブル以上からの3P 43% → 32%
オープン3P数 7.9本 → 7.5本
デュラントが入ってシュート機会が減りリズムを乱した、というよりも自らドリブルで崩してからの3Pの確率が悪くなったと考える方が自然な数字です。ボーガット不在の影響と言えるでしょう。
ボーガットの平均パス本数 30.4本
パチュリアの平均パス本数 23.1本
ボーガットからカリーへのパス 43% 13本
パチュリアからカリーへのパス 33% 7.6本
ボーガットとの関係性から得点していたカリーだが、パチュリアではそのパターンが減ってしまった。ただこれはパチュリアが悪いのではなくバーンズよりデュラントのパスが増えた点も関係している。
バーンズのパス本数 30.2本
デュラントのパス本数 38.4本
2人のパス本数を足せばほぼ同じなので、デュラントがその役割を担う面も出来ていた。



PGと偽PG
ウォーリアーズの最大の特徴はPGのカリーにある。上記のボーガットとの関係性は主にPGとしての振舞い。しかし、時に偽PGとなり、その役割をグリーンとイグダラが担う。2人はプレッシャーが少ない中でボールを保持し、その間にスクリーンを掛け合ってフリーになった選手へパスを出すのが役割。
この偽PGシステムには1つだけ欠点がある。誰がフリーになるかわからない事だ。
カリーとトンプソンをアウトサイドでフリーにしたいし、それ以外の選手は空いたらリングへアタックするのが基本。ファイナルでもあったように外す確率の高そうな選手をフリーにして、遅れても良いからヘルプでダンクだけはさせない選択をするチームもありました。
そこに新しくデュラントが加わりました。当然デュラントはフリーには出来ない。しかもデュラントは中でも外でも、どんな体勢でもシュートに繋げる事が出来る。
さらにそもそも偽PGでデュラントにボールを持たせる。グリーンやイグダラならばドライブを警戒する必要はないが、デュラントならば常にヘルプが必要。
そんなわけで、カリーを楽にしてくれるボーガットはいなくなったが、デュラントによりハーフコートシステムの効率性が大きく上がりました。
ポイントは偽PGでデュラントがボールを持つ、これは普通のチームならアイソレーションの状況だという事。デュラントが選択肢を間違えない限りはディフェンスには悪夢でしかありません。



PGとしてのカリーの成長
ウォーリアーズの基本的な戦略はそんなカリーを中心に走って走って、相手が疲弊する事や、カリー&トンプソンが爆発するタイミングを待つ事。48分の試合時間の中で、必ず1度は爆発するはず、そこでリードを奪えるから走っていれば大丈夫。そんな強気な発想で試合をしている。
しかしファイナルで度々見られたように、特に第5戦の後半でハッキリしたように、時に走るのを止める事が出来るようになりました。
メンバー的にも戦術的にも練られているため、走らないメリットはあまりありません。むしろ走らない事でリズムが乱れるデメリットの方が大きい。ある意味ウォーリアーズはシーズンを通してデメリットを消す訓練を積んだと言えます。
データ的にみれば昨季のファイナルではオフェンスの停滞が原因で負けました。その理由はいくつかあるでしょうが、ペースダウンせざる得ないケースを想定し、走らなくてもリズムを失わないチームへと成長させたシーズンでした。
理由を言えばリーグで最高のオフェンスプレーヤーであるデュラントが加入したのだから当然ではあります。しかしウォーリアーズはシューターのチームである上に、チームオフェンスの中で誰もがシュートする可能性があります。
これらの点を踏まえて走らない戦術にも磨きをかけてきたのでしょう。
その中心にはカリーがいました。第5戦でのカリーはオールドスクールのPGのようでした。決して急がず、各オフェンスでどのシステムを使うのか指示を出し、キャブスの穴をついていました。
さらに得点差をみながら常に冷静に、そして確実にリードを保っていきました。
ウォーリアーズから走る事をとったらリズムを失うように、カリーから積極性をとればリズムを失うと考えていましたが、良い意味で普通のプレーを積み重ねているカリーの姿は成長を感じさせると共に驚異的でした。
ファイナルではクラッチシュートを決めていくシーンはみれなかったが、だからこそコントロールするカリーというこれまでにない姿を見る事が出来ました。



来季への課題を考える。
歴代最高とも噂されるチームであったが、来季への課題は明確に存在する。まずはFA問題が最大の重要課題となる。
カリー
デュラント
この2人は間違いなく残留するだろう。問題はサラリー。デュラントは既に減額OKと発言しているがカリーがスーパーマックスならば、そう簡単ではない。両者が減額しなければ誰かは放出されるだろう。
イグダラ
ファイナルでその価値を再度示し、グリーンと並んで戦術的にも重要な役割を担う。再契約は確実なようだが、こちらも金額は重要。
リビングストン
こちらは重要性は高くないが希少性は高い選手であり、それなりのサラリーが必要(年600万ドル以上)。
ウォーリアーズはスモールラインナップが代名詞だが、ビッグマンがいないだけで小さいのはカリーとクラークしかいない。その分誰でも守れてどこでも出来る選手が多い。
リビングストンのようなガードは希少なので手放したくない。
パチュリア
クラーク
バーンズ
サラリーキャップの関係で安い選手が必要で見つけてきた選手達。バーンズ以外はウォーリアーズにいるからこそ活躍し、注目されたわけだが、他のチームから2、3倍のサラリーを提示される可能性がある。プレータイムも考えて移籍する可能性は割と高い。
ウエスト
マギー
こちらも安い選手。優勝したくて加入したウエストは引退しない限りはミニマムで契約してくれるだろう。他のチームに行けばお笑い担当に戻ってしまうマギーもほどほどで契約するはず。
そんなわけでなんと9人もFA選手がいる。カリー・デュラント・イグダラのサラリーが決まらないと先に進めないのも厳しいところなので、逆に外から獲得する選手も限られてしまう。今季はマギーを当てたけど、ルーキースケール契約が少ないことも不安材料になっている。



補強と改善点
◯イグダラの代役
そろそろイグダラの代役を作れないと戦術的に厳しい。イグダラが衰えた訳ではなくて、ディフェンスであらゆる選手にマッチアップすれば、オフェンスでもPGからPF役までこなし3Pからトマホークダンクまで何でも決めるオールマイティさはグリーン・デュラント・リビングストンと共にローテーションの優位性を生み出している。簡単に言えば相手の事を考えず、自分達の都合でローテーション出来る。
ファイナルでは一瞬だけマコーにPG役を任せていた。線の細いマコーだけど適性はありそうなので鍛えたい。鍛えたいけどプレータイムをどうやって増やすかが課題となる。結果としてグリーンやデュラントのスタッツが下がるかもしれない。
◯控えPG
今季唯一悩ましかったポジションは何かしらの補強を考えるだろう。PGを連れてくるのは簡単なのだが、純正PGはウォーリアーズに合わない可能性がある。長身コンボガードかカリー弟が理想かも。クラークもいなくなりそうだからSGでも我慢できる。
リビングストンの残留は前提としてブヤチッチやカルデロンを連れてきたり、セフォローシャでディフェンスの多様性を優先する方法もある。まかり間違ってラウリーやジョージ・ヒルが激安サラリーで契約してくれれば最高ではあるけど。
リビングストンもいなくなるなら逆に純正PGとSFだけどサラリー出せないから厳しい。
◯センター
パチュリアはサラリー考えたら悲観するような選手ではない。しかしプレーのみでみたら変化を加えるポイントではある。
では誰をとるのか。それはボーガット。現在FAでケガ中。
ボーガットを欲しがるチームはそれなりにありそうだが、主力にしてくれそうな筆頭は実はウォーリアーズ。次点がセルティックス。
ディフェンス面の貢献は期待出来るので、控えで層を厚くするのにはうってつけの選手だけど、インサイドの得点に優れた訳ではなく、ストレッチ5でもない。ディフェンス・スクリーン・トレイルに特化してスターターになれるのはレアチームです。
これまでのようなサラリーは期待出来なそうなボーガットなので、どうせ安いならウォーリアーズでスターターで優勝する、そんな考えになっても不思議ではない。移籍させられた経緯も含めてボーガットの気持ち次第。
クリッパーズから離れるスペイツという手もあります。



strength in numbers
昨季はデビット・リーが抜けた穴を補完出来なかったウォーリアーズ。ファイナルでグリーンのファールトラブルに困らなかったように今季はデュラントがバーンズ&リーの役割を出来たため埋めることが出来ました。しかし、今季はバルボーサの穴は埋まりませんでした。
前回触れましたがウォーリアーズの強さは数の強さでもあります。バーンズとデュラントの交換以外は少しずつ弱体化しています。まぁデュラントだけでお釣りがくるのですが。
スーパーチームになったウォーリアーズはサラリーキャップがあるため、有力な若手・中堅の獲得は難しく、優勝したいベテランと無名選手から探してくるのが前提です。そこそこサラリーの選手に失敗出来ない面もあります。
よりGMの力が試される事になるでしょう。

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