20180315 セルティックス vs ウィザーズ

セルティックスがヤバい。

ヘイワードを失いながらも頑張ってきた今季。ファイナルへの期待もある中でケガ人続出です。この試合で開幕戦のスターターだったのはルーキーのテイタムのみです。




◉セルティックスのケガ人事情

 

カイリー・アーヴィング

膝の痛みで離脱です。明確なプレーで痛めたわけでは無いので休養を挟んで金曜日には戻ってくる予定。逆にいえばダメージの蓄積なので治ることないでしょう。

 

ジェイレン・ブラウン

ダンクした時に一回転して背中から落ちました。骨折なんかも心配されますが、とりあえずは脳震盪での離脱です。クリス・ダンも時間がかかりましたが、復帰テストもありかなり慎重に判断するはずです。

 

アル・ホーフォード

病気らしい。

 

マーカス・スマート

右手を痛めていて今季中に治る見込みはないみたいです。だからこのままプレーしてオフに手術という選択肢がとれるかを確認中。オフに移籍の可能性もあるので。

 

ダニエル・タイス

左膝半月板断裂で完全にアウトです。

 

これだけ主力がケガしていたら絶望的なのですが、それでも戦えるメンバーがいるのはブラッド・スティーブンス&ダニー・エインジの勝利です。



◯本日のスターター
ロジアー
テイタム
ヤブセル
モリス
ベインズ

このスターターの何が恐ろしいかというとロジアーやモリスが控えているという層の厚さだけでなく、テイタムが名目SGという事です。通常時に名目PFが2つポジションを上げるわけです。

加えてヤブセルはそもそもポジションよくわかりませんが一応PFみたいな感じで、モリスと共にPF2人起用みたいにして成立させるわけです。

 

これをやれるチームとしてサンダーやロケッツ、ネッツなんかもあります。そんなチームが増えているのは1つの流行です。

この事は試合の中で重要な意味を持ちました。



◉最近のウィザーズ

 

ウォールがなかなか戻ってきません。予定では試合の少ない2月を犠牲にして手術だったのですが、重要な3月になっても戻っていません。その割には好成績だとはいえます。

この試合で10試合続けてプレーオフチームとの対戦です。それを4勝5敗なので悪くはないけどウォールが欲しい感じ。

 

◯2月以降のレーティング(シーズン)
オフェンス 109.4(107.4)
ディフェンス 108.6(106.1)

こうみると再びオフェンスにシフトしたようです。これはウィザーズの弱点を表していて、オフェンスで勝った昨季からパワーアップすべくディフェンス力を上げた今季。しかし、試合の中でリードを奪うとトーンダウンするので相手に付き合いがちです。

昨季のオフェンスそのままに今季のディフェンスなら優秀なチームなのに、ディフェンスが良いからオフェンスを悪くしています。

そしてウォール離脱からオフェンスを頑張ったらディフェンスが悪くなるわけです。両方に力を入れられるラプターズが羨ましい。



◉守れないウィザーズ

 

試合はセルティックスの一方的な展開になります。全く守れないウィザーズ。

◯前半のセルティックス
得点 59
2P 16/34
3P 6/7
オフェンスリバウンド 8
ターンオーバー 10

反則みたいな3Pの確率ですが、忘れてはいけないのはセルティックスは実質スターター不在だという事です。

 

一時期のセルティックスのセカンドユニットはそれはそれは酷かったです。ひたすら3Pを打つしか能が無いチームでした。それなのにアテンプトが7しかなく、何度もインサイドを突破されたウィザーズでした。

あっさりと抜かれるし、オフボールムーブを見逃すし、リバウンドは取られるし。いいところがないウィザーズのディフェンス。



一方でセルティックスにはポジティブな内容です。3Pに頼らなくてもオフェンスを構築できました。セルティックスのオフェンスは素晴らしいようでいて、割とアイソレーション頼みです。しかし、これがシーズンを通して成功するのだからスティーブンスマジック。

 

本日の主役はモリスですが、そっくりのツインズは両チームにいるわけです。能力もほぼ同じ。しかし、1人はアイソレーションで結果を残し、1人はアイソレーションの機会は殆どありません。

◯マーカス・モリス(セルティックス)
31点 FG11/22
3P4/8

見事にアーヴィングの穴を埋めたモリス。ホーフォードではなくアーヴィングの穴を埋めるというのが、普通とはポジションの概念が違うポイントです。

オフェンスの起点というか、突破口として機能しました。

 

あまりにも簡単に抜かれるウィザーズと、簡単に抜くセルティックス。双方が合わさって生まれた状況ではありましたが、人が変わってもポジションが違っても抜いていけるチームを作ったセルティックスといえます。



前半のウィザーズのディフェンスレーティングは122という壊滅的な数字です。これを「セルティックスが良かった」では到底片付けられません。
前日のウルブズ戦から連戦となり、疲労が溜まっていたのは事実。それを補えるだけのチーム力は未だに熟成できていません。

加えてシーズン通じての問題点がハッキリと出てきます。

 

◯グレッグ・モンロー
16点 10リバウンド
FG8/9

まさかのモンローにインサイドをズタズタにされました。シーズン途中に加わったモンローは正直全く機能していないのですが、弱かったウィザーズのインサイド。

 

ウィザーズはドライブも止められなければ、インサイドもボロボロにされて、3Pを高確率で決められました。最大20点まで開いた前半は一方的なセルティックスペースでした。

 

ところが最後の2分半でウィザーズは10連続得点し、7点差まで縮まって前半が終わります。そのうち9点をとったのはウィザーズのモリス。

完全なセルティックスペースの前半
完全にウィザーズが勝つ流れになった前半
右を見ても左を見ても主役はモリスになりそうでした。



◉ウォールのオンオフ

ここから試合は拮抗していきます。それは流れを掴んだウィザーズに対し抵抗していくセルティックスという展開です。

前半から1人だけしっかり守っていたビール。仲間の不甲斐なさか、自分がチームを背負う責任からか、一気にラッシュし3Qだけで16点を奪い逆転します。

 

抵抗したいロジアー、テイタム、モリスですがそこは流石に個人の力に差がありました。ウィザーズも前半のような酷いディフェンスはしないのでFG43%に抑えます。抑えます、というか普通くらいですが。



1点差で始まった4Qはビールがベンチに座っている間にセルティックスが再びリードを奪います。これもまたウィザーズのセカンドユニットの稚拙さがもたらします。

 

ウィザーズのベンチメンバーはなかなか見応えがあります。このブログでもたびたび出てきますが、3Pとディフェンスが良く、機動力の高いウーブレイと同じく更にFG54%と素晴らしいシーズンを過ごしているスコットがいます。

しかし、何を間違えたのかブルックスHCは新たに獲得したセッションズをPGとして使います。セッションズはアメリカらしいPGというか、自分で何かをする事は出来るけど周囲を活かす能力はありません。今季はニックスでスターターでしたが、あっという間に中身がバレて解雇されました。

 

ウーブレイとスコットという有効な攻撃手段があるのに、そこを活かすゲームメイクが出来ないウィザーズ。5点ビハインドになってビールが戻ります。



◉勝負強いセルティックス

 

本来は苦しいメンバーのセルティックスですが、こんな場面で何度も劇的な勝利を重ねてきた今季です。接戦で、それもリードして終盤を迎えたのだから勝機を作れたといえます。

 

何度も追いつかれそうになりますが、その度にモリス、テイタム、ロジアーが得点してリードを守ります。この勝負強さは謎すぎます。

残り1分になっても100-97でセルティックスリードとなります。そこで当然ビールがドライブを決め1点差。しかし、モリスが3Pで4点差残り44秒となります。

ツーポゼッションが必要なウィザーズはビールがすぐに決めて残り38秒2点差とし、最後のディフェンスに賭けます。が、全員でプレッシャーディフェンスをする中でマヒンミが間違えてファールゲームします。バカ。



しかし、フリースローをテイタムが1本外してくれて3点差。3Pを守るセルティックスに苦しんだビールがレイアップに変えて再びファールゲームにします。ここはラーキンがしっかり決めて残り12秒3点差となります。

 

苦しい中でビールが打った3Pはリングに嫌われますがサトランスキーがリバウンドに絡み、ウィザーズボールのスローインに。セルティックスは3Pのみを守るディフェンスにしてきたのでボールを入れることさえ出来ないウィザーズ。

機転を利かせたのはポーター。インサイドに入ってボールを受けるとダンクにいくフリをしてコーナーのミークスにキックアウト。この3Pが決まりオーバータイムに突入します。このポーターの判断は秀逸でした。



オーバータイムはそれまでと異なり守り合いとなります。前半のウィザーズとは大違い。ポーターの3Pでリードしたウィザーズでしたが,残り1分半でロジアーが3Pで同点に。しかし、残り19秒でポーターがフリースローを決めます。

セルティックスのスローインではオーバータイムになりマッチアップするようになったモリスツインズの所で激しくプレッシャーをかけ、パスミスを促し、サトランスキーがスティールし、8秒オーバーになる前にタイムアウトをとります。

 

スローインでボールをキープし、フリースローを決めれば勝利が確定するウィザーズ。持たせたいのは当然ビールです。しかし、セルティックスお得意のハイプレッシャーディフェンスにより、まさかのターンオーバーをします。ハイプレッシャーとはいえビールにはテイタム1人にしたのに、パスの出しどころに悩むという理解に苦しむオフェンスコーディネートだったウィザーズ。

マイボールとなったセルティックスはテイタムがドライブを&ワンで決めます。しかし、決めれば勝利のフリースローは落としダブルオーバータイムへ。驚異の勝負強さを誇るセルティックス。ディフェンスからオフェンスへ。双方での驚異。



◉疲労困憊

 

ウィザーズがポーターとモリスの3Pでリードします。セルティックスは疲労困憊でモンロー、モリス、テイタムとパスミスが目立ちます。さらにディフェンスでも足が動かず、ビールのドライブにヘルプが誰も来ずリバースレイアップ&ワンとなります。

しかし、ビールもまた疲労困憊で倒れるとなかなか起き上がりません。

アーリーオフェンスになったセルティックスはフリーのロジアーが3Pを決めます。ウィザーズは人が余っていたので点差があるならば3Pだけを抑えるべきなのですが、足が動きません。

最後に逆転をかけたテイタムの3Pが外れてウィザーズが1点差で逃げ切りました。勝ったけどウィザーズもまたヘロヘロ。連戦でダブルオーバータイムは苦しかったでしょう。

 



セルティックスは20点差を追いつかれたといえば残念ですが、このメンバーで非常によく頑張りました。最後はロジアー、テイタム、モリスしか攻めていないような雰囲気になりました。そんな中で逆転をかけたシュートまで辿りつくのですから素晴らしいチーム力でした。

ウィザーズとの力の差はハッキリとありましたが、それを埋めるディフェンスと集中力でした。

 

逆に言えばウィザーズは個人の力をチームに還元できているとは言い難かったです。それでもサトランスキー、ビール、ポーター、モリスは機能性がありました。そこにウーブレイかスコットを加えるべきだと思うのですが、セルティックスがベインズやモンローを起用するのでマヒンミかゴータットを起用し続けました。

どちらが良いかはチーム事情で違うので一概には言えません。勝ったのだから正しいはず。それくらいしか言えません。

連戦は難しい。



◉ディテールの差

 

勝ったのはウィザーズ。しかし、プレーオフを見据える中でディテールを制しそうなのはセルティックスでした。アイソレーションを多く取り入れるセルティックスですが、そのポイントにはドライブ後にスムーズにパスアウト出来る点があります。

個人で仕掛けるけど、それをチームオフェンスとして機能させるわけです。

この試合で圧倒的だったのはビールですが、ビールのドライブに対して有効な合わせを出来ていないウィザーズでもあります。ほぼビール任せになっています。意外とウーブレイは合わせるの上手いのですが、他にはサトランスキーくらい。

 

そしてウィザーズはパサー任せで動きが止まることが頻繁にあります。エンドライン側からオフェンスを1回立て直すパスを頻繁に狙っていたセルティックス

エンドラインからトップに戻したパスをロジアーが掻っ攫って速攻にするシーンがありました。これがセルティックスのディテールの強さでもあります。

おそらくこのプレーは狙って指示が出ています。スティールからの速攻という価値の高いプレーです。



思えば昨季のプレーオフでもウォールのドライブを止められないセルティックスは明確な対抗策を打ち出しました。

ウィザーズはウォールのドライブに対し、コーナーに人を置いてキックアウト3Pを打ちます。スペーシングしているわけです。このコーナーへのパスコースに必ずマークマンを置いたセルティックス。

当然、ウォールのドライブは決まりやすくなります。ブラッドリーといえども苦しいウォールのスピード。

 

しかし、ウォールはシュート後に倒れることが多くあります。あのスピードでディフェンスをかわしながらバランスをとってシュートを打つので倒れるわけです。

これに対しセルティックスはカウンター作戦に出ました。両コーナーとウォール&ゴータットがエンドライン近くにいるので、コーナーにいたディフェンスが走ってしまえば簡単に数的優位が出来ます。両コーナーが動きを止め戻りが遅いのを見越したセルティックスです。

 

僅かな差が勝敗を分けるわけですから、この試合で行われたセルティックスのワナは両チームの対戦で大きな影響を与える可能性があります。



セルティックスは次のマジック戦を経てウエストの強豪との試合が続きます。もうラプターズを追いかけるのは無理そうなので、調整になりそう。3位に追いつかれるのも現実的ではないので、少しずつテストしていきそうです。

こんなメンバーでも高い集中力で戦ってくるので、油断は禁物です。油断しそうなのはサンダーかな。

ウィザーズは次はペイサーズで、その次は22日と少し開きます。なのでウォールが復帰するならこの辺りかと。残りは13試合なのでウォールを融合させないと!

おそらく4位か5位でフィニッシュになるでしょう。そこに来るのはペイサーズかキャブスか、はたまたシクサーズなのか。

出来ればエネルギーに溢れていて、セカンドユニットも強いペイサーズは避けたいかな。でもエンビートのいるシクサーズもセンター陣を考えると避けたいです。キャブスが最も戦いやすそう。ならばホームコートアドバンテージはしっかりと確保しよう。

結局、やる事は変わりません。どうせ倒すならば早いか遅いかの違いだけ。

20180315 セルティックス vs ウィザーズ” への8件のフィードバック

  1. テイタムのシュート不調は単純に疲労なんでしょうか。
    不調といっても新人離れしたパーセンテージなんですけど、開幕頃の怪物感が薄れてきて何か物足りない感じで最近の試合見てます。

    1. 大前提として年明けくらいから確率は落ちています。これはむしろ開幕が高すぎました。

      その上でこの試合は体幹がブレていたので疲労も重なっていました。と、分析しています。

  2. 今更ながらテイタムの評価が上がりました笑。今日のセルティックスのSGは誰で来るかな?と気になってはいましたが。ミスもあったけど、ドライブ決めたり、ラストショットも打って、やるやん!と思いました。あともう怪我人は勘弁です。特にガード。

    1. ポジションの概念ないですからね。
      ある意味テイタムにこんな経験を積ませることが出来たのは重要な試合だったと思います。最後が決まっていたら大変な事になっていたでしょうね。

      シーズン序盤のアーヴィング不在のラプターズ戦もテイタムのドライブとブラウンのディフェンスで勝っていますし。そこからの良い流れでしたからね。

  3. ウィザーズHCの偏った選手起用は
    怪我のリスクが上がりますね。
    もっとベンチメンバーを信頼しましょうと言いたい。
    ビールの47分って プレイオフの試合じゃあるまいし。

    1. 元々は信用していましたよね。
      例の揉め事あたりから大きく変化した気がします。

      この試合はダブルオーバータイムで10分長かったので、そんなものですよ。
      ただ連戦だったからベンチメンバーをもっと使うべきではありました。

      ビール以外が何もしていないような前半が問題でしたね。

  4. 試合前けが人の情報だけ見て、負けても仕方がない今日は。と正直思いました。
    前半点差が開いてこのままでは終わらないだそうな~と思ったら案の定接戦に。
    そこからまさかのダブルオーバータイム!!
    正直負けたのは悔しかったけど、ほんとこのメンバーでよく頑張ったって思いました。
    ただ、プレーオフを勝ち抜くのは厳しいなぁと。

    1. このメンバーでプレーオフは苦しいですね。

      アーヴィングとホーフォードは確実に戻るので、そこまで心配する事はないのですが、不安なセカンドユニットに長くプレーさせられる機会と割り切れば良い試合でした。

      あとはこの試合もそうですがスマートとブラウンがいないとなると、守りたい時に守れるのか、そこが分かれ目になりそうです。

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