さようならウィザーズ

ウィザーズってオフェンスのチームだっけ?

 

 

〇ディフェンスを頑張りすぎた

オフェンスに傾倒して大成功した昨シーズン。そこにディフェンス強化が加わりイースト2位になると予想していたものの、終わってみれば8位に沈んだウィザーズでした。その失敗はやはりディフェンス面を意識しすぎたように思えます。

今シーズンの特徴は試合が最後までわからないこと。それはラプターズが持つような試合途中で突き放してしまう力が欠けています。だからといって爆発力はあります。爆発するけど10点くらいリードすると4Qには追いつかれていました。

結局の所、だったら自分達はオフェンスのチームだと認識して常時打ち勝つ方法をとった方がわかりやすいわけです。10点リードできる爆発力ではなく、20点リードする爆発力が欲しかった。

 

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シーズン終盤になって感じたのは、結局はディフェンスマインドの足りないチームでした。性格的にガマン出来ないタイプが多いとも言えます。基本的にバスケは得点が生まれるスポーツなので、決められても次のディフェンスをさらにタフにやるメンタルが重要ですが、ちょっとそれが出来ないとか、オフェンスでやり返そうとするとか。

オフェンスでやり返すマインドは賞賛できるものなので、そんなタイプなら初めからオフェンスチームの方が向いていると思います。見えないけどマインドの問題としてオフェンスの方が良かったように思えてきました。

 

特にリムプロテクターがいなかったため、ディフェンスのチームとしては苦しかったです。ペリメーターのディフェンスは強いけどヘルプがいないので連動できないウィザーズ。ある意味、個人の力で抑えているようなチームなので驚異的ではありました。

中位クラスのディフェンス力しかないチームですが、上の方は詰まっているので良いヘルプディフェンダーが加われば一気に花開く気もします。

つまりオフェンス志向にならなかったのでその点では悪かったけど、ディフェンスもなかなか良かった。これは来シーズンの選択にはかなり悩むはずです。このままディフェンスを強化するのか、オフェンスに傾倒するためのメンバーを揃えるのか。

 

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〇微妙だったウォールとビール

 

復帰後に圧巻の活躍をみせたウォール、そのウォール不在の時期を支え、チームを5割以上で保たせたビール。共に個人としてはしっかりと活躍していましたし、その活躍を批判することは出来ません。

しかし、チームに波及する良さがあったかはかなり疑問でした。

 

ラプターズのガードコンビは例えばデローザンがドライブを決めることで、周囲が空くのでパスが出されるようになりました。さらにラウリーがボールコントロールを減らす代わりにオフボールムーブからのシューター的にも振る舞うので、ボールムーブが促されていきます。エースコンビが活躍することで、周囲も活きてくる構成でした。

しかし、ウィザーズのオフェンスは分断されていました。特にビールの突破については、ビールが決めることを前提としたシステムなので、全く展開する空気がありません。セルティックスなんかはビールがパスするのを待ってスティールしていきました。

 

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それはつまりHCが作り上げた戦術的問題なので解任で良いと思うのですが、ただその前に気になるのは同じHCで昨季は上手くいっていたことです。メンバーも同じ顔ぶれなのに何故、悪くなってしまったのか。

昨シーズンの良さは「ウォールの突破+シューター達を活かすシステムの並列」としました。ロケッツに代表されるようなハンドラーの突破から3Pではなく、片サイドでウォール&ゴータット、逆サイドでシューター達が同時にプレーメイクしているのが特徴でした。

しかし、今季はこれがどちらか片方というパターンが多くなります。よく言えばビールが独り立ちしたのですが、まぁそんなに怖くないよね。両方同時にあるから怖さ倍増でした。

 

問題は並列しなくなった理由です。ひとつはゴータットの衰えなのか、ピック&ロール対策が進んだからなのか、どうもウォール突破パターンがピリッとしないというか、連携力が低下しました。もうひとつはお得意のカールカットも上手く機能しませんでした。

観ている方からするとHCが悪いのですが、ここにはチームにある微妙な空気感の問題もあったのでしょう。特に「センターに不満がある」といった直接的な発言が出てきたことからも、問題が発生していました。普通のチームは自分達の選手を批判するようなこの手の発言はしません。

これまでウォールは不満を言わずに戦ってきた印象なので、なんとなく怪しいのだろうと思います。

 

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〇強いメンバー

 

ウォール、ビール、ポーター、モリス、ウーブレイ、スコット、そしてサトランスキーとこのチームには素晴らしいメンバーが揃っています。メンバーだけならばイーストを制しておかしくないメンバーです。

良いセンターがいないから、そんなセンターがいなくても十分に勝てるレベルのメンバーです。しかし、戦術的な問題だけではなかった気がします。トップチームになろうとしていたウォール&ビールですが、目標がしっかりと腑に落ちていたのかもよくわかりません。

正直、とてももったいなかった今シーズンです。これだけ機動力があってシュート力があるウイングが揃っているチームは他にありません。ロケッツですらここまで優秀なウイングではないので、本当にもったいなかったウィザーズ。

それは活かせなくてケガもしたウォールが悪いのか、戦術調整出来なかったHCが悪いのか、それとも精神的に未熟だったが故にまとまることはあり得なかったのか。

 

理由はおそらく様々ですが、ペイサーズと比較すれば真逆だったウィザーズ。それは画面越しに観ているだけではわからない空気感なのでしょう。

 

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問題は来シーズンどうするのかです。気持ちがセンター獲得に向かっているのは正直、良い傾向ではないと思っています。その気になればセンターは低サラリーでみつかります。ウォーリアーズがそうしているように。センターに大金を払うとアンタッチャブルになってきてしまい失敗すると思います。

機動力のあるチームに機動力のある優秀なセンターは欲しいところですが、それよりは柔軟性のあるラインナップを組む方が効果的でしょう。

 

そしてポーターのマックス契約により、サラリーキャップが苦しすぎるチームなので、センターに意識が向かえば何人かの選手は放出せざるを得ません。スコットは良い選手でウォールとの相性も抜群でしたが、スコットに5M払うよりはセンターに10M払ってしまいそうなフロントです。

逆にポーターを放出して他の選手を残す方向性もあります。まぁその方が現実的でもあります。トレードのコマとして活用した方が、ポーター自身もステップアップ出来そうです。マックス契約なんだよね。

 

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ウィザーズに期待値が高かっただけでなく、シーズンを通してウーブレイ、スコット、サトランスキーの台頭もあって非常に良いメンバーでした。しかし、そのメンバーが昨シーズンにHCがもたらした成功パターンを実行することが出来ず、そしてメンバーの不仲が大々的に報じられてしまったウィザーズ

非常に勿体なかったシーズンであったと共に、人数が少ないバスケのチームを構成するのは難易度の高さを感じずにはいられませんでした。

 

ラプターズが大きく方向転換して大成功したシーズンでしたが、ウィザーズが同じ事をするのは難しいでしょう。ペイサーズがチームとしての絆で成功したシーズンでもありますが、ウィザーズとは全く別の方向性でもありました。

一筋縄ではいかなそうなウィザーズの問題点。解決さえすればイーストを席巻しそうなチームでもあります。どうやったらラプターズになれるのか、どうやったらペイサーズになれるのか、それを研究しなければいけないのかもしれません。

おそらくテーマになっていくのは「信頼」というエモーショナルな部分。HCなのか、選手なのかわかりませんが、見えない問題にとりくむオフシーズンです。

 

 

 

 

 

 

さようならウィザーズ” への8件のフィードバック

  1. 上手いシーズン総括ありがとうございます。
    まさにその通りなシーズンでした。色々愚痴りましたがそれだけ今シーズンには期待してただけに残念でした。
    格安で機動力があるセンターを入れて
    スコットとの再契約出来たら良いです。
    自分的にはポーター+マヒンミorゴータットでカズンズに来て貰えたら最高ですが。
    とにかく来シーズンこそファイル進出を期待したいです。

    1. カズンズはFAなので獲得するなら無料ですが、サイン&トレードでポーターを獲得するならペリカンズにも悪い話ではないですね。ウィザーズもサラリーで助かりますし。

      うーん、本当に強いメンバーだったのですが、それを構築することが出来ませんでした。HCだけでなく全員に少しずつ責任がありそうなのが悩みが深いです。

  2. ブルックスはOKC時代と同じような問題を抱えているように感じますね。
    デュラント、ウエストブルック、ハーデンなどが、ブルックスを称える様子も見聞きしないですし、選手からの信頼は薄めなのかなと。
    長くオフェンスオプションの少なさを指摘されて、昨年は改善の兆しがあったようにも感じましたが、やっぱり最後はタレント任せになっちゃうのかな。
    NBAファイナルでマイアミに負けたところが彼のピークだったんじゃないですかね。誰でも代えればいいわけではないけど、HC交代に一票。

    1. プレーオフになると必ず「ウィザーズにはウエストブルックもデュラントもいなかった」という感想になります。
      昨季は良い方向性にもっていけたのに、最後に個人頼みにするからダメなHCなんでしょうね。
      あとはウォール次第ですね。ブルックスで活きたいのかどうか、決めるのはウォールだと思います。

  3. HC交代ですが、さて誰が良いのか
    なかなか思い浮かばないです。
    オフェンス重視で行くべきだとは思うのですが‥。

    管理人のいう通り点差を広げてても何故か終盤になって競ったゲームになり最後は個人に頼る試合になってた気がします。
    まずは頼れる控えの3番と5番の選手(去年のボグダノビッチとスミスみたいな)
    が格安で欲しいところです。

    1. HCは市場を賑わしている名前が結構あるので、きっと適切な人がいると思いますが、フロントがどんなイメージのHCにしたいか次第ですね。
      オフェンス重視といっても全員アタックなのか、ウォールのプレーメイクに頼るのか。
      セルティックス路線にするか、ロケッツ路線にするかみたいな。
      それによって集める選手も全く違うことになるので、早めにアナウンスして欲しいです。

  4. 個人的に、ウィザーズ対ラプターズは楽しみな対戦でした。強力なガードコンビを持つチーム同士で、コンビとして、チームとしての戦いかたに興味がありました。自分はインサイドのプレーヤーなので、彼等を活かす、彼らに活かされるにはどうしたらいいか?をテーマに観ていました。もしお時間があったら、色々なガードコンビの特徴や合いそうなプレーヤーを紹介してもらえるとうれしいです。(上記の2組以外にも、リラード・マカラム、スプラッシュブラザーズ、ポールハーデン等)

    1. ガードコンビはちょっと楽しいかもしれませんね。ペリカンズも興味深いプレーしましたし。

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