こんな時期なのに2試合も残されているイースト首位攻防戦ファーストラウンドです。またの名をイースタンファイナルのマイナス第1戦です。次は第0戦。
てっきりラプターズの首位は確定だと思っていましたが、最近が2勝3敗なので差が詰まってしまいました。次がキャブス、そして再びセルティックスなので逆転は現実的にあり得ます。正直、ラプターズは自信を持ってプレーオフに望むべきだと思います。自信ね、自分達を信じれるのか。
さて、試合は110-99でセルティックスが勝ちました。今回はあくまでもイースタンファイナルのマイナス第1戦として、両者が本番となる第1戦に向けて考えていそうな事を予想していきます。
両者とも現時点でのフルメンバーを揃え、何かを隠すような行為はあまりしていません。その一方で相手を試すような事はしています。
ブラッド・スティーブンスは相手を攻略するのが大好きで、積極的に自分達を変えていきます。昨季のプレーオフでも仕掛けています。一方でドゥエイン・ケーシーは固定された方法論が好きなタイプで、相手とのマッチアップくらいの変更点になります。
・・・・・・・・・
◉4Qのセルティックス
試合は予想外にハイスコアでスタートしましたが、4Qのラプターズを15点に抑えたセルティックスディフェンスの勝利という構図です。ポイントになるのはこの2つ。
・最強セカンドユニットが負けた
・ゾーンディフェンス
まず前者ですがラプターズお得意のセカンドユニットでリードして逃げ切る展開を構築できませんでした。セカンドユニットは全員オフェンスレーティング93以下となりました。
様々な部分で負けているのですが、スティーブンスの考え方を予想するとこんな感じです。
〇ラプターズのセカンドユニット 3P36.1%
〇セルティックスの被3P 33.4%
リーグで最も3Pを決めさせないのがセルティックスのディフェンスです。ただし被アテンプト数は多いので打たせるけど外させる狙いがあります。そこにきてラプターズのベンチオフェンスは強力ですが、個人の3Pだけならば確率は高くない。
ヴァンフリートの3Pに恐怖を感じたセルティックスファンは多いでしょうが、実はキャブス戦も同じように前半に連続で決めて4Qに外しています。つまりいろいろ怖いセカンドユニットだけれども、インサイドを封じることに焦点を置いて、3Pは自分達のディフェンス力を信じて「止めにいかなかった」のではないかと予想します。
〇ラプターズベンチメンバー
3P 2/14
オフェンスリバウンド 1(パウエル)
賭けといえば賭けだし、セルティックスのインサイドへの収縮が早いのもいつもの事ですが、やけにオフェンスリバウンドをとられなかったので、ここがスティーブンスの作戦であり、打たせて勝ったといえます。なお、ラプターズのスターターは8つのオフェンスリバウンドがあります。
マイナス第1戦だから賭けに負けても後悔しないしね。
・・・・・・・・
最大の勝因はゾーンディフェンスの成功です。ゾーン自体は前のジャズ戦でもやっています。ここについてフォロワーさんから頂いた意見はまさにその通りだと思いました。
「スマートの不在をゾーンディフェンスで埋めているのではないか」
マンツーマンの中で頻繁に発生するスイッチですが、スマートはどんな相手でも守ってしまうのでミスマッチが発生しても近くにスマートがいればマークチェンジで解決してしまいます。そのスマート不在とゾーンディフェンスが増えてきたことには関係性があると考えるのが自然です。
ラプターズのスターター対策として、このゾーンの恐ろしいのはテイタムが前にいることです。大きいから打ちにくい。もっと恐ろしいのは後方にいる3人、ブラウン、モリス、ホーフォードが相手の動きに合わせてついていくのです。
つまり実質ゾーンなのは前の2人で後ろの3人はマッチアップマンツーです。ただ時折ロジアーが後ろに行くこともあるので全体的に人についていく意識が高いと言えます。どうやってバランスをとっているのか、非常に難しいゾーンです。
予想はラウリーとデローザンを誰かは捕まえておくルールかと。ひょっとしたらラウリーだけかもしれません。見直すのも面倒なので次の第0戦に確認して下さい。
あと、実はこのゾーンがゾーンとして成功していたかどうかよりも、バランチューナスをブロックし、ラウリーからスティールしとヘルプディフェンスでブラウンが個人で働きまくっています。リバウンド争いでも負けないし、こちらも特殊なガードです。
そんなわけでセルティックスがリードを得たのはこの2点です。そして勝敗が決する前にゾーンを辞めています。攻略法を隠したわけです。多分、ラプターズのAC達は血眼になって攻略法を探っていますよ。
・・・・・・・・
◉デローザンvsブラウン
マンツーマンの時間に強力なディフェンス力を発揮出来なかったともいえるセルティックス。エースを消しまくるブラウンの存在は果たしてどうだったのか。
〇デマ-・デローザン
32点 FG12/19
7アシスト
完勝だったといえるデローザン。ちなみに3Pは5本全て外しました。その内容をハイライトで見てみましょう。注目するのはブラウンです。
デローザンを消すのがブラウンの仕事ですが、30点取られてはいますが個人としてデローザンにやられたシーンは殆どありません。一方でロジアーやネイダーに対しては簡単にシュートに行っているデローザンです。ブラウン関連で目立つ要素は2つです。
・対ブラウンではシュートモーションからのパスを選択しているデローザン
・ブラウンに対して2枚のスクリーンを用意して引き剥がすラプターズ
ラプターズがプレーオフを勝ち抜くために必要なのは「自分達のオフェンスを信じること」でした。それが出来なかったキャブス戦に比べると、明らかに周囲を信じてパスを回し、無理なシュートを減らしていたデローザンです。
そしてチームもまたブラウンを引き剥がしてシュートシーンをクリエイトしています。つまりブラウン対策が完璧に機能していたラプターズです。そのためデローザンの活躍が目立ったことになります。
・・・・・・・・
◉アヌノビー、パウエル、ヴァンフリート
OGアヌノビーどうでしたか?以前に1人だけプレータイム少ないのに3☆にして「どこのチームでもスターターになれる」と評しました。それだけの力をみせた試合だったと思います。この試合では19分と接戦としては長く起用されました。
一方でパウエルも試されています。試されるというか十分な戦力なのですが現状はチームで11番目の序列です。それでも出ていたのはディフェンス面の確認と予想されます。それはアヌノビーと同じくセルティックスのテイタムを中心としたドライブへの対策でもあります。
キャブス戦では4Qにアヌノビーを起用すべきとしましたがヴァンフリートを使い、この試合では最終的に逆になりました。それはサイズのマッチアップミスを避けようとする少しネガティブな方法論なのか、それともヴァンフリートがそこまで良くないために生じているのかは不明です。
つまり結論はよくわかりません。正直、ヴァンフリートで良かったと思うからこそアヌノビーとパウエルにしたのかもしれないので、答えはプレーオフに持ち越しです。
ただ、ゾーンに対してマイルズの起用は失敗でした。ボールムーブやドライブの出来る選手優先が正しかったかも。AC達の分析待ちです。
・・・・・・・・・
◉ヴァンフリートの狙い
前半に気になる2つのプレーがありました。前を走るライトにヴァンフリートが出したロングパス(ライトがレイアップをミス)、その直後にディフェンスリバウンドに参加せず前に走ったヴァンフリートです。どちらも得点にならなかったので、意味はありませんでした。
〇セルティックスの速攻での失点 10.3(4)
セルティックスは速攻を食らわないチームです。その理由はスティールされないからです。つまりヴァンフリートの狙いはリバウンドからの速攻でした。
これは時にディフェンスの良いチームにありえる形で、マークを捕まえるのが早いからこそ裏が空いてしまいます。そして割とオフェンスリバウンドに積極的なセルティックスなので、ガード陣がドライブしてきた場合はカウンターが狙い目だと判断したのかもしれません。
それはラプターズのリバウンドを弱くした意味合いもあるので、収支が合う狙いとは考えがたいので続けなかったのでしょうが、ラプターズの共通理解としてインプットされている可能性があります。パスが出なくてもコーナーで待てばアーリーオフェンスになるシーンも出ていました。
なお、よく走ることはラプターズの通常営業なので、別にセルティックス対策というわけでもありません。
・・・・・・・・
◉ラウリーとバランチューナス
セカンドユニットの3Pを打たせて外させる通常パターンを成功させたセルティックスですが、ラウリーにも同じ事をしています。
〇カイル・ラウリー
11点 3P2/10
9アシスト
同じように止めたようですが、試合の印象は違いラウリーに対してはより積極的に守りにいっています。その違いは2Pアテンプトを3本しか許さなかったことであり、ドライブへのヘルプをしっかりと用意しました。その結果としてバランチューナスへのアシストを許しています。
〇ヨナス・バランチューナス
13点 FG6/12
5オフェンスリバウンド
実は少し決定機を外していたバランチューナス。もしも後2本多く決めているだけで、セルティックスのディフェンスは大きく変わっていた可能性があります。僅かだけど大きな差になった気がするバランチューナスの存在。
3Pアテンプトが多かったのか、それとも3Pを打たないとシュートチャンスを作れなかったのか。後者の方だと予想しており、インサイドを犠牲にしてでもラウリー対策をしていたセルティックスです。
つまりこの試合のセルティックスのディフェンスは
・デローザンをブラウン個人で止める
・ラウリーを全体で連動して止める
・セカンドユニットのインサイドを許さない
こんな戦略だったと予想しています。そしてデローザンを止めることに失敗し、下の2つに成功しました。これでラプターズに並び、ゾーンディフェンスで上回ったわけです。
勝利への戦略を描いていたスティーブンスと試したケーシーというHC対決に映りました。
・・・・・・・
◉モリスとテイタム
今回で最も解釈が難しいのがモリスとテイタムの活躍です。2人が活躍することは最近の傾向であり、珍しくもなんともありません。その内容も力強いドライブや高確率のアウトサイドであり、勝負強さをみせる最近の姿です。
でもこれを「敢えて」と捉えてみましょう。特に気になるのはテイタムです。敢えてテイタムを使ってきたと考えるわけです。
〇ジェイソン・テイタム
24点 FG9/16
4アシスト
シュートは予想よりも決まった、でもあり得る範囲くらいの見方です。それはテイタムらしさですし。
何故、「敢えて」と捉えるかというと、ラプターズがサンダーとキャブスに負けた理由がウエストブルックとレブロンに粉砕されたからです。両試合ともオフェンスの戦いに持ち込まれ、ディフェンスのラプターズとしては心外な展開でした。
何故、守れなかったかというと純粋に個人が突破されると崩壊しがちなディフェンスシステムだったからです。特にインサイドまで割ってくる相手が超苦手。
セルティックスとしては再現してみたいけど、ラウリー&デローザンを突破するのは簡単ではないから、ガードではなくテイタムとモリスという発想です。実際にレブロンのドライブに苦労したのがイバカとシアカムでした。
ちなみにロジアーもしっかりと決めていますが、それはスクリーンを利用してチームでやるパターンです。それに対してテイタムはほぼ個人突破。
ただし、テイタムの相手はアヌノビーです。アヌノビーがこんなにやられるとは予想外でした。だから止めるために前述のパウエルに出番がありました。
テイタムのハイライトで注目すべきはアシスト面です。これはロジアーも同じなのですが、バランチューナスを引き出してベインズに渡しています。守れてしまうラプターズは個人がダイレクトにリングに向かって突破されるシーンをあまり想定していません。
でもサンダーとキャブスにそれをやられたので早めのヘルプには出るのですが、わかりやすくベインズが空いています。これはジジッチにもやられていました。
そんなわけでテイタムがかなり直線的にリングにドライブしている事が1つのポイントになる可能性があり、そこのディフェンスの対応が課題になっているのがラプターズです。
・・・・・・・・
◉ラプターズはどうでるのか。
そんなわけでゲームレポートではなく、あくまでもイーストファイナルのマイナス第1戦という面も理解頂けたかと思います。
今回はセルティックス側の戦略面が大きく出ています。それをラプターズがどんな解釈をするかが重要ですが、なんせ次はキャブス戦なので、そちらの方が優先事項です。次回のセルティックスに対しては何もしてこないかもしれません。
ホームコートアドバンテージをどう考えているかですが、TDガーデンは結構危険なのでやっぱり首位をキープしたいところです。今思ってもクリッパーズに負けたのが痛すぎました。セルティックスはサンダーに勝てたのが大きかった。
意外にも首位攻防戦になっているので、そっちの意味でも注目しなければいけません。
ラプターズの敗戦により、ロケッツがリーグ首位になることが確定しました。
ファイナルの頃はBOSは違うチームになってそうな気がするんですよね
スマートとカイリーが戻ってくるはずなので
ラストピースとなるのか毒となるのかはわかりませんけど
確かに変化するでしょうね。毒にはならないと思いますけど、スマートをどう使うのかは気になりますね。このままロジアー優先で行く気がします。
カイリーがいるとオプションが増えてオフェンスでの戦いを挑みやすいですし、おそらく試合毎に戦略を入れ替えてくるでしょう。
そのための実験でもあるはずです。ゾーンでロジアーのところにカイリーで隠す事も出来ますし。
ボストンの誰が出てもチームのやる事を徹底するあたりが選手の層が厚くなさそうな感じですが意外にしっかりしてるなーと感じました。ボストンは今年、上位ですが若手の年になってますね。テイタム、ブラウン、ロジアーもここに来て一皮向けた感が!
ラプターズはプレーオフになると毎年勢いが無くなるのでメンバーも揃ってのでココらで誰かがステップアップしてプレーオフ迎えて、是非イースタンカンファレンス第1戦を見たいです!この試合は面白かったです!
駆け引きもありながら、両チームが考えて試合しているので絶対的な存在がないからこその面白さがありましたね。
セルティックスはチーム戦術徹底のようでいて、中身は個人能力で突破だと思うので、気持ちよくプレーしていそうです。アヌノビーがセルティックスにいたらテイタムみたいなプレーをしていたかも。
ラプターズはこの苦しい時間をプレーオフ前に経験しておいて良かったと思える内容になって欲しいです。