シクサーズ〜賢者とギャンブラー〜

プレーオフが迫る中で注目度が上がっているらしいシクサーズ

イーストではラプターズ、セルティックスが抜け出ていて、その次にくるグループにつけています。

いうまでもなくエンビートとシモンズのチームですが、何せ長く低迷していたチームなのでプレーオフに向けてどうなるかよくわからないものがあります。

今一度、そのチームを確認してみましょう。




◉3Pという武器?

 

躍進するシクサーズの月別成績です。

10月 3勝4敗
11月 9勝5敗
12月 5勝10敗
1月 7勝5敗
2月 8勝3敗
3月 6勝3敗

12月を除けば安定しているチームです。若い勢いで勝っているのではなく、意外と安定したシーズンを過ごしています。
次にレーティングでみてみます。

 

◯レーティング オフェンス/ディフェンス
10月 100.7/105.4
11月 105.9/102.4
12月 104.0/104.2
1月 109.3/102.8
2月 106.0/100.3
3月 112.9/105.7

時間を追うごとにディフェンスのチームという色を強くしました。スターターこそ変化しないものの、シーズン当初はベイレスやカバローというシューターがベンチから起用されていましたが、次第に出番が失われていきました。

 

◯月別3P
10月 38.1%
11月 35.4%
12月 34.4%
1月 37.2%
2月 36.6%
3月 40.4%

トータル36.5%は13位です。
10月以外はオフェンス力とリンクするような形です。リーグ中位でそれなりの勝率を残せているので、この確率が高まれば怖い存在になりそうです。



次にその3Pを個人別にみてみます。

◯3P
コビントン 36.6%
レディック 41.1%
サリッチ 39.6%
ベイレス 37.0%
カバロー 33.5%

シューター達の成績はなかなか面白いです。ベイレスは言うほど悪くなく、コビントンは信用出来るほど良くありません。しかし、彼らの信用度は真逆です。この辺りは数字だけ追っていても見え難い部分ですが、起用するHCの問題でもあります。

 

救ってくれたのはサリッチでした。昨季は31%で今季もイマイチなスタートでしたが、徐々に確率を上げていき、2月以降は40%を上回ります。

いろいろな迷いもあってベンチスタートもあったサリッチですが、この確率で決められるならばリーグ最高クラスのストレッチ4です。

 

◯エンビート 31.1%
勝ち試合 1.0/2.9 33%
負け試合 1.2/4.1 29%

簡単にいえば「打つな!」って事です。アウトサイドの上手いイメージがあるかもしれませんが、確率も悪ければ打つほどに勝率が下がります。

オフェンス力と3Pの関係性が高いチームであれば、必要な選手が打つのは大切です。



◉リバウンドをとるのか、3Pを決めるのか

 

カバローやベイレスの起用を辞めてから、そんな3Pが外れた時にオフェンスリバウンドを拾ってくれる選手を重用するようになりました。ディフェンス重視と合わせて方向転換をしたブラウンHCです。

オフェンスリバウンドをよくとる3人がいます。わかりやすくするために36分換算にします。

 

◯オフェンスリバウンド
アミール・ジョンソン 4.0
トレバー・ブッカー 3.4
リチャード・ホルムズ 2.9

エンビート 2.6
サリッチ 2.5
シモンズ 1.8

エンビートやサリッチもわりと強いですが、仕事がわかりやすい3人はなお強力です。ちなみに2試合しか出なかったオカフォーは5.7本とっています。

 

彼らを使って勝率を上げたわけですが、プレーオフに向けてベリネリとイリャソバというシューター系を補強しました。リバウンドもとるイリャソバはともかく、ここにきてベリネリへの移行はかなり怪しい部分もあります。1人ならば良かったのですが、2人も加えてしまうとチームバランスが変わりました。

 

◯3Pとオフェンスリバウンド
ベリネリ 32.0% 0.3本
イリャソバ 40.0% 1.2本

ここまでのところ、スターターの3人、そしてマッコネルを差し置いて起用する意味はありません。レディックがケガをした時の保健に過ぎない気がするベリネリですが、重用されているので?マークが浮かびます。

 



「シューターのチームは勝てない」

それがプレーオフの定説でした。覆したのはウォーリアーズですが、シクサーズは難しい立ち位置だったりします。

中心選手はシューターではないけど、シューターを活かすのが仕事のシモンズがいるわけです。3P次第で大きく動く印象のあるシクサーズなので、ここにきてシューター側にチームが傾いているのは気になります。

 

『レディック、コビントン、ベリネリ、イリャソバのシューター達は働くのか?』

それがプレーオフのカギになりそうです。

 

しかし、もう1つの持ち味のディフェンスはプレーオフを勝ち抜くために必要とされる能力です。割と微妙に思えるのですが、何だか安定して守れているシクサーズ。



◉ディフェンスとエンビート

 

◯ディフェンスレーティング 103.1(5)
◯失点 105.6(14)

シクサーズはディフェンスのチームですが、失点の多いチームです。ペースが早いためこうなります。このパターンはウォーリアーズのみですが、あっちはオフェンスも強いのでシクサーズは少し変わったチームです。

 

◯被FG43.1%(2)
◯被3P34.3%(2)

ディフェンスは単純にシュートを決めさせない能力が高いです。リーグ最高クラスのディフェンス能力がありますが、その割には守れていません。

 

◯被FT数 25.7(29)

その理由は決められない代わりにフリースローを与えているからです。決定機をファールで止めるから失点の割に被FG%は良くなります。この守り方はかつてグリズリーズもやっていました。今は守れない上にフリースローを与えているグリズリーズです。



ディフェンスの中心は言うまでもなくエンビートです。

◯エンビートのオン/オフ レーティング
オフェンス 110.0/101.4
ディフェンス 100.2/106.3

攻守ともにエンビートの存在感は群を抜いています。特にディフェンス面での貢献が大きくディフェンシブプレーヤーオブザイヤー候補です。サイズも機動力もあるエンビートがいれば、インサイドで相手を止めることが出来ます。

面白いのはエンビートがいると何故ディフェンスが良くなるのかという視点です。もちろん相手のFG%は落ちるのですが、フリースローも減ります。ファールをしなくても止められるケースが増えるわけです。でもエンビートもファールは多い。

 

さて、エンビートが素晴らしいのは良いのですが、意味がわからないのはエンビートの代役がアミール・ジョンソンだという事。良い選手ですが1人でセンターをやらせるタイプの選手ではありません。ホルムズも然り。

バックスはゼラーを補強しましたが、ゼラークラスのセンターがバックアップにいれば、エンビートが圧倒的にはならなかったのではないか?という疑問です。

 

エンビートは素晴らしいディフェンダーだけど、チームとしてはエンビートがいなければディフェンスにならない、という状況がおかしいという事です。



◉2人のゲームメイカーと3人のプレーメイカー

 

シクサーズには優秀な2人のゲームメイカーがいます。1人は言うまでもなくベン・シモンズ。もう1人はTJマッコネル。

◯パス数
シモンズ 75.5
マッコネル 49.5

◯アシスト数
シモンズ 7.6
マッコネル 4.2

シモンズのパス本数はリーグ1位。ルーキーですがリーグで最高のパッシングプレーヤーです。そんなシモンズにリーグ最高の座を奪われた昨季パス数1位はマッコネル。

つまりシクサーズにはリーグで最もパスでゲームメイクする選手が2人います。

 

もちろんこれはブラウンHCの目指す戦術的な側面が大きいわけですが、パスだけで組み立てられるPGを2人揃えるのはレアです。シモンズにキャブスのPGをやれといえば出来るでしょうが、レブロンにシクサーズのPGはムリです。

マッコネルはドラフト外入団ですがブラウンでなければ生き残れなかったでしょう。生き残ったからこそ課題だったシュート力で劇的な成長をみせています。

 

昨年は多くの指名権を放出してフルツを指名したシクサーズですが、フルツがこのタイプだとは思えないのでブラウン体制では失敗の匂いがします。それはフルツの活躍や才能ではなくタイプの問題です。

まぁHC次第です。



2人のパスマスターとエンビートの3人がシクサーズのプレーメイカーです。ちなみにこのブログでは「ゲームメイカー」と「プレーメイカー」を分けて使っています。脱線ですがこんな使い分けです。

 

例えばシクサーズはエンビートのポストにボールをいれて、ポストアタックやパスアウトからの3P、シモンズのカットプレーを使います。

この時、全体をコーディネートしてスクリーンやミスマッチを発生させて「エンビートのポストを使おう」と判断するのはゲームメイカーの仕事です。時間と状況を判断して適切なプレーを探す。

「コート上のHC」なんて言う人もいますが、それならばHCのプレーコールで良いわけなので、重要視しないHCもいます。シクサーズはパッシングするので、ゲームメイカーは重要です。

 

一方でポストでボールをもらったエンビートにはプレーの選択権があります。自分で勝負するのか、パスするのか、どのタイミングで実行するのか。

そしてその選択が実際に得点を取れるかの最も重要な判断になります。だから『プレーメイカー』として判断するわけです。パスも上手いエンビートは疑う事なきプレーメイカーです。

 

「プレーメイカーだけどゲームメイカーではない」そんなPGを分かりやすくするために使い分けています。代表例はアイザイア・トーマス。パスも出来るし、ドライブもシュートも出来るけど「ガンガン行こうぜ!」しか持っていない選手です。ゲームメイクは出来ない。

誰をプレーメイカーとするかは管理人の気分次第ですが、例えば昨季までのデローザンはプレーメイカーではありません。もらってドライブして得点するかどうかの選択のみなので単なるフィニッシャー。しかし、今季のデローザンは自分で行くのかパスをすべきなのか、沢山の判断基準をもっており、それがチームオフェンスを左右するのでプレーメイカーです。



余談が長くなりましたが、個人アタックが強力なエンビートとシモンズだけでなく、パッシングで人とボールを動かし、広いスペースのフィニッシャーに預けたり、自分がオフボールで引きつけて周囲を空けたりするマッコネルも見事なプレーメイカーです。

 

シクサーズが変わっているのは、ほぼこの3人しかプレーメイクしていないからです。
ゲームメイカーか少ないのはよくある話ですが、プレーメイクを3人でやり切るのは珍しい。

基本は3人のうち2人がコートに出ています。2人でプレーメイクして、残りの3人はフィニッシャーかリバウンダーという構成です。役割分担がここまでハッキリしているチームはロケッツくらいしか思いつきません。



◉戦術シモンズ

 

シクサーズは戦術シモンズの時間が非常に長くなります。この『戦術◯◯』は悪い意味で使う事が多いのですが、シクサーズは少し意味が違います。

まずシモンズはパスマスターなので、ボールも起点も非常によく動きます。そしてフィニッシュするのはシモンズ以外の選手なのでパターンも多彩です。

 

理論上はシモンズを止めれば全てが止まるのですが、全てのパスを止めるというのは現実的ではありません。またレブロンやグリフィンだと本人が動き出すのを周囲が待ちますが、シモンズの場合は周囲はパスを受けるために動いています。

レブロンはフリーの選手を見つけてパスするのが上手いかもしれません。シモンズはフリーの選手を見つけるのではなく、フリーの選手を作る動きが抜群に上手い。囮の動きの上手さがあり、周囲の動きに合わせて自分も動き全体を連動させていきます。その分直接的にシュートに結びつく確率は低いですが、だからこそパスが連続的に繋がります。

 

シクサーズはシモンズのプレーメイク頼みなのは事実ですが、それにより全体が止まるのではなく、より動き出す。ボールを持つほど連動して行くのだから戦術シモンズは悪い意味ではありません。その代役に賢いマッコネルを用意しました。



戦術シモンズと評すのは違う意味もあります。それは『チームの困り事を全てシモンズで解決する』からです。ここがまた特殊。

 

選手にはそれぞれ特徴があり、その組み合わせと戦術理解や相性でユニットが組まれます。試合中には多くのパターンになるので、そのユニットの中で足りない部分が出てくるわけです。

だから各チームにはユーティリティプレーヤーがいます。複数人ポジションを担う選手がインサイド、アウトサイドそれぞれにいるのが通常です。

 

しかしシクサーズの場合はそれを全てシモンズが補う。

ポストアタックが足りなければシモンズが
ドライブが足りなければシモンズが
カットプレーが足りなければシモンズが
スクリナーが足りなければシモンズが
リバウンダーが足りなければシモンズが
セーフティが足りなければシモンズが

シューターが足りなければ・・・交代!

寡黙にプレーするシモンズですが、プレー内容も実に献身的です。オールラウンダーと呼ばれる選手は増えましたが、地味な役割も全てこなしてくれる本当のオールラウンダーはシモンズ一択です。

 

こういう事を書くと「レブロンならシューターも含めて全て出来る」という人が現れるのですが、出来るのと実行するのは違うし、自分が常に中核として振る舞うのではなく、チームの中で「不足している事を補う」というクレバーかつ献身的なのは圧倒的にシモンズです。

 

オンボールだけではなくオフボールで何をするべきなのか。シュートを打つのは1人だけ。それ以外にやるべき仕事が多くあり、それらを何でもこなすシモンズ

シクサーズのゲームレポートをすると大抵はシモンズを絶賛します。それは1つ1つのプレーの素晴らしさよりも、ゲームの中で目立たないけど必要なプレーをするのがいつもシモンズだからです。

 

3Pを決めるのはレディックだし、ポストアタックを決めるのはエンビートです。しかし、そのためにカットプレーをしてディフェンスのマークをズラすのはシモンズです。単なる囮で終わる事が多いプレーです。

こんな影の役回りを何でもこなしているメインプレーヤーはちょっと記憶にありません。ハイライトに出てくるプレーなんてシモンズのほんの一部です。出てこない部分こそがシモンズのスゴさです。

 

べた褒め!

ハイライトだけじゃわからないと言いつつハイライト



戦術シモンズにはディフェンス面もあります。ウエストブルックからレブロン、ホーフォードにタウンズまで誰でもどこでも守るシモンズ。実際にタウンズを守ったかは知らないけど。

 

だからどんなパターンで選手交代してもシモンズがなんとかしてくれます。とはいえ、サイズと能力を考えたら、そしてディフェンスのチームなのにペリメーターが怪しいチーム事情を考えたら、アウトサイドのディフェンスをさせている時が最も怖いシクサーズになります。

 

そしてマッコネルもまた素晴らしいペリメーターディフェンダーです。

◯スティール
シモンズ 1.7
マッコネル 1.4

トータルでリーグ7位のシモンズ。プレータイムが短いマッコネルは時間換算だとポール・ジョージ並の数です。

素晴らしい身体能力と反応をみせるシモンズと読みと状況判断の良いマッコネル。

 

先日のペイサーズ戦では残り時間がない中でファールゲームに行くと思いきや、2人でボールを奪いに行ったシーンはオラディポには悪夢だったでしょう。そうやって同点のチャンスを得ました。

ディフェンスの良いシクサーズですが、ハイプレッシャーをやらせるならば、ここでもこの2人になります。どうもシューター優先にしたがるHCなのですが、今季のマッコネルは3P45.5%です。試合終盤になるほど攻守両面で役に立つはずです。

 

エンビートと合わせた3人の存在が特別すぎるシクサーズ。そこにはスタッツとは違う大きな意味があります。

シモンズのオールラウンドな活躍からするとトリプルダブルなんてオマケみたいなものです。だからシクサーズは戦術シモンズなのです。



◉並ぶクエッショナブル

 

シクサーズは確かに素晴らしい。しかし、プレーオフに向かうにあたり疑問点も割とあるわけです。それはスタッツに現れやすい部分も現れ難い部分もあります。

 

・シューターへの傾倒

シーズン序盤のシューター多用作戦からディフェンスやリバウンドへ移行して成功したシクサーズですが再びシューターを増やし、多用するようになりました。
そしてチームがビハインドのある時間ほどシューターで解決しようとします。シモンズとエンビートが中心なのに。

 

・エンビートとシモンズの代役不足

どちらも替えが効かないのは致し方ない。考えても仕方ないけど、接戦が続くプレーオフでちゃんと休ませられるのか。
そして誰よりも動いているのにタフなシモンズは安定しているけど、エンビートのスタミナが切れる事は頻繁にあります。

 

・ゲームメイカー無視

プレーメイカー不足のチームは調子の良い時ほどフィニッシャー達が好き勝手打ち始めます。大量リードがあるのに調子に乗って走りまくって終盤に失速するのを何度見た事か。そんな時はシモンズとマッコネルを無視しています。
特に前半にサリッチとコビントンが好き勝手打って決め、エンビートが喜びまくっていると試合終盤には苦しそうな表情になる事が。

 

・凡ミス、連続ミス、懲りないミス

良いプレーをする反面、コビントンが繰り返す凡ミスを何度見た事か。誰も取れないロングパスやらルーズなディフェンスやら。前の試合で敗因になりそうだったプレーを次の試合で繰り返します。

 

これらの不思議なのはHCが何とかコントロール出来そうなプレーが多い事です。しかし、試合終盤にタイムアウトとってもよくわからないプレーやメンバーにします。

残り3秒3点負けててシモンズ起用するとか、よくわかりません。

素晴らしいパッシングチームを作ったブラウンHCなのでその手腕は賞賛したい反面、試合中の采配には疑問符が多く、プレーオフでは非難の的になる可能性があります。



そんな試合の中での問題はHCだけでなくチームとしてもハッキリと傾向として出ています。

◯Q毎の得点とFG%
1Q 29.0点 50.1%
2Q 26.8点 46.0%
3Q 26.3点 46.8%
4Q 25.1点 43.6%

 

「シクサーズのスターターは強い」
そう評され、実際に高いレーティングを誇るのですが、それよりも単に元気な時間に3Pが決まるだけにも思えます。特にエンビートとコビントンにはその傾向があります。

4Qは一般的に得点が落ちるので普通なのですが、1Qと4QのFG%の差は大きいです。試合中の様々な変化に対応出来ていないと言えます。

つまりシューター達で序盤にリードして逃げきるのがシクサーズの勝ちパターンとなります。

 

・疲れてきてから3Pが決まるのか

これもシューターのチームとしてはかなり苦しい疑問点です。唯一の例外はもちろんレディック。4Qでも40%近いのは1人だけです。結局は信用できるのはレディックなのです。

そして最後にはエースが出て来なければいけません。



・エンビートはクローザーになれるのか

こちらはポジティブな意味です。試合終盤にはシモンズが強気に得点するシーンが多くありますが、やっぱり最後に託すのはエンビートです。

 

普段のエンビートは演技派で割と腹の立つ選手です。レフリーを騙すし、ミドルや3Pに逃げるシーンも多くあります。

しかし、そんなエンビートを批判できないのは、試合終盤になるほど力強くインサイドへアタックし、演技でファールコールなんて狙わずに強引に決めてきます。

前述の通り3Pを除けば素晴らしい効率のエンビート。必要な時にパスも出来るので強力なフィニッシャーとして機能しています。イーストでここまで強力なフィニッシャーは数人しかいない上に、インサイドを守れそうなのはホワイトサイドくらいです。プレーオフでの対戦はなさそうです。

 

タウンズとともに新たなセンターの時代を作ろうとするエンビートですが、状況としてはタウンズよりも大きなチャンスに恵まれています。

プレーオフではアンダードックのシクサーズですが、どのチームも対応に困るであろうエンビートを持っているのが期待を抱かせる理由です。



◉プレーオフを占う

 

現在6位のシクサーズ。8位まで落ちる可能性がありますが、相手がラプターズならお手上げ、セルティックスも苦しいでしょう。

3位まで上がる可能性もありますが、いずれにしてもペイサーズ、ウィザーズ、キャブスあたりとの対戦が濃厚です。

その中で戦い易いのはどこなのか?
シクサーズ目線だとこんな感じかな。

 

オフェンス面
◯3Pディフェンスが弱い
◯パッシング(アシスト)ディフェンスが弱い
◯ビッグマン不在

ディフェンス面
◯インサイドを積極的に攻めてくる
◯フリースローが少ない。苦手。

 

これらの条件に最も当てはまるのはキャブスです。

パッシングして3Pを決めやすく、エンビートの強みを活かしたオフェンスがやり易い。
それでいてペイントを攻めてくるのでエンビートの高さでFG%を落とせます。

 

キャブスは
3Pディフェンスはリーグ下位(21)
被アシストは最低クラス(29)
ペイント内の失点は多く(22)
得点は3チームの中では多い(15)

ただし
フリースローは多く(10)
確率も悪くない(10)
()内はリーグ順位

今シーズンは1勝2敗ですが1敗はエンビート不在。そして1勝は直近のトレード後のメンバーとの対戦でした。

 

全員がハッスルしてくるペイサーズや、3Pで攻めてきてアウトサイドが強いウィザーズよりもキャブスとの対戦がシクサーズ向きです。



管理人のシクサーズ評価は明確です。

エンビート凄い
マッコネル賢い
シモンズ超便利
他はギャンブルみたいな選手達

 

ギャンブルの当たり外れをディフェンス力で補っているので、今のレベルのチーム設計としては良くできています。今季は数年ぶりで初めての選手も多いわけですからプレーオフまで一通りの戦いを経験するのが何よりも重要です。

来季のことは終わってから考えよう。

 

しかし、その経験がシューターの不調で負けたとか、明確な采配ミスとか、自分達でペース早めてエンビートのスタミナ切れとかでは、反省が反省として認識されなくなってしまいます。
最後のはキャブスが実際にやったけど何も反省していない今季でしたし。

ギャンブルが混ざっている事自体は否定しませんが、主役はエンビートとシモンズです。それを活かすためのシューター達に過ぎないので、間違って欲しくないわけです。

 

プレーオフで戦うための確固たる戦術は何なのか?

良い部分は多くあるシクサーズなのですが、それを勝つための方法論に出来ているのかは不安視しています。



今回1番悩んだのはタイトルです。未だに納得のいかないタイトル。それはシクサーズがボヤけてみえるから、端的に示すワードが思いつかなかったとも言えます。

エンビートとシモンズ。明確な中心選手を置き、しかもガードとセンターであり、ポストアップを使うオフェンスの中心であり、ディフェンスの要でもある。

まるでオールドスクールのような2人のスーパースター候補

 

しかし、その中身は極めて特殊なオールラウンダーとビッグマンに似つかわしくないステップワークを持つビッグマンという新人類系

チームもシューターを並べ、高速バスケを信条とする現代型です。

古きを温め新しきを知る、そんなシクサーズです。

 

ここまでならば一貫性のあるチームなのですが、シューターで得点するものの主役の2人は3Pを打つ役割は受け持たず、試合を通じて高速バスケを展開すればエンビートはガス欠になり、チームの弱点を主役のシモンズが補います。

明確な主役がいるし、そこに見合った選手を集めてシステムが構築されているけど、全力でその戦術を採用すると勝つための戦略としては間違っています。

 

チームの方向性は間違いなく正しい。しかし、勝利への戦略としては一本の芯が通っているように見えてこない。

だから賢者とギャンブラー。

賢く正しく組み立てられているけど、勝敗はギャンブルみたいなシクサーズ

 

trust the process

今季のシクサーズは過程に過ぎない。

それは正しき過程だったのかはプレーオフで試されます。

 

シクサーズ〜賢者とギャンブラー〜” への4件のフィードバック

  1. トレードでのベテラン獲得には違和感を覚えました。
    そもそも今シーズンは育成の年という位置付けだったと思うのですが、思ったより成績が良かったので欲が出て今年ある程度の結果を出したいと急いてしまったのではないかと個人的には感じています。

    二兎追ってどちらも逃がすより、一つは捨ててでも一つは確実に取りたいといった動きの印象ですね。
    慌てなければ二兎取れるようになれるポテンシャルはあるチームだと思うのですが…

    1. エンビートとシモンズしかいないならば悪くない動きだったと思いますが、将来を見据えているならばフルツとオカフォーを混ぜたチーム構成を考えるべきだったでしょうね。

      二兎を追うのは良いけど、大切なのはどっちなのか?

      エンビートがガス欠になるだけならば良いですが、ケガするのは最悪です。将来を考えるならばリスク管理としてシモンズも含めて30分のプレータイムに抑える方法論が必要でした。

      果たして今季はプロセスとして正しいのか?
      答えは何年後ですかね。

  2. いつも楽しく拝読しております。
    管理人様の定義するゲームメイカーおよびプレーメイカーを各チーム教えて頂く企画、所望します。
    プレイオフチーム限定等で何卒…
    ロケッツが例に上がりましたが、ブレイザーズもプレーメイカーが少ない部類かなと思いました。

    1. なるほど!
      確かにそれは面白そうですね。

      ブレイザーズは物凄く少ないですね。
      プレーメイカーを並べてみましょう!

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