激戦を終えたジャズ。ロケッツとの対戦は2日後からスタート
おそらくロケッツはジャズの勝利を喜んでいるはずです。第7戦までいってセミファイナル始まるのが遅くなる方が嫌なはずです。視線の先にあるのはカンファレンスファイナルなので、自分達以外の理由で不利になるのは勘弁して欲しかったでしょう。
そして相手もサンダーよりはジャズの方がやりやすいでしょう。もちろんジャズにはシーズンスイープで、サンダーには負け越しているという相性の問題もあります。ただ、それはジャズが弱いというのではなく、ロケッツにはやりやすい相手のはずです。もう少し言えば計算が成り立つ相手です。サンダーが成り立たないだけ。
〇ロケッツとサンダー
ロケッツとサンダーのディフェンス能力は近しいものがあります。サンダーの方が少しだけディフェンスが良いのだけど、ロケッツの方がずっと整備されているのでトータルではロケッツが上回ります。あまり使わない言葉ですが、サンダーのディフェンスの方が爆発力があって、ロケッツの方が安定感があると捉えて下さい。
そうなるとサンダーの守り方はロケッツも継続してくるはずです。間違えなければ大量失点しないことはサンダーが示してくれました。そしてロケッツは間違える可能性が低いチームです。
絶対にやられてはいけないのはイングルスに外から決められることです。これをやられるとインサイドカバーが苦しくなるので、アリーザあたりが止めに行くはずです。ドノバン・ミッチェルにクリス・ポールかな。逆かも。ルビオが出てくるか不明ですが、消去法でハーデンです。
まぁロケッツはベンチメンバー含めて柔軟なラインナップで対応するはずです。いずれにしてもしっかりと優先順位をつけて守っておけば「ジャズにオフェンス力で粉砕されることはない」と考えているはずです。
この点は非常に重要で「ある程度は抑えられる」という状態に持ち込めば、自分達のオフェンス力で上回れる計算をするはずです。ここがサンダーとの大きな違いです。同じようなディフェンス力でも「守らなければいけない」サンダーと「大ケガさえしなければ問題ない」ロケッツは求めるものが違います。
〇ターンオーバーしないロケッツ
もうひとつロケッツにはウルブス戦でみせた驚異的なターンオーバーの少なさがあります。ジャズのゲームレポートでも書いたとおり、サンダーはパスミスから速攻を食らいました。言い換えるとジャズのオフェンスは相手のターンオーバー次第の部分があります。第5戦、第6戦とウエストブルックが自分で打ちまくるとジャズは得点がとれなくなりました。パスミスを連発したポール・ジョージが積極的に打っていただけで試合はどちらに転ぶか分からなかったくらいです。
ウルブス戦でハーデンが打ちまくり、外しまくり、その結果としてターンオーバーがなかった状況をみるとジャズもこの部分では苦しくなるはずです。
・ロケッツはサンダー並のディフェンスをより焦ることなく出来る
・ジャズのカウンター作戦が通じない
そもそもサンダーのディフェンスに手こずっていたジャズなので、この2点だけでもオフェンスがかなり苦しくなります。
次に逆にジャズ側のディフェンスを考えてみます。
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〇ジャズもロケッツを止める
ウエストブルック&アダムスは強烈でした。そこを守るのは割と苦しかった反面、ウエストブルックのドライブレイアップに対してはゴベールが完封したくらいです。緩急のハーデンには苦労するでしょうが、ミドルを打たせる選択肢に持ち込ませるのは十分に出来るはずです。クリス・ポールはもっと楽でしょう。ミドルを凹むくらいに決められない限りは。
幸いにしてカペラにもミドルがないため、ゴベールをアウトサイドに引き出される心配がありません。ネネイには苦労するでしょうが、そこはフェイバーズの時間にするはずです。なお、ここは交代合戦になる可能性があります。ロケッツはフェイバーズにはカペラにしたいはず。ゴベール<ネネイ<フェイバーズ<カペラ<ゴベールなんて関係性かと。
インサイドでしっかり止められるならば、アウトサイドはヘルプに行かないだけなので要はここでもサンダーvsジャズと同じ構図が出てきます。もっともジャズがヘルプに行かない理由はは「スティールしたい」から「3Pを打たせたくない」に変化しています。
だから困った時にヘルプに行っても問題なかったサンダー相手に比べると、時にはロケッツにラッシュされる可能性は否定できません。代わりにロケッツの速攻は理不尽ではありません。
ハーデンのドライブを中心としたインサイドの戦いは、ウルブスのタウンズでも割と止めていたので、ディフェンス力で上回るジャズはロケッツのアタックを止める事が出来るはずです。
・ジャズもサンダー戦と同じような戦略でロケッツに対抗出来る
・ただし、止めるべきポイントの違いから少し苦しくなるはず。
ロケッツのオフェンスが強力なイメージがあるかもしれませんが、ジャズのディフェンスもまた強力なのでイメージほど圧倒することはないはずです。
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〇止めるでは収支が合わないジャズ
しかし、問題が1つあります。それはインサイドをしっかり蓋をしてパスミスを狙う体制でよかったサンダーに比べるとロケッツに対してはより積極的にボールを奪いに行く必要があります。それは前述の通り、オフェンス力に不安があるジャズなので、勝つためにはどこかで速攻に繋がるスティールが必要になります。
そもそもウエストブルックよりもハーデンとクリス・ポールは確実にシュートを決めてきます。同じ事をやっていては失点が増えるわけです。自分達のオフェンスが弱くなり、失点が増えては収支があいません。だから単に止めるだけでは不十分なジャズです。ボールを奪う必要があります。
サンダーはロケッツに勝ち越しており、ウルブスはプレーオフでやっと1勝あげたわけですが、その違いは両チームの強さの違いではなく、ディフェンス面でボールを奪う術があったかどうかの差でもあります。正直、まともにロケッツの3Pを止め続けることは難しいですが、ハーデンからボールを奪えるチームは話が変わってきます。それが出来たサンダーでした。
ジャズは勝つためには単に守るのではなく、奪いに行く時間が必要です。そうしないとロケッツ10点リードになった時点でキープモードに入られて手も足も出なくなります。
ジャズにはその武器としてエクザムがベンチにいます。ルビオが出場できるかわかりませんので、尚更、第1戦は試す価値があります。スタミナ的な問題もあるので、初めの2戦を捨ててでも実験する可能性もあります。クラウダーやオニール、ドノバン・ミッチェルも含めてハーデンに対して積極的な守備を構築するのではないでしょうか。そんなディフェンスにしたときにインサイドを守れるのかも不明なので、バランスがとれる範疇を知らなければいけません。
・ジャズはロケッツをある程度止められるが、それではジリ貧
・ボールを奪う術はあるが未知数なので初めの2戦で試してきそう
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〇ドノバン・ミッチェル
このブログの読者の方は早くからドノバン・ミッチェルの恐ろしさを知っていたはずですが、もはやブログを読んでおらず、試合を観ていない方でもとんでもないルーキーが出てきたことを知るようになってしまいました。ウエストブルックを倒してのプレーオフ勝利は衝撃的です。
確か2月くらいまでは「ドノバン・ミッチェル」で検索するとトップ3くらいにこのブログが出てきていたのですが、今では1ページ目にすら載らなくなってしまいました。
「なんだこいつ」
とゲームレポートで何度も書いてきましたが、それは恐ろしさを表現するための言葉でした。今、新規の方がブログを読んだら、むしろ管理人の方が「なんだこいつ(ミッチェルの事知らないのか)」と言われてしまいそうです。3段飛ばしくらいで進んでいる恐ろしきドノバン・ミッチェル。
個人的にはオールスターに投票してましたよ。
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問題はサンダー戦のような活躍が出来るかどうかです。それが出来て初めてジャズが勝てる可能性が出てきます。
で、ある程度やると思います。
でもある程度です。なんせロケッツは「ある程度はやられてもかまわない」というチームです。サンダーは止めようとし過ぎました。ロケッツはそこまで止めに来ないはずです。ミドル打たせておけば大丈夫。
・・・という予想。
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予想を超えてこそドノバン・ミッチェル!!
というわけですよ。はい。終了です。
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◉ロケッツは堅い
・攻守にサンダー戦と同じクオリティが予想されるジャズ
・しかし同じクオリティだとロケッツのオフェンス力に沈む
・どこかで無理をするポイントを見つけるのがジャズの最重要課題
ロケッツのスイープと言いたいところですが、クイン・スナイダーが簡単に引き下がるとは思えません。なによりユタのホームがそれは許さないはず。ホームで1勝するけど第5戦のヒューストンで決着の予想です。もう一度言います。
予想を超えてこそドノバン・ミッチェル!
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ロケッツの調子ですが、そこまで良い状態ではありません。これは良い意味です。勝負はカンファレンスファイナルからです。正直、ウルブスは試合運びが未熟すぎました。第2戦2Qと第4戦3Qはロケッツが大爆発したようでウルブスの拙さでもあります。
逆に言うとそれ以外の時間でロケッツは圧倒はしていません。なんせ、この2つのQ除くとトータル負けています。慌てず、騒がず、揺るがず、「成熟」したチームとして戦っているだけです。要は試合運びの上手さだけで勝っています。ここから調子を上げてくる必要があります。
ジャズとの試合で注目されるのは、どこかでスモールラインナップで火力全開パターンをしてくることです。ライアン・アンダーソンが戻ってきたので、ゴベール封じとしてノーセンターで来そうです。
ジャズが10点リードしたときにロケッツの本気が出てくる
この部分には大注目です。しばらく観ていないので、どれだけ機能するのか。シーズン前半はオフェンスでねじ伏せる試合が割とありましたが、成熟してくると試合運びで制してしまうので見えなくなっていました。これは先の戦いに向けては重要な情報です。
ウルブス戦ではクリス・ポール、ハーデン、ゴードンを並べる時間がありましたが、実はオフェンスが強くなるようで未知数のユニットでもあります。「ビック3は成り立たない」理論はロケッツにもあります。主にディフェンスの問題ですが。
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◉予想の発想が違うこと
こういう予想を書いていると面白い現象がひとつあります。
サンダーとジャズの試合を例にとると、管理人は「サンダーはルビオを諦めている」と捉えます。そんな作戦だと考えるからです。しかし、良く出てくるのは「サンダーのディフェンスは悪くて、ルビオに対して何も対策出来ていない」という評価です。ある意味真逆です。皮肉にもサンダーが第4戦、第5戦でルビオを止めにいったことで諦めていた正しさが浮かび上がりました。止めに行くなよ。
今回も同じようなプレビューの方が多そうです。
ルビオのピック&ロールをどうするのか?
ドノバン・ミッチェルをどうするのか?
あるいは、ハーデンとクリス・ポールに置き換えても同じです。
管理人の予想は「どうもしない」です。イージーシュートだけは許さない事を徹底してくるはずです。しかし、ジャズからすると立場が変わります。「ウエストブルックvsルビオのミドルシュート」ならば勝算があったわけですが、相手がクリス・ポールとハーデンなので同じ事をしたら負ける確率が高くなります。
この時にHCの性格が出てきます。それでも「確率は下がるのだからミドルを打たせる」派と「勝つためにはミドルも打たせない」派です。スナイダーはおそらく前者です。
そしてこの後のカンファレンスファイナルでロケッツvsウォーリアーズが実現した場合には、ロケッツにも逆転現象が起きます。「カリー&デュラントにミドルを打たせる」なんて選択肢を採用したHCは即クビです。トンプソンには「3Pよりはマシ」が許されるかもしれませんが。
もちろん、カリー&デュラントよりミッチェルの方が突破力があるし、ウエストブルックの方が更に突破してきます。だから、ミドルを止めやすくもなるわけです。
こうやって同じようなプレーへの対策であっても、対戦相手によって対応は変化してくるわけです。ロケッツは成熟した強さがありますが、それはウォーリアーズ相手だと計算が合わないことも割とあります。この辺のHC達の見極める力も重要になってきます。
そんな1つ先の戦いも考えながらセミファイナルを観てみましょう。
果たして待望の対戦が実現するのか、
脅威のドノバン・ミッチェルがそれを妨害するのか、
アンソニー・デイビスがリーグ最高のスーパースターの座に躍り出るのか。
ルビオは10日間離脱らしいです。またミッチェルに覚醒の余地が出てきましたね。
ルビオいないでミッチェルはかなり苦しいのですが、苦しいからこそ何が起こるか観てみたい。こんな選手はウエストブルック以来です。楽しい。