ドノバン・ミッチェルはリベンジ出来るのか?
〇バレーボールパーティー
両チームにはひとつの共通点があって、センターがインサイド、それもゴール下専門のフィニッシャーということです。個人でポストアタックなんてありません。合わせのダンク専門みたいな。それを実に上手く活用しているチーム同士でもあります。
猛威を振るうのはそれぞれが3Pを活用するチームであり、ヘルプが出てくると裏へロブパスを通していくこと。ロブシティといえばクリッパーズでしたが、この両チームはそれをシステムの中に効率的に組み込んでいます。
試合開始からお互いにそんなロブパスが決まっていくものの、一方で第4戦らしく先読みしてボールを叩くバレーボールパーティーが始まります。特に目立ったのはジャズの対策。クラウダーとミッチェルがカペラに上がるパスを後ろからアタックしていきます。これってアタックしておけば最悪ファールでもダンクされない利点もあります。
そんなわけで今日もやっぱりディフェンシブなスタートです。
〇タッカーとハーデン
先に抜け出したのはロケッツ。タッカーの3Pが決まります。第2戦で効果的に決められず、それを取り返すような第3戦でしたが、この序盤では空けられたわけではなく、インサイドにポジションしてからコーナーへ移動しての3Pでした。
第3戦は少しカットプレーでの合わせを増やしていたロケッツ。ハーデンがドライブした際によりインサイドでスピードを落として周囲を伺ってのフローターとアシストを使い分けました。そこにカットしてくるタッカー。そしてこの第4戦ではインサイドに詰めていたのをしっかりとコーナーまで移動します。
カペラへの合わせは防がれたものの、タッカーで周囲を広げられたのでハーデンのフローターが猛威を振るいます。上手いよね。本当に。それでも3Pを打たれるよりも、ハーデンとの勝負を選び続け、それでいてロブパスを消してきたのでジャズの対応も見事です。
〇エクサムパターン
追いかける展開になったジャズはエクサムとバークスによるスピード勝負が増えていきます。遂に2人+ネト、ジェレブコ、フェイバーズなんていうスモールラインナップを組み始めました。
この対応が見事でボールを運んできたエクサムが45°にそのままエントリーし、スピードで振り切ってレイアップを決めていきます。このユニットになり、全員がアウトサイドで構え、そしてフェイバーズがゴール下から消える動きをすることで、ヘルプがいなくなり驚くほどにエクサムが簡単に決めていきます。
一方で同じくスピードがあるはずなのにバークスもミッチェルも決められません。
その理由は単なるマークマンの問題。ジェラルド・グリーンを置き去りにするエクサムにダントーニは頭を悩ませることになります。というか、悩み続けているけど未だに解決策がないということ。さすがに3人もガードを並べられると守れる選手が足りません。
ロケッツでスピードを苦にしないのはクリス・ポール、アリーザ、バーアムーテの3人です。タッカーもハーデンもそれは苦手。だからガードを並べてくるスナイダーという構図。普通はそれだと守れないのですが、ロケッツ相手なら守れてしまうのもポイント。
なお、同じパターンでイングルスにスピードで振り切られるハーデンというパターンもありました。ロケッツ対策が効いているジャズにより、30-23と追い上げて1Qが終わります。
・・・・・・・・・・
〇クイック・グリーン
オフェンスでグリーンは取り返します。3Pをヒットしてリードを広げます。
ロケッツの面白いのは気がつくと攻守に1対1が5カ所状態になることです。相手からすると3Pが怖いのでキックアウトは許さない形にしてハンドラーとの個人勝負にします。アウトサイドを空けるよりはハーデンやクリス・ポールと個人勝負した方がマシ。
それを徹底していくるジャズに苦しむクリス・ポールの時間です。唯一ネトには圧勝できるクリス・ポールは頻繁にポストアップします。
グリーンはクイックシューターなので他の選手よりも小さなギャップでも打ってきます。確率は高くないですが防がれているパターンを強引に作り出してくれるので、リズムを生み出してくれます。クリス・ポールのターンシュートも決まり14点リードするロケッツ。でもグリーンの3Pも連続で決まりはしない。
〇3P乱れ打ち
ジャズはオフェンスが苦しくなってきたので3P乱れ打ちになってきます。どうせ苦しいなら広げておきたい。そのためにいるかのようなクラウダー。しかし、その後のミッチェルのドライブも決まらないので苦しい。代わりに早い展開で得点します。ジャズに早い展開とは昨季にはなかった気がするのですが。
ロケッツもゴードンがオフェンスファールを連発して得点が伸びません。それでカペラのオフェンスリバウンドからフリーになったアリーザの3Pが決まります。タッカーも決めてオフェンスで差をつけていきます。
しかし、ミッチェルも早い展開の中でコーナーでフリーになり3Pをヒットします。その次にコーナーへパスするとみせかけてオニールがレイアップ。ロケッツが展開の速さに悩まされるなんて昨季にはなかった気がするのです。そして3Pが怖くなっているのもロケッツの方です。
ジャズはちょっとパターンが苦しくなると3Pと早い展開でエサを蒔いて行くし、エサだけでなく何本かは決まるから怖い。それを支えるのはディフェンス力です。それってセルティックスと同じ。
〇エースがやってくる
クリス・ポールがドライブ&ワンを決めますが、オニールがハンマーダンクで返します。こんな選手が下部リーグから出てくる時代って凄いよな。
そして遂にミッチェルがドライブから見事なスピンドライブ&ワンを決めます。なお、このときのマークはタッカー。ジャズは何度もマークを変えようとしているのですが、あまり上手くいっていませんでした。更にカペラ相手にスピードドライブも&ワン、再びカペラ相手にドライブで5点差にします。
ジャズは1つのスクリーンでマークをハーデンにし、2つ目でカペラに変える徹底ぶりです。狙いはハーデンがルーズなのでカペラとの受け渡しの遅さを狙っています。これはカーメロを狙いまくったルビオ&フェイバーズみたいなので、人が変わっても出来てしまう恐ろしさ。
それでも決められるたびにハーデンアタックで取り返し、最後はミッチェルが触る前にマイボールにしてしまうディフェンスをみせたアリーザにより、再び10点差にしてしまうロケッツでした。
ジャズのディフェンスは少し前に出すぎていて、スティールミスが多くなりました。その理由は早い展開で攻めて成功しており、それを狙うからトランジションが早く、早いが故に生まれるミスをアリーザが狙った感じです。ミッチェルvsハーデンにみえて少しずつ絡むチーム力。細かいことが出来る両チームです。
・・・・・・・・・・
〇反撃のクリス・ポール
クリス・ポールが一気に反撃します。次々にミドルを決めていき、ジャズを悩ませ始めます。連続で決めていくので何とかしたいのが普通です。でも何も変えないけど。フリーになるアリーザが3Pを外してくれるので自分達が正しいと信じていそうなジャズ。3Pが決まらないから点差も広がらない。
イングルスがコーナー3Pを決めるとタッカーとのマッチアップでスピード勝負します。徹底的に狙われるタッカーはあまり見ない光景。同時にハーデンも狙いますが、ハンドチェックで誤魔化すハーデン。カリーもよくやるよね。守れない代わりにハンドチェックが上手くなっていく選手。
ロケッツの流れになった後でイングルスの反撃によって、あまり変わらない雰囲気です。そしてお互いに早い展開が決まらないので10点差のままです。
〇ベンチスコアラー
ゴードンがでてきてドライブと3Pで15点差にします。
ならばジャズにはエクサムがいます。しかしドライブでハーデンを抜いた際にハムストリングを痛めます。接触がない場面での筋肉系のトラブルなので、戻ってこれなそうなケガ。ルビオがいない中で効いていたエクサムまで失うのは苦しすぎるジャズ。
速攻のチャンスもイングルスのパスが乱れてゴベールのテンディングで潰してしまいます。
もう1人のベンチスコアラーのバークスはいますが、あまりボールが回ってきません。ちょっとやりすぎっぽいオニール。ひたすらコーナーで待たされるバークス。ガマン出来るから起用されるようになったともいえるバークス。やっと出番がきてネネイと1on1になったけど、横から手を出したクリス・ポールに奪われたのでした。
代わりにファイバーズがインサイドの合わせ、ブロックで活躍し、点差を詰めます。クリス・ポールの3Pが決まったものの、フェイバーズのオフェンスリバウンドからネトの3Pで14点差となって3Qが終わります。
お互いに流れをつかめないというか、つかませないディフェンスでした。
・・・・・・・・・
〇ミッチェルの時間
ミッチェルがロング3Pを決め、ネトがドライブで加点するスタートです。ロケッツは連続で3Pが決まらず。ネトはディフェンスでクリス・ポールにつっかけ、さらにコーナー3Pを決めます。
ジェレブコがブリッツ気味にクリス・ポールにつっかけて成功します。ジェレブコスタートのゾーンディフェンスなんて武器もシーズン中にあったけど、やらないね。より仕掛けていくジャズ。どこかでボールを奪うディフェンスが必要としましたが、エクサムがいない中では他の選手で仕掛けていきます。
テンションをあげていくミッチェル。ルーズボールやリバウンドへ食らいつきます。単に得点するから良いのではなく、誰よりもボールに食らいつくし動くし。シュートを決めていくことではなく、ルーズボールが全てミッチェルに集まるので試合全体を支配していく感じ。なので個人的にはウェイドとはイメージが違います。ウエストブルック感。
そして早い展開でミスをしても、ハーデンのルーズなパスを読んでレイアップを決めていきます。クラウダーの3Pが外れたのをゴベールが押し込み、ミッチェルがドライブでファールを引き出し、残り6分5点差に。
・・・・・・・・
〇追い込むロケッツ
でも、実はクリス・ポールもそんな選手だったりするよね。素晴らしい判断力に騙されるけど、ハードワークもダーティーワークもする。ボールに手をだして奪って、空いた選手を堅実に使っていく。カペラのダンクとアリーザの3Pを生み出して、残り4分半で10点差に戻します。
ジャズはカペラが動けなくなってきたと読んでいるのか、タッカーよりもハーデンとカペラを狙って仕掛けていきます。特にハーデンはかなりルーズなディフェンスをしています。最近はあまりイメージになかったけど、大弱点になっているハーデン。スピードで振り回すのが正しいのか。
〇勝負を決めるカペラ
それでもアーリーオフェンスでゴール下まで飛び込むとカペラがミッチェルのシュートを叩き落とします。裏パスもミスになり苦しいジャズ。タイムアウトでスナイダーはしっかりと止まってペイント攻略を忘れるなと。
ミッチェルがハーデンからスティールしてレイアップに行きますが、ハーデンのハンドチェックはノーファール。それにたいしハーデンのドライブはミッチェルのファールコールで&ワンになります。勝負を決めたような残り2分で13点差になります。
ミッチェルのドライブはカペラが叩き落としますが、スローインをダイレクトにゴベールで決めます。しかし、ロケッツのミスから手に入れたチャンスでまたもカペラがゴベールをブロック。ネトとイングルスのドライブも叩き落とす終盤のブロックパーティー。4Qで5つのブロックを決めました。
そしてリバウンド争いでタッカーにファールしてしまったミッチェルがファールアウトで試合は終わるのでした。
・・・・・・・・・
◉ミッチェルは仕事をしたけど
自分の仕事を果たしたドノバン・ミッチェルでしたが、エクサムの穴を埋めるほどの大活躍にはなりませんでした。ここまで効いていたベンチスコアラーの不在はジャズの勢いを削いでしまいました。特に終盤はミッチェル頼みにした中でエクサムがいれば全く違った気がします。
それにしてもジャズはロケッツの知られざる弱点を露わにしてきます。割と細かい調整でお互いの対策を攻略しているのですが、少しずつジャズが上回っています。それでも勝つには至らないのが苦しいところ。特に終盤になってのカペラは強力すぎたし、ゴベールへのパスミスが目立ったジャズでした。
オフェンスが上手くいかなかったのは、そんなパスの正確性もあるのでちょっと疲れてきているかな。やっぱりプレーオフは短いようで長いです。疲労が目立ってきてしまうとプレーの正確性が下がっています。
ハーデンとクリス・ポールで9アシスト9ターンオーバーだったロケッツ。これまで少なかったターンオーバーの嵐だったので、完全な負けゲームだったのですが、ディフェンス力で誤魔化しました。それも見事なチーム力です。
それにしてもハーデンとクリス・ポールのプルアップ3Pが決まりません。ジャズのディフェンスが良いとはいえ、これが決まらないならばシステムとしての魅力は落ちてきます。ゴードン含めて3人で3/19なので、なかなか爆発できないロケッツでした。
それでも勝ってしまうのだから強い。これでホームの第5戦に挑みます。
CP3、ゲームハイでしたがミドルはあれぐらいは入りそうですしプルアップ3をあと2本くらい決めて35点取りたいゲームでしたね。ハーデンもですが手を焼いている印象でCF行けたとしてもやや心配です。ただ地味ながらのDFでの存在感を感じました。後管理人さんがダントー二が仕込んでいるとおっしゃっていたバアムーテのドライブ、今日も一本ですが決めていましたね、あれ結構好きです。ジョジョはともかくライアンも全然使われていませんがやはりこういう試合展開では使いづらいですかね
ジョー・ジョンソンは使いやすい展開だったはずですが、そこはダントーニらしいんですよね。まあクラウダーとオニールに対抗出来るかは微妙ですし、ディフェンス面でスピードで振り切られそうでもあります。
逆にライアンは使いづらい展開でしたが、ファイナルまで考えると使うべきなんですよね。オフェンスに振り切るロケッツをみたいのですが、やっぱりディフェンスで勝っていますね。