20180427 バックスvsセルティックス 第6戦

第5戦を帰ってきたスマートで制したセルティックス。勢いのままシクサーズ戦へと駒を進めるのか。

 

 

スマート絶賛派の管理人ではありますが、オフェンス面ではあくまでも「相手の弱点を的確につく」部分にあります。決して自分で得点する能力が高いわけでもないし、的確についても決めてくれないこともあります。同時にバックスのディフェンスはセルティックスを困らせていたし、バックスのオフェンスは連携が良くないのだけどセルティックスはそれでも止められないという相性もあります。

ホームゲームを制して第7戦までもっていけるのかどうか。

 

◉前半

 

〇マッチアップで個人技

‪セルティックスの狙いはブログトン。6戦目ですが延々と狙っています。そんなに成功率が高いイメージはないのですが、この試合も初めのブラウンこそ成功するものの守られていきます。またメイカーも狙いますが、こちらも失敗して流れが悪いのでタイムアウト。‬

‪タイムアウト明けはポジションチェンジをしながらドライブ&キックアウト、そしてミスマッチを作るかたちに切り替えます。するとロジアーが大活躍。‬ちなみにスマートが出て来るとロジアーはより活躍しました。PGではなくウィングの方がスピードとシュートを活かせています。

結局の所、基本オフェンスがマッチアップ次第での個人技アタックなので、連携ではなく個人が止められているのであればスマートいてもいなくても大した違いはありません。ミスマッチ誘導してくれるくらい。そんなミスマッチを使って先にリードしたのはセルティックスでした。

〇走るしかないのか

‪バックスはアーリーオフェンス。走る事で生まれるチャンスはアンテトクンポの良さでもあります。ただ、キックアウトは決まらない。頻繁に打つのがメイカーなのでセルティックスにフリーにされています。‬相変わらずな感じのバックスはオフボールの合わせがないので、ヘルプディフェンスに引っかかっていきます。‬

‪しかし、ベンチメンバーが増えるとパーカーの3Pも決まり、ミドルトンのジャンプシュート中心に得点が取れるようになり、24-22と追いついて1Qが終わります。‬

‪バックスを「シュートが決まっていないだけ」と捉えるかどうかで評価が割れそうな感じです。個人的には決まったとしても、その先にはあまり発展性がなさそうにみえています。アーリーは怖いけどスローダウンさせてしまえばね。

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〇パーカーで変わるバックス

‪ミドルトンのジャンプシュートは驚異ですが、その前に止めていくスマート。ハンドリングスキルが多彩なわけではないので、身体の圧力で上回るスマートは距離を詰める事でターンオーバーを引き出します。‬‪その間にモリスのミスマッチを使ってリードを得ます。‬

‪バックスのオフェンスは個人技任せなのですが、その個人技もフィジカルで勝負するしかないので、面白くないわけです。第5戦では途中からブログトン起用しませんでしたが、なおさらその傾向が強くなります。‬

 

‪そんな中で違いを作るのはパーカー。唯一スキルフルだし、何よりドライブしながらも視野を確保しているので、しっかりとパスが出来ます。他の選手はドライブして止まってからパスが基本です。‬つまり周囲のディフェンスからすると、ドライブに対してヘルプポジションへ向かう時に逆の動きを取るのがパーカーのパスで、ヘルプして止めた後でパスが出るのが他の選手です。逆をとるパーカーのパスは苦しいわけです。‬

‪次第にパーカーの存在感が大きくなり、ディフェンスのギャップが出来てくるので、個人技アタックも増えればオフェンスリバウンドも出てきます。パーカーで逆転したバックスです。

なお、前半のパーカーは得失点差+17と圧倒するのでした。

 

 

〇オフェンスも相性が悪い

1Qは成功していたオフェンスでしたが、再びトラブルになるセルティックス。そもそもマッチアップで有利なポイントを攻めていくのが基本ですが、そのポイント不足なのがバックスとの相性の悪さです。さらにいえば、全員アタックのチームにしたのは良いのだけど、時にアタックしすぎる個人が出てくると単に効率の悪いチームに陥ります。

そうなってしまった2Qはわずか15点に終わります。

〇2QのFG

テイタム 1/5

ロジアー 1/5

スマート 1/4

とにかく決められなかった上に、好調だったブラウンのアテンプトはゼロでした。バランスアタックしているようでトラブルでしかない状況でFG29%に沈みます。

 

前半は48-39とまたも点がとれなかったセルティックスでした。

 

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◉良いHCと良い選手

 

バックスはアンテトクンポという怪物を活かすため、セルティックスはチームでバランスアタックするため、それぞれ理由は違うけれど個人アタックが前提になります。それを戦術的に構成しているのがセルティックなので、本来は上回って然るべきなのですが、皮肉にもシーズン通して苦しい状況に慣れてしまったバックスというイメージです。

これは少し面白い現象の気がしています。

 

正直、両チームのHCには差があります。今やリーグを代表するHCになったブラッド・スティーブンスが用いる変幻自在の形は興味深いものがあります。しかし、ある意味選手は平常運転。昨季もプレーオフで大活躍したブラウンとルーキーのテイタムを除けば、シーズンでやってきたことそのままの平常運転です。

しかし、舞台は既に第6戦。バックスだって慣れるよね。どこを頑張らなければいけないのか。どんな個人技アタックしてくるのか。もともと知っていたけど、連戦が続けば身体が反応するでしょう。なんだか、そんなイメージになってきました。ブログトンのポストディフェンスとかね。

まぁ中には対応出来ない選手もいますけどね。

 

ある意味、常に有利なポイントを作っていくためにシーズン中から戦術を磨いてきたセルティックスが、あまり楽にならないマッチアップだから苦労し続け、戦術を磨かなかった代わりにどんな相手でも個人がステップアップせざるを得なかったバックスみたいな構図にみえてきます。

一方で第3戦で大きく方向転換をしたのはバックスのディフェンスでした。それは大いにセルティックスを苦しめたわけで、セルティックス側がスモールラインナップ対抗とスマートで勝利した第5戦という構図です。

だから作戦的な面では互角に引きずり下ろしたようなバックスのコーチ陣です。

 

そんな事を感じた前半。でも試合中の修正能力はセルティックスの方が磨かれています。だから後半どうするのかな。

 

・・・・・・・・・

 

〇ソン・メイカーを巡る攻防

何度も書いているようにメイカーについては、その能力の面は高く評価しており、前半にもホーフォードのボール運びにまでディフェンスプレッシャーをかける機動力もみせています。しかし、そんな能力が3Pを打つことではなにも活かされません。何度もフリーにされて打ちますが決まらない。

その一方でアウトサイドで構えてくれるからインサイドが空くのも事実です。ブログトンがテイタムからドライブ&ワンを獲得しましたが、ヘルプがこないので決めきることが出来ました。コーナーで構えて逆サイドドライブに合わせて飛び込むとかして欲しいメイカーのオフェンス

 

しかし、ディフェンス面ではセルティックスの方がメイカーの弱点をつけません。ホーフォードがフリーになるはずなのに、そこを使えないし、ブラウンのドライブをブロックするメイカーですが、そのときホーフォードは合わせに飛び込めていませんでした。

つまりメーカーを巡る攻防はバックス有利に展開します。14点差になってセルティックスがタイムアウト。タイムアウト明けの1本目はホーフォードを動かしての3Pだったので、完璧に狙っていたはずのポイントなわけです。しかし、打たせたからと言ってそれが確実に決まるスティーブンスマジック。

 

〇キッド式再び

再度、3Pラインの外にいるホーフォードを活用して、バックスディフェンスを振り回すセルティックス。

バックスが第3戦から守れるようになったのを「昨季からのメンバーが増えてキッド式に回帰した」としましたが、見事なローテーションでセルティックスのボールムーブにイージーシュートを許しませんでした。その一方で動き回るのでギャップをみつけられてのドライブに対しては弱くなります。一長一短。

テイタムとブラウンに切り裂かれてトータル失敗するのでした。14点差から3分ほどで5点差まで縮まります。このホーフォードから始まるアタックを後半開始にやりたかったはずのセルティックス。何故、失敗したのか?

 

 

〇PGアンテトクンポ

ブラウン&テイタムで得点していくセルティックスに対し、またも停滞するバックスオフェンス。しかも今度はパーカーもいるのに停滞。理解に苦しむチームです。ゲームメイクにも問題はありますが、そもそものプレーチョイスがね。

テイタムからブラウンのゴール下。ホーフォードからテイタムのレイアップで残り4分同点に追いつきます。しかし、ブラウンとホーフォードをベンチに戻すと一気に停滞します。得点出来るのはデラベドバがファールしてくれるとき。

 

変化したバックスはデラベドバをいれてアンテトクンポPGになります。その良さはハーフコートではあまり自分で行かずにボールを捌くこと。それでいてアーリーオフェンスは無類の強さです。ミドルトンのターンシュートと自らのユーロステップで得点していきます。そうやって収縮するとボールを動かしてスネルの3Pが決まり、一気に8点リードに戻します。

さらにミドルトンをゼラーにしてビックラインナップに。インサイドに侵入できないセルティックス。しかもパーカーは空いたスペースをヘルプで埋めてくれるので、隙が出来ても攻略させません。アンテトクンポがお得意様のベインズ相手のレイアップも決めて74-65で3Qが終わります。

 

どちらかが一方的に得点しないと気が済まないのか?

 

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〇ミドルトン

ミドルトンの評価は難しいです。個人的には質の高いロールプレイヤーですが、このプレーオフではステップアップして高確率で決めています。それは素晴らしい。一方で頻繁にターンオーバーします。突破タイプではないので、ターンオーバーするのはどうなのか。折角、収縮させてパスアウトしたのに唐変木な方向にパスしていたり、逆に自分にキックアウトされたときにコーナーにエクストラパスしますが、お前がシューターだろ?と思ってしまうのです。

エクストラパスは良いプレーですが、役割としてシューターなら打たないとその先が苦しくなるよ。コーナーにいる選手よりも自分の方が確率も高いはず。

アンテトクンポがベンチに下がった間に、やっぱり苦しくなってきてセルティックスに連続得点を許し、78-75と3点差になります。戻ってくると早速個人技で得点しましたが、モリスの3Pで2点差に。

 

〇ホーフォードとモリス

スマートがポストアップで展開を図りますが、どうもいまいち動いてくれない周囲のメンバー。モリス、ベインズ、ロジアーでそのプレーは苦しい。間違えたスマートがベンチに戻ります。

3点差でお互いのスターターが戻ります。先に決めたのはアーリーオフェンスからブログトンのコーナー3P。タイムアウトのセルティックスはオジェレイをモリスに交代します。アンテトクンポにホーフォードでメイカーにモリスなので、マッチアップ的には悪くないのですが、ヘルプディフェンス担当のホーフォードなので、ブレッドソーがドライブされたときに寄ってしまいアンテトクンポのアリウープに繋がります。

このとき、モリスはヘルプに行けないポジションで守っていました。メイカーがコーナーで待っているのが巧みなのか、メイカーを捨てていないモリスが悪いのか。セルティックス的には後者なのだと予想しています。正解は当事者しか知らない。

これ以前にもモリスはかなり攻められているので、ディフェンス面の穴を覚悟して送り出し、見事に失敗しています。

 

〇クラッチ

テイタムがステップバック3Pを決めますが、単純にスピードで抜かれるホーフォード。苦しいのでやっぱりモリスをスマートに交代したので、スティーブンスマジックの失敗です。

でも、スマートも3Pを外すから意味がなく、そのリバウンドをテイタムが粘ってマイボールになるも、インバウンズパスをブレッドソーにスティールされます。そして3P連発攻撃が機能せず、結局はスマートをモリスに交代するので何もかもが裏目に出ています

 

それでもアンテトクンポは揺るがない。自身でアタックするのではなく、合わせやオフェンスリバウンドを押し込んでいくので素晴らしいし、止めようがなくなっています。アンソニー・デイビスとウエストブルックの合わせ技みたいなアンテトクンポ。第4戦のティップでの決勝点といい、完全に勝利を掴む活躍をしています。

9点差になったので3P攻勢を強めようとしますが、ブロックが来る中でも思い切って打ったり、ドライブに切り替えるのはテイタムとブラウンの2人という苦しいセルティックス。

 

最後までアンテトクンポの脅威により逃げ切ったバックスでした。

 

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◉HCとエース

 

なんというか「ブラッド・スティーブンスvsアンテトクンポ」みたいな試合でした。いろいろな策を講じ、細かい交代でギャップを狙ったスティーブンスですが、結局の所上手くいっているのはブラウン・テイタム・ホーフォードのチームとしての強い部分だけ。一方でスタッツ以上に存在感のあったアンテトクンポ。ドライブに対し合わせにくるから31点というスタッツ以上に脅威になっていました。

言ってしまえば策におぼれたスティーブンスとエースとして勝利に導いたアンテトクンポです。

テイタム最高というセルティックスファンは多いだろうし、ブラウン推しの管理人もいますが、その2人vsアンテトクンポではなかった印象は後悔なのか、それともセルティックスらしさなのか。

 

第7戦はどっちで来るのかな?考えるまでもなくセルティックスらしさでしょうけどね。

 

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第5戦はスマートとスティーブンスの共通意識で勝ったようなイメージですが、第6戦は悪い方向ばかり出てしまいました。やっぱり良いことばかりではないコンビです。2人がやりたいことが時折一致しない印象を受けます。出ているメンバーを決めるのはスティーブンスだけど、コート上で判断するのがスマートなのでバラバラな時がたまに出てくるのです。

一方でそもそもバラバラなバックス。それを強引にくっつけているアンテトクンポとパーカーな雰囲気です。

個人的にはアンテトクンポとブレッドソーのスクリーンは効果的なのですが、狙いが間違っています。目的はアンテトクンポvsロジアーにすべきが普通のピックになっていて、アンテトクンポが3Pラインの外で待っていたりして。時にアリウープみたいに上手くいくときもあるので、ここが完成するとセルティックスは止められないと思いますが、期待薄。

 

この試合でもお互いの連続得点の応酬になっており、ちょっと安定性に欠ける両チーム。それはオフェンス面の拙さがもたらしています。だから連続得点は多いけど10点くらいのラッシュもまた生まれない。1Q50点とれとも、25点差を8分で追いつけとも言わないけど、しっかり勝つためにはラッシュしないと苦しいよ。

セルティックスは第3戦までが速攻で43点、第4戦から第6戦までがわずかに14点しかありません。一方のバックスは第1戦から第5戦までが12~16点の間で安定しており、この試合は25点です。

 

勢いがあるのはバックスの方なのでした。果たしてブラッド・スティーブンスは大きな変化をもたらす策を用意するのでしょうか。

 

 

 

20180427 バックスvsセルティックス 第6戦” への2件のフィードバック

  1. プレイオフ一回戦を見て思うのが、圧倒的な個の力vsチーム力って試合が多い気がします。前者の方が優勢なのは私は好きじゃありませんけど。やっぱりチームに1人計算できない化け物が居るか、出でこないと、勝てないものなんですかね?データ泣かせでしょうけど笑

    1. 個の力では勝てないことはハッキリしているのですが、大前提としてプレーオフに上がってくるくらいの組織の力をもったチームばかりですよね。
      同じチームと何試合か戦う中で煮詰まってきた時に、レベルの違うスターがいると1人だけアンストッパブルになりがちです。

      ただし、レベルの違うスター限定なので、そんな選手を抱えているかどうかで、大きな差になりがちですね。組織で勝ってきたチームが7試合のシリーズで勝つにはパターンの豊富さも求められます。

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