インディアナ・ペイサーズを確認しようpart2

インディアナ・ペイサーズを確認しておこう。開幕した頃にやって以来の第2回です。前半を振り返る際にも書きましたが、管理人はペイサーズに注目していました。

しかし、まさかここまで勝つとは想定外です。負け始めたらやろうと思っていましたが、プレーオフはまず確定。それどころか3位フィニッシュもありえるわけです。

定点観測だったはずが、立派なプレーオフへのプレビューだったりして。




◉開幕当初に戻ってみよう。

 

ポール・ジョージもティーグもいなくなり、一般的には没落すると考えられていたペイサーズ。しかし、夏の動きは秀逸でFAで大物をとれないチームが目指すべき方向性を示してくれたような補強を敢行しました。

 

オラディポ、サボニス、コーリー・ジョセフ、ボグダノビッチ、ダレン・コリソン

他のチームも欲しがるけど、スターを差し置いて欲しいほどではないし、安く契約出来るかは微妙。そんな選手ばかりです。
リーグの中でスターターの4番手、5番手かベンチから出てくるシックスマンみたいな選手ばかり。

 

それをシーズン前にはこんな風に書いています。

・昨季から機動力重視に切り替えたけど、メンバー構成に失敗していた。

・ディフェンスが出来てポジションレスなオールラウンダーを10人揃えるようなロスターに変更

・1.5軍でシュート力がある選手ばかり。3Pを活用しそう。

・戦術は期待できるけど選手起用は怪しいHC

3Pは活用しませんでしたが、開幕から好調を維持してケミストリーを高めるとともに勝ちパターンを構築してきました。
トレードデッドライン前にはチームの好調さからトレードに動く可能性もある中で、選手の方からこのメンバーを変えないように頼んだとか。

アル・ジェファーソンなんかも活躍してしまう居心地の良いペイサーズは見事なシーズンを過ごしています。

 

ネイト・マクミランHCは立派なコーチオブザイヤー候補です。

 



そして10月末に書いた内容のまとめはこんな感じでした。

・10人ローテの分厚い戦力を活かした走るオフェンス
・ミドルレンジを高確率で決めていくペイサーズらしい流れ
・3Pとゴール下という流行部分にはどっちも弱い
・ボールは回すがアシストが少なく、連携面に伸び代がある。
・最低レベルのディフェンス

 

果たして今は何が残って、何が変わっているのか?

書いた自分自身も驚愕の変化をみせていました。ペイサーズの注目度は低いかもしれません。しかし、明確なコンセプトに基づいて集められた選手達が、シーズンを戦う中で最も自分たちの力を発揮出来る戦術に辿り着いています。

オラディポのチーム?

いえいえ、違います。このチームは全員が主役です。

 



◉誰が出ているの?

 

「観ていて楽しいオススメのチームはどこ?」と聞かれた時にペイサーズと答えたら予想外すぎたらしく驚かれました。「ペイサーズなんて観ない」という方のために、メンバーとプレータイムを復習です。

 

PG
ダレン・コリソン 30.0
コーリー・ジョセフ 27.3
ジョー・ヤング 10.5

基本はコリソンとジョセフですが、ダブルPGの時間もあります。コリソンにケガがあったのでヤングにも出番がありました。

コリソンは高いシュート能力を誇り3P44%です。アシストやスティールでも優秀な数字を残します。
ジョセフはゲームコントロールするタイプのPGです。直接的なスタッツよりもゲームメイカーとしての上手さがあり、ヘルプディフェンスが秀逸です。

 

SG
ビクター・オラディポ 34.3
ランス・スティーブンソン 22.7
グレン・ロビンソン 14.0

オールスターとして認知されたオラディポ。そこにランス・スティーブンソンが控えています。このポジションはペイサーズのキモになっています。

そして最近になって昨季のダンク王も戻ってきましたが、完全に乗り遅れてしまい、シューターみたいな事をやっています。シュート率はイマイチ。

 

SF
ボヤン・ボグダノビッチ 30.9

ガード陣を起用するのでSF扱いになりそうなのはボグダノビッチ1人です。役割は完全にシューター。3P40%で14.3点はオラディポに次ぐスコアラーです。

イースト3位のチームでセカンドスコアラーが14.3点しかありません。それは少ないのですが上の2チームも同じ全員アタックオフェンスなので流行系なんです。

 

インサイド
マイルズ・ターナー 28.5
ドマンタス・サボニス 24.9
サディアス・ヤング 32.5
トレバー・ブッカー 16.7

基本的には上の2人がセンター扱いですが、実質はPF3人構成でした。最近になってブッカーを獲得しています。

ターナーはブロックランク4位であり、3P38%とシュートが得意な機動力センター。エース予定でしたがその座はオラディポに譲っています。

相棒はヤング。こちらも機動力系でレブロンを抑えたりディフェンスで貢献しながら何でもやる系のPFです。インサイドにはいないで外から飛び込むタイプなので捕まえ難い。

サボニスは意外にも完璧にセンター役で、サンダーのアダムスみたいなプレーをします。25分の出場ながらリバウンドがチームトップ。



こんなメンバー達です。基本は全員が動けてディフェンスが出来ることと、オールラウンダーである事。ポジションレスで機動力勝負だから、それは流行系です。

 

その意味ではPF3人構成が最も重要な特徴です。このレベルのインサイドを3人揃えているチームは他にいません。『リーグ最強のインサイド』と表現するわけには行きませんが、こうは言えます。

『リーグで最も動けるインサイドを揃えるのはペイサーズ』

 

機動力時代にはインサイドを1人にする形でガードやSFを増やす形が一般的です。ペイサーズは必ず2人使うラインナップなので古いタイプではありますが、そのインサイドがアウトサイドまで担当できるのは大きな強みです。

3人の中でヤングのプレータイムが最も長いのは、ヤングが1番アウトサイドまで守れるからです。ターナー&サボニスコンビにするには不安があるという事。2人ともルーキー時代はPFとしてセンターと組んでいたのに、時代は変わるものです。

ペイサーズは機動力バスケに対応できる一方で、インサイド2枚という強みを持っている。

あまり目立たないですが、これこそがペイサーズが他のチームよりも優位性を持てるポイントだったりします。



◉ペイサーズの勝ちパターン

 

◯ペース 98.5(20)
◯パス数 297(19)
◯アシスト 22.1(22)
◯3Pアテンプト 24.5(25)

機動力とオールラウンダーを揃えましたが、実際にはそんな良さを存分に活かしているわけではありません。

早い展開でパスを回し、全員でアシストをして3Pを決める。

そんな現代型の展開みたいな事はしていません。あくまでも相手に対して不利にならないだけの現代型だったりします。

 

◯平均移動速度
オフェンス 4.62(16)
ディフェンス 4.12(1)

それは運動量で明確になります。オフェンスは平均的ですが、ディフェンスはリーグで最も動きます。

 

◯ディフェンス平均移動速度
ジョー・ヤング 4.80
コーリー・ジョセフ 4.44

ガードのヤングはリーグで最も動く選手でジョセフもトップクラスです。突出しているのはこの2人だけで、ほぼ全員が4.00以上です。意外にもランス・スティーブンソンは動きません。息を吹きかけて相手を止めるからなのか?

半分近くのチームが4以下ですが、ペイサーズは全員がガード並に動いています。そんな運動量がディフェンスを支えています。

 

◯被FG% 46.3%(17)
◯被3P% 34.6%(4)
◯ペイント内失点 44.9(17)

しかし、インサイドが強いわけではありません。3Pは止めるけど、リバウンドも強くないし。ここら辺は高さが足りない事よりも、ガードやSFがインサイドを得意としない事のほうが響いています。
ランス・スティーブンソンがいるとかなり取れます。動くとリバウンドは取りにくいのか?は今後の研究対象です。

 

スタッツとしては抑えている数字には見えませんが、激しく動けているというのは非常に重要な強みです。

ペイサーズに走り勝つのは難しいし、ディフェンスに穴がないから全員を守ってくるのでパッシングも出来ません。

現代型相手に強そうなペイサーズです。



そんなペイサーズの勝ちパターンは何なのか?

◯FG% 47.6%(5)
◯3P% 37.3%(5)
◯ペイント内得点 44.4(13)

アウトサイドもインサイドも確率がよく、両方でペイサーズより上にいるのはウォーリアーズだけです。
かといってペイント内が多いわけでもないので、ミドルレンジを決めるのが特徴です。現代的には効率が悪いチームです。

 

◯速攻での得点 14.9(3)
◯スティール 8.5(5)

最大の特徴がこれです。機動力を活かしてボールを奪い得点に繋げてしまいます。ディフェンスから繋げるオフェンスこそが強みです。

 

◯スティール/速攻
勝ち試合 9.3/17.6
負け試合 7.8/11.1

勝ち試合と負け試合を比べたらFG%の差異などは大きくなりますが、スティールまでこんなに開くとは。

チームとしてペースが早いわけではないし、オフェンスで動き回るわけでもありません。しかし、機動力のあるディフェンスからイージーオフェンスに繋げていくのが勝ちパターン。それは最もリードを奪い易い形でもあります。

 

ミドルレンジが多く、爆発力があるとは言えないハーフコートゲームと、スティールからの速攻によるラッシュ力。それがペイサーズらしさです。



◉プレーオフを占う

 

ペイサーズの勝利にはもう1つ特徴があります。それは接戦に強いという事。

◯5点差以内の試合 13勝7敗
◯10点差以内の試合 24勝15敗

接戦の勝率としてはセルティックスと比べて遜色ありません。5点差以内ならばラプターズよりも良い。

言い換えればその2チームのように大差で勝てないわけですが。



接戦に強いチームであるペイサーズ。それはプレーオフで役に立ちそうです。しかし、そのクラッチタイムのスタッツがまた面白い。

 

◯クラッチタイム
FG39.9%(20)
3P28.0%(24)

全く強くありません。全然シュート入らないじゃないか!?

オラディポがスパーズ戦で決めた決勝3Pが接戦に強いペイサーズの今季を決定付けた気がします。しかし、実際にはオラディポ自身もFG40%程度でクラッチタイムに強いわけではありません。

 

◯クラッチタイム
スティール 0.7(5)
速攻 0.8(4)
2ndチャンス 1.3(6)

しかし、ここでもスティールからの速攻で得点します。そしてオフェンスリバウンドを押し込みます。要は難しいシュートを決める勝負強さはないけど、足を動かし、ボールに食らいついてチャンスを得ているチームです。

スターはいないけど全員で頑張るチーム構成らしくなっています。

 

◯クラッチタイム
得失点差 +1.4(3)
ディフェンス 92.8(1)

見事にディフェンスレーティングが1位です。ペイサーズには重要な局面で勝負を決めるディフェンス力があります。

 

例えばランス・スティーブンソンはその存在が1つの勝ちパターンだったりします。試合全体で役に立っているかは微妙だけど、勝負所で激しいプレッシャーや思い切ったギャンブルディフェンスを成功させてしまう不思議な魔力を持っています。使えない日はベンチに座らせておくだけです。

 

好調の選手を長くプレーさせる。
相手に合わせたラインナップを起用する。
10人ローテの強みを活かしているわけですが、それは主としてディフェンス側での特徴になっています。



◯イーストのチーム別成績

ラプターズ 1勝1敗
セルティックス 2勝2敗
キャブス 3勝1敗
ウィザーズ 1勝1敗
シクサーズ 2勝1敗
バックス 3勝1敗
ヒート 1勝2敗

1位、2位は決まってきたイースト。しかし1回戦でどのチームと当たるかはまだまだ読めません。

ちなみにピストンズには負け越しており、ヒート含めてインサイドでパワー負けする相手を苦手にしています。機動力あるPFが売りですが、ターナーが外から高確率で決められないとビッグマン相手に有利にはなりません。

ヒート以外ならばどこがきても良さそうです。ウィザーズだけはホームとアウェイの勝率が同じですが、他のチームはアウェイに弱いのでこのままホームコートアドバンテージをとれるかも重要です。

1回戦でキャブスならば面白そうですが、順位的になさそうな雰囲気。



定点観測といいながら、プレーオフのプレビュー要素を含めたペイサーズです。ラプターズ以外が調子を落としているイーストで好調のペイサーズは果たしてプレーオフで勝てるのか?

勝てる以前にプレーオフに進むのが奇跡みたいなチームでしたが、今話題にするのは勝てるかどうかです。



◉vsシクサーズ 3/12

 

序盤にリードを奪ったペイサーズ。トレバー・ブッカーが鬱憤を晴らすかのようにエネルギッシュに、そして楽しそうにプレーします。ネッツ時代のブッカーが戻ってきたようです。

しかし、シクサーズの3P攻勢に苦しめられます。追いかけてチェックしているのに決めてくるシクサーズ

◯3P
ペイサーズ 5/24
シクサーズ 10/30

それでもトータルでは抑えたといえます。しかし、ペイサーズの方としても外しまくったボグダノビッチが誤算でした。

 

◯ジョエル・エンビート
29点 FG11/22
12リバウンド 8ターンオーバー

◯マイルズ・ターナー
25点 FG9/12
6リバウンド

やはりリバウンドはそんなに強くないものの、高さのあるエンビートをプレー効率で上回ったターナー。エンビートはFG%は悪くないものの、ディフェンスに苦しめられ多くのターンオーバーを犯しました。

 

それでも接戦になった4Qにエンビートは1人で10点を取ります。オラディポがFG4/21と試合を通して苦しんだペイサーズは、4QのFG30%でしたが何とか逃げ切りました。それはエンビートに10点を許しながらもチームとしては20点以下に抑えたディフェンスの勝利でした。

 

◯FG%
ペイサーズ 38/95 40%
シクサーズ 35/75 47%

FG%で大きく差をつけられたペイサーズですが、アテンプトが20も違います。

 

◯ペイサーズ
スティール 13
オフェンスリバウンド 14

それを補ったのはやはり機動力を活かしたスティールとオフェンスリバウンドでした。高確率でシュートを決められないかもしれませんが、その分シュート回数を増やしたわけです。

 

◯ターンオーバー
ペイサーズ 10
シクサーズ 21

ターンオーバー数が倍になったわけですから順当な勝利だったといえます。むしろ、接戦にしてしまった、くらいかもしれません。

ボグダノビッチの3Pが決まらなかった以外はほぼ内容通りだったペイサーズ。そのボグダノビッチのプレータイムを短くし、ランスのスティーブンソンやブッカーを長く起用しました。



ここ7試合で6勝目をあげたペイサーズですが、4試合が3点差以内でした。この試合で最後にエンビートが決まれば同点の3Pを外していますが、実はウィザーズ、バックス、セルティックスと同じ様にラストシュートを落とさせて勝ってきていました。

驚異的な勝負強さでシュートを決めて接戦を勝っているのがセルティックスならば、シュートを落とさせて勝っているのがペイサーズです。

思えば昨季のプレーオフ初戦では決まれば勝利のシュートをCJマイルズが落とし4連敗しました。今季は落とさせるほうに回りたいわけです。

 

接戦が続くであろうプレーオフでは、不利なコールをされる可能性もあります。そしてコールしてくれない事もよくあります。それ故にディフェンスの勝負になりがちです。

そこに優位性を持てるのか?
ペイサーズの勝負の分かれ目です。

 

しかし、3Qにサボニスの上にエンビートが落ちてきたため足を痛め離脱してしまいました。ブッカーが加わったとはいえ、ペイサーズらしさを発揮するために必要なPFの1人であり、リバウンドリーダーのケガの状態はペイサーズには大きな問題です。



◉変化するチーム作り

 

ペイサーズのエースはサンダーからきたオラディポですが、サンダーで芽が出なかったというよりもサンダーで学んだことを出している雰囲気です。所々に感じるウエストブルックの匂い。

それはまたアダムスのようにスクリーンをかけるサボニスも同じです。2人とも激しく動き、全力で走る。スティールからの速攻が得意なのもサンダーらしい。

 

ゲームをコントロールするのはコーリー・ジョセフ。ラプターズではヴァンフリートのコントロールとディフェンスが注目ですが、それはまるでジョセフ二世です。ペイサーズにはラプターズ流のゲームメイカーがいます。

ペイサーズ+サンダー+ラプターズ

今のペイサーズで感じるのは、他のチームカラーを取り込んだ雰囲気です。フロントは選手個人の良さを見抜いて獲得したわけですが、サンダーもラプターズも良く走るチームなので、ペイサーズの育成に不足している部分を補った気がします。

 

昨季は走るスタイルへの移行により、ディフェンス力を失いました。そこに攻守にエネルギーをもたらす選手を獲得してディフェンス力を復活させました。

今季はオフェンス隆盛だった中でディフェンスの良いチームが勝っているので、時代の流れにも乗れたといえます。

 

コーチオブザイヤーは微妙ですが、エグゼクティブに関してはペイサーズが受賞するでしょう。

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