20180313 ロケッツvsスパーズ

ロケッツとスパーズをゲームトータルで振り返ります。




ゲームトータルで振り返るのは主にロケッツの事情からです。言うまでもなくリーグ最強のチームは、展開によって何かを変えることをしない珍しいチームです。極論言えば3Pを打ち続けて、決まればリードして外せばビハインドを背負うチームなので、逐一書いていく意味がなかったりします。

ただし、中身は割と変わります。ディフェンスの対策に対してどんなプレーを選択するのか、どうやって効果的に攻略するのか、時間と点差で何をすべきなのか。

事前に決められている部分もあれば、クリス・ポールとハーデンの判断で決めている部分もあります。だから、本来はトータルで振り返るのは少し違ったりします。

 

 

しかし、スパーズの状況もまたトータルで振り返る意味をもたらします。スパーズのディフェンスもまたロケッツのオフェンス同様に展開によって変化させる部分が少ないチームです。

同じく本来は相手のオフェンスに合わせて変わるわけですが、ロケッツのオフェンスが変わらないならば、スパーズのディフェンスもあまり変わりません。

 

この試合は非常に一本調子で進みました。ゲームレポートとしては書くことがない試合とも言えます。

両チームに共通するのは強者の論理です。自分達のプレーをすれば相手に勝てるはず。だからゲームの中でアップダウンはあっても、トータルで同じことをすれば勝てるはずと考えています。

 

違うのは昨季からの成功で論理を手に入れ、シーズンの経過と共に自信に漲るロケッツ。それに対して長年の成功から揺るぎなき自信に満ち溢れていたけど、シーズンの経過と共に論理が破綻し始めているスパーズです。



 

◉シューティング

◯得点 ロケッツ-スパーズ
1Q 25-21
2Q 29-22
3Q 34-24
4Q 21-26

ほぼ順当にロケッツが上回りました。出だしのスパーズは特に酷く全くシュートが決まりませんでした。一方のロケッツもあまりシュートが決まらず。
そこからロケッツが徐々に調子を上げ、シュートが決まるようになると少しずつ離れていくという展開でした。

ある意味、変わらないロケッツオフェンスがスパーズディフェンスを明確に上回ったといえます。

 

◯3P
1Q 3/12 - 2/6
2Q 2/9 - 4/8
3Q 3/12 - 3/8
4Q 5/13 - 3/7

トータルでは
ロケッツ29.5%
スパーズ39.5%

となっており、スパーズのディフェンスはロケッツの3Pを押さえ込んだといえます。同時にスパーズは3Pを効果的に使っています。
その意味では得点差に反してスパーズ側のマネジメントが成功しています。

 

◯ペイント内得点
1Q 12-2
2Q 18-8
3Q 14-6
4Q 2-8

その一方でペイント内をロケッツが圧倒しました。トータルで46点と多くはないのですが、確率が非常に高く75%の成功率です。

ラプターズは「ロケッツの3Pを徹底して抑えた」事を勝因としていますが、実は3Pを抑えるだけでなくインサイドをどうするのかは大きな課題だったりします。単純にラプターズのディフェンス力が高かったわけです。



◉スパーズのディフェンス問題

 

スパーズのディフェンス視点で考えれば、ハーデンのファール狙いにこそ苦労したものの3Pは守れました。

 

◯ジェームス・ハーデン
28点 3P2/11 FT14/14

実質は3P5/14くらい決めたかな。フリースロー落とさないし。

 

問題はカペラをはじめとするインサイドへのアタックでした。アリーザやバーアムーテのアタックも喰らいまくりです。
本日のインサイドはガソルです。ケガの影響なのか、ここ最近のガソルは急激な衰えをみせています。シーズントータルは悪くないけど、2月はFG41%、3月は35%です。

代役にはラヴァーンしかいません。オルドリッジ不在が響いたとはいえ、そもそもセンターの人材をケチった今季です。

本来はサイズ関係なくヘルプで対応するのが持ち味なのですが、それを許さなかったロケッツです。

 

実際にスパーズの問題点はディフェンスになっていて、2月以降でレーティング100以下に抑えたのが3試合しかありません。その3試合には勝利しています。

そしてその3試合「しか」勝利していません。

守れれば何とかなるけど、守れなくて困っている。今のスパーズにロケッツのオフェンスは荷が重すぎました。



◉スパーズのオフェンス

 

次に3Pは決まったけど2Pがダメだったスパーズの確率をみてみます。

◯2PFG
パーカー 5/6
マレー 3/7
フォーブス 3/4

ガソル 1/5
ゲイ 5/12

チーム全体で42%と低かった割に、非常に悪かったのは2人だけです。ゲイだって平均に過ぎません。つまり全体が悪かったということに。

 

アテンプト二桁はゲイだけでバランス良く攻めているのに、全員が仲良く決まりませんでした。

その要因を考え始めるとキリがありません。例えば明らかにパスが悪かったですが、ターンオーバーはそこまで多くない。ロケッツのディフェンスは素晴らしいですが、かといって何かを明確に止めたわけでもない。

 

結論的には中心選手不足としか言いようがないです。スパーズの良い部分はチームオフェンスですが、中心となるレナードとオルドリッジがいないとこんなものなのかと。ホークス並と考えれば納得できるものもあります。

パーカーが活躍した時間は上回りましたが、そこにディフェンスが寄ればチームオフェンスは機能するでしょう。

そんなわけで打開するポイント不足だったスパーズ。ゲイにセンターやらせても打開はしてくれない。ジノビリは打開してくれます。

レナードにそこまで任せて良いのか不明だし、オルドリッジはケガから不調なので苦しいよ。



◉ロケッツのオフェンス

 

FG6/17のハーデン。しかし、2Pは4/6です。なんでも今季は6年ぶりにFG成功数がFT成功数を上回るとか。どんだけフリースロー打っているのか。

今季のサンダーが苦戦している理由にウエストブルックのフリースローが少ない事もあるだろうと考えています。ハーデンとウエストブルックは得意なプレーは全く違うけど、やっている事は似ている。
しかし、今季の決定的な差異はフリースローが3本近く違う事。コールしてもらえないウエストブルックとコールしてもらえるハーデン。

こう書くとレフリー次第みたいですが、貰いに行く技術は全く違うのでそこはハーデンの上手さです。もらいに行く方が得をするのはNBAの大問題。

 

この試合でも14本打っているので、単に2P75%だけでなく、細かく稼げているのが大きな差を生む要因です。それをマレーの手の長さで対応しようとしたポポビッチでした。そこそこ通用していたので、プレーオフのデータは集めたでしょう。



◯ルーズボール
スパーズ 3
ロケッツ 8

スパーズのルーズボールは全てマレーです。ルーズボールは機会が少ないので一概には言えませんが、チームとしてはロケッツの方が意識が高いです。

3Pが決まらない中でオフェンスリバウンドが多くなったのは当然なのですが、ルーズボールも制してオフェンス機会を増やしています。

 

ロケッツについて書く事がないのですが、問題も残ってはいます。

◯エリック・ゴードン
1点 FG0/7

今季は3P不調のゴードン。この5試合は高確率でしたがストップしました。楽な試合で良かった感じです。

 

◯ジョー・ジョンソン
0点 FG0/3 4アシスト

代役候補もなんとも言えない。アシストしてるので、そこは良かったです。今季は3Pが決まらないので、使い難くないかい?

 

シューターはジェラルド・グリーンがいるので、ポストアップとか決めてプレーメイクしてくれれば十分だと思いますが、なんかどうもね。

まぁ無い物ねだりくらいしか指摘する事がありません。



◉今後の日程

◯スパーズ
マジック
ペリカンズ
ウルブズ
ウォーリアーズ
ウィザーズ
ジャズ

次はマジックなのでレナードを試すならば、このタイミングになります。しかもホーム6連戦で1日置きという組み立てやすい日程です。

最近の雰囲気だとペリカンズの早いペースは苦しいけれど他のチームは勝てない相手ではありません。ジャズ相手は苦しい。ウォーリアーズはケガ人次第です。

 

この敗戦でウォーリアーズのプレーオフが決まったのですが、なんと7位から10位に転落です。ここからの6連戦で5敗するとプレーオフ脱落が現実味を帯びてきます。

最近の勝率的にはレイカーズにさえ抜かれかねないので、もうひと押しされると崖が突き落とされる事になります。それはロビンソンのケガでタンクして、ドラフト1位でダンカンを手に入れるという反則技を繰り出して以来のロッタリーへの参加です。

 

◯ロケッツ
クリッパーズ
ペリカンズ
ウルブズ
ブレイザーズ
ピストンズ
ペリカンズ

まぁロケッツに勝てない相手なんていないのですが、それにしても苦しい相手です。ウォーリアーズが負けてくれたので、ホームコートアドバンテージをみえてきますが、ここを勝ち切るかどうかにかかっています。

ブレイザーズとの対戦は注目カードです。

ここを乗り切れば調整モードになれそうです。

20180313 ロケッツvsスパーズ” への4件のフィードバック

  1. ロケッツはなんでこんなに強くなったのかなぁ。
    プレイオフでもハーデンがシーズン通り笛を吹いてもらえるか見ものですね。

    1. ひとえにダントーニの魔力でしょうね。
      そして昨季の反省を明確にして、コンセプトに合った選手を獲得しました。HCとGMが機能しています。

      長くなるから書くのをやめましたが、ウィザーズは偶発的にノーセンターが機能しそうになっていますが、ロケッツはそこを意図した選手集めてますからね。

      フィッツデイルを連れてくれば、似たようなコンセプトのチームが作れると思います。

  2. ゲイってほんとに勝ち運のない選手ですね。。
    勝ちたくてスパーズ来たのに、鉄板でプレーオフ行けるチームのはずだったのに・・

    1. 確かにそうですね。ゲイの獲得はスパーズとしても理にかなっていたのに。

      レナードのケガだけでなく、ガソルやグリーンなど問題がこんなに発生するとは。それもゲイ本人がケガする前は上手くいっていたので尚更ですね。

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