20180509 ロケッツvsジャズ 第5戦

ルビオに続いてエクサムも離脱したジャズ。苦しすぎるジャズ

〇ガード不足のジャズ

ロケッツについて気になることがひとつあって、トランジションオフェンスが悪くなったのは知っているけど、戻りも遅くなりました。ガード2人がいなくなりオフェンスが苦しいジャズはクラウダーとオニールが走りまくり、そして躊躇いなく3Pを打ちます。自分達が得点出来ないことと、でも守れる事を理解しているやり方です。今シーズンの特徴なのかは知りませんが、守れるチームってオフェンスに困っても3P乱れ打ちするから強い。

ロケッツも決まらない3Pなのでロースコアの序盤です。走っているのにシュートミスしてるジャズと、単純にシュートミスしているロケッツ。もう少し爆発しても良さそうなロケッツの3Pですが、どうものらない展開が続くと、イングルスとミッチェルのドライブでジャズペースになります。

 

 

〇走るロケッツ

バーアムーテとネネイが出てくると走る展開になりロケッツが逆転します。タッカー&カペラよりもテクニカルなので、細かいパス交換でチャンスを作れています。バーアムーテが元気になると選択肢が増えるので起用していきたいダントーニ

ゴベールがフェイバーズに交代し、カペラがネネイになったことでゴール下のスペースが空き、そこに飛び込む形になるのが効いています。もっとこのパターンでくるとおもっていたけど、あまり使わないね。ハーデンの3P、バーアムーテの3Pも決まってリードを得るロケッツ。イングルスの3Pで対抗するジャズ。

1Qは21-16でロケッツリードになります。それにしても爆発しなくなったロケッツの3P。打てているけどね。

 

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〇突然のオフェンス勝負

 

2Q序盤はお互いに良いシュートになるものの最後までディフェンスが手を出すので簡単には決まりません。

やっと強引に決めたのはバークス。&ワンを決めれば、さらにドライブに合わせレイアップ、3Pも決めていきます。ルビオとエクサムがいないのでバークスにやってもらうしかない時にしっかり働いています。

それでも点差が縮まらないのは、ロケッツも流れの良いオフェンスが続いたから。ゴードンが3Pを決めたことで追いかける距離が長くなったジャズのディフェンスが苦労していきます。バークスが決めて得点が入り始めると、失点も増えていくという難しい流れであり、あるある。

 

バークスがバーアムーテからスティールするとその流れでジェレブコの3Pも決まります。オニールのドライブも決まり止まらないジャズのオフェンス。しかし、ロケッツもクリス・ポールの流れから合わせるタッカーが連続7点を決めてやっぱり流れを渡しません。

なんだろうか、この突然のオフェンス合戦は

 

 

〇PGミッチェル

最近は珍しいミスが続くハーデン。またミッチェルがハーデンを狙ってディフェンスを乱していきます。集中力が欠如しているハーデン。内股の狭いスタンスで守る気持ち足りないでしょ。こんなに守れなかったっけ。ミッチェルからイングルス、バークスの3Pでジャズが追いつきます。

ルビオがいなくなってからミッチェルはPG仕事が増えて得点面での存在感は減りました。エクサムがいないのでその傾向が強くなります。やっぱり役割分担は重要です。

 

ハーデンがいまいちなので残り2分からはクリス・ポール中心に。シュートがはずれるもオフェンスリバウンドを抑え、クリス・ポールの3Pに。もう1本をプルアップで決めて、最後はタッカーの3Pをアシストしたクリス・ポールにより54-46で前半が終わります。

同点で終わっても良かったのを2分間でリードを作ったクリス・ポール。ある意味ハーデンとの役割分担。調子悪い方はボールに関わらない。

 

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〇長かったロケッツ

後半もフローターもステップバック3Pも決まらないスタートのハーデン。オニールの速攻をカペラがブロックするなどエースを助けていきますが、それではリードは得られません。仕方ないので再びクリス・ポールにするとミドルは決まらないものの、タッカーのコーナー3Pになります。アリーザの速攻も決まりこの試合初めて11点の二桁リードになります。長かったロケッツ。

先にウォーリアーズとペリカンズを観ていましたが、そっちは10点の攻防が非常に早いので対照的です。ロケッツはどちらでも出来るチームだったはずが、ジャズの手にかかるとスローダウンを否応なく強いられます。ペリカンズとジャズが合体したら強そうですが、それが合体するというのは考えにくいのだろうなと。

 

〇直ぐにアンサーするジャズとミッチェル

タイムアウト明けのミッチェルのドライブですぐに点差を一桁にするジャズ。良く出来ているよね。欲しいときに決めるエースであり、可能性が高いプレーをデザインするジャズ。

ハーデンがミドルを決めてもコーストtoコーストで返すミッチェル。そうかと思えば時間をたっぷり使ってカペラ相手のミドルを選択します。ゴベールのブロックも飛び出して点差を詰めていくジャズ

 

再び狙うのはハーデン。前半よりはついていく気持ちが強いハーデンですが、するとレイアップ&ワンになり、外れたフリースローをクラウダーが押し込んで3点差になります。決まらないハーデンと返していくミッチェル。MVPを上回るルーキー。

ドライブからバークスのコーナー3Pで残り5分で逆転します。

 

ちなみにハーデンですがドライブの失敗が目立ちます。第3戦からペイント内に進入してから少しゆっくりして緩急を駆使していたのですが、オニールのディフェンスプレッシャーの強さからか、スピードを落とせなくなっています。なので、少し遠目からに切り替えます。

 

止まらないミッチェル。スピードもあるけど、コンタクトされてもバランスを失わず、最後に柔らかくシュートを打てるのはNBAでも唯一の能力の気がします。3P、ドライブ、スピンムーブ。落としても自分で押し込む。バーアムーテをもってしても太刀打ちできないスーパーエース。

ロケッツが勝ちゲームに仕掛けた途端に1人で試合の空気を変えてしまったドノバン・ミッチェル。前半はPGとしてのプレーで2点のみ。苦しくなるとスーパーエースとして無双します。

 

〇理不尽がやってきた

タイムアウトできろうが何しようがミッチェルを全く止められません。正直、こうなるとオフェンスに振り切るしかないロケッツ。グリーンとゴードンを並べて3Pを打たせます。クリス・ポールも3Pを決めます。

しかし、本当にどうしようもないドノバン・ミッチェル。時間かけてプルアップ3Pうっても決まってしまうので、他の選手は広がっていればOK。でもイングルスがプレーメイクしてしまうとスティールされます。何もするな!全部任せろ!

10点リードまで持って行ったロケッツでしたが、3Qだけで22点を奪ったドノバン・ミッチェルにより逆に3点ビハインドとなるのでした。ハーデンが沈黙している以上、このままでは対抗出来そうにないロケッツです。

 

ロケッツのチーム力を無視する個人の圧倒的支配力。これをやるのはリーグで3人くらいしか思いつきません。

 

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〇ミッチェルが全ての中心に

もうバーアムーテはミッチェルに張り付きます。こういうときに難しい要素があって、サンダーやキャブスならそれでもエースに渡します。でもジャズは良いチームなので、ディフェンスが崩れているなら他の選手で攻めたくなります。しかし、ボールを持ったのはネトなので上手くいきません。

クリス・ポールとタッカーの3Pで逆転するロケッツ

どうせならミッチェルを休ませてタイムアウト明けにオニールが返しますが、そうするとキックアウトが機能せずグリーンが奪って速攻を決めます。直ぐにミッチェルを戻すスナイダー。スナイダーみたいなHCにここまで重要視されるルーキーって恐ろしい。

出てくるとキックアウトからエクストラパスでバークスの3P決まるよ。

 

〇コートからミッチェルがいないこと

ミッチェルからスティールするハーデン。やっぱり前半よりもしっかり守っています。まぁハンドチェックによる誤魔化しの上手さでもあるけど、距離を少し詰めて一歩目の出足を狙います。しかもこのプレーで頼みのドノバン・ミッチェルまでケガしてしまいます。点差は5点なのに終わった気がしてきてしまいます。

それでもイングルスがコーナーから決め、ゴベールはハーデンをブロックします。ただドライブからキックアウトをしたくても、そのドライブをインサイドで潰されます。アウトサイドからプルアップを決めないと苦しいジャズ。それを1人で決めていたのがミッチェル。

バークスとオニールがドライブ特攻でフリースローをもらい、さらにバークスからオニールの3Pで1点差となります。終わらせない2人。

 

〇CP3タイム

ロケッツは一向にハーデンがヒットしません。クリス・ポールが3P、ミドルを決めてくれますがエースの沈黙により、試合は終わりません。もうクリス・ポールを交代させたくないダントーニ。オニールのプレッシャーによりショットクロックギリギリで打ったタフな3Pをバンクシュートで決めてしまうCP3タイム

時間を使うだけ使って自分で打てば問題ないとばかりに、全員をどかせます。

 

片足がサンダルになったミッチェルがカートに乗ってフロアに戻ると残り1分半9点差に。

やっとクリス・ポールがレイアップをミスしてくれると急ぐバークスが豪快にダンクで決めます。ハーデンのドライブはやっぱり外れるものの、自分でリバウンドを確保し、やり直したオフェンスでタッカーが3Pを決めて勝負をつけたのでした。

 

ドノバン・ミッチェルが支配する試合になると思われたのが、まさかのケガで離脱。そして最後に出てきたのは3P8/10という信じられないシュートタッチにより、プレーオフキャリアハイとなる41点で初めてのカンファレンスファイナルへ進んだCP3タイムでした。ハーデンが全くダメでも助けてくれる選手がいたロケッツ。ルビオがミッチェルを励ましているのがちょっと切ない。ルビオのいるジャズがどこまでやるのか観たかった。

 

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◉ドノバン・ミッチェル

 

試合後のドノバン・ミッチェルをみると泣けてくるのでした。ジャズの試合なんて殆ど興味がなかった今シーズン。それが1回観ただけで忘れられなくなる衝撃のドノバン・ミッチェル。観れば観るほど興味がわいてくるドノバン・ミッチェルの脅威。それがまさかプレーオフになっても続くなんて思いもしなかったです。

この気持ちが想像し難い方はレブロンが昨季のファイナルで負けたことを想像してみれば良いです。イメージはそれくらいの存在。1人で何とかしてしまっていたこの試合。

レブロンと違うのは周囲のタレントが劣ること。レブロンが1人でやっているとさえ揶揄されるキャブスよりも劣るジャズだけど、チーム力は断然ジャズの方が高いというのもドノバン・ミッチェルを際立たせました。際立たせたというか洗練させましたムダを省き、役割が明確化されたスーパーエース

言葉にならないくらいの衝撃だったドノバン・ミッチェル。でもまだルーキーなんだよね。向こう10年はジャズの試合からは目が離せなくなりそうです。

 

ヘイワードとヒルを失ったジャズがセカンドラウンドに進むなんて誰が想像したのか。ジョー・ジョンソンの移籍は何だったのか。全てを超えてきたドノバン・ミッチェル。完璧すぎて伸び代さえ感じさせない恐ろしさ。

 

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◉クリス・ポール

 

ジャズがイーストにいたらファイナルまで進んできそうなくらい恐ろしかったミッチェルでしたが、その支配力に立ち塞がったのがクリス・ポール。ハーデンがFG7/22なんて急ブレーキになったのを、41点3P8/10、そしてターンオーバーがゼロという驚異的なスタッツで救いました。

選手の本当の価値はプレーオフにならないとわからない

そういうのであれば、活躍しても勝てなかったクリス・ポールには価値がなかったと言えますが、やっとカンファレンスファイナルに辿り着きました。それはやっぱり個人の力よりもチーム力の方が大切という印象です。

 

そんな大活躍のクリス・ポールとチーム2番目の19点をとったタッカーですが、第2戦は2人の不調で落としています。見事にリベンジしたともいえるし、それまでを他の選手が救ってきたとも言えます。

実際、クリス・ポールとハーデンには連動する良さは殆どなくて、お互いの仕事を分け合って助け合っている感じです。さようならサンダーでは「スターが共存できない」としましたが、ロケッツは共存はしているけどそれが連動してチーム力を押し上げているわけではありません。あくまでも負担を分け合っているイメージです。

その代わり他の3人は連動するわけですが、ここにもベンチに代役が用意されています。だから全体としてお互いを高め合うというよりも、助け合うようなロケッツのチーム力。対するは連動するのがチーム力のウォーリアーズです。

 

ハーデンとクリス・ポール。どちらも個人で試合を支配できる2人。どちらかが試合を支配できるかの勝負になってきます。

 

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ロケッツはウォーリアーズとのプレビューで触れるとして、ジャズの感動は別で書くとして。

シリーズ通じて言うと、やっぱりジャズ側の疲弊という部分が大きな差になっていました。ルビオは致し方ないとしても、エクサムのハムストリングが限界を迎えたこととミッチェルの勤続疲労。ミッチェルは次に試合があったら出てきそうですが、単純に長い時間プレーしすぎたのだと思います。

そういう意味ではロケッツは早い展開を捨てた今シーズンは省エネもするようになってきています。もう少しハーデンの負担が減らせれば言うことないのですが。オフにバークスとエクサム狙えば。あぁレブロン狙うのか。でも2人ですら連動しないのに、レブロンいれてどうするのか。

 

ジャズ側は先々を見据えるとミッチェルの負担をどう減らしていくのかは大きな課題です。下手すると延々とカンファレンスファイナルに進めないクリス・ポール状態になることも。クリッパーズは戦術クリス・ポールだったからなぁ。逆にセルティックスはバックスと7試合戦い1人ひとりが長い時間プレーしていても負担を分け合っているので元気なシクサーズに対抗出来ています。

「ウイングが強いチームが勝てる」というのは単一の試合ではなく、プレーオフのような戦いを見据えると1人の負担を減らせるからの気もしてきます。ある意味、違う路線を歩んでいるのがロケッツの準ツープラトン戦略です。

 

革命は起きるのか、それともマンネリが続くのか。

そして来年のジャズにも期待したくなる試合でした。

 

 

 

20180509 ロケッツvsジャズ 第5戦” への5件のフィードバック

  1. 3Qの爆発は鳥肌物でした。現地実況が何度もジョーダンの名前を出していましたね。
    イングルスのターンオーバーのときは叫んじゃいました。
    けが人の状況からみてもここで負けてよかった気もします。
    ウルブズ、バックス、ペリカンズなどに比べ明らかに今後の期待がもてるのは、ミッチェルのポテンシャルもありますが、HCが信頼できるのが大きいですね。
    補強ポイントなんかについてもまた触れてくださいね。

  2. 前半見てて流石にミッチェルもお疲れモードでまた来年頑張ってと思っていたら、突然の3Q爆発で驚きました。
    ところでここ数試合のハーデンのシュート効率の悪さが気になります。3Pが入る気がしません。
    クリスポールの加入でこれまでのプレーオフよりは確実に個人の負担は少ない筈ですが。

    1. そこ気になります。ハーデンがリズムを失っているし、ディフェンスも酷かったし。
      クラウダーとオニール、そしてエクサムによる激しいディフェンスが効いていただけなら良いのですが、ステップバックを決めるからこそハーデンだったのに、どうにも確率が上がってきません。1番の不安材料です。

  3. ファンとしては、変な言い方だけど、ユタはここで負けて良かったとも思う。めちゃくちゃ悪い負け方でもなかったので。
    ミッチェルの活躍は本当に観ていて楽しかったから、疲弊しきった中でプレイするのを見たくなかったというか。一年目からボロボロになってまで追い込まなくても、、、プロなんだからそんなの関係ないと言われればそれまでなんだけど、やっぱり酷使し続けて潰れないで欲しい気持ちが勝ってしまう。若さから(と恐らく彼の性格的に)無理できる、もしくは無理しようとしちゃう、と勝手に心配してしまう試合でした。

    1. そうですね。ちょっと負担が大きすぎて肉体的にも限界でした。あの3Qだけで十分にポテンシャルを示してくれましたし、ロケッツを追い込んだのは忘れられません。
      この先はどうやって出力を落としながら、より効果的に活躍するのかを求めつつ、ジャズというチームとしてもエクサムやバークスへの信頼を高めないと苦しそうですね。
      スナイダーもHCとして、より成長して欲しいです。

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