20180517 ロケッツvsウォーリアーズ 第2戦

デュラントとハーデンが止まらなかった第1戦。どちらかが止めるのか、それとも他の選手が爆発するのか。リスクを排除した戦いの両チーム。

 

〇立ち上がりの修正と工夫

ハーデンのファーストシュートはステップバックミドルをエアボール

デュラントのファーストプレーはアリーザがスティールから速攻

第1戦と違う雰囲気のスタートになります。さらにアリーザはもう1本速攻に、ディフェンスではトンプソンへのパスをミスさせます。カリーのパスミスも続きます。

一方でポストでカペラとのマッチアップになったトンプソンが3連続で止めます。ここは3回連続同じ状況を作れたのがロケッツ側の工夫でしょうが、相手にしなかったトンプソン。まぁカペラに個人アタックは遅い相手にしか通用しないユーロステップしかないし。

デュラントのドライブとミドルも決まって、お互いに第1戦の修正が成功したり、失敗したりと互角の立ち上がりです。

 

3分でクリス・ポールが2つめのファールになり、この試合もファールトラブルに悩まされそうなロケッツ

 

 

〇互角なのは微妙な内容

デュラント同様に積極的なカリー。それはハーデンやカペラを狙うのですが、成功率はまぁまぁ。ちょっと存在感がないというか、本人とは関係なく展開的に目立つ要素が少ないカリーですが、3Pは警戒されているのでドライブを決められるならば一気にウォーリアーズペースになりそうです。決められないならイグダラPGの方がディフェンス的に良くなってしまう。4本の3Pを全て外し、3つの2Pを素晴らしいシュートスキルで全て決めたので、そこは五分五分な1Qです。

タッカーからゴードンにスイッチするロケッツ。どうやらディフェンスよりもオフェンスにシフトした模様。同時にデュラント以外にタッカーを当てる意味がないという判断かもしれません。そしてアリーザが積極的にドライブしているので、こちらは工夫と言うよりも反省という感じ。3Pに拘りすぎた第1戦。なお、相変わらずバーアムーテは全くダメ。ゴール下さえ外す始末。2年前に戻ったみたい。どうしたんだ。

 

デュラントが止まらなくなり、外れてもルーニーが押し込むので、カリーの得点もあってウォーリアーズの方が良さそうなのに、ハーデンとアリーザのドライブで対抗出来ています。それはロケッツの方が良かったのにリードにならなかった第1戦の逆みたいな展開です。

 

〇小さくして守る

3Pを連続ヒットするゴードンでウォーリアーズがタイムアウト。カペラとハーデンを下げたロケッツはそこにタッカーとジェラルド・グリーンです。スモールラインナップを保つためのローテーションでした。

1Q残り3分で18点のウォーリアーズはそこからカリーのドライブ&ワンによる3点しか取れなくなります。スモールで追いかけるし、全てにプレッシャーにいくのでボールが停滞するウォーリアーズ。普通はウォーリアーズのボールムーブを止める事は出来ないのですが、センターがタッカーなんて布陣なのでアグレッシブなディフェンスで可能にしています。

 

そうなると狙うのはクリス・ポールの高さとジェラルドのディフェンスなのですが、イグダラが決めることが出来ず、さらにオフェンスファール。そして第1戦の前半にキーポイントになったヤングの3Pも外れます。忘れてはいけないヤングの活躍は、働けなかったロケッツの3&Dと対照的でした。

スティールからの速攻も決まり、スモールラインナップで走り勝ったロケッツ。26-21とオフェンスではなくディフェンスによってリードを得たロケッツでした。ウォーリアーズは7ターンオーバー。

 

Q間のダンスタイムにミニコントをするロケッツの警備員

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〇先にヒットするロケッツ

タッカーの3Pでスタートするとヤングも3Pを返します。何故か、ヤングを頻繁に空けてしまうロケッツ。しかし、トンプソンの方は警戒を強め、3Pは打たせない守り方を成功しています。そんなトンプソンからのパスをウエストは決めたものの、粘り強いロケッツのディフェンスに次第に沈黙していきます。

ロケッツは2Q初めの4本のアテンプト全て3Pでした。警戒されているのに打ててしまうから、5本目は空いたインサイドでカペラの&ワンになります。ハーデンが出てくるとコーナーで3Pをヒットし38-26と気がついたら二桁リードになります。

実質4つの3点プレーで12点を積み重ねた間に5点だったウォーリアーズ。第1戦は先にウォーリアーズが3Pを連続ヒットし、この試合は先にロケッツがヒットしただけとも言えます。シュートが決まるかどうかのレポート泣かせ。

 

〇変えたのはどちらか

タイムアウト明けにウエストとリビングストンのアタックが成功しますが、アリーザもドライブで決め返します。しかし、周囲に決められたことでトンプソンへのマークが甘くなり3Pで一気に5点差に縮めるウォーリアーズ

それをタッカーが連続コーナー3Pで返して再びウォーリアーズがタイムアウト

タッカーって不調だった次の試合にしっかりと決めてきます。このメンタルの強さは素晴らしい。アリーザも活躍する中でバーアムーテの不調をカバー出来ています。

 

ウォーリアーズはまたもトンプソンが3Pで返しますが、アリーザも応えます。強引に打ったトンプソンが外すと、素晴らしいドライブ&ボールムーブから最後はゴードンの3Pも決まり、先に得たリードを守っていくロケッツ

 

ちょっと考えてみましょう。この変化はどちらがもらたしたものなのか。

まず第1戦で働けなかったロケッツのウイング達がしっかりと仕事をしました。アリーザはトランジションディフェンスにオフェンスリバウンドとシュート以外の仕事もしっかりとこなします。しかし、そもそも3Pのためのキックアウト前にハーデンのドライブで完結していた第1戦です。

ハーデンが個人で仕掛ける場面は大きく減っています。徹底的にカリーを狙うよりもフリーの選手を先に探す形に。一方でウォーリアーズもハーデンへのヘルプが早くなっています。つまり、どちらかというとウォーリアーズ側がもたらした変化の気がします。もう少しハーデンを止めようという作戦です。

それがロケッツのボールムーブと3Pを促しています。ロケッツがハーデンアタックを減らしたのか、それともウォーリアーズがハーデンへのケアを早くしたのか。いずれにしてもロケッツは全体が連動してしまったので、ウォーリアーズディフェンスは太刀打ちできなくなっていきます。

 

ここ重要です。どちらも全てに連動されると手がつけられなくなるから、デュラントとハーデンだけにやらせていた第1戦です。やらせていたのはディフェンス側。

 

〇止まらなかったウイング

止まらないロケッツがバックドアパスも連発するようになり、オフェンスは全く問題なくなり二桁リードを守ります。ウォーリアーズはデュラント勝負にしてギリギリで保っていきます。それに応えていくデュラント。

2QはFG55%、3P5/9と決めまくったウォーリアーズは29点を積み上げました。ディフェンスの戦いだった1Qや2Q序盤のベンチメンバーとは違い、しっかりと機能していたウォーリアーズのオフェンス。

しかし、アリーザ&タッカーでFG9/10、22点を奪って38点となったロケッツ。単に3Pが決まったのではなく、第1戦の反省から立ち上がりにドライブを増やしたアリーザと合わせでカットを混ぜていたタッカーが2Qになってアウトサイドで空いた形です。

 

リスクをとらない戦い方をしていた第1戦に比べると、リスクをとっているのはウォーリアーズのディフェンスという印象の前半は64-50で終わります。

 

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〇上回るウォーリアーズ

デュラントのドライブをテイクチャージしたタッカー。それでも怯まずにタフショットを決めていくデュラント。

カリーを狙っていくハーデン。そこからパスが出てくると躊躇なくドライブするアリーザとコーナー3Pを決めるタッカー。

ハーデンvsデュラントという第1戦のデジャブが始まりますが、ここは積極的にドライブを仕掛けるアリーザというロケッツ側の修正で少しだけ展開が違います。ハーデンのアタックが減ったのではなく、リターンパスよりもドライブするアリーザという形です。

もう1つ違うのはカペラがカリーもデュラントも止められなくなっていること。ウォーリアーズは同じ内容だけど第1戦を上回っています。

 

守り切れていないけど、オフェンス力で5分で10点差にしたウォーリアーズ。凄まじいデュラント。この集中力が延々と続くのかなぁ。怖すぎでしょ。

 

〇止めるウォーリアーズ

ディフェンスの成功待ちになるウォーリアーズ。カリーへのマッチアップ変更を許さないために、スクリーナーに対して先にスイッチしたりと工夫するのですが、それでも最後はカリーとの勝負に変えてしまう成熟しているロケッツのオフェンス。ハーデンへのヘルプを強めてもクリス・ポールで決めていきます。

しかし、オフェンスでダメになっていくデュラント以外。カリーとドレイモンドがボールムーブ出来ず、ドライブを仕掛けては止められ、結局はデュラント頼みにするから、益々ボールは回らず後手後手になっていきます。

ロケッツもターンオーバー連発で止まってくれているのに、サーカスシュートを外すカリーで縮まりそうだった点差が逆に離れていきます。リードされるともろさをみせる今シーズンのウォーリアーズ

 

〇ファールで負ける

残り3分からカリー、トンプソン、ドレイモンドを全てベンチにして、デュラントオンリーにしていくウォーリアーズ。ポストアップから笑顔もクレームもなく淡々と得点し、ダブルチームには簡単にボールを捌いていきます。クリス・ポール兄とは何か言い合ってたけど。

問題があったのはディフェンス。溜まっていたチームファールで次々にフリースローを与えていきます。負けているからのハードチェックにも感じます。クリス・ポールとゴードンの&ワンもあり、シュートを決めているのに点差が開いてしまいます。

 

3Qのウォーリアーズはデュラント以外がFG5/14とストップしていたのに対し、デュラント1人でFG6/8で18点と大活躍で29点を奪ったのに、ロケッツに31点を奪われてしまうのでした。それもフリースローで10点なので、余計なファールをしなければ少なくとも点差は縮んでいたはずでした。

デュラントを見殺しにしたようなウォーリアーズ

 

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〇走りたいウォーリアーズ

カリーがよくわからないシュートを外して始まった4Q。カリーはこの試合初めての3Pを決めますが、すぐにゴードンに返されます。

それでもカリーはドライブとリビングストンへのアシストで得点を返していきます。ガマン出来なくて直ぐにデュラントを戻すスティーブ・カー。ハーデンも戻ってきます。点差もあるので勝負所が早まった感じです。

ハンプトン5で走ることを選択し、イグダラのボールプッシュでファールしたクリス・ポールが5回目のファールでベンチに戻ります。しかし、出てきたゴードンがタフ3Pをねじ込み点差を保ちます。そして逆にトランジションからハーデンがレイアップ、タッカーがコーナー3Pでリードを広げるロケッツ

 

この時間はウォーリアーズが得意のトランジションゲームを安易に仕掛けられない理由を示してくれました。ロケッツ相手に限らず、早い展開で攻める場合はカウンターのリスクが高まります。だから3Qでリードを奪うパターンもあれば、時に点差をつけられて負けるパターンもありました。

そしてロケッツが相手となると無理にトランジションを仕掛けてもディフェンス力で止められる可能性が普段よりも高くなります。ペリカンズ戦は守ってから走るパターンが有効でしたが、簡単にターンオーバーしなくなっているロケッツという事情もあり、自分達から強引でも仕掛ける必要がありました。

 

第1戦の逆で点差が二桁離れたことで先に形を崩すことになったウォーリアーズ。そして形を崩すと一気に飲み込まれてしまうのは第1戦と同じでした。立場が逆なだけ。

ハーデンのステップバック3Pにアリーザがバックドアと完全に手玉にとったロケッツ。イライラしているから酷いファールをするドレイモンド。別に危険なわけじゃないから、JRスミスよりは遙かにマシだけど、テクニカルもフレグラントもコールしないのは間違っているぜ。

残り5分あるけど20点以上離れたので諦めたウォーリアーズでした。

 

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◉第1戦の逆というだけ

 

結局の所、第1戦と同じようにハーデンもデュラントも止まらなかったのでした。まぁ正確に言えばハーデンは3P3/15なので外しまくっています。止めた感じはないけど外した。そういえばハーデンが外すとロケッツが大勝していたウルブス戦でもありました。

 

第1戦と違うのはトンプソンが働けず、アリーザとタッカーが働いたと言うこと。それはウイングの立場が逆になっただけです。シュートが決まったかどうかという単純なものではありませんが、より連動できたのはロケッツであり、どちらかというとそれは連動を許したディフェンスという構図です。

 

第1戦はトンプソンに15本のアテンプトを許してしまったロケッツ

第2戦はアリーザ&タッカーに41点とられたウォーリアーズ

 

恐ろしいのは本当に小さな差なのだけど、どちらも試合もそれが大きな点差になってしまうことです。連動を許すことが爆発を生んでしまうので、オフェンス力で競っているのにやっぱりディフェンス勝負な気もしてきます。

 

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ちょっと気になるのはカリーとゴードンの部分。第1戦でダメダメだったゴードンはリベンジした形です。3P6/9は決まりすぎ。

一方でカリーが目立ちすぎたような展開でした。自分でハンドルして打ちまくってFG7/19はボールムーブを阻害し、結果的にトンプソンのアテンプトを減らしました。どちらが打つのが確率が高いのかと言うよりも、効果的なシュートになっていたのかどうか。この2試合を観る中では正直、イグダラPGでボールムーブさせて、ディフェンス強化した方がロケッツ相手には有効に思えます。

 

第1戦に勝利し、試す余裕があったから実行したカリー勝負なのか、それとも暴走なのか。ちょっと読み切れないけど、成功したとは言いがたかった部分は第3戦にリベンジとして尚更打ってくるのか、それとも修正してボールムーブしてくるのか。

 

大きな点差とは違い、お互いが選んでくる手段で小さな差が生まれ、それが大きな点差に跳ね返ってしまう繊細なのに大味なシリーズ序盤の2試合でした。

 

 

 

 

20180517 ロケッツvsウォーリアーズ 第2戦” への8件のフィードバック

  1. ロケッツはペースアップしてGAME1みたいにショットクロック少なくなるまで待つとかせずにガンガンボールプッシュしてオープン3につなげていましたね。
    アイソではキックアウトじゃなくシュートで終わるようにし、そうするとTOも減ってシュートの思い切りも良くなっていたように感じました。

    1. 第1戦はやりすぎましたね。ボールプッシュよりもハーデンだけでなくアリーザがアタックする事で時間を使わなかったのかなーと思っています。

      ハーデンが外から打ちまくったのは、おっしゃる通りターンオーバー減らしに行ったのかと。それはウォーリアーズのトランジションを防ぐのに役立ちました。ディフェンスの戻りも早かったので、それは狙ったのだと考えています。

  2. こんにちは ロケッツのレポートは全て読ん出るロケッツファンです
    今日の試合ですがクリスポールがシュートを決められると即座にボールを取りに行って早い展開を促そうとしてましたよね? 結果としてリードが生まれたのですが、これはいつかのロケッツのレポートにあった「ロケッツがウォーリアーズより明らかに優っているのはハーデンとポールによって高まるトランジションオフェンスの質である」と言うことが関係しているのでしょうか?
    トンプソンとカリー、ポールとハーデン、今日の試合を見て気づいた差などはありますか?

    1. クリス・ポールは程度の差はわかりませんが、わりとスローインを早くしたがるんですよね。相手のターンオーバーの後とか、流れが自分達に来ると思ったら急ぎます。
      早い展開というか、相手のマッチアップをずらしたいのだと思います。この試合ではどちらかというとトランジションディフェンスを強化していて、これまでのプレーオフにないくらい戻っていました。クリス・ポールのファールが多かったのも止めたいからかと。
      早い展開で得点出来たのは、ウォーリアーズのトランジションを止める事でカウンターしたからかなと。それは狙っていたと思います。

      そんな早い展開で3Pを打つのがスプラッシュブラザーズの良さですが、ほぼ打たせませんでした。それに比べればロケッツの方はタッカーのコーナー3PのようにPGの質で対抗した気はします。

  3. ずっと応援してきた身としては「カリーはこんなもんじゃない!」と言いたいけど2016POの彼を見てるみたいで辛いです。
    イグダーラをスタメンにしてセカンドで調子を戻してってのも、今までのカーHCならやらなそうですよね。

    1. カリーを外すくらいなら、カリーで負けた方が良いと思います。なまじ外したら勝てそうだから欲が出てしまうんですよね。
      調子の悪さよりもチームの中で合ってない印象を受けます。やっぱりスクリーンかけてもらえないんですよね。

  4. 点差や勝敗はともかく、ドレイモンドグリーンのディフェンスが攻略されすぎてるような感じがして非常に気になりました。
    カペラのリバウンドやピック&ダイブを抑えてる点は大きく評価できるんですが、ハーデンやクリポにスピードで翻弄され、カペラを気にしすぎて思い切ったヘルプが出来なくなっているような印象です。
    ドレイモンド個人でどうにか出来るものでもないんですが、今後のシリーズでどうなってくのか気になります。

    1. そうですね。何が正解かはわかりませんが、ドレイモンド・グリーンの部分は面白いというか、攻防の接点としては重要だと思います。
      第1戦では賞賛されたヘルプディフェンスですが、本人が調子に乗った部分、チームがハーデン対策した部分、ロケッツがオフェンスを修正した部分などいろいろな要素が組み合わさったのだと思います。

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