前回はラプターズの強さについて触れました。
今回のテーマはスパーズ。フロント含めた組織の強さという意味では似ている気がします。
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◉スパーズは強いという先入観
ラプターズについて書いているときに「ラプターズ」で検索すると、こんな意見が散見されました。
「ラプターズってスーパースターがいないのになんで強いの?」
「ラプターズが首位とかどうなっているんだ?」
ラプターズファンが怒る内容ですが、ラプターズファンじゃなくても「試合観ればわかるだろ」と言いたくなります。しかしリーグパスにでも加入していない限りは情報不足なのかもしれません。「ブログを読め」と言いたくもなりますが、読んでも理解はされなそうだし。
さて、同じ理論ならばスパーズってこんな感想があっても良いはずです。
「スパーズってスーパースターがいないのに何で強いの?」
でもそんなことは言われないですよね。ラウリー&デローザン2人とオルドリッジ1人で比較したらラプターズの方が超強豪なのに。
「スパーズがプレーオフ危ないとかどうなっているんだ?」
こんな事も言われますが、試合を観ている人からするとむしろ内容の割に勝ちすぎなのがスパーズです。それはおそらくファンの人でさえもそう捉えていそう。
つまりそこにあるのは『スパーズは強い』という先入観。それはおそらく選手達も意識しているでしょう。得しているよねスパーズ。
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スパーズを語るにあたっては、まずは先入観を取り払っていただく必要があります。
強さの一番上に出てくるのはポポビッチの存在です。「ポポビッチがいるから強い」で終わるとブログの意味はなくなります。史上最高のHCと言われても否定はしませんが、先入観はダメだよ。
ダンカン、ジノビリ、パーカー、レナード、オルドリッジを擁していながら優勝できなかったのがスパーズ
リーグ史上に残るシーズン成績だったのに、エースのレナードをパチュリアに潰されただけで4連敗したのがスパーズ
ダントーニに対してフィジカルなディフェンスでエースをケガさせることで勝ったのもスパーズ
さぁどうだ?
ポポビッチだって万能でも何でもないよ。選手に恵まれていただけさ。
そんな選手を探してきて育てているフロント組織含めて強いのはラプターズと同じ。
まぁ別にポポビッチを貶めたいわけではありません。
単に先入観は消そうね、って話です。
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◉スパーズは弱い
今季のゲームレポートでは何度も書いてきたのが「こんなに勝てるチームではない」ということです。ただし、レナードが戻ってきた数試合は非常に強かった。
そしてオルドリッジも離脱すると連敗街道まっしぐらとなりましたが、このときは信じられないくらい弱かった。戻ってきたらV字回復したのも驚異でしたが。
スパーズは弱い
まずはその前提から入っていきます。
オールスターのオルドリッジを除き、スパーズのメンバーは他のチームではスターターにはなれないレベルの選手ばかりになっています。今季特に目立つのはベテランの衰えです。
〇ダニー・グリーン
26分 8.8点 FG39.6%
〇パウ・ガソル
24分 10.5点 FG46.1%
〇パティー・ミルズ
25分 9.7点 FG41.5%
グリーンは昨季もこんなものだったかもしれませんが、チーム全体として昨季から下降しています。ただ既に数年前から衰えてきていたパーカーは現状維持、ジノビリは変態度を増しているので割と貢献しています。いずれにしても強さを支えていたはずの中心メンバー達が個人能力を失ってきています。
この影響はチーム単位でみると明確に現れています。
〇昨季からの変化
FG 46.9%(7)→45.8%(16)
3P 39.1%(1)→35.3%(25)
EFG52.4%(10)→50.8%(25)
※EFGは3Pの価値を1.5倍にして「全て2Pに換算した場合」のFG%
確かにレナードの不在は大きいのですが、レナードがいないだけでリーグ下位半分に属するというのは乖離しすぎだし、3Pに至ってはリーグ最高から最下層レベルに急降下しました。
『スパーズのボールムーブは美しい』
組織力やチーム戦術のすばらしさで語られる用語ではありますが、現実と比較すると決まらないシュートのためのボールムーブということになります。それって回しているだけ状態なのか?
ボールムーブ云々は置いておき、現状のスパーズは
『不足しているタレント力をチーム力で補っている』
そんな表現が相応しいチームでもありません。残念ながらリーグ下位レベルのシュート成功率のチームになっています。
ちなみにEFG51%で25位ですが、周囲にいるのはどんなチームなのか
21位ホークス
22位ネッツ
23位ニックス
24位ピストンズ
25位スパーズ
26位ホーネッツ
27位キングス
28位ブルズ
29位グリズリーズ
30位サンズ
ご覧のとおり、スパーズ以外には勝率5割に満たないチームしかいません。もっといえば勝率5割未満の全チームが16位以下にいます。
スパーズは弱い
あまり理解されないこの言葉ですが、現実としてあまりにも苦しいスパーズなのです。
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◉ディフェンスのスパーズ
スパーズの弱さを挙げればキリがないですが、しかしそれでも勝っているということが最も重要です。スパーズが弱い前提の上で勝てるスパーズという構図こそが今回のテーマです。まず勝つために何よりも重要なのがディフェンス力です。
〇レーティング
オフェンス 105.4(17)
ディフェンス 102.1(3)
これを負けゲームだけにしてみるとちょっと面白いデータになります。
〇負けゲームでのレーティング
オフェンス 98.3(27)
ディフェンス 108.4(1)
負けゲームだけに絞るとディフェンス面では首位となっています。他のチームよりも崩れ難いといえます。ここで重要なのはそのディフェンスの良さが勝てる可能性を押し上げているということです。
「ディフェンスの良さが安定を生む」のではなく、「安定したディフェンス力が勝機を生む」わけです。そこには出来るだけリスクを減らしていくような戦い方があります。
一方でオフェンス力は勝ち負けの反動が大きいと言えます。これはタレント力不足もあり他のチームと比較してもオフェンス力が不安定だからです。オルドリッジ離脱の連敗中に全く稼げなかった面も大きいです。
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そんなディフェンスの特徴をみていきます。レナードがいない今、個人で目立ったディフェンダーはいなくなりました。昨季には「レナードがいない方がディフェンスが良い」なんて衝撃的なデータがあり、実際に逆アイソレーションで「レナードにマークされたバトラーがコーナーに突っ立って何もしない」なんて新戦術を生み出したブルズなんて事もありました。
しかし、結果としてレナードがいてもいなくてもディフェンスは良いわけです。その理由は個人のディフェンス力に依存しないチームディフェンスということになりますが、そこにあるのは意外とベーシックな要因だったりします。
〇ディフェンス平均移動速度 4.09(2)
スパーズのディフェンスの特徴は単純に走ることです。ベテランが多く揃っている中で意外ですが、とにかく機動力負けしません。そのためのローテーション徹底という側面も大きいでしょう。オルドリッジ以外は20~25分くらいのプレータイムが通常になっています。
〇セカンドチャンスでの得点 13.2(10)
それでいてオフェンスリバウンドを諦めるわけでもありません。ちなみにシュートを外す事が多いから昨季よりも少しだけ増えました。
オフェンスリバウンドを重要視しない代わりにトランジションディフェンスを徹底するチームはありますが、両方を重視するからとにかく走らせています。
同じような事をしているのがペイサーズ。走れる選手を集めてチーム改革したペイサーズですが、走れる選手を集めたわけではないけど徹底させているスパーズです。
この流れは試合中の采配でも頻繁に現れます。相手のマッチアップに合わせてスモールラインナップもビックラインナップも使ってくるポポビッチ。
「相手に合わせて」
というのは重要です。というのもスモールラインナップにするメリットがスパーズには殆どありません。シューターいれたければバータンズ使えば済むわけですし。自分たちのデメリットを消すために取り入れています。
「走る」と「相手に合わせる」という意外とベーシックな方法論を用いて不利になる状況を避けているのがスパーズのディフェンスです。
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〇被3Pアテンプト 26.5(5)
〇被3P% 34.7%(5)
アテンプト数、確率双方を抑えています。実は両方を兼ね備えているのはスパーズくらいです。これは守り方として「打たれない代わりにプレッシャーを強める」事をするとドライブ&キックアウトが増えるので打たれた際に決まりやすくなり、その代わりに「打たれる代わりにフリーにはしない」方法論をとるチームもあります。ペイサーズは後者。
スパーズのディフェンスもヘルプの早さが特徴なので、その意味ではキックアウトのリスクは伴います。
〇被ワイドオープンアテンプト 13.8(9)
実際にワイドオープンで打たれることはそれなりにあります。でもその確率が悪いのは、相手の選手で「最悪打たれても良い選手」を定めている傾向があるからです。割とやっていることはベーシック。
ちなみにロードよりホームの方が3Pを高確率で決められています。リングに何かを仕込んでいるわけではなさそうです。
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問題はこのディフェンスがどこまで通じるのかです。相手が弱いと失点を減らせますが、強くなるとオフェンスで対抗できないと苦しいというのが近年の主流です。
〇対戦成績と平均失点
ロケッツ 0勝3敗 111.7
ウォーリアーズ 1勝3敗 104.8
ブレイザーズ 1勝1敗 101.0
サンダー 1勝2敗 98.3
ペリカンズ 1勝2敗 107.0
ウルブス 2勝1敗 99.3
ジャズ 1勝3敗 110.3
見てのとおりウルブス以外には負け越しています。そしてスパーズと同じくディフェンス主体のブレイザーズ、サンダー以外には失点が多い傾向です。ちなみにブレイザーズとサンダーも勝率の割にEFG%が非常に悪いチームだったりします。
つまりは一定のオフェンス力のあるチームに対しては有効とは言いがたいディフェンス力です。もちろん相手の平均得点よりは抑えています。相手が強くなってくるとディフェンスが機能した上で、相手のシュートが調子悪くないと勝機を見いだしにくいスパーズです。
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〇スパーズの得点別成績
94点以下 3勝18敗
95点以上104点以下 15勝3敗
105点以上 25勝11敗
得点がとれなくて負けるケースは非常に多くあります。ここが弱いと表現する理由でもあります。
それは自分たちが95点以上とれれば勝てる体制を整えているともいえます。それは高速化の現代ではそんなに苦しいことではありません。94点以下が21試合あるのがおかしいくらい。
一方で105点以上での負け数も多いのが目立ちます。つまり自分たちが得点を取れたとしても高速化でハイスコアゲームは苦手ということ。勝ちパターンは100点前後の得点になるディフェンスゲームとなります。
1番印象的だったのはペリカンズ戦。ペリカンズのオフェンス力を上回る効率性をみせて、常にリードを奪う展開だったものの、終盤になり足がついていかなくなりミスから自滅しました。接戦で勝ちきる能力がある点も含めて、とにかくペースを落として自分たちのディフェンス、つまり走り負けないことが求められます。
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◉オルドリッジという唯一の武器
タレント力が不足しているスパーズですが、勝利を掴むためにベーシックな部分で相手に負けない事を徹底しています。そしてロースコアに持ち込むのが1番の勝ちパターンです。
『負けない戦術』がスパーズの真骨頂
この発想は現代型のバスケとは方向性が違います。
年々増えている「3P」ですが、多く打てば勝率が高くなるわけではありません。3Pを戦術に大きく組み込めば試合によって当たり外れが出てきてしまいます。それでも活用するのは『勝つため』の戦術が採用されるからです。外れて負ければ仕方ないくらいの感覚。
もう1つ「スモールラインナップ」も近年の流行ですが、その狙いは3Pと共にミスマッチを誘発して走ったり、高さが活きない展開にして勝つ可能性を高めるためです。それはリスクを恐れず仕掛けているわけです。
変化を恐れない事がポポビッチの良さですが、だからといって最新型にするわけでなく、一部を取り入れていくのが基本ラインです。その中で行われているのは主として自分達が不利にならないための改革です。実際に機動力にも3Pにも対抗出来るディフェンス力を構築していますが、だからといって自分達が機動力勝負を挑むことはしていません。
だから負けない戦術こそがスパーズでは重要なのです。
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そんな中で唯一の武器がオルドリッジです。最近の試合では特に獅子奮迅の大活躍で、1人でディフェンスを攻略する役割を担います。オフェンスセットの中ではダンカンのような役回りが主ではありましたが、オルドリッジならではにした今季は大活躍しています。
そんなオルドリッジのスタッツを勝ち試合と負け試合にわけてみます。
〇オルドリッジの得点とFGアテンプト
勝ち試合 25.0点 18.6本
負け試合 20.2点 16.8本
わかりやすく差がありますが、これ自体はよくある話です。相手からするとエースを止めれば勝てるパターン。ただエースだと負け試合の方がアテンプトが多くなりがちです。負けているからこそエースに託す。
しかし、スパーズは殆どそれをしません。全体として『負けない戦術』を実行する中で、『勝てるときにエースに託す』のも1つのパターンです。
〇スパーズの得点
勝ち試合 106.5(26)
負け試合 96.6(28)
勝っても負けても得点はとれていないスパーズですが、この点差の半分をオルドリッジが占めている計算です。もちろんオルドリッジを抑えられてしまうと勝てないのですが、それ以前にプレータイムも3分近く短くなり、シュートを打ちもしないわけですから、勝てるときに使う武器がオルドリッジという構図にみえてきます。
〇オルドリッジの得失点差
1Q 0.7
2Q 1.1
3Q 1.0
4Q 1.3
スパーズの合計は+3.1なのですが、オルドリッジが出ている時間は完璧にプラスになっています。ここも重要で爆発的な活躍で勝利をもたらすわけではなく、オルドリッジがいることで全体を優位にしているに過ぎません。
負けない戦術のスパーズはオルドリッジを使って優位性を作っていき、勝ちパターンにはめ込んでいきます。
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そもそもオルドリッジはPFとして高精度のミドルシュートを得意技にしています。サイズがあって機動力もあるからスモールラインナップに適した人材です。ややリバウンドとパワープレーに難あり。
今季の内容では相手が大きなセンターだと積極的にミドルレンジから仕掛け、小さくなるとパワープレーを駆使するようになりました。スモールラインナップはミスマッチを誘発するわけですが、オルドリッジは1人でミスマッチを作り上げる事が出来ます。
これはオルドリッジ対策を難しくしています。相手からするとそんなときはスモールラインナップを活用する『勝つための戦術』でオフェンス勝負を挑めば良いのですが、細かいフットワークが得意ではないものの高さがあるのでアウトサイドも割と守れるのがオルドリッジです。
ディフェンスで不利な状況を作らせず、オフェンスでミスマッチを誘発する。
「負けない戦術を採用する中でオルドリッジで勝つ」というのは、単にオルドリッジが活躍して相手を上回るというのではなく、そのプレースタイルが相手に難しい選択を強いらせる事に繋がり、チーム全体が優位にオフェンスを展開できるということです。
ゲームコントロールやジノビリのクラッチ力などスパーズが勝つために使う要素はいくつもあります。
しかし弱いと評したチームを1人で強いチームに持って行く個人能力と特殊性がオルドリッジには備わっています。スパーズはオルドリッジで勝ちに行きます。
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◉停滞するオフェンス
冒頭に書いたとおり、スパーズで問題があるのはオフェンスです。
オルドリッジで勝ちに行くと言っても、それは他の選手で勝ちに行けないからでもあります。未だに重要なシュートを決めているジノビリは除く。
鮮やかなボールムーブでイージーシュートを生み出す
それがスパーズのイメージとして定着していますが、実際にはオルドリッジのミドルレンジや前述のセカンドチャンスで得点をとっており、イメージほど鮮やかではありません。
しかし、昨季までは3Pが1位だったように確実にイメージ通りでした。まずはボールムーブに変化があったのか確認してみましょう。
〇昨季との比較
パス数 316(6)→314(9)
アシスト数 23.9(7)→22.9(15)
オープンシュート数 18.8(11)→18.4(14)
アシスト数は落ちていますが、フリーになって打つシュート数はさほど変化していません。レナードがいない分の差異といったレベルです。ただ、この中身を分解すると少し変化があります。
〇ワイドオープンシュート
2P 6.6本44% → 5.1本44%
3P 12.2本42% → 13.3本38%
以前よりも3Pが増えたことになります。得点効率的には今季の方が上回っていますが、ボールムーブからのシュートが決まらないイメージは高くなった気がします。そして昨季の2P6.6本はリーグで最も多い本数でした。ドライブに対する合わせのプレーが減って、外で3Pを待つことが増えた印象です。
昨季と同じようにパスを回す文化は継続していますが、鮮やかに連動して合わせていく形は減少しました。
〇シュート内訳とEFG%
キャッチ&シュート 27.4本 55.8% →25.2本 51.2%
プルアップ 21.6本 44.1% →22.3本 43.0%
そして結局の所、スパーズの何が苦しいかというとボールムーブの部分は変わらず、単純にフィニッシュが決まらなくなりました。どの数字をみても満遍なく少しずつ落ちています。それが冒頭の全体的な衰えという傾向に繋がっています。
レナードがいなくなったのでオフェンスが回らないというのは致し方ないです。しかし、従来通りの内容に近いにも関わらずフィニッシュ精度が落ちているのは非常に苦しい。
スパーズは昨季通りのオフェンスをしているが、シュートが決まらない。
こんなブログを書いているようにビックネームを集めてきても強いチームは出来ません。選手の相性や時代との兼ね合いも含めて、チーム戦術で個人能力を機能させていくことで強いチームが出来てきます。
逆に言えばチーム戦術で補うというのには限界があります。その限界にきていると感じさせてしまうことが「スパーズは弱い」と評価してしまう要因です。
個人能力を機能させて勝っているのがラプターズなら、個人能力を機能させているけど勝ちきれないのがスパーズです。
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ちなみにレナードがいた9試合210分は非常に強いと感じたのですが、これもまた面白いデータがあります。この210分でチームがあげた得点は429点です。
つまり48分で換算すると僅か98点。レナードがいた時間の方が得点していないわけです。
その代わりディフェンスは大きく向上し、より強力になっています。
サンプルが非常に少ないので、この数字はほぼ偶然と捉えて良い数字です。それでも「レナードがいるときは強かった」と感じるくらいなので、スパーズの強さはやっぱりディフェンスにあるし、オフェンス面はレナード関係なく苦しくなってきています。
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◉プレーオフを考える
ディフェンス面の強さはあるけれど、オフェンスはシュートが決まらないスパーズです。プレーオフを考えた時に、ここまでに述べた内容で考慮すべきポイントはこんな感じ。
・ウルブス以外には負け越している
・ハイスコアゲームは苦手
・105点以内の勝負に持ち込みたい
・相手のマッチアップに柔軟に対応できる
・オルドリッジ頼みのオフェンス
そう考えると各チームとの相性はこんな感じかな。
・相手がウルブスなら最高だけど、まずなさそう
・ロケッツは絶対に避けたい
・ブレイザーズとサンダーはハイスコアを避けられるから悪くない
・ジャズとペリカンズはハイスコアで圧倒される可能性がある
この中でジャズとペリカンズは少し特殊で、ジャズ戦はオルドリッジvsゴベールを制したことで相手のストロングポイントを潰すことになりました。それはペリカンズ戦も同様でアンソニー・デイビスを上回ったオルドリッジでした。特にペリカンズには走られ続けると負けるのですが、アンソニー・デイビスを疲弊させてしまう事で勝機も見出せています。
ジャズもなくなってきた雰囲気なので、ペリカンズが希望になりそうです。
ちなみにブレイザーズとサンダーは逆にオルドリッジで優位性を狙いにくいのが悩みです。
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しかし、相性とか内容とか度外視して圧倒的に観たいのはウォーリアーズとの対戦です。ハッキリ言って非常に相性が悪い。オルドリッジは大活躍するかもしれませんが、それでもハイスコア勝負に持ち込まれたら終わってしまいます。
それでいてディフェンス勝負になっても、最後にはアウトサイドシュートの確率で劣る可能性が非常に高い。
3/8の対戦でもオルドリッジの30点で終始リードしていたのに、最後にデュラントの驚異的なシュート能力に押し切られてしまいました。
それでもウォーリアーズと対戦して欲しいのは昨季のリベンジという1点です。
パチュリアによりレナードを失い4連敗しただけでなく、今シーズンにまで大きな影響を与えられました。魅力あるリーグの本質を損なわれたので、スパーズファンじゃなくても腹の立つ出来事でした。
今季のウォーリアーズの問題点はベンチの弱さ
スパーズにいるのはパーカー&ジノビリというロートルなんだけど活躍してしまうコンビです。基本的に若手パワーが好きな管理人ですが、時にはそんなベテランの逆襲という筋書きも面白い。
レナードが復帰するかどうかは不明ですが、復帰したレナードがウォーリアーズに昨季のリベンジを果たすシナリオはドラマティックです。
今季も危険なプレーを繰り返すパチュリアを叩きのめして欲しいです。それは理屈じゃないんだ!
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◉来季を考える
一足早いですが少し来季のことを考えてみます。
今季のスパーズはレナードの事を考慮しても問題がたくさんありました。タレント力が足りないチームは来季もガソル、ミルズ、そしておそらくグリーンの高いサラリー組が残ります。それは大物FAが難しくなることを意味します。
一方でパーカーの契約は切れます。再契約したとしても大型にはならないでしょうから、補強のためのキャップスペースは残ります。
レナードが戻ってくると仮定して、ルディ・ゲイの活躍も期待できます。今季はイマイチなようでいて、時間当たりの得点力は殆ど変わっていません。チームとしても個人としてもフィットしきれていないだけです。
そこにはレナードがいるかいないかの差も大きくなります。おそらく2人が並ぶのが1番強い形になりそうなのですが、インサイド不足のチーム事情から1人だと偽センター役になっています。
「負けない戦術」という中にはベストメンバーをスターターに持ってこず、試合を通じて平均的に戦えるユニットを作っている面にも現れています。オルドリッジ、レナード、ゲイがフロントコートに並ぶと攻守に高さ、強さ、アウトサイド、インサイドと様々なメリットが生まれます。
今は試合全体を均一化するためにオルドリッジの代役になっているゲイですが、人数が増えればユニットの組み方も変化する気がしています。
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今季はケガの影響もありマレーとカイル・アンダーソンをシーズン通して活用することになりました。
2人もまた「負けない戦術」みたいなプレーをしています。シュート力は高くないけど、堅実な選択を学び、そして腕の長さを活かしたディフェンス面を鍛えられてきたマレー。そして必要なときに必要なプレーを淡々とするだけのカイル・アンダーソン。相手の弱いところをついていきます。
共に明確に何かをもたらすのではなく、チームの足りない部分を補う活躍をしてきました。シーズン通して長くプレーしてきたことで最近ではベテラン陣を上回り始めています。スターというには頼りないけど、チームを理解し機能させるプレーヤーになっています。
現状で足りないのはシューターかPFタイプの万能型です。そっくりそのままバータンズなのですが能力不足。ケンバを連れてきてマレーとツーガードにするような選択肢も含めて、限りある予算の中で的確な補強が出来れば十分にステップアップ出来そうです。
苦しいシーズンではあるけれど若手の成長とオルドリッジ中心のチームにスタイルチェンジ出来たので、長い目で見れば悪いことばかりではなかった気がします。
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スパーズは弱い
印象だけでなく言語化するのが今回の趣旨でもありました。その結論は負けない戦術に辿り着きます。
ゲームレポートにもしたサンダー戦では明確にこの現象が発生しました。オルドリッジだけが優位性を生み出し、あとはサンダー対策のみのようなスパーズ
そしてその試合ではお互いのスティールが目立つのですが、4Qで得点が取れなかったスパーズはそれでもディフェンスからのアーリーオフェンスで得点する事でなんとかしました。
ポポビッチはターンオーバーを嫌います。しかし単に嫌うのではなく、ターンオーバーから得点を生み出す事に勝機を見出しているともいえます。
スパーズは負けない戦術を徹底する事で、勝機を作る能力に秀でた選手を育成してもいます。
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スパーズを語るのはなかなか難しいです。
印象がかなり固定化されているチームなので、今季の要素がどこにあるのかはプレーオフで相手との差になって生み出されやすい面があります。それでいてレナードの存在は気になる部分です。
オーナー夫妻の離婚なんかもありましたが、ポポビッチが勇退する可能性も含めてフロント全体が少しリフレッシュしないといけないのかもしれません。
弱いチームは極端な戦術を採用してみたり、新しい選手を積極的に試してみることが出来ます。
スパーズは戦術面で自信があるからか、戦術はそんなに変化しないけど新しい選手を試すのは好きですよね。今季もマレー、カイル・アンダーソンだけでなく、様々な若手が出てきました。しかしプレーオフ争いが佳境を迎える中で起用される場面は限られています。
だからそんな面でも苦しくなっている気もします。それとも十分に仕込めていて開花の時を待っている状態なのか。
プレーオフの準備が整っているのかさえ不明なスパーズ
それはそれで何だか新しくて興味深かったりもします。
果たしてレナードによるリベンジ劇は生まれるのか?
いやあ、ありがとうございました、ありがとうございました
あなたの見立てですら実は評価しすぎなのではないかとすら思いますよ
見ててこんなにDFいいとは思えませんもの
でも単純に、ガード陣の3さえまともに入るだけですごく楽になるんですよね
ゲイ様はたぶん、このざまでは残っていただけないんじゃないでしょうかね
来期はカイルとベルタンスとフォーブスがQOFAで、前2人残して動けないでしょう
ドラフトでビッグマンとって頑張ってどこからからシューターを引っ張るしかありません
今年ビッグマンとるという予想だったしそれでもいいとおもったんですが
ジョーダンベルを金銭で売られたときにクラスタで悲鳴があがった覚えがあります
スパーズを観るとディフェンスって何か考えさせられますよね。個人は良くないけどチームでは守れています。1人に破壊されやすいラプターズは見習うべきかもしれません。
ゲイは他のチームからどれくらい人気があるかですよね。便利だけどそこまで求められはしなそうです。
そして昨年はシモンズを残さなかったスパーズなので、サラリーが高くなるならQOFAは引き留めないと思います。ルーキーで良いじゃんとなりそう。
ちなみに渡邊雄太にもチャンスがある気がします。サイズがあってディフェンスの良いシューター。SG起用ならメリットありそうですし。そんな選手を探して来るのは得意なチームですし。
グリーンとミルズの3Pが良くなるだけでだいぶ楽にはなると思うんですけどねぇ、シーズン序盤のグリーンの絶好調さは今となっては一体なんだったのか…
今シーズンの戦い方はレナード抜きで戦っていくためのものなのか、それともレナードが復帰した時に完成するものなのか。
後者なのじゃないかなぁと考えてしまうぐらいには私はスパーズ、そしてポポビッチがすごいというイメージにドップリなのだなぁとこの記事を読んで気づかされました
3Pが決まらない、レナードがいない、普通ならそれなりに対応策を取るものなのですが、長きに渡る実績と信頼があるのでポポビッチは変えないですよね。だからいてもいなくても同じなんですよ。
それが可能なのは勝つよりも負けない方法論だからという結論です。
ミルズの3Pが決まるならば勝てるようになるのが、今日の試合でもありましたね。
スパーズの強さは過大評価で実は弱いんじゃないか?って思うのは誰もが通る道ですね。それでも結果を出されれば認めざる得ないのがサンアトニオ