サンダー前編~理不尽すぎたウエストブルック~

スパーズは弱い。

サンダーは強い。

だからといって勝てるわけでもないのさ。

 

 

◉ウエストブルック批判はちょっと違う

 

管理人はウエストブルック好きですが、アンチも多いですよね。それは別に良いのですが「アンチウエストブルックだけどレブロン好き」というのは納得いかなかったりします。「レブロンの方が好きだし、評価する」というのは大いにありです。

 

2人がやっていることは結構似ています。自分でボールを持ってプレーを決め、周囲にパスもするし独力でも決めていく。どっちもやっていることはワガママそのもの。

 

だからチームはパス本数が少なく、アシストも少ない。自分で決めてしまう事もあるけど、試合を壊すことも多い。違うのはFG%がレブロンの方が遙かに高いこと。だからレブロンの方が好きというのは納得するわけです。

 

しかし、管理人はウエストブルック派。まぁ結果よりも内容を愉しむ派なので選手としてどっちが上とはあまり関係ないです。

 

 

ウエストブルックの方を評価する理由はいくつかありますが、根底にあるのはマインドの部分です。どちらも勝つことに貪欲だけど、「効率的にやる」ということが第一のレブロンに対して、「相手を倒す」事が第一のウエストブルック。賢いのはレブロンかもしれないけど、試合を支配しに行くのはウエストブルックです。

だから観ていて楽しいし、「変、すごく変」というのは非常によく分かる感想です。この言葉、素敵です!

 

どちらも変態的な身体能力をもっているけど、教科書通りに強力にやろうとするのがレブロンで、理不尽に相手を倒しに行くのがウエストブルック。

 

試合を観ていて面白みがあるのは後者なのです。

ちなみに違いを挙げたらキリがないけど、端的に言えば

 

レブロンのFG%が高いから戦術レブロンはシュートの上手い選手を集めてオフェンス勝負

ウエストブルックのFG%が低いから戦術ウエストブルックは守れる選手を集めてディフェンス勝負

 

単にチームの構成が違うだけです。そしてどっちも時には素晴らしく強いけど、シーズン通して考えれば不安定そのもの。

 

 

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「戦術レブロン」と批判することは多くあります。だからといって「レブロンが悪い」というわけではなく、7割はHCが悪い意味で使います。しかし「戦術ウエストブルック」と批判することはたまにしかありません。たまにはあります。

 

その理由はサンダーが目指しているオフェンスの方向性にあります。それは今季を語る上では避けては通れない部分です。

 

 

HCビリー・ドノバンはフロリダ大学で連覇という偉業を成し遂げ、サンダーのHCに転身しています。フロリダ時代はよく知りませんが、優秀な選手をリクルートするチームでは「個人を活かす」事を優先することが多いです。だから優秀な選手を擁するチームが勝つとは限らない。

 

サンダーが戦術ウエストブルックではないのは、各個人の能力を活かすためにオフェンスシステムが組まれているからです。その代表格はロバーソン。なんせ活かすポイントが全くないSGという希有な存在です。

しかしウエストブルックがドライブしている中で単にコーナーで待つのではなく、ブラインドサイドのカットとオフェンスリバウンドを組み合わせ、苦しいときのパスの逃げ場として機能させています。

 

今季はSFのグラントをセンターにコンバートするという奇策も編み出しました。身体能力に優れ、特にアジリティとクイックネス、そしてウイングスパンがセンター並にあるので、パワーではなくスペースを活用させる形で機能させました。3P時代で広くスペーシングされているとパワーでポジションを取り合うのではなく、より早く反応することで対応させています。

 

 

サンダーのオフェンスセットは、それぞれの良さをどうやって組み合わせるのかを考慮されて構築されています。それをウエストブルックの突破力と視野の広さを中心にして利用しています。今季でいえば、ポール・ジョージのシュート力、カーメロのアイソレーション、無力のロバーソン、頑丈なスクリナーのアダムスみたいな。

 

だから全てがウエストブルックから始まるけど、戦術ウエストブルックではないのです。何よりウエストブルックはよく走る。味方のためにも自分のためにも走ります。

「お前が外してもオレがとってやるから、気にせず打て」ファーガソン君にそんな事をいったらしいですが、レブロン大将だと外す選手はベンチか他のチーム行きです。

 

 

さて、こんな風に書くと素晴らしく構成されているはずのサンダーのオフェンス。しかし、実際は大違い。

 

〇オフェンスレーティング 107.4(9)

9位なら悪くないようですが、110にならないとあまり意味がないです。他が強すぎるから優勝するには迫力不足。ましてやビック3にアダムスまでいるスターターは間違いなくリーグ最強クラスのメンバーなのに非常に寂しい数字です。

 

これこそがサンダーの今季の大きな悩みです。

 

 

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◉パッシングゲームが出来ないサンダー

 

昨季はウエストブルックの超人的な能力で47勝を挙げたのは本当に素晴らしい。なんせレーティングはマイナスなのに接戦を勝ちきっての貯金12でした。

 

しかし、今季は事情が異なります。リーグ有数のスターターを揃えており、いかにしてバランスアタックを実現させていくかが大きな注目点でした。アダムスとロバーソンという黒子役に徹する選手がいるのもHCの腕の見せ所です。

 

 

そんな期待も今は昔。シーズンも終盤を迎える中、サンダーがみせるのは結局昨季と同じウエストブルックの支配力勝負。

 

前編の今回は悲しきサンダーの今シーズンを振り返ります。テーマは「何故、サンダーはこうなったのか?」それは悪い意味でもあり、それでも勝ててしまう悲しさです。

 

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『ウエストブルックはパッシングゲームが出来ない』

 

そうやって批判するのはごもっとも。ウエストブルック派の管理人でさえ批判するレベルです。しかし『出来ない』が正しいかは疑問点です。現在の試合をみればその通りでも、シーズン通して試合を観てきたファンの気持ちは違うはず。

 

 

〇vsニックス

21点 FG7/12

16アシスト 10リバウンド

 

ポール・ジョージは28点、カーメロは22点。

これがサンダーの開幕ニックス戦でした。チームはスパーズ並の291本のパスを回し、そのうちウエストブルックは69本を記録します。そこにあるのはまごう事なきパッシングによるバランスアタックでした。

まだまだ荒いけど、その内容はウエストブルックを中心においた見事なバランスアタック。ファンの期待は夏の夢ではなく現実の希望に変わります。

 

 

しかし、それは次のジャズ戦から崩壊の兆しが見えてきます。

〇vsジャズ

6点 FG2/11

9アシスト 13リバウンド

 

FGアテンプトは僅かに11本、昨季の得点王が6点しかとらずに、66本のパスをまわしポール・ジョージ22点、カーメロ26点のサンダーはチームで87点しかとれずに敗戦を喫します。

 

 

音を立てて崩れていく理想のオフェンス

 

続きを読む前に考えて欲しい。あなたならどうするか?

当然何かを修正していかなければならない。

修正していった結果の現在はどうなったのか。

 

〇vsスパーズ

19点 FG7/19

5アシスト 11リバウンド

 

チームで216本、ウエストブルックは48本しかパスをせず敗れた先日のスパーズ戦。これで4位の座を明け渡しました。そこにあるのはアンチに批判されそうなウエストブルックの姿。そしてカーメロはFG6本しか打っていません。

 

一方で忘れてはいけないのは、この試合のレポートで書いた「ウエストブルックのパスをスパーズは狙っていた」という事実。果たしてパスをすべきだったのか、シュートを打つべきだったのか。

 

 

それに悩み続けたサンダーと、吹っ切っているウエストブルックというのが現在の姿なのです。

 

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◉停滞、遂行、変革、そして現在

 

 

開幕戦は間違いなくパッシングでバランスアタックを実行していたサンダー。それがどうしてこうなったのか、そこには戦術設計と結果に伴う修正が数多くありました。

 

それを振り返るために今シーズンを大きく4つにわけてみます。

・停滞期

・遂行期

・変革期

・現在

 

今回はノーデータで語りましょう。

 

 

~停滞期~

 

ポール・ジョージを獲得したサンダーは大いなる希望に満ちあふれていました。開幕直前にはカーメロ・アンソニーまで獲得してその希望は膨れあがりました。この頃のチームの狙いはこんな感じ。

 

〇ウエストブルックがパスを多く回し、ビック3がバランス良く得点する

〇ストレッチ4(カーメロ)によりスペーシングされた現代型へのシフト

〇シューターとしてのポール・ジョージに最大限得点させる

〇カーメロにはセカンドユニットでのアイソレーションも担当させる

 

非常に良く出来た設計であり管理人がシーズン前にプレビューしたとおりの内容でもありました。そのため大いに期待したのですが、今では自身の考えの浅はかさを感じずにはいられません。

 

誤算があったのはこんな部分。

×インサイドが弱体化しバランスがとれない

×ポール・ジョージとカーメロのシュートが決まらない

×カーメロが個人勝負で勝てない。そもそもコンディション悪い。

×ウエストブルックが謎のミスを連発する

 

順番に触れていきましょう。

 

アダムスが無類の強さを発揮するインサイドですが、逆に言えばPFが減ったから仕事が増えて強さが目立ちました。誤算は外に広げた2人のシュートが決まらない。決まらないならPFを減らしたのは単なる失敗です。これによりバランスを欠いた状態に突入します。

 

「ウエストブルックのパスが変態すぎるから決められない」というなら理解できるものの、個人勝負で勝てないカーメロ。「カーメロやせろ」と呟いていたら同意してくれる人がいました。コンディションが明らかに悪く、得意のフェイクで抜いても後ろから追いつかれていました。それだけならまだしも、インサイドに飛び込まずミドルが増えるのでファールももらわなければ味方も合わせられない。

 

 

それでいて肝心のウエストブルックは何もないところでコケる、誰もいないのにファンブルと謎のミスを連発します。もともとターンオーバーは多いのですが、この頃の内容は斜め上だったので呆れてしまいました。これはリズムを失う大きな要因でした。

 

 

 

これらの要因が重なり合い悪循環に陥ったサンダーでした。

11月までは8勝12敗と優勝候補に相応しくない内容に終始します。

 

 

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~遂行期~

 

そんなサンダーですが12月は12勝5敗、1月は10勝4敗と復調します。その理由はウエストブルックがパスよりもシュートを選択するようになったことです。その際にこんな趣旨の発言をしています。

 

「これまでは自分達のオフェンスをしようとしていたが、ディフェンスの狙いをみてプレーすることに変えた」

 

つまりストロングポイントを重ね合わせていたサンダーですが、それは同時に相手からも非常にわかりやすい対策が可能になっていました。パスをするであろうウエストブルックを狙っていたわけです。さらに時間を重ねるごとにペイント内得点を増やしていき、インサイドを攻め込む構図が強く出てきます。

 

この頃の主な修正事項はこんな感じ

〇ディフェンスの対応からのプレー判断を増やす

〇インサイドをガード陣が埋める

〇カーメロパターンを減らす

〇3Pを減らしインサイドを強化

 

相手の狙い通りにはプレーしないという至極一般的な内容でありつつも、ドノバンが得意とする個人の強みを全力で活かす形を緩和しました。

 

普通だよ、でもこれは今でも疑問視する部分はあります。

 

 

次に不足していたインサイドをウエストブルックが攻め込むというだけでなく、オフェンスリバウンドを増やしていきます。この辺りでロバーソンがPF化していきます。グラントもこの頃だった気がします。これは効果的でした、なんせガードとしては非常にリバウンドが強かった。アダムスのステップアップもあり、リバウンドが強いサンダーが復活します。

 

一方でカーメロを使うパターンを減らします。それは同時に3Pアテンプトも減らすことに繋がりました。「効率的なウエストブルックが打つ」のでチームは勝てるのですが、パターンが減りチームの可能性を狭めてしまいました。

 

いずれにしてもビック3になったことで、開幕当初にアウトサイド寄りになりすぎていたバランスを改善したことになります。それは「バランスを改善した」ようにみえて「パターンを限定した」といえます。

 

カーメロはSFになっているし、トランジションが悪いのでトップに近い位置になり戻りやすく、ゆっくり攻め上がってきても問題ないように改良されています。「カーメロもっと走れ」ではなく「走らないで済むように他で調整」もしました。

 

いずれにしても軌道に乗ってきたサンダー。ロケッツやウォーリアーズというトップチームも倒し、優勝争いに食い込んでくるものと思われました。しかしそんな折にロバーソンのケガというアクシデントが発生します。1月はロバーソンがいると5勝0敗、いないと5勝4敗。

 

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~変革期~

 

今季絶望となったロバーソン。ここまでに書いたとおり、ロバーソンがいなくなると再びバランスが崩れることになります。その影響はこんな感じ。

 

×ディフェンス力の低下

×オフェンスリバウンド減

×3Pアテンプト増と確率低下

 

もちろん1番苦しかったのはディフェンス力の低下です。2月には被FG48%、被3P40%と酷い数字になっています。6勝6敗でしたがむしろよく5割で済みました。

そして忘れてはいけないのが後者ふたつです。

 

「オフェンスリバウンドが減った」「3Pの確率低下」

これがロバーソン離脱の影響といわれると違和感がありそうですが、ここまでの流れをみると納得いくはずです。サンダーとしては困っていた部分をロバーソンで解決していたわけです。

 

ロバーソンの代役にファーガソンを起用する時期がありました。それはオフェンス面を強化するようでいて、そうとも限らないわけです。

 

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この時期に問題があったのはサンダーが試したことがSG選手のチョイスだったことです。

再確認したのはドノバンの発想が「良い部分を組み合わせる」に焦点を当てているということです。例えばヒューステスならばロバーソンの真似事に終始させれば少なくともオフェンスは悪化しないはずでした。逆に役割を考えればPF役のグラントは適任の気がします。

しかしヒューステスはやっぱり3Pを打つし、ファーガソンやアブリーネスなら尚更です。

 

関係ないですがカーメロはパスが上手くなりました。おそらくこの時期にファーガソンやアブリーネスと一緒だとエクストラパスを回すことにやりがいを感じ始めたからです。

 

 

この時期に上手くいったこと、ダメだったことはチームに大きな影響を与えている気がします。

〇やっぱり自分達はディフェンスで勝つチームと認識

〇アーリーヘルプを多用するのではなく、個人が踏ん張ることを優先した上でのヘルプ

〇ウエストブルックの支配力を中核に置いた戦略

〇シューターを増やしても意味はない

 

この中で最も問題なのはウエストブルック頼みの風潮が高まったことです。それはおそらく勝った試合から導かれた結論なのですが、実際にはそれで負けるリスクも高まっています。

 

ディフェンスが重要というのは、オフェンスでハイスコアの戦いの中で打ち勝つスタイルが苦手という側面もあります。これだけのメンバーが揃っているのだから、それでも良かったはず。しかしシーズン前半にシュートが決まらなかったので、打ち勝つ方法論を採用出来ませんでした。加えてウエストブルックの決定率を考えると守れないと苦しくなります。

 

 

ちょうどブレイザーズが勝ち始めたのが1月から2月にかけてでしたが、チームカラーは似ています。ディフェンスをやるから低いFG%でも勝ちきれるスタイル。あちらもリラードの支配力勝負の側面があります。

しかしディフェンスと支配力があるから他の選手が攻め始めたブレイザーズに対して、全体アタックで失敗してから支配力を使い始めたサンダーでは状況が異なりました。

 

ブリュワーの加入でディフェンス問題を解決し、勢いを取り戻し始めたのが現在ですが、実は問題を解決したようで、より一層ウエストブルック任せに変更しただけです。

 

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◉サンダーが抱える問題点

 

長くなってしまいましたが、3つの時期にわけて書いてきたのはチームの中にあるストーリーの問題が大きいからです。各チームが様々なストーリーを持っていますが、その多くは進化の歴史やケガ人問題です。それらは「現在」に内包されるので敢えて触れる必要がなかったりします。

 

しかし、サンダーの場合は「現在」だけでは語れない問題があるのです。

 

代表格は「ウエストブルックが打ち過ぎる」といわれる問題です。

「打たない方が勝率は高い」というデータがあります。ところが実際には「打たなかったら勝てなかった」というストーリーが存在します。だからストーリーを知ってもらう必要があります。

 

 

そんなストーリーの中で現在を語るのに重要なのはこんな点です。

・バランスの良いオフェンスに失敗

・カーメロのアイソレーションに失敗

・3Pの確率が上がらない

・ウエストブルックのパスが多いと読まれる

・オフェンス力で打ち勝てない

・ウエストブルックの支配力勝負が効率的

 

これらはサンダーが出した結論ともいえます。

 

『パッシング出来ないサンダー』

 

それは「出来ない」のではなく、「パッシングしたら勝てなかった」というのが正解でした。

 

 

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一方でそもそもこんな事を書かなければいけないこと自体がサンダーの問題点だともいえます。

 

パッシングに失敗した?

カーメロが個人勝負で勝てない?

オフェンスに傾倒出来ない?

 

はぁ?

出来るだろ!?

 

 

これはチーム作りで非常に難しい問題でもあります。

結果が出てなくても設計を信じるか、それとも結果から設計を修正していくべきか。

 

スパーズは頑ななまでに設計を信じるチームです。

ラプターズは大きく設計を見直し、それを信じて徹底しました。

シクサーズは設計を見直して修正を繰り返しました。

ペイサーズは結果から設計を創っていきました。

 

どれが正解とは言えないのですが、大前提としてサンダーには豪華なタレントが揃っています。そんなタレント達の特徴を考慮した結果であったはずの『停滞期』に作られた設計図は果たして間違っていたのでしょうか。

 

ウエストブルックはパス能力を中心に組み立てる

ポール・ジョージのシュートを中心にビック3がバランス良く得点する

カーメロのアイソレーションをセカンドユニットで活かす

 

正直、何一つ間違っていないように感じます。本来はもっとパッシングして、もっとシュート力に頼って、もっとオフェンス志向で良かったはず。そんなオフェンス力に個人のディフェンス力が組み合わさるのがシーズン当初にサンダーの描いた優勝への道だったはずです。

 

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再び思い出すのは開幕のニックス戦。ゲームレポートに書いたのは

 

「まだまだ全然ダメ、もっと良くなるはず」でした

 

でも今のサンダーは「全然ダメ」でもないし「もっと良くなった」わけでもありません。

全く別の設計図に書き換わってしまっています。

だからウエストブルックを否定するのではなく、チームの方向性を否定したくなるのです。

 

 

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◉ウエストブルックという理不尽生物

 

結局の所、現在のサンダーの設計はかなりダメです。普通に考えて勝てるわけがない状態です。カーメロは存在しているけど、カーメロのそっくりさんでも差し支えないです。

1回目の修正が行われた後の12月頃には現在ほど酷くはなかったのですが、ロバーソン離脱で再び負けが増えたのが良くなかった。

 

またカーメロがシューターに徹する選択をしたのは非常に勇気ある決断だった反面、それが悪い方向に出てきており、緊迫した試合ほどアテンプトが減ってきてしまいました。バランスアタックなんて海の藻屑となり、前述のスパーズ戦のような状況が発生しています。

 

カーメロは悪くないよ、傾倒しすぎたチームが悪い。

それが更にウエストブルックに傾倒するのだからタチが悪い。

 

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ここまでの内容を10秒にまとめるとこんな感じ

「パッシングゲームしよう」

→パス読まれる、シュート決まらない、リバウンドとれない

→ウエストブルックなんとかしてくれ!

 

「全員アタックだ」

→カーメロ不調、ロバーソンケガ、ウエストブルック効率的

→ウエストブルックもっとなんとかしてくれ!

 

戦術的視点で考えたら全然ダメ!全くダメ!勝てるわけない!

サンダーは紆余曲折を経て戦術的に悪化してしまった。

 

それでも勝つのがウエストブルックという理不尽生物

 

ウエストブルックの理不尽さがサンダーの恐ろしい所であり、困った所です。

だからブリュワーが加わり、守れるようになった「だけ」で勝率が上がってしまったのでした。そうやって再び問題を隠してしまいました。

 

 

シュートは下手、ターンオーバーも多い、誰よりも熱くなる。しかし試合を支配してしまう。

理不尽さの象徴だから観ていて面白い。サンダーの試合は飽きません。変だから。

 

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◉後編へ続く

 

当初はこんな内容の予定ではなかったのですが、サンダーを書くのに避けては通れないウエストブルック問題。批判する予定はなかったけど、冷静に書いていくと批判しない理由もありません。

それでいて相手からすると対策せざるを得ない問題も発生します。

 

ロケッツ、ウォーリアーズ、スパーズとウエストの上位チームはこういう問題に対策をしてくるのが非常に上手い。だから各チームは『対策への対処』をシーズン通して構築していきます。ちなみにイーストは対策が下手だからキャブスが勝っています。

 

ある意味、サンダーは『対策への対処』を放棄してしまいました。奇しくも停滞期後の言葉にそれは詰まっている気がします。相手をみていなかったサンダー。

 

自分達の良さを出すことを追い求めすぎているドノバンHC

しかし全員を活かす方向性を妥協してしまったドノバンHC

 

ドノバンが作り出すシステムは個人の良さを引き出そうとするので非常に興味深いものがあります。その一方でそれが素晴らしくても通用するわけでもありません。

毎年選手が入れ替わる大学と、選手の情報が知れ渡っているNBAの違いに負けているともいえます。

 

今シーズンの序盤に勝てなかったので「ドノバンを解雇すべき」という意見がありましたが、管理人は反対でした。やっていることは正しいからHC交代してゼロから考え直す方がリスキーだからです。しかし、現実はドノバンが悪い方向に修正してしまったので、HC交代した方がベターでした。

 

後任は誰かって?フィッツデイルに決まっているよね。全員で個人技アタックするオフェンスはパッシング出来ない中ではベターな選択肢だったと思うのです。

 

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前編だけで終わっても良いような批判っぷりではありますが、それは後編への問題提起に過ぎません。パッシングゲームを放棄しているサンダー。しかし、未だにアップセットを起こしかねない戦力を誇ります。

 

現在のサンダーでも勝ててしまうのが、このチームの怖い部分です。

同時に試合展開が全く読めない部分でもあります。

 

スパーズはカーメロが攻めてこないのを読み切ったような選手起用をして接戦をものにしました。しかし、プレーオフで本当に使ってこないのか、それは誰にもわかりません。

 

だから考えてみましょう。サンダーが勝てる方法論を。

後編に続く。

 

 

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そういえば「いつからウエストブルック好きになったかな?」と考えてみました。

 

その昔、サンダーにはエリック・メイノーというパスでゲームを作る若くて賢い控えPGがいて、「このミスばかりのバカじゃなくてメイノー使えよ!」と思っていた記憶があります。だからその頃の管理人はウエストブルックを嫌いだったわけです。デュラントとハーデンもいた頃ね。

 

ウエストブルックって大学の時は控えだったし、NBAに入ってから急速に上手くなっていて、爆発的な身体能力に騙されるけど毎年向上している選手なんです。その強靱なマインドをコービーが賞賛し始めた頃から、ウエストブルックへの見識が変わってきました。

 

ただただミスの多い強気なPGから、試合を支配してしまう強靱なメンタリティの選手に変化したときからお気に入りになった気がします。

だから昨シーズンでお気に入り確定になったのかもしれません。ソフトケーキいなくなっても強かったサンダー。

 

普通は良いプレーをして勝利するわけですが、良いも悪いも関係なく決めてしまうから理不尽さの象徴になります。

 

リーグの中で特に理不尽だと思うのは理不尽な髭、理不尽な3P、理不尽な生物の3人

ハーデンは時間と空間とマークマンを支配して得点を稼ぎます。

カリーはシュート能力で会場の空気を支配してリードを稼ぎます。

ウエストブルックは試合展開を支配して勝利を稼ぎます。

 

まぁこんな内容だからどう考えてもウエストブルックが1番安定感ないよね。

ハーデンはダントーニによって時間とスペースを与えられ、カリーはスティーブ・カーによってシューティングシステムを導入されたのに対し、ウエストブルックはドノバンに試合を支配するように求められています。

 

チーム戦術の中で理不尽さが輝くように組み込まれた2人と、理不尽さで勝つように設計されたウエストブルック。

 

理不尽すぎたウエストブルック

サンダー前編~理不尽すぎたウエストブルック~” への21件のフィードバック

  1. カーメロはシーズン通して話になりませんが、ポールジョージはオールスター前あたりはシュートが好調でしたよね。
    オールスター後は別人のようにシュートが決まりません。何故でしょう。

    1. おそらく単純に疲労でしょうね。攻守に役割が大きくなりました。1月が最もFG%高くて、最もプレータイム短いです。

      2月以降はアシストも増えているので、理不尽なウエストブルックだけでなく、ポール・ジョージにも頼っている構図ですね。

  2. 管理人さんがウエストブルックを好きな理由がよく分かりました
    データに精通してる方がある意味数字を超越してるプレイヤーが好きなところが面白いですね
    レブロンこそ最も効率的なバスケをしてるような気がしますが評価が低いところも面白い
    そんな私はデータも理不尽さもないただすクリーナーを使ってひたすら3PTを放るレジーミラーやグレンライスのような職人ピュアシューターが好きですが時代ですかね、絶滅しそうですね。コーバーには頑張ってほしい。

    1. 「理屈を超えるのは誰か」っていうのがバケモノ達の住む世界ですからね。強いチームには理屈が存在しますが、理屈と理不尽両方が揃って勝つからウォーリアーズは歴史的な王者なわけです。
      理不尽だけで勝つ生物の存在はNBAでもレアですからね。

      絶滅しそうなシューター属ですが、オールラウンダーの中にパサーのシモンズやロンゾが登場したことで、復権する可能性があります。
      ちなみにそれを観たければネッツがおススメです。あそこには現代版のシューター属が存在しています。

  3. 個人的にはデュラントが相棒だった時代といまのチームどっちが強かったのかなっていうのが気になるんですが、どうですかね?

    1. デュラント時代ですね。単純な話として、2人で交互にオフェンス担当していましたからね。あの頃の方が個人技マックスだった気がしますが、最高クラスのオフェンスマシーンが2台ありましたから。
      ディフェンダーとリバウンダー、ブロッカーなんて一芸さんだらけでしたね。

  4. レブロンとウエストブルックがやってることは似てるかもしれませんが、クオリティーが数段違いますよね。
    スコアリングの効率がウエストブルックは悪すぎます。
    またレブロンは試合の流れを考えてプレイしてる印象を受けますがウエストブルックは頭が悪すぎます。
    この前のスパーズ戦で改めて思いました。
    レブロンはたまにボール独占しすぎるときが有りますが、そういう時は大抵チーム状況が悪い時です。
    事実、今のキャブスはケガ人が復帰して、レブロンが一時期のようにボール独占せず、オフェンシブレーティングも上々です。
    今のレブロンのようなプレイスタイルはレブロンくらい能力が高くないと無理だと思います。
    レブロンはヒートで優れたオフェンスシステムに準じてプレイしてたように、チームによってプレイスタイルを調整できる選手だと思います、周りにある程度配慮できる選手だと思います。
    ウエストブルックにはそういう能力をあまり感じません。
    ボールを持ってアシストも得点もするというスタイルは似ていますが、似てる点はそれだけだと思います。
    レブロンはアシストを8以上記録してる中(ハーデン、ウォール、ウエストブルック、シモンズ、ポール、レブロン)で1番ボールポゼッション時間が短いらしいですけどそういう部分は評価されないんですかね。

    1. ウエストブルックについて書いていて、レブロンへの評価なんて何1つ書いてないのに、何故かクレームしてくるレブロンファンが必ずいるから、わざと違いを書きました。
      過去に今季のレブロンへの賞賛記事まで書いているのに、どうも神格化するかのように周りをみえてないような持ち上げ方するファンがいるから、本人のプレーは全く関係なくレブロンを嫌いになっていきます。

      1. そういうNBAファンは自分も嫌いです。
        レブロンとウエストブルックのプレースタイルがどちらもセルフィッシュで似ている、というのはちょっと違うんじゃないかと思ったのでコメントしました。

        1. レブロンがセルフィッシュかどうかは言葉の表現問題なので、アンセルフィッシュだというのは良いのですが、それを言ったらウエストブルックの方がよっぽどアンセルフィッシュですよ。

          1. 誤解させたみたいですね。
            自分はどっちもセルフィッシュでは無いと思ってますよ。
            ボールを持ってアシストも得点もするという、プレースタイルが似てるからどっちも好きであれ、というのがちょっと違うなと思ったんです。

          2. あらそうですか。それはすいません。

            個人的にオンボールのレブロンについては否定的な意見はなにもありません。純粋に凄いと思います。
            でもトータルの部分は不満が結構あります。そしてレブロン云々ではなく、ほぼティロン・ルー問題です。

            ウエストブルックへの不満はあれど、逆にオンボール以外でもプレー出来る部分の強さはかなりレアです。まぁベン・シモンズの登場で評価は変わってきましたが。

  5. デュラントは理不尽生物認定されてないんですか??w
    ちなみにオフェンスのスタートをウェストブルックと逆で始めて、うまくいかなかったらウェストブルック任せってのはダメなんでしょうかね??コービーみたいに?

    1. デュラントは難しいですね。ジャンプシュートの確率は理不尽ですけど、とはいえ理にかなったプレーを成功させるので、程よく教科書的ですよね。
      ウォーリアーズにいるので理不尽さが出てこないので、マジックに移籍して欲しいです。
      理不尽でいえば、ルー・ウイリアムスなんかは理不尽ですね。

      サンダーは多分ウエストブルックスタートを止めるだけで、かなり改善すると思います。ただ、それを任せられるタイプのPGがいないんですよね。フィッシャーいた頃は良かったのかも。

      ロケッツの成功でそんなタイプのPG並べる可能性はありますね、

      1. ルー・ウィリアムズ!!
        まさに、理不尽w

        自分はカーメロも嫌いではないので、どうにか良いシステムを、構築して噛み合ったサンダーを見たいものです。
        来期ロバーソンが怪我から戻ってきて、ジョージと再契約できたとしても、その点が解決しないと厳しそうですね。
        今だとカルデロンとかがいればいいんですかね??

        1. 多分、来年には解決すると思いますよ。ただ安定的に勝つようなタイプのチームになるかは微妙ですね。55勝くらいが現実的かも。

          カルデロンは良い選手ですけどジョージ・ヒルの方がマッチしそうです。ディフェンスの良いタイプじゃないと苦しいチームですからね。
          あと何よりセカンドユニット用のPGにならないと苦しいので、ピストンズのイシュ・スミスくらい個人突破もしてくれないと苦しいかな。

  6. ウエストブルックはミス多いし、感情的になり過ぎて嫌いでしたが、去年あたりから応援したい選手になりました。相変わらずミスするし、そこシュートじゃねぇよ!って思うことも多々ありますが、無慈悲過ぎるプレイとかも全部込みで良い酒の肴です。強さも弱さも全てさらけ出した選手は見てて面白いです。後半も楽しみにしてます。

  7. はじめまして
    いつもよませてもらってます
    凄い勉強になります
    ありがとうございます
    ラスさんはその盛大にやらかして
    最後に自分で無理矢理つじつまを合わせる感じが大好きです
    彼のことをジェットコースターゲームって勝手に呼んでます

    1. ありがとうございます。
      結構みんなやらかすイメージなんですね。
      ミスは多いけど積極的なプレーが要因なので、実はあまり気にしていません。まぁ盛大にやらかす日は手がつけられないですけど。

      ジョー・デュマースが相棒にいれば全く違う選手になるかも!

      1. 返信いただけるとは!
        おおおうれしい ロバ―ソンのとこにジョー!?
        妄想してみます

        NYのバスケットフェス行ったときにたまたまはいったフットロッカーでラスがサイン会?みたいのしててtシャツもらってサインしてもらいました
        やった!
        その頃はKDにパスしないでクラッチ決めちゃう子っていう認識でした
        はにかんでわらっててすてきな子でしたよ
        こんなすごいプレイヤーになるなんてビックリです

        1. おぉ!フラッと入ってもサインもらえるなんて!

          コート上ではいろんな事がありますが、コート外では楽しそうな若者で余計な発言をしないのが魅力的です。

          純粋にゲームを楽しんでいるのが、よくわかります!

          またコメントしてください。
          ほんの2ヶ月前まではコメントの少なさを嘆いていたブログです!

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