20180310 クリッパーズvsキャブス

よくわからない両チーム。クリッパーズはよい意味で、キャブスは悪い意味で。




戦術グリフィンとバカにしていたクリッパーズは、ルー・ウイリアムス任せになり、そしてよくわからなくなっています。

よくわからないというのは、選手任せなのですが、オプションが増えているのでパターンが増えて、「何をしてくるのかわからない」という利点に変化しているということです。

フィッツデイルなんかは中核を置きながらも、そんな状態に意図的に持って行っていますが、リバースの場合は偶然的な要素です。一方でそんなHCだからこそGMが良いロールプレーヤーを集めてきたのが機能しています。HCの特徴を読んでいるGMという少し変わった関係性。

戦術がないのは困ったものですが、揃った選手達で自然発生的に戦術が生まれてくるのは、それぞれの長所が組み合わさっているので理想的でもあります。だから優勝出来たともいえるリバース式。



キャブスのよくわからないというのは、戦術レブロンと思いきや、レブロンの発言はボールシェアするチームだそうです。観ている方からするとボールシェアと順番に個人技は意味が違うのですが。
そんな事を意図的にやっていたのはフィッツデイル。順番に個人技アタックさせて変化をつけて、あとはコンリーのゲームメイクに任せるみたいな。

意図的に発生させるには有効な戦術だと思っていますが、意図的ではないからね。ティロン・ルーはリバースの下でACをしてました。フィッツデイルはレブロンの下でACしてたから表面上は似ているのかも。

キャブスとクリッパーズの何が違うかというと、個人技アタックで自分で決める前提が多いキャブスに対して、ロールプレーヤーを揃えたから合わせる意識が高くなっているクリッパーズという事。

だから目立たない選手が目立たずに活躍する事が重要な試合という予想です。



 

◉何もしないルー・ウイリアムスでリードする

リバース息子が好き勝手やるスタートです。それ自体は否定的ですが、ルー・ウイリアムスがやりそうな事をリバースにやられると対応するのは難しくなります。

次にトバイアス・ハリスが好き勝手やります。でもトバイアスはこの個人技アタックは得意ではないというか、それが決まるならスターだったんだよね。まぁ中外でプレーしていきます。キャッチ&シュートは上手い。

ルー・ウイリアムスじゃなくて他の2人で攻めてくると対策と違うし、何より全てのプレーにジョーダンが絡むので止めにくくなります。何度もインサイドで高さを発揮するジョーダン。確率はそこそこ。

 

ベンチメンバーが増えると、ハレルはジョーダンより走るし、テオドシッチはパスを出してくれるので、速攻やスキップパスで得点していくクリッパーズ。

1Q残り5秒からのプレーではトバイアスが持っていき、最後はこのためにもう一度出てきたルー・ウイリアムスの3Pが決まり、35点を奪います。



キャブスもレブロンだけでなく、フッドやJRスミスで攻めていきますが、ドライブは出来ないし、インサイドへのパスもないのでアウトサイドシュートのみで対抗する形に。

コーバーが入ってくるとヒルと合わせてボールを動かし、コーナー3Pが増えますが決まらず、機能しないオフェンスになります。

1Q17点しかとれず、大きなビハインドとなったキャブス。3Pが決まらないとオフェンスにならない雰囲気でした。



◉6thマンのモンテロス・ハレル

2Qのクリッパーズのスターターは
テオドシッチ
ルー・ウイリアムス
エバンス
ハレル
マルヤノビッチ

驚きの構成でまったく機能する気がしません。エバンスにPGやらせてコーナーにいるテオドシッチは全く怖くないし、マルヤノビッチがインサイドにいるからハレル得意のドライブへの合わせは使えません。2人いるからルー・ウイリアムスにドライブするスペースもないし。

それでもハレルがポストアップを決めていきます。偉いぞハレル!

 

キャブスは反撃のチャンスを得ます。インサイドでジジッチが合わせて、外からクラークソンが決めていきます。ダンクミスやパスミスがあって内容ほど縮まらないものの10点差になってレブロンが戻ってきます。

 

ところがそのレブロンがイージーミスを連発します。ジョーダンのケアレスパスを奪って速攻に持っていくもレイアップをミスし、逆にカウンターを喰らいます。

そしてここでも走るハレル。走ってゴール下を押し込めば、追いかけてブロック。いやいや素晴らしい。レブロン相手に積極的に勝負を挑むなど自信をつけてきました。止められたけど。19点差まで開きます。



苦しいキャブスはハック作戦をします。ジョーダンが外すならベンチに下げてハレルで良いのですが、今季のジョーダンは64%らしいから非常に微妙です。しかもここ9試合は78%らしいし。

 

◯デアンドレ・ジョーダン
前半のフリースロー 5/9

ハック作戦自体は成功したとは言い難いのですが、好調なクリッパーズのオフェンスリズムを崩し、不調なキャブスオフェンスの回数を増やす事が出来ました。

不出来だった3Pでしたが、本数を打つ事で少しずつタッチを思い出し始めたようなキャブス。さらに足が止まるクリッパーズに対してアーリーオフェンスで攻めていき、点差を14点まで縮めて前半が終わりました。

 

◯キャブスのFGアテンプト
レブロン 8
JRスミス 10
グリーン 7
クラークソン 6
フッド 3

正直、JRスミスにこんなに打たせるならばクラークソンやフッドの方が確率高いはずです。フッドはケガらしく1Q以来戻りませんでした。

 

◯クリッパーズのFGアテンプト
トバイアス 9
ジョーダン 8
ルー・ウイリアムス 8
リバース 8
ハレル 9
ソーンウェル 6

見事としか言いようのないクリッパーズのバランス。リバースがボールを持った時にトバイアスのマークがコーバーだったのをみて、「お前がやれよ」という仕草でトバイアスに渡していました。そんなリバースはイメージ外なので、なんか上手くいっている様子のクリッパーズでした。



◉ジョーダンを止める

 

◯前半のジョーダン
13点 16リバウンド

6つのオフェンスリバウンドを奪ったジョーダンに破壊されたともいえるキャブス。「高さが」老人が喜びそうですが、キャブスの中でジョーダンをしっかりと止めたのはSFのグリーンでした。

 

その理由は2つ。1つはクリッパーズがインサイドを増やして人数が増えたので、ジョーダンが取れる範囲が狭くなった事。

もう1つはしっかりとブロックアウトする事。ただそれだけ。それだけなんだけど、そもそもリバウンドよりも前にボールを持たせる位置を調整しています。どうせリングに近くないと入らない判断でペイント内でもボールを持たせるディフェンスをしています。

ナンスだと全て止めようとするから、リング側を守らないシーンがあり、それがリバウンドに繋がっていました。ハレルだとそもそもそんな守らせ方をしないポジションをとります。

 

しかし、グリーンがヘルプにでると全くブロックアウトしてくれないレブロンやスミスに悩まされていたグリーンでもありました。



◉困った時のトバイアス・ハリス

 

後半開始もリバースがいきますが、プルアップ3Pを外し、さらに凡ミスして速攻を喰らいます。これがなければリバースじゃない。

キャブスは早々にクラークソンも使いオフェンスの速度を上げます。別にゆっくりやっても問題ない点差なのですが、オフェンス志向にしたそう。

 

このキャブスの狙いは当たります。両コーナーに人を置き、レブロンをポストとして使う事で、ディフェンスを収縮させながらもフロアを広く使い、最後はドライブやナンスへの合わせで得点します。この形のキャブスオフェンスは効率性が高いのでプレーオフまでに多用するかもしれません。

またオフェンスから動きが良くなった事で、レブロンやナンスのブロックも飛び出し、前半にやられていたインサイドを許しませんでした。全体の動きが早くなります。

 

しかし、その度に立ちはだかったのはトバイアス・ハリスの3P。ビッグマンのアウトサイドなのでチェイス出来ず、あっさりと打たれて決められます。点差が一桁になるところで3本決めたトバイアス。困った時のトバイアスは継続です。



タイムアウト明けに当然アウトサイドを警戒すると、またもジョーダンにやられます。凄まじあダンク&ワンを決めて、フリースローはエアボールするジョーダン。

 

仕方がないのでグリーンが出てきます。ディフェンスリバウンド時に激しくコンタクトしてジョーダンを阻むと、そこから走った時にジョーダンにハードファールされていました。効いているグリーン。

そしてそんなイラつきがあるジョーダンを手玉にとるレブロンが個人突破でダンクを決めれば、コーナーへキックアウトして3P、ふたたびドライブでゴール下を決めて、一気に点差を4点まで減らします。

この時僅か2分で10-0のランでした。
実はレブロンvsトバイアスではトバイアスが止めていたので、走ったレブロンさえ止めておけば、そんな簡単にはアーリーオフェンスにはならなかったはず。甘すぎたクリッパーズ。

 

しかし、3Q最後はチームファールが増えていたキャブスがフリースローを与えてしまい、逆にレブロンはもらったフリースローを2本とも外すなど、ある意味走ったツケを食らって85-77と8点差になって終わります。

全体としてはクリッパーズがオフェンスで苦しんでいるので、キャブスはトランジションディフェンスすれば良さそうなのですが。



◉正しかったリバース

ハレルが決めて10点差になって4Qが始まります。ちなみに2Qと同じユニットのクリッパーズ。上手くいっていたとでも捉えているのかリバース。しかし、今度はテオドシッチPGなので良かった。エバンスの存在価値は不明です。

テオドシッチがピックをもらって3P、ハレルのフック、テオドシッチからマルヤノビッチと間にミスはいっぱいあるのですが、それでもテオドシッチからコントロールされるのでオフェンスになるし、またも個人で素晴らしいハレル。

正しかったリバース。
よくわかんないよクリッパーズ。

 

レブロンがいないとオフェンスにならないキャブスが堪らずレブロンを戻すと、レブロン、クラークソン、スミスと連続得点しますが、マルヤノビッチの高さにやられてしまいます。せめてジジッチ使えば良いのに。

 

マルヤノビッチはクリッパーズで33分としか出てないけど30点だそうで。裏得点王。

そんなマルヤノビッチがリングのネットを掴んでしまい、リングにも届かなかったグリーンのゴール下がカウントになって9点差残り6分でスターターになります。



残り5分で早くもチームファールがペナルティーになるキャブス。インサイドに悩まされていたのが響きます。

ルー・ウイリアムスの3Pが連続で決まるので、残り4分からまたもハック作戦になります。クリッパーズから考えると前半ならばジョーダンに打たせる選択肢はありだと思いますが、後半ならば交代させるのが鉄板だと思うのですが、動かないリバース

4/6とジョーダンが決めた上に、キャブスはオフェンスでグリーンがフリーの3Pをミスし、さらに打つのが嫌になってエクストラパスしたらドラベリングをコールされました。

またも正しかったリバース。



ハック作戦を諦めるとルー・ウイリアムスのドライブからトバイアスのコーナー3Pが決まり、残り2分切って12点差で諦めたティロン・ルーでした。

セルティックスなら諦めない点差と時間ですが、この試合に関しては諦める気持ちはちょっと理解出来てしまいます。

◯デアンドレ・ジョーダン
20点 23リバウンド
FG6/12
FT8/16

◯ボバン・マルヤノビッチ
6点 3リバウンド
FG3/4

2人のビッグマンに破壊された感じのあるキャブスですが、どちらかというと守れないだけのような。唯一守れているのがグリーンでした。ジジッチも悪くはなかった。

 

◯ジェフ・グリーン
8点 4リバウンド
FG3/12
3P0/5

しかし、スモールラインナップの優位性を活かせない3Pの確率でした。グリーンが3P決めていれば違ったと考えるか、ナンスが守れれば違ったと考えるか。

それともジョーダンをトレードで取るべきだったと考えるか?

 

◯モンテロス・ハレル
20点 5リバウンド
FG8/15

トレードでとるならばどう考えてもこっちが正解です。メチャクチャ自信つけているじゃないかハレル!!

良い選手で正しいポジションを取るとは評していましたが、この試合ではそのもう一歩先を行きました。自分でシュート機会をクリエイト出来るとは知らなかった。それは出来ないナンスより上なのか!?



◯レブロン・ジェームズ
25点 6アシスト
FG11/20

まぁ普通の活躍だったレブロン。アシストが少な目なのは味方が決めなかったから。グリーンに加え、コーバーも0/4でした。

うーん、シーズン前半でこの展開だとコーバー大作戦をやるのが定番で、それで何度も逆転勝利をしていたキャブス。だけど、全くやらなくなりました。

 

個人的にはあれはチャイニング・フライが大切なので出来ない事は想像出来ますが、やらない理由にはなりません。

よくわからないよティロン・ルー



◯トバイアス・ハリス
23点
FG8/17
3P5/10

ピストンズはグリフィンスタートのオフェンスで困っていましたが、クリッパーズでも困った時のトバイアス・ハリスになっています。最後にボールが出てくると決めてくれます。試合を終わらせたのはコーナー3Pで、それはピストンズから消えたシュート。

ジョーダン無双が生まれた理由はトバイアスが外に広げてくれるからです。アテンプト10本は凄い。

キャブスのインサイドの弱さもあって、グリフィンよりもジョーダンとの相性が良かったトバイアス・ハリスでした。



終わってみれば1Qが全てだった試合です。それを保たせたのは3Qにトバイアス・ハリスが重要な局面で決めた事くらいでした。

キャブスのこのパターンはよくある気がしていて、先行すると強いけど、逆転に持っていくのは下手なイメージが。しかし、コーバー大作戦時代は逆転が得意技でした。

 

戦術レブロンになって安定はするけどパターンは固定化される。フッドがいなくなったので尚更そんなイメージでした。クラークソンは消えていた。

途中でヒルとコーバーが何度もレブロンにパスするシーンがあって、レブロンが嫌がっていたような。ヒルとコーバーからすると有利なレブロンを使いながら、自分達のシュートチャンスを作ろうとしているだけなのですが、レブロン任せにも見えてきます。

 

自由にやるのも良いけど、この辺の考え方が共有されていないと揉める原因になりますよ。

クリッパーズは冒頭の通り、全体で言えばオフェンスの狙いはよくわかりません。よくわからないけど、それは選択肢が多いという意味なので、良い意味です。

ここにブラッドリーが加われば、アクセントが付いてきますが、ガリナリはどうなのかな。そしてテオドシッチは完全に3番手扱いっぽいです。

 

いろんな事をやるから良い雰囲気のクリッパーズなのですが、そのためにはリバースとルー・ウイリアムスばかり起用するのは矛盾してきるので、狙ってやっているとは思えないのでした。

20180310 クリッパーズvsキャブス” への2件のフィードバック

  1. コーバーを先発にするという手はないのでしょうかね?
    コーバー大作戦をやっていたときの方が、いいチームに見えたのですが…

    1. スターターはどちらでも良いと思いますが、コーバーを重用するべきだと思います。スープ事件や不仲説もあったので、またもオフコート問題なのかもしれません。
      前からいる選手は残ったままですから解決したとは思えないですし。

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