ジャズはオールスターブレイクで完全に勢いを削がれ、3Pの異常な確率が止まりました。しかしディフェンスでロケッツを苦しめるなど分析時のような内容です。単なる勢いで勝っていたわけではないけど、勢いは削がれたというイメージです。
対するはマジック。ひたすらにケガ人だらけだったチームは遂に選手が戻ってきました。アーロン・ゴードン、ブセビッチ、そしてルーキーのジョナサン・アイザック。3Pでシーズン序盤だけ沸かせたチームです。
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◉最近のジャズ
オールスターブレイク明けにブレイザーズとロケッツに敗れたものの、それも100点以下に抑えています。しかし6試合連続で3P35%未満で得点力が落ちました。
それでもマブス、ウルブズ、キングスには勝っているので5割以上の勝率はキープです。そんな簡単に3Pを決められるならば苦労はしないわけで、爆発力あるロドニー・フッドを失っているのもオフェンス面では痛手です。逆にいえばより安定してるイメージもあります。
ドノバン・ミッチェルのプレータイムが37分を超えており、アレック・バークスは12分を割っているのは何故なのか?
スマートなオフェンスをするジャズですが、突破するのはこの2人の役割。しかし、ターンオーバーがアシストを上回っており、単に3Pが決まらないというよりもオフェンスを分断されています。
それはプレーを読まれているかもしれないので、もう少し変化をつけなければいけないのかもしれません。
クラウダーが3Pアテンプト6本を超え、確率は30%です。ならばフッドの方が良いじゃないか!?
そんな疑問もあるジャズなので、オフェンス麺の効率性に課題がありそうです。
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◉最近のマジック
◯直近5試合
107.2点
FG48%
3P39%
アシスト26
主力が戻ってきてマジックらしくなりました。1番決めているのはケガ人ではないDJオーガスティンなので、大切なのはシュート力ではなくアシストの気がします。
チームとして動いてパッシングするスタイルはケミストリーが重要です。豪華メンバーではないけど、このメンバーで全ての試合に勝つチャンスを得られそうな戦い方をします。
そこにベンチからシモンズやアイザックが出てくるからバランスが保てるイメージでした。悲しいのはそのイメージはシーズン序盤だけのもの。ペイトンはいなくなったけど、本来のマジックが戻ってきていそうです。
3Pを重要な項目に挙げた両チームですが、チームオフェンスの中でタイミングを合わせてシュートチャンスを生み出すジャズに対し、連続してスペースに動いていく中でフリーが生まれるのを探していくマジックです。
どちらもシュート力というだけでなく、そこに至るまでの過程か大切です。そしてジャズの方がシュートは安定しているし、ディフェンスも良いよね。
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◉3Pの前のプレー
ジャズはフェイバーズ不在でジェレブコです。アーロン・ゴードンがマッチアップなのでむしろ楽になった気がします。
イングルスが前半で4本の3Pを決めますが、始めの3本でアシストが記録されます。そして空いたから打った4本目になりました。そこに至るまでのジャズの流れはわかりやすいドライブ&キックアウトを使った組み立てです。
個人で抜いてフィニッシュまで持っていけるのはドノバン・ミッチェルだけですが、ルビオやイングルスも度々ドライブを決めます。それは抜けないまでもタイミングをズラしてドライブでペイント内に侵入し、そこからシュート、キックアウト、インサイドへの合わせという多彩な選択肢をもった状態でのドライブです。
ここで重要なのはインサイドの合わせです。ゴベールは合わせるのは上手くないのですが、圧倒的な高さがあり、多少のキャッチミスがあってもリングに叩き込めます。ここがフェイバーズだと合わせるのが上手くなります。
マークのブセビッチはヘルプしながらパスコースを潰すのが上手いのですが、高さも速さもありません。また、特にゴードンはそんなヘルプディフェンスとの関係性も下手です。完全に抜かれてブセビッチがヘルプに行った時にゴベールへのパスコースを全く意識しない面があります。
全体的にペリメーターディフェンスの怪しいマジック。多分それは勝利を求めてない中での緩みがある部分です。
そんなわけで次々とインサイドを破られていくマジック。それが単なるドライブではなく、ドライブからの合わせなので次第にアウトサイドに広がるディフェンスをやり難くなり、逆サイドからのヘルプが寄ってきました。
当然のように逆サイドまでパスを出せるジャズ。ジャズはもう少しボールムーブからフリーを作るのも上手いのですが、そんなプレーが不要とばかりに、ドライブだけで組み立てが出来てしまいました。
◯前半のゴベール
12点 9リバウンド
FG6/7
ファールで止めるわけでもないので、インサイドを荒らされまくりました。
◯前半の3P
ジャズ 8/18
マジック 6/18
しかし、ジャズはフリーの3Pを結構外しました。やっぱりクラウダーが14分で3本全て外すなど課題のポジションになっています。あそこまでフリーで全て外してくれるならば守れてしまう。
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マジックの方も3Pをそこそこ決めましたが、そこに至るまでの過程が苦しい前半でした。逆にいえば苦しい割には決めた前半です。
マジックにはタレントが足りません。唯一のスター候補はゴードンですが、インサイドに侵入してもフローターを外し、ゴール下を外して得点出来ません。
ドライブでインサイドに侵入くらいは出来るのですが、ゴベールの高さを信じているし、ゴベール自身もリングの近くでブロックすれば良いと考えていそうなジャズは、最後のシュートに対して厳しくプレッシャーをかけます。
マジックは他にポストアップを頻繁に使います。一旦ブセビッチにボールを預け、周囲がオフボールムーブでインサイドに入った時に身体をはってボールを呼び込むのですが、ブセビッチのパスがゴベールの高さにより防がれます。
https://stats.nba.com/game/0021700955/shotchart/?StartRange=0&EndRange=14400
両者のペイント内ショットチャートには差があって、明確にゴール下で打つジャズと少し離れた地点から打つマジックです。その割にはシュートが下手なマジック。
◯ニコラ・ブセビッチ
8点 FG3/4
3P2/2
ブセビッチはアウトサイドに広がるタイプのセンターです。ドライブからブセビッチに渡すパターンは成功しているマジック。ゴベールをインサイドから追い出す、またはフリーのブセビッチというパターンは成功しているのですが、インサイドプレーを決められませんでした。
そこはもうタレント力の問題です。3Pシュータータイプをセンターを使う場合は、ウイングが得点するのが基本ラインというのが『センターと戦術』で考えた定番です。
マジックのウイングはゴードン、シモンズ、アイザック。苦しいタレント事情の中では希望を見出したい選手達です。しかし、全く決められない前半でした。
設計は良く出来ているマジック。しかし、足りないのは個人能力。個人能力の部分をドノバン・ミッチェルとゴベールの高さを利用しているジャズ。
そんな違いのある両チームの前半でした。
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試合はジャズが先行するもののフリーの3Pを外している間にマジックが逆転します。この間は動いてフリーを作る形から3Pを決めたマジック。しかし、インサイドが怖くないので外までしっかり守る事にしたジャズ。
加えてベンチメンバーになると外からは打てないけど、合わせるのも下手なビヨンボがハイポストからエアボールするなどマジックは得点出来なくなります。
その間にキックアウトからの3Pだけでなく、ドライブ警戒のマジックディフェンスを前にしてプルアップ3Pを決めるイングルスやミッチェルで逆転したジャズでした。
54-44で前半を折り返します。
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◉ジョナサン・アイザック
マジックは修正してきます。選ばれたのはルーキーのアイザック。シモンズに代わってスタートで出てくると208cmながらガードまで守る能力を発揮し、イングルスを守ります。
フェイクに簡単に引っかかるものの、高い身体能力と反応の速さでドライブについていき、単にシュートを許さないだけでなく、ゴベールへの高さを活かしたパスを防ぎます。
また自分のマークを捨ててルビオのロブパスに反応して高いジャンプで阻んでいきます。
前半にはドノバン・ミッチェルとの1on1でブロックするなど高いディフェンスへの順応力をみせています。同じルーキーなんだけどね。
そんなアイザックはケガ明けなのでおそらくプレータイム制限があります。5分ほどでアイザックが抜けると、またもゴベールへの見事な合わせを連発するジャズ。実にいろんなパターンで合わせていくのですが、そこまで簡単にドライブさせ過ぎです。
半分は偶然ですが、半分は必然だった気がするアイザックの存在感とゴベールの活躍でした。
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さて、そんなアイザックの抵抗があるもジャズは問題なくオフェンスを展開していきます。そこで目立ったのはジェレブコ。ゴベールへの警戒が強いのでコーナーでキックアウトをまったり、カットプレーで合わせたり。
そのマークはゴードン。頻繁に目を離してしまいました。
◉ドノバン・ミッチェルvsアーロン・ゴードン
3Qでマジックはオフェンスの中心にゴードンを置く形を強めます。ボールをハンドルさせてドライブを促します。これが確率悪かった。
◯アーロン・ゴードン
13点 1アシスト 6リバウンド
FG4/18
高い身体能力を誇るゴードンはスピードがあり、パワーがあり、ハンドリングも良い選手です。今季は3Pの自信もつけました。それはマジックのフロントがエースとして信頼したくなる能力です。サイズ・身体能力・スキルを併せ持ち、ひょっとしたらレブロンクラスかもしれません。
しかし、それぞれが連動しません。
相手とコンタクトしながらドライブは出来ないし、スピードで振り切ってもシュートは不安定、何よりドライブするとパスを出すことが出来ません。
そのため最後のステップ部分にプレッシャーをかければ、あるいはかけなくてもシュートを外してくれます。そして個人のドライブが効果的なチームオフェンスに繋がりません。
ジェレブコにやられたディフェンスも含めて戦術眼が低いとも言えます。
そんなゴードンに積極的にやらせるものの、効率的なオフェンスにならず点差は開いていきます。そしてゴードンがベンチに下がるとヘゾニャが連続3Pを決めてマジックは点差を縮めました。
7点差になって3Qが終わります。
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4Qになるとお互いにシュートが決まらなくなります。そこまでのディフェンスが機能してきたとも言えます。ゴベールのFGはファールで止められた1本のアテンプトのみになり、3P1/7と外から決められなくなるジャズでした。
それはドノバン・ミッチェルの出番です。マークはアーロン・ゴードン。両エースが対峙します。
ここもやはり能力の高いゴードンがそこまでミッチェルに劣るとは思えませんでした。しかし、戦術眼を磨いているので的確なパスを振り、スクリーンを使い、時に強引に飛び込み、そんなチームとしてのスムーズさが大きなアドバンテージとして働いた感じがあります。
2人の身体能力やスキルでの大きな差はないかもしれませんが、それぞれのスキルが独立しておらず、チームの中で自分を使えるドノバン・ミッチェルの方が1枚も2枚も上手でした。
なお、FG1/4なのでシュートが決まったわけではありません。それでも効果的だったわけです。
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◉怒るクイン・スナイダー
マジックが点差を縮めるものの、チームとして慌てることなく自分達のやるべきプレーを繰り返したジャズ。相手が強ければ逆転されたかもしれませんが、徐々にバランス良くやれば問題ないマジックでした。
敵がいたのはホームなのにレフリー。この試合でもよく分からない判定を繰り返します。目立ったのは謎のオフェンスファールの連発。ドライブしたジェレブコのボールを持っていない方の手にディフェンスが触れるとオフェンスファールをコールされます。ミッチェルも同様に。
しかし、オーガスティンがドライブでディフェンスを押すとディフェンスファールに。
あり得ないくらいキレるスナイダーHC。コールしたレフリーにクレームしてテクニカル。そのままコートに入ってオフェンスファールを取り続けていたレフリーにクレームしてテクニカルで退場しました。
まぁそれは自分が退場しても、もう逆転されることはないという確信の下に行われたクレームでした。基本的にレフリーにクレームしないチームだからこそHCが目立つように怒ったのでしょう。冷静にガチギレするスナイダーでした。
そしてホームのファンはスタンディングオベーション。理解の早いユタのファン達でした。
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マジックはアイザックやイワンドゥみたいな若手もいるのだけど、そこに切り替える前に今のスターターで頑張る期間も必要と判断していそうです。
そしてフランク・ヴォーゲルはクビが決まっているような報道ばかりです。やる気なさそうだったよ。
ジャズは強さの要因はしっかりあるのは再確認出来ました。しかし、あまり爆発しないね。この内容でシュートが決まっていないのは気になります。フェイバーズがいないので、ゴベールをもう少し止めるセンター相手だったら得点が止まりそうです。
再加速したいジャズでした。
マジック相手なら負ける気がしない内容でしたけど、ミッチェル以外のセカンドオプションが安定しないのでそこが非常に厳しいです。上位のセンターがいるチームだとゴベールが止められてしまうので得点を積み重ねることが難しそうです。
フェイバースが戻らないとプレーオフは厳しくなりそうです。
結局はゴベールを守るというよりもゴベールまでボールを渡さないディフェンスが出来るチームだと苦しかったですね。フェィバーズならば上手く合わせてくれるのですが。
ジャズはひたすらに上が落ちてくるのを待つしかないので、耐え忍ぶしかないですね。