さようならペイサーズ

「ペイサーズはキャブスに勝てる」正しかったでしょ。でも勝てなかったよ。

 

◉期待していたよ。本当に。

 

昨季のオフにポール・ジョージが出て行ったとき、ペイサーズは再建に突入すると考えられていました。ところが獲得したのはオラディポとサボニス。ちょっと待ってくれ、それは再建ではないだろうと。ターナーがいるのにサボニスは絶対に要らないし、オラディポでは簡単には負けないチームになるはずだと。

さらにオフの動きは続きます。

コーリー・ジョセフなんて有能なPGとチームに不足してたシューターにボグダノビッチを迎え入れ、残していたランス・スティーブンソンを加え、ターナー、ヤング、グレン・ロビンソンとちょっと有能な選手達を集めていたペイサーズ。ダレン・コリソンは正直よくわからなかったけど、これだけ集めた中でスターターとして獲得したのだから間違いないだろうと。

 

「えっ何これ、再建する気ゼロ。勝つ気持ち満々だよね。5割勝てるでしょ」

そう思ったのですが、そんな事を考える人は少数派だったらしく、どの予想をみても下位争いに位置づけられていてタンクを目指すなんて書かれようでした。そんなわけないとは確信していたものの5割と書くのは怖いので、管理人も「35勝くらいでプレーオフあるかな」くらいに日和るのでした。

 

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シーズンが始まると予想通り勝っていきます。予想外でも何でもありません。キャブスの連勝を止めたときもらしい勝ち方をしました。勝ち方と言えば内容は予想と違う部分もあり、良い意味でも悪い意味でもペイサーズらしさも残っていました。

オラディポの離脱により、連敗が続いたものの戻ってくると順調に勝ち星をのばしていき、プレーオフは万全、あとはホームコートアドバンテージをとれるかどうかでしたが、シクサーズの快進撃により間に挟まれる感じで先に5位が確定したのでした。

 

「これだけの内容をみせればペイサーズの期待値は高まっただろう」

そう思っていたらキャブスとのシリーズ予想は「キャブスのスイープ」なんて人ばかり。

「何観てたんだ!こっちはシーズン前から勝てると思っていたのに、シーズンの内容観たらスイープなんてあり得ないだろ!」

というわけでペイサーズ勝利と予想したのでした。

 

そして実際にそれだけの内容をみせてくれたわけです。第3戦の勝利でちょっと方針を間違えて、第4戦に負けたのが致命的だったけど、追い込まれて迎えた第6戦にも勝利し、あと一歩になりながらレブロンに負けたのでした。

 

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◉特別なチーム

 

ところが面白いことにペイサーズがキャブスを追い詰めていくと「ペイサーズはイーストを制するくらい強い」なんて意見も出てきました。それはない。そこまで強くはない。おそらくラプターズと試合したら負けていました。総合力では負けてしまうのもペイサーズです。

強さの原点にあるのは強いメンタリティ。精神的なもののようで、それだけではなかったりします。攻守の切り替えの早さやそれを可能にする脚力とフィジカル。そしてチームとしてのまとまり。

例えばランス・スティーブンソンはメンタリティが強い面ではチームに合っているわけですが、実際には他の選手よりも走らないし、攻撃から守備への切り替えは遅い方です。だからスターターとして長い時間は起用しないし、機能していない日は直ぐに下げられます。プレーオフ前に補強したのも意外なトレバー・ブッカー。メンタリティを発揮出来るだけの脚力とフィジカルです。

 

良く書いていたようにサンダーとラプターズから輸入してきたハードワークの文化がチームとしてのまとまりを生みました。特にオラディポがエースになったのは良い傾向でした。エース自身がチームのために走るし、誰よりもトレーニングするわけです。プレーオフ敗退直後からワークアウトを望んだオラディポ。ウエストブルック感の強いオラディポ。まとまり方もサンダーとよく似ています。

 

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なんでもインディアナのファン達もシーズンが進むにつれて、このチームへの特別な愛情が沸いてきたとか。心を揺さぶってくるペイサーズの戦いぶり。

特別な個人はいないのに試合終盤になるほど強くなっていく常識とは違うチーム像

 

チーム力の高さが売りではありますが、決して戦術的に優れているわけでもなく、時代の先端をいくというよりは基本的な技術の積み重ねでベーシックな部分の強さを感じるチームです。育成年代のチームはペイサーズを手本にすると良いと感じさせてくれます。ペイサーズのコピーチーム流行らないかなぁ。

だから面白かったです。基本の積み重ねだから、シーズンが進むにつれてコンビプレーが少しずつ変化していきました。おそらく集めたのもそんな選手達。目立った能力がなくてもひとつひとつのプレーの中で個人戦術が備わっていること。

 

多くのチームがビックネームを集めることに腐心する中で、全く別の価値観を示してくれたペイサーズ。特別な武器をもつことよりも、少ない欠点とハードワーク、そしてチームメイトを高められる個性。高いサラリーを払わなくても良いチームを作れるし、スターがいることよりも重要な事があったわけです。

 

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◉そんなに甘くない

 

こうなってくると来季への期待も膨らみますが、正直そんなに甘くない。ペイサーズをシーズン前から高く評価していたけど、じゃあ来季に飛躍するかというと甘くない。サラリーキャップに空きがあるので補強をしたいところではありますが、補強すると言うことは誰かのプレータイムが減るわけです。一体誰を減らすというのか?

これだけ良いチームを作れたし、他のチームから同じマインドをもった選手を連れてくることも可能です。しかし、同じマインドがあってチームを強くしてくれる存在は、一体誰でどれだけの効果をもたらしてくれるのか。レナードやウエストブルックを獲得できるなら話は簡単ですが、それが出来ないから今のチームになったわけです。

良いチームだからこそ減らす部分が少ない減らせなければ補強も出来ません。かなり難しいオフの補強です。個人的には補強はしなくて良いと思います。来年のオフまで待とう。3Pが打てるTJリーフもいるし、もう1人ドラフト等でSFに若手を確保すれば、現状維持で2年目に突入したいです。

 

ただし、伸び代はあります。至極簡単なことで効率的で現代的なオフェンスシステムの導入です。効率的でも現代的でもなかったけど勝っていたのもペイサーズ。ヤングは素晴らしいけど3Pの確率が上がれば完璧になるし、オラディポ任せを辞めればパターンも増えます。ミドルも打ちすぎ。

 

おそらくそんな部分をマクミランHCも感じているのか、ペリカンズvsウォーリアーズを観戦していました。この両チームの特徴に「3Pとカットプレー」があります。誰もが活躍するチームでありながら、どちらもペイサーズに足りなかった部分です。

特にペリカンズのオフェンスシステムは秀逸だし、オラディポとホリデーの役割は被る部分もあるので、上手くオフェンスに取り入れて欲しいです。

 

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もしも、そんなオフェンス改革をするのであれば、きっと来季のペイサーズは迷走します。オラディポ任せはパターンを減らした反面で、チームに迷いを生じさせず、お互いにフォローし合うチームワークを作り上げたので良い効果も大きかったです。

オフェンスシステムが複雑になればミスも増えるし、ミスが増えるとフォローし難くなるし、フォローが減るとチームワークは悪くなるものです。

 

だから来季のペイサーズはきっと今季と同じくらいだと思います。でもそれを1シーズン続けて磨き上げて欲しい。

今シーズンのペイサーズは前評判を大きく覆す素晴らしいシーズンでした。プレーオフになっても信用されなかったその強さはキャブスを、いやレブロンを追い込んだことで誰もが認識するようになりました。

 

でも、勝てなかった。

 

来シーズン観たいのはプレーオフで勝つペイサーズ

もう誰も過小評価はしないであろうこのチームに求められるのは強さを証明するために勝つことです。シーズン通じてオフェンス面を磨き上げていき、「予想通りプレーオフで勝利するチーム」になって欲しい。

 

ルーキー達の新しい力が出てきた今季のNBAでFAで中堅どころを集めて新しい価値観を作り上げたのがペイサーズ。その歩みは熱狂的だったペイサーズファンをもさらに狂わせてしまいました。

特別なチームだった今シーズンのペイサーズ

特別な結果を残すチームになって欲しい来シーズン

 

 

 

 

 

 

 

 

さようならペイサーズ” への8件のフィードバック

  1. ペイサーズファンとして、個人的には99-00シーズンのファイナルに出場できたシーズン、悪夢と奮起の04-05シーズンと同じくらい強く印象に残るチームでした。
    そして、このチームはキャブスには勝てたとしてもラプターズにはキャブス以上に苦労しただろうというのは同感です。バランチュナスを抑えるのに苦労し、DFが収縮させられた後に外から決められるという展開が容易に想像できました。キャブスとの第7戦のスタートでトンプソンに苦労したのと同じ構図。
    幸いにも、現有メンバーのほとんどの契約が残っていて、プレイヤーオプションを持っているジョセフとヤングも残ることを仄めかしているようなので、来季ロスターはマイナーチェンジに留まるものと想像します。となると、補強ポイントは走って守れてオフェンスもできるSFなのですが、どうせ、デュラントやレナードがFAで来たり、PGが出戻りしたりなんかは起こらないスモールマーケットのチームです。そこにはあまり期待ができませんし、していません。ターナーとサボニスの2人のステップアップに期待し、空いているキャップスペースはターナー・サボニスのルーキー契約明けの新契約に取っておくという消極的なシーズンオフになりそうです。

    そう思いながらNBA2K18で自プレイヤーをSFにしてシーズン始めてみたら、次のシーズンにはアービングとローズがFAでやってきました。なんだその補強。

    1. よく出来たオチですね。

      ターナーとサボニスのためにキャップスペースは残しておくべきです。というか、無理な契約をする意味がないので、現状維持のロスターで現状を超えるべきでしょうね。

      あとはセルティックスから追い出されたアーヴィングを狙いましょう!

      1. アーヴィングは追い出されるとして(そこは否定できない、いない方が強い感あるし)
        チームに合いますかね?
        守れないしボール持ちたがるのでオラディポと合わない気がします

        1. 守れないは大問題ですが、オラディポとは意外と合うような気もしています。連携ではなく、どちらも勝手にアイソレーションしてくれパターンですが。
          来シーズン戦ってみて「やっぱりオフェンスが!」となれば、って感じでしかありませんが。

  2. さようならペイサーズ待ってました。
    オラディポがそうであるようにファンの関心もすでに来季の飛躍です。
    ヤング(大)もジョセフも戻ってきそうなのでコアメンバーで変化が有りそうなのはロビンソンだけです。ほぼ休んでましたけど。
    サラリー上は余裕があるように見えますが、ターナーとサボニスのQOが控えているので、動きにくいのが現状。
    現メンバーで来季も臨むとなるとオフェンスの多様性と選手個人の成長が来季のカギになりそうですね。
    マクミランは元々オフェンス志向の強いHCなのでまだ引き出しはありそうだし、来季は色々試していくと思います。徹底させるの得意そうだし。ACにオフェンスの戦略家がいないのが少し不安ではあります。補強すべきはそこのような気がしますね。
    個人成長はターナー&サボニスに期待ですが、ポップアウトの多いターナーと3Pを打たなくなったサボニス。効率的ですがワンパターンですね。逆ができない事もない二人なのでやるべきなんですかね?楽しみでもあり悩ましいところです。

    1. サボニスがインサイドであんなプレーを出来るのは意外でした。ポップしないであそこまで出来るなら、しない方が良いでしょうね。ターナーのワンパターンは辞めるべきかと。

      今シーズンはベースの徹底を変えるデメリットを選択する必要はありませんでした。でも、来季はそうはいきません。幸いにしてどんな形にも対応できるメンバーなので、上手く当てはめて欲しいですが、マクミランの采配にはあまり期待していません。というか、やっぱり試合中に采配とオフェンスの細かい動きを1人でやるのは苦しいので、ACやフロント含めた課題ですね。

  3. ペイサーズ編待ってました!
    私もシーズン当初から5割でPO当落線上というのが今年のチームへの期待だったので、良く上回ったと思います。
    そしてキャブスを追い詰めたもののトロントには敵わなかったであろうことも同意です。デローザンもビビってくれませんし。
    来期はこのチームでの未来を見る上でも重要ですね。OF戦略を見出だせるのかどうか。
    補強は前のコメントで返信頂いたクラウダーとかめちゃくちゃ合いそうですが、まず無理ですね。ハードワーク出来るSFをドラフトで確保して上手く育てたいところです。出来ればシュータータイプが欲しい…

    1. TJリーフはシューターとしても良いですけどね。ドラフトとトレードを駆使して面白いチームにして欲しいです。
      オフェンス力アップすると良いですね。

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