ドレイモンド・グリーンを巡る2試合の変化

カンファレンスファイナルの2試合を終えてデータ的に何かを考えてみましょう。今回のテーマはドレイモンド・グリーン

 

第1戦を終えたところでドレイモンド・グリーンへの賞賛が多く出ていました。カペラを抑えながらもヘルプディフェンスで大活躍し、最高のディフェンダーだともてはやされました。ゲームレポートでもよく触れますが管理人はグリーンのオフェンスには否定的ですが、ディフェンス面の高速ヘルプは異常なレベルだと捉えているので「何をいまさら」という部分もありますが、ロケッツ相手にあそこまで止めたのは賞賛されて然るべきでしょう。

しかし、第2戦ではここを完全に攻略されました。

 

難しいのは攻略されたのか、それともハーデンを止めるためにウォーリアーズがディフェンス面を変更したのかどうかです。こればかりは真実は不明です。真実を解き明かすのは今回の目的ではありません。

また、攻略方法や問題点についてはビデオ分析が得意な方に任せましょう。「データ見ながら語ります」が趣旨ですからね。

 

要はドレイモンド・グリーン本人にどこまで関係するかは不明だけど、グリーンを軸にして両者の変貌を捉えていくのが目的です。

 

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◉マッチアップでの失点

 

まずはグリーンがマッチアップした相手の得点を確認します。

〇第1戦

カペラ 18回 0点

ハーデン 15回 0点

タッカー 14回 1点

 

つまりはほぼパーフェクトに抑えきりました。なお、あくまでもマッチアップデータなので、本当に得点されなかったといえるかは微妙です。微妙だけど少なく言ってもディフェンス面で多大な貢献をしたことがわかります。

ただし、実はそもそもマッチアップ相手には3本しかアテンプトされておらず、チームとしてはこの46回のポゼッションで68点も失っています。特にハーデンとグリーンになると15回でチームは28点なので、直接マッチアップがどこまで有効だったのかは微妙です。チームとしてはvsカペラの時が最も守れています。

グリーンがハーデンに引き出されることでウォーリアーズはヘルプディフェンスが弱くなってしまう

そんなウォーリアーズの傾向は十分に捉えておくべき事実です。ハンプトン5が強力になるのは5人が高い機動力で守れるからですが、それが常に起用されないのはインサイドへの不安からです。グリーンは信頼できるけれども、外に引き出されると苦しくなります。

 

〇第2戦

カペラ 28回 0点

アリーザ 14回 5点

タッカー 12回 9点

ハーデン 5回 3点

 

迎えた第2戦では個人のマッチアップでも明確に攻略されていることがわかります。とはいえカペラには得点を許しておらず、チームとしては第1戦と同じような失点率です。なお、あくまでもマッチアップのデータなので個人アタックしてこないカペラはグリーン以外にも抑えられがちです。マッチアップされずフリーで決めるのがカペラの仕事。

 

数字的には2つの事が気になります。

・アリーザとのマッチアップ回数が急に増えた

・タッカーに得点されている

これがロケッツの工夫なのか、それともウォーリアーズの修正が生み出したズレなのかは判断が難しいのですが、ゲームレポートでこんな事を書いています。

 

アリーザに積極的にドライブさせ、タッカーにカットプレーでの合わせをやらせた。その結果、試合途中からアウトサイドが空き始め3Pを決めた。

 

グリーンのディフェンスが問題だったかどうか、ではなくグリーン中心に見るという理由でもあります。試合で感じたロケッツの修正そのものがインサイドのグリーンに反映されます。

9点奪ったタッカーですが3P1/2、で2P3/3です。驚異的に感じたタッカーのコーナー3Pですが、実はインサイドを攻略していたことがわかります。1本は完全なポストアップでしたが、2本はクリス・ポールとハーデンのドライブに対して逆サイドのコーナーからカットしてきたプレーでした。

一方でアリーザは3Pなのでロケッツ側の修正としては「広くスペーシングしてグリーンがヘルプに動く距離を長くし、その動きに合わせてタッカーはカットする」というものでした。

 

ただし、別に特別なプレーではなくロケッツが日常的に行っている一部に過ぎません。カペラとのマッチアップ回数が多いようにロケッツが意図してスモールラインナップを当ててきたわけでもありません。だからこれはウォーリアーズ側の対応だった可能性もあります。

「ハーデンとクリス・ポールへのヘルプを早くしてしまい、裏のスペースに合わせられた」

どちらが正解なのかはHC達が第3戦に修正してくる内容にも関わってきます。

 

リードされたことで焦りがあるグリーンが勝手にやった説もありますから、第3戦みてもわからないかもね。

 

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◉ペイント内失点

 

グリーンのプレータイム中の成績で比較します。

〇ペイント内失点

第1戦 34

第2戦 42

これもタッカーとアリーザの都合なので内容は同じです。小さな差が大きな点差になる試合なので、本当にインサイドをほんの少し上手く攻めただけだったりして。

 

〇グリーンのブロックアウト

第1戦 18

第2戦 23

そしてグリーン自身は第2戦の方がしっかりとブロックアウト出来ています。その一方でロケッツのセカンドチャンスは増えていました。

 

〇ロケッツの第1戦→第2戦

オフェンスリバウンド 7→10

セカンドチャンス 7→14

 

37分出場したグリーンですが、その時間に許したセカンドチャンスは8点。いない時間に6点なのでグリーンは働いたけど、それ以外でやられた構図が出てきます。自分はブロックアウトしているけど、周囲はリバウンドをとられる。ただし6点がガベージタイムなので、特に意味はありません。

全体的にはやられている印象とは違い、そんなに問題がなかったセカンドチャンスでした。もっともロケッツのシュートが決まっているので、失点のリスクも少なかったです。

 

ウォーリアーズは圧倒的に高いわけではないので、人に強いグリーンがカペラを抑えている間に、他の部分でオフェンスリバウンドを奪えるのか。それはロケッツが意識していたコーナー3Pでグリーンを引き出すことにも関係してきます。

 

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そんなわけでドレイモンド・グリーンが良かった/悪かったではない中での攻防が行われています。ブロックアウトをしっかりと行い、カペラに得点させなかったようにグリーンのプレーレベルが下がったわけではありませんでした。

一方でロケッツ側がアリーザのドライブでウォーリアーズディフェンスの予定を崩し、タッカーがフリーになってカットプレーと3Pを決めやすくなりました。これは明確にロケッツ側が戦略的に修正してきた内容です。

お互いに高いオフェンス力があるので、こんな打開ポイントを先に打ち出せるとポンポンっとリードを奪っています。リードされた方は少し無理をしなければならず、第1戦はロケッツが、第2戦はウォーリアーズが無理をしたことで点差は開きました。

 

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◉ミドルとアーリーオフェンス

 

一方でロケッツはミドルレンジが減りました。

第1戦8本 → 第2戦4本

ここで悩むのは普通ならば「ミドルが減った」ですが、そもそもロケッツはミドルを打たないチームです。不要なミドルを打つことを良しとしないので、基本的にクリス・ポールとハーデンしか打ちません。彼らはハンドラーとして勝負するなかで選択肢にミドルを含めるわけですが、それだってインサイドを固められるから打つに過ぎません。

 

加えてペイント内はアテンプト数が変わらず、確率が上がりました。上がった理由は前述のタッカーがメインなのでロケッツの工夫で良いのですが、アテンプトが増えていないのは重要です。

〇ペイント内FG

第1戦 22/40 → 第2戦 28/42

 

第1戦で機能したグリーンのディフェンスと、それでも40点オーバーのハーデン。ウォーリアーズはよりハーデンを止めようとしたのではないかというのが、試合を観た感想でした。ここはシチュエーションも違いますし、アリーザのバックドアなんてプレーも出たのでちょっと関係性がわかりません。

 

第1戦で少しミドルを打っていた事が、結果的にグリーンを引き出し、タッカーの合わせに繋がったのか。

それとも単にグリーンを引き出そうとしたロケッツの修正だったのか。

どちらかわからないので、分析動画があれば教えて下さい。

 

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コメントでは他に「ロケッツがトランジションオフェンスで得点を狙った」というご意見もありました。それは正しいと思いますが、これも指摘いただいていますが、第1戦に余裕を見せすぎてショットクロックギリギリのシュートが多くなったことを懸念したのかと思っています。

つまり早い展開をしたかったよりも、ボールプッシュを早くしてマークのピックアップミスを増やすと共に、ハーフコートオフェンスの時間を確保したかったのではないかと。

 

〇ショットクロック別シュート割合の変化

残り7秒~4秒 8.6%~11.9%

残り4秒以下 21.0%→13.1%

 

実は18秒以上で打ったシュートの割合は22%前後で大差なく、残り時間4秒以下で打つシュート数が劇的に少なくなりました。単にハーデンが余裕見せすぎた第1戦という面もありますが、第2戦でも13%もあるので慌てずにオフェンスを実行する傾向は変化していません。ちなみにウォーリアーズは僅か5%のみです。

 

早い展開を望んだのではなく、遅すぎる展開を避けたように感じたロケッツの変化でした。これもまたリスクを減らす戦い方に思えてくるのです。

 

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数字だけをみればロケッツのウイングが第2戦になって働いただけだし、試合内容をみるとグリーンのディフェンスが攻略された感じでした。データを追っていくとグリーンのパフォーマンスが落ちたイメージにならず、ショットクロック減ってからのシュートを避けた感じです。

第1戦は13点差でウォーリアーズが勝利し、第2戦は22点差でロケッツなので、そこには35点もの差があるのですが、実際にはリスクを減らしたロケッツと、リスクをとらざる得なかったウォーリアーズの小さな変化が大きな点差に跳ね返ったと感じたのでした。

 

最終的には3Pが決まったかどうかでリードが変わり、リードが変わると負けている方がリスクをとらなければいけない。舞台をオークランドに移しての第3戦と第4戦。先に10点のリードを得るのはどちらなのか。そして先にリスクをとって成功し逆転勝利を得るのはどちらなのか。

お互いに相手をリスペクトしすぎている戦いがウエストファイナル

そのリスペクトが正しいことを証明したような初めの2試合でした。

 

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今回の趣旨とは関係ないけど、カリーのディフェンスハイライトがちょっと面白かったです。別に概ねいつも通りなのですが、カリーはよくギャンブルディフェンスをします。でもそれは成功しなくても失点にはならないレベルのプレーです。個人で守る力は低いけどヘルプディフェンスが上手いと言われる所以でもあります。

ところがそれが失敗すると即失点になってしまうのが第2戦なのでした。

 

 

 

ドレイモンド・グリーンを巡る2試合の変化” への3件のフィードバック

  1. すみません、もし良かったらnbaアワード各賞最終候補についての意見をお願い致します。m(_ _)m

  2. 興味深い分析ですね。両チームともここに向けて仕上げてきた感が強く、まだまだ一進一退が続きそうですね。
    個人的にはハンプトン5を長く続けない理由の一つに、プレッシャーディフェンスによる体力の消耗があると思っています。そして、このプレーオフを通じてイグダーラのプレイタイムが短いことが気になっています。戦略的なものなのか、衰えや怪我によるものなのか。ウォーリアーズの最大の懸念材料ではないかと思うのですがいかがでしょうか。

    1. 「イグダラ先生は衰えている」
      というのがプレーオフ前の指摘だったのですが、それをセカンドラウンドまでで覆す活躍をされました。もうお手上げでした。
      しかし、ロケッツ戦では確かに目立たないですよね。それはもちろん巧みに避けているロケッツでもあります。

      体力の消耗は不明ですが、試合の中で同じ事を続けても意味がないというのは間違いないかと。
      自分達から走ろうとして失敗する面もあるので、スティーブ・カーもイグダラも迷っているのではないでしょうか。
      あとはルーニー次第ですかね。オフェンスでデュラントに託すならルーニーでも問題ないので。

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