20180510 セルティックスvsシクサーズ 第5戦

圧倒的に有利なセルティックス。しかし手の内がばれるほど苦しくなるので決めてしまいたい。マッカナムの活躍でシクサーズが勝ったのは、手の内の読み合いをしてくれるからです。

 

〇振り切ろうとするシモンズ

今日もスターターにTJマッカナム。そのマッカナムが決めてシクサーズが先制し、この試合からスターターに復帰したジェイレン・ブラウンが連続で決めてゲームがスタートします。ブラウンのマッチアップはレディックなので狙いたいマッチアップですが、ケガの影響でイマイチだったのとスマートだと単純にシュートが決まらないので、ここを使えるのは大きいセルティックス。もうひとつはテイタムvsサリッチ。

シクサーズはこれまでになく積極的。もともと積極的なチームですが、シモンズに得点を促す守り方によりボールムーブを阻害されていたのをマッカナムで解決しています。守ってもローテーションでスティールしてくれる。決めていくのはサリッチとマッカナムだけど、その前にシモンズが積極的にアタックします。

 

エンビートの存在がシモンズのゲームを阻害していました。ランニングゲームに持ち込めばアシストもドライブも出来るのは、エンビートがベンチに下がったときに証明していました。でも40分でるようになったエンビートでそんな場面は殆ど出てきませんでした。どうも吹っ切ったのか、エンビートがいるけど気にせず早いプッシュをしていくシモンズ。1試合続けられれば勝てるよ。

得点差が開くわけではないけど、早い展開のオフェンス勝負はシクサーズペースだよね、って事で早々にタイムアウトのセルティックスでした。

 

 

〇加速させてもらえないシモンズ

エンビートがベンチに下がるとシモンズが加速します。ブロックにドライブ、カットプレー、キックアウト。流れが出来てくるシクサーズ。

一方でベリネリがいるのでロジアーも積極的になります。本当に酷くって、個人を守れないだけでなくスイッチのタイミングもメチャクチャでスマートにも簡単にドライブされます。それをシモンズ他がなんとかインサイドで止めるのですが、イージーに打てるセルティックス。でも外すモリスみたいな。

 

それでもオフェンスのチームだから打ち合うしかないと思うけど、いつも通りシモンズの時間は直ぐに終わりエンビートと交代します。ミスのオンパレードになるシクサーズ。動かないでボールムーブしたがるからディフェンスに引っかかりまくります。

だったらシンプルにエンビートのポストを使えば良いのに、エンビートはモリスに押し出されてしまうので、直ぐに3Pラインの外に行くのでした。シモンズがベンチに戻ると逆転したセルティックス。

 

なお、この言い方って管理人がシモンズ好きだから書いている内容ではありますが、別にシモンズ個人を無視しても良い話です。シクサーズのシューター達はシュート力あるし、エンビートのポストアタックは強烈です。でも、そこまで持って行かせないのがセルティックスの守り方。その守り方を観て得点出来るのがマッカナム。

オフェンスもエンビート引き出して打ったシュートなので、外れてもベインズが豪快に押し込んでくれる。エンビートからオフェンスリバウンドとるのは難しいけど、シクサーズからは取れる。

 

良いスタートを切ったシクサーズですが、自分達で流れをぶった切るのでセルティックスが逆転して25-24で1Qが終わります。なお、セルティックスも自分達でチャンスを潰すミスをしています。1点差は良い結果ではありません。

 

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〇帯に短したすきに長し

2Qのスタートでインサイドを攻めていくセルティックスですが全くシュートが決まらず。一方でシクサーズはタフショットを決めていきます。

懲りずにマッカナム、レディック、ベリネリを並べていますが、そのデメリットをいまいち使えていないセルティックスの事情。シクサーズも決めているのがサリッチとエンビートだから、あまり意味がないと思うけど。

次第にブラウンとテイタムによりドライブが決まり始めます。そしてロジアーの3P。しかしベンチに戻ったテイタムは左手を痛そうにします。ラーキンもアウトなんだ。

 

再びシモンズパターンに戻ります。エンビートが調子よく決めていたのにね。それでもランニングゲームになるし、インサイドへのドライブに対しヘルプが間に合うようになります。スティールされても戻りも早い。エンビートがいないので、動く周囲へのパスフェイクからイージーにドライブダンクするシモンズ。帯に短したすきに長しシクサーズ。互角。

 

〇残り1分

ホーフォードがねじ込んだり、シモンズがファンブルしかけたのを空中でねじ込んだりして残り1分まで互角で進みます。

しかし、その1分でブラウンがディフェンスでレディックを追い込み、そしてキックアウトからベインズのコーナー3P。ベインズはエンビートのポストアップを止め、テイタムがコートの真ん中をストレートに駆け抜けてレイアップ、最後はスマートのキックアウトからロジアーの3Pで61-52と9点差になって前半が終わります。

 

前半に目立ったのはこれまでになくシモンズが機能していること。その理由は第4戦から続くマッコネルPGでシモンズと役割交換するので以前のように空けられないこと。オフボールムーブからのドライブになるのでホーフォードも守りにくい。マッコネルとシモンズでFG9/11で19点を奪いました。

逆に目立たなかったけどブラウンのディフェンスが復調しています。シクサーズはFG54%ですが8ターンオーバーで52点止まりになりました。そして8スティールから11点を速攻で奪ったセルティックスが61点まで達しています。セルティックスとしては珍しいハイスコアなので、速攻がなければここまでリード出来なかったはずです。ブラウン&テイタムでFG10/12で25点。

 

シモンズ&マッカナムとテイタム&ブラウン

1年前はこの4人がプレーオフで活躍するなんて想像もつかなかったわけです。ブラウンだけは昨季もプレーオフで少し結果を残していたし、マッカナムも同じようなプレーはしていましたが、中心選手としてこの舞台に上がってくるとはね。

 

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〇シモンズ問題

後半開始から調子よく飛び出したのはシクサーズ。しかし、セルティックスは決まらないシュートに何度もオフェンスリバウンドを繋いで最後はハーフタイムに打っていた位置と同じ所からブラウンの3Pが決まって3分経つと10点差になっていました。

シモンズが一回転してのバンクシュートを決めます。積極的に打つようになってきています。このシリーズで悪い点のひとつにテイタムへのディフェンスがあります。止めたいからシモンズがマッチアップするのに、どうも苦手らしくフェイクに引っかかりまくります。ベインズのフェイクにも引っかかったシモンズ。

また、ドライブしたコースにレディックが走ってきて衝突します。レディックのパスと感覚が合わずにトラベリングする場面も。

 

〇急がば回れのセルティックス

ベインズから&ワンを決めるエンビート。しかし、ベインズのドライブに対しファールコールされるとアフターでさらにベインズを押してテクニカル。試合開始からスマートをアフターで押していたし、多分、もうとっくにキレているエンビート。前半にテクニカルコールされていたら退場していたかもね。

なお、セルティックスはエンビートがコートからいなくなることを喜ぶかどうか微妙なのか、このシリーズの特徴です。試合終盤になるとエンビートの所を攻略していくし、困ってもベインズのコーナー3Pがあるから大丈夫というプレーチョイスをしています。急がば回れのセルティックス。最後はエンビートがバテるはず。

 

レディックを下げたシクサーズ。出てくるのは何故か前半に出番のなかったジャスティン・アンダーソン。ベリネリのディフェンス力を考えたら賢明な選択なのですが、今になって変更する理由もちょっとわからない。

 

3Qになるとポストアップを増やすのもエンビート。そのポストアタックが連続で成功します。しかし、ブラウンのアタックに対し守れないシモンズ。というか素晴らしいディフェンスをするとブラウンがねじ込み、あっさり抜かれるとエンビートのブロックがあるのに後ろからアンダーソンがファールしてしまう運の悪さも。まぁブラウンはフリースローが苦手。なんなら3Pよりも苦手。

シクサーズはセルティックスからフリースローをプレゼントされていきますが、こちらも確率良く決まりません。

 

〇残り3分

全く追いつきそうにないシクサーズだったのですが、サリッチが速攻や3Pで稼いでいく間にスマートが連続ターンオーバーしてくれます。それまでターンオーバーの数でリードしていたようなセルティックスだったので、一気に流れがシクサーズにやってきます。

時間が十分になる中でレディックが無理矢理のような3Pをねじ込み、サリッチのアシストからエンビートパターンも通って1点差になって3Qを終わらすことに成功するのでした。ミスした方が負ける典型的なパターン。

 

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〇プレーオフディフェンス

再びブラウンの3Pでリードを得るセルティックスでしたがフリースローが決まらず、コビントンの3Pで逆転に成功する4Qのシクサーズ

このシリーズで4Qのロジアーは凄まじくターンオーバーも4試合で1つしかなかったのですが、シュートが決まらずミスもしていきます。その間にシクサーズはサリッチとイリャソバで得点し流れがよくなるもののエンビートとシモンズのミスで繋がりません。

再びセルティックスのターンはホーフォードが連続で決めて6点のリードを得ます。するとシクサーズのターンになってシモンズとエンビートで追いつき、サリッチの3Pで残り3分半で逆転します。

 

お互いにファールコールが増えていくプレーオフらしい接戦で、どちらも流れを掴めそうで掴めずターンが入れ替わっていきました。なお、そんなフリースローは両チームが75%前後という非難も出来ないけど「決めていれば」と言われてしまう確率でした。この試合のジェイレン・ブラウンは3P3/4でフリースロー1/4でした。

 

 

〇クラッチ

シモンズのゴール下で3点差にするシクサーズ。頼みのロジアー3Pが決まらず、珍しくフリースローを外しまくるスマート。シモンズのレイアップも決まるようになって終盤になり勢いのあるシクサーズ。残り2分で4点リードに。

セルティックスはテイタムが行きます。ドライブからファールをもらいフリースローを決めると、次にドライブでインサイドを引き出してホーフォードへのアリウープ。レイアップが外れるもスマートが押し込んで残り1分同点に。

 

サリッチのポストアップをスマートが止めます。なんでサリッチなんだ?

アーリーオフェンスに失敗するもボールが回ってきたスマートがゴール下のテイタムを見つけパスを通すとハードコンタクトされながら、テイタムが押し込み残り19秒でセルティックス2点リード。

 

シクサーズは今度はしっかりとエンビート勝負に。押し込むエンビートですが、このシリーズ守り続けているベインズが最後までハンズアップディフェンスで粘りきり、エンビートのシュートミスを信じます。ここ大事。ブロックに飛ばなかったベインズ。外すと思っているセルティックス。

リバウンドをエンビートが掴もうとしますが、後ろからやってきたロジアーによりファンブルになりエンドラインを割ってセルティックスボールに。残り11秒あるけど終わったようなジェスチャーのシクサーズ。それはダメだよ。

 

セルティックスのインバウンドはロジアーへ。ファールゲームのフリースローを2本とも決めて4点差。しかし、レディックが3Pをねじ込んで残り3.8秒。終わってなかったレディック。

再びセルティックスのインバウンドはホーフォードへ素早くスマートにわたし残り2.4秒。フリースロー1本目を外すスマート。シクサーズにはタイムアウトが残っていなかったので2本目を外しに行きますが、リングの上を跳ねて決まってしまいます。

 

ロングパスのシモンズ。おそらく狙ったのはエンビートやレディックを囮にして裏に走るコビントンですが、驚くほどに読み切られていてセルティックスの選手3人が集まってきてゲームオーバーとなりました。

 

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◉4Qに弱いシクサーズ

 

終わってみれば4Qに弱かったシクサーズ。これまで「クラッチに強いセルティックス」でしたが、シリーズの印象は「シクサーズが弱い」でした。エンビートはこの試合もFG1/6で5試合通じてFG42%に抑えられ、シモンズはもっと悪い36%でした。

単純に言えばセルティックスのディフェンスを賞賛すべきです。その一方でレディックの3Pを除くラスト3つのプレーにはシクサーズが詰まっていました。

 

①勝負所で何故かサリッチのポストアップから始まるパターン

②エンビートにブロックに行かずシュートが落ちるのを信じた守り方をするベインズ

③ロングパスの狙いがコビントン。読まれているシモンズ

 

まぁ③はシクサーズの良さでもあるので裏をかけなかっただけともいえます。しかし①は第3戦でもたびたび観られたセットプレーの謎でしたし、②は(ファールだったかは別にして)しっかりとシュートまで辿り着いているけど決めきれないエンビートです。それはおそらく疲労から来る問題です。

エンビートは3QまでFG8/12。外したシュートの内3本は3Pでした。そんな高確率だったのに重要なシュートを決められなかったことをどう判断するのか。それはとっても難しい。そんな事でエンビートの価値は落ちないけど、チームとしての勝ちパターンを作るには難しい。だからセルティックスのディフェンスの良さだけでなく、シクサーズの弱さというか迷いを感じたのでした。

 

セルティックスの弱点を見極め、確実にコートで表現する強さとシクサーズの重要な局面の弱さがつまっていました。

 

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ギャンブラーと称したシクサーズは5試合で3P29%とある意味予想通り抑えられました。36%だったレディックを除けば苦しすぎました。その一方で見過ごせないのはシモンズを抑えられたことです。

難しいのはシモンズが抑えられたのか、それともエンビートとの共存で失敗しているのか。

正直、どちらもあるのですが正解が何であるかよりも、シクサーズがどう捉えて来シーズンに活かすかの方が重要だと思います。個人的にはそもそも4Qに弱いと言うよりも、そんなクラッチ勝負に持ち込まないのがシクサーズらしさだと思っていたので、3Qまでに走りまくらないのであれば、どうしてもこんな試合になってしまいます。

 

ヒートとのファーストラウンドは全試合ペースが100を超えましたが、セルティックス相手だとこの試合だけが100を超えました。ペースの奪い合いに負けたといえます。

走るのか、止まるのか。ある意味シモンズ仕様のチームにするのか、エンビートが終盤の決定力で勝てるチームにするのか。そんな選択肢になりそうですが、意地でも共存を目指すのでしょうね。

 

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◉テイタムはルーキーなのか

 

4勝1敗で完勝とも言えるセルティックスですが、第3戦からは苦しくなってきていました。その中でシモンズを個人で打ち破り続けたテイタムの活躍は素晴らしく、この試合も25点の活躍でした。

シモンズとドノバン・ミッチェルはルーキーのカテゴリーから外してもスターなのですが、そのシモンズを正面から打ち破った感じのテイタム。しっかりと得点を稼げるのは素晴らしい能力です。そしてアヌノビーも含めて唯一カンファレンスファイナルまで残りました。

相手はキャブス。これまたテイタムには美味しい相手でヒルとレブロン以外だれがテイタムを止められるのか。というかレブロンがテイタムをマークすると更にキャブスのディフェンスは崩壊するでしょう。マッチアップの弱みを使うセルティックスだと、あまりエース感のないテイタムなのですが、チームをファイナルまで連れて行けば十分にシモンズを上回ったと言えます。もう少し様子を見ましょう。

 

テイタムがFG8/15で25点ならば、ブラウンはFG10/13で24点でした。なんでフリースローだけ決まらないのか。ケガ以来沈黙気味だったブラウンのシュートタッチが戻ってきたのがこの試合の勝因でした。

モリスとスマートはなんか消えていますが、若手2人がひっぱるセルティックス。ホーフォードとベインズの活躍もあり、ダメな部分も良い部分で上回る計算能力の高さで難敵を退けたのでした。

 

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ブレッド・ブラウンには難しい判断が多すぎて可哀想でした。多分、どんなチョイスをしても責められたと思います。シモンズかエンビートか、交代ローテなのか好調ローテなのか、ディフェンスかオフェンスか、シューターかハードワークか。

ラプターズの逆でシーズンのパターンをプレーオフに持ち込むのが正解かどうかすら怪しくて、難しすぎるシクサーズでした。

 

 

 

20180510 セルティックスvsシクサーズ 第5戦” への4件のフィードバック

  1. 本当に難しい選択かもしれません
    やはりPOだとシモンズは離されすぎもはやハーフコートだと4対5で守られてるようでしたね。
    シモンズ主体ならばもっとハンドオフやオフボールでズレを作ってシモンズが持てればあのカラダならアウトサイドなくても何とかできそうですがそこにはエンビがいますもんね。
    シモンズがアウトサイド身につけてハーフコートOFを楽にするのか、はたまたエンビが3pt確率をあげてストレッチぎみのプレイを行うのか・・・
    個人的にはエンビにはロマンを感じるのでローポストを主戦場としてシャック以来の支配的なセンターになってほしいのですが・・・

    1. エンビートは割と接触嫌いですからね。でも勝負所になるとインサイドに行くのは良い傾向です。
      シモンズはこのままで良い気がしていて、スクリナーやカットプレーを駆使すれば共存も可能だと思います。
      ただ、それをやるためにはマッカナムが同時にいた方が効果的かと。

      そうやって組み合わせを難しくしてしまいそうな2人でもありますね。
      共存は可能だと思うのですが、放置しているとダメだと思うのでエンビートを走らせるのかどうかはハッキリと方向性を示さないといけません。

  2. セルティックスファンとしては、レブロン以外を比べるとまだ何とか対抗できるかなという反面、誰がレブロンにつくのかなと。個人的にはブラウンかホーフォードかなと思いますが、スティーブンスはどういう策を取ってきますかね?
    タレント不足な一方で、テイタム、ブラウン、ロジアーの更なる成長。スティーブンスのここに来たらどんな記録でも更新できるという発言。勝敗はどうであれ中身を楽しみにしてます。

    1. プレーオフでスティーブンスの策略の優秀さと同時に意外と3の手くらいから「アレ?」みたいな部分も感じています。
      そこから先は選手を信じるタイプだと思うので、スイッチで狙われるであろうモリスが踏ん張らないといけないでしょうね。

      ペイサーズに近い形を採用すると思われるので十分に戦えるかと。
      問題はクラッチタイムの勝負に持ち込まれないことなのですが、セルティックスにそれは難しかったりしますね。

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