ペリカンズが10連勝
ブレイザーズが8連勝
激しいプレーオフ争いの中で抜け出そうとする2チーム。その連勝の理由をショートバージョンで触れてみます。
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◉ペリカンズの理由
突如として10連勝したペリカンズはいうまでもなくオフェンスのチームです。アンソニー・デイビスの大活躍が目立ちますが、チームとしてはどうなのか?
◯ここ10試合/それまで
平均得点124.9/110.2
FG48.9%/48.1%
3P37.6%/36.3%
大きく得点力を上げているペリカンズ。しかし、その内容をみると劇的な変化は感じられません。全体的にシュートが好調なのは理解できるものの、10連勝に繋がるほど好調とも思えないわけです。
◯試合のペース
106.4/101.8
その理由はペースアップにあります。元々リーグの中でも早い部類だったペリカンズが大幅にペースアップしたのは興味深いものがあります。
◯レーティング
オフェンス 112.1/107.2
ディフェンス 104.4/107.0
その意味ではオフェンスの好調もありますが、ディフェンス面での改善も大きく貢献しています。単にレーティングが良くなったのではなく、ペースアップの中で良くなっているのは重要な要素です。
◯最近10試合の対戦相手
ネッツ
ピストンズ
レイカーズ
ヒート◯
バックス◯
サンズ
スパーズ◯
マブス
クリッパーズ◯
キングス
◯をつけたのが勝率5割以上のチームです。少し恵まれた日程でしたが、4試合は5割以上のチームに勝ちました。
しかし、クリッパーズを除くと極めて遅いペースで戦う3チームでした。つまりこの3試合はペースの奪い合いに勝利したと言えます。
◯ペース ペリカンズ戦/平均
ヒート 108.7/97.3
バックス 105.5/97.8
スパーズ 104.4/97.1
クリッパーズ 111.7/101.3
見事に早さに駆逐された雰囲気があります。
4試合全てが5点差以内の試合でペリカンズが楽勝だったわけではありません。
例えばヒート戦はレーティングにするとお互いに103となり、大きくオフェンスで上回れたわけではありません。バックス戦も同じです。
しかし、最後に走り勝つスタイルが成功しました。高速バスケでダメージを与えておいて、最後に疲れた相手を上回るパターンは少し前のウォーリアーズもよくみせていました。
例外がクリッパーズ戦で序盤のリードを追い上げられるも逃げ切った形です。クリッパーズはそこまで走り負けなかったといえます。
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◯アンソニー・デイビス
37.7分
35.6点
FG53.7%
3P44.1%
その中で群を抜くアンソニー・デイビスですが、単純にアテンプトが増えています。そして3Pが好調です。この人の場合は3Pがなくても得点取れるのですが、高速化の中では重要な気がします。
◯アンソニー・デイビス
13.6リバウンド
2.9スティール
3.1ブロック
そしてディフェンスでも大活躍です。この活躍をどうみるのかといった時に、展開が早くなるからスティールやブロックのチャンスが増えているといえます。ペースが早いから機会が多いというだけでなく、相手からしてもインサイドで打ちやすくなっていて、そこに待ち構えるアンソニー・デイビスです。
エースがオフェンスで好調だから展開が早くなり、展開が早いからディフェンスの存在感が増す。そんな好循環です。
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ペリカンズをみていて感じるのは、点差関係なく落ち着き払って試合を進めていることです。「最後は自分達が上回れるはず」そんな自信に満ち溢れています。
この自信を違う解釈をすると
『自分達のバスケを粛粛とこなす事に専念する』
そんな風に感じ取れます。相手に一喜一憂せず、目の前のミッションに集中しています。
対戦相手に恵まれたとはいえ、取りこぼさないというのはペリカンズのイメージにありません。そこには相手や試合展開にとらわれないメンタルの強さがありました。
闘争心が強いのではなく、ブレない強さです。
・試合のペースアップ
・エースが大活躍する環境
・ブレないメンタルの強さ
ペリカンズの連勝理由を簡単にまとめるとこの3点となります。全てはペースアップに繋がるわけです。
そしてここにカズンズ不在が絡んできます。
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◉カズンズがいないという事
カズンズの存在はペリカンズを大きく変えました。スコアラーという意味ではアンソニー・デイビスがエースですが、戦術の中心にいたのはカズンズです。
苦しい場面ではカズンズから打開しています。インサイドが狭くなれば3P、相手が小さければローポストアタック、リバウンドからの速攻でブレークパスを出し、早い展開でも遅い展開でも中心にいたのはカズンズです。
そんなカズンズにより整備されてきたチームからカズンズが抜けたわけですが、それはある意味チームとしては「出来る事を減らされた」わけです。
今のペリカンズはハーフコートゲームで打開するポイント不足のチームです。新加入のミロティッチもフィニッシャーとしては機能するけど、プレーメイカーにはなれません。
ある意味わかりやすくなったペリカンズ
効率的なプレーメイクを目指すよりも、ペースアップでオープンな状況を増やし、フィニッシュ力で勝負するのが最も効率的になったわけです。
◯イート・ワン・ムーア
FG42.4%/51.8%
3P30.3%/43.4%
それはツインタワーの中で空いた空間を使うのが上手かったムーアが、チームが連勝する中で逆に効率を落としている事からも伺えます。今のペリカンズはプレー効率を高める能力よりも、純粋なフィニッシュ力が重要になっています。
運動量が少なく、プレーに一喜一憂するタイプのカズンズがいなくなった事とこの連勝には関係性があります。
ペリカンズスタイルを作り上げたのは間違いなくカズンズですが、そのカズンズがいなくなって強くなるという難しいペリカンズの連勝でした。
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◉ブレイザーズの場合
ブレイザーズはペリカンズとは少し事情が異なります。そもそも1月のコーチオブザマンスはテリー・ストッツHCだったように、年明けから好調です。
2月は初めにラプターズ、ピストンズ、セルティックスというアウェー3連戦に負けた以外はジャズの勢いに負けた1敗だけです。状況を考えれば突然の連勝とはいえないブレイザーズです。
◯直近11試合の対戦相手
ホーネッツ
キングス
ジャズ 敗戦
ウォーリアーズ◯
ジャズ◯
サンズ
キングス
ウルブズ◯
サンダー◯
レイカーズ
ニックス
ウォーリアーズを倒しジャズにリベンジした以外は、調子を落としているウルブズとサンダーを倒したと考えると順当な8連勝です。
ペリカンズ同様にそんな安定感あったのか疑問はあります。しかし年明けから9敗してますが、2回の3連敗があるので連勝と連敗を繰り返すチームです。トータルでみれば安定している謎チームです。
◯直近11試合/それ以前
得点 109.4/104.5
FG 44.4%/45.3%
3P 37.8%/38.0%
得点力を上げていますが、FG%は下がっています。ただし3Pのアテンプトが3.5本増えているので、ロングレンジを増やしました。
合わせてオフェンスリバウンドが0.5本増えていますが、アシストは0.5本減っており、理解に苦しむチームです。
ペリカンズのようにペースを上げたわけではありません。
◯ダミアン・リラード
得点 33.8/25.1
3P 41.4%/36.7%
3Pアテンプト 10.1/8.0
チームが5点増やしてる中で8点増やしたリラード。年明けから本気出しただけのリラードです。12月だったか、今季は肉を食べるのやめたら痩せすぎたから肉食べるの再開したとか。
それはともかく3Pの確率が相手からすると手に負えなくなっています。単なる3Pではなく、ロングレンジから突然打って決めるので、対処が難しく、そしていつものリラードタイム。ウルブズ戦なんてそれまで外していたのに最後だけ連発して勝ちました。
◯フリースロー成功数
チーム 20.0/16.3
リラード 8.7/5.9
そしてチームとしてフリースローが増えていますが、それも主にリラードです。
つまり得点力アップはリラードが3Pを増やした分とフリースローを増やした分でしかありません。他の選手の得点は少し減っているので、兎にも角にもリラード頼みに変えて、リラードの確率が上がったのがブレイザーズのオフェンスです。
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◉変えたのではなく戻した
◯レーティング
オフェンス 107.4/105.2
ディフェンス 99.4/104.9
かなりディフェンス志向になった事がわかりますが、そもそも11月まではディフェンスのチームで非常に優秀なレーティングを誇りながら余り勝てないチームでした。それを1月に急激にオフェンス志向になり失点を増やしながら勝率を上げ、最近はまたもディフェンスで勝つように。
何が何だか、よくわかりません。
ディフェンス→オフェンス→ディフェンス
そんな移行をしているのが今季の特徴です。
ブレイザーズてディフェンスレーティングが高いのはヌルキッチ。それはこの11試合でも同じで96.6と高い貢献をしています。しかし、そんなヌルキッチのプレータイムを減らして数字が良くなるのだから、これまた不思議なブレイザーズ
昨季の弱点だったディフェンスを強化して、
一回オフェンス調整のためにオフェンスチームに変えて、
バランスとれそうだからディフェンスチームに戻した。
そんな事をしていたのならば、テリー・ストッツもコーチオブザイヤー候補に!
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◯リバウンド 37.0/34.9
元々リバウンドに強かったチームがさらに数字を伸ばしています。
◯リバウンド
ヌルキッチ 9.4/8.2
デイビス 9.5/7.0
アミヌ 7.7/7.2
コリンズ 4.0/3.3
バーンレイ - /5.1
デッドラインに放出したバーンレイは14.4分で5本なので、かなり強いリバウンダーでした。それを補うほどの選手はいないのですが、ヌルキッチとエド・デイビスが伸ばしたのはバーンレイがいないから取る機会が多くなったと考えるのが自然です。デイビスはプレータイムが増えたのも大きいです。
そう考えるとリバウンド数が伸びたのは、全員の意識の高まりと、単純にリバウンド機会が増えたくらいの話になりそうです。
◯被FG 43.3%/44.8%
◯被3P 33.9%/36.6%
明確に良くなったのは3Pに対するディフェンスです。ちなみにこれはヌルキッチ加入後の昨季と同じ傾向です。
ブレイザーズのディフェンスはプレッシャーが強く、身体の強さを保てるスタンスを取るので試合をみていて納得できる部分は多くあります。
とにかく3Pへのプレッシャーが強く、それでいてインサイドでも自由にしません。アシストをさせないのは、ヘルプよりも個人技勝負を受けてたつディフェンスだからです。
しかし、それが今季の内容比較で良くなっている部分と言われると困ってしまいます。1月にはスリーガードにしてディフェンス力が落ちる期間がありました。それを戻したので良くなったくらいの理由です。
結局は前述の通り、オフェンスをなんとかするために試行錯誤した1月。そこでリラードの好調とネイピアーの台頭を手に入れます。
その結果、最近はディフェンス優先のメンバーを構成しやすくなった。
元々良かったディフェンス、それをオフェンスの改善により取り戻したといえます。変えたというよりも戻しただけのブレイザーズ。シーズン序盤に勝てていれば、ずっとこの形だったはずです。
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◉連勝は続くのか。
プレーオフレースで一歩抜け出た感のある両チーム。しかし、この先の日程はどうなのか?
◯ペリカンズの日程
ウィザーズ
ジャズ
ホーネッツ
スパーズ
ロケッツ
セルティックス
早い展開についてくるウィザーズとコントロールしてくるジャズという2チームが待っています。共にホームなのでアドバンテージはあります。
そこを乗り越えるとスパーズ、ロケッツ、セルティックスになるので、さすがにこの間には止まるでしょう。問題は連敗するかどうか。相手に恵まれた面があったので勝負の2週間です。
◯ブレイザーズの日程
ウォーリアーズ
ヒート
キャブス
ピストンズ
クリッパーズ
簡単な相手がまったくありません。ウォーリアーズさえクリアすれば十分に勝てる相手ですが、ペリカンズよりも苦しい日程です。
しかもその後もロケッツ、セルティックス、サンダーと続き、ペリカンズとの直接対決です。
こう見るとブレイザーズの方が苦しい日程です。お互いに連敗するとプレーオフ当落線上になる可能性があり、気の抜けない日々が続きます。
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ちなみにロケッツとウォーリアーズも連勝中。こちらはどこにでも勝ちそうなので良くわかりません。
日程的にはロケッツが苦しいです。ウォーリアーズは最下位争いチームとの対戦が結構あります。
取りこぼした方が下になるのでやっぱり難しい日々が続きます。果たしてプレーオフの準備にはどちらが良いのか?
いつも楽しく夜間瀬ってもらっています。ディビスとリラードが爆発して連勝しているだけという感じもしなくないですが、ブレーザースに関して言えば、GSW以外は予想可能な連勝です。一番大きかったのは前回大敗したUTAをディフェンスで倒したことでしょう。PHXもMINもLALもほとんど負けていた試合をリラード1人でひっくり返した試合なので、彼の活躍次第で勝敗が決するチームになっています。この後の10試合はハードなので何とか5割で乗り切れれば上出来でしょう。
リラード任せなのは確かですが、その前提がディフェンスで接戦に持ち込むことですね。
それって結局は分析した頃そのままなんですよね。あの頃はリラードが爆発しなかった。ネイピアーが加わって爆発前に繋いでくれているのも印象的でした。
リラード任せは大前提だけど、そこに至るまでの過程を強化したとも言えますね。
五割は現実的な目標でしょうね。
ペリカンズファンです。
ロバーソンもカズンズも大好きなので今シーズン見る気力が減ってたんですが、ペリカンズの連勝でまた見始めました。
セルティックス、スパーズ、ロケッツのなかで2チームには勝ってほしい!特に前回惜敗してしまったロケッツに!
ロケッツは日程厳しい中なのでチャンスはあると思います。
それよりもセルティックスにとってアンソニー・デイビスが天敵になりそうなので、そっちの試合に注目しています。
個人的にもカズンズ&ロバーソンは極論を行く選手なので好きでした。今回は書いてて「カズンズがいなくて勝てるようになった部分も大きい」と感じてしまい、複雑な気分です。